「働きがいのある会社」ランキング選出企業が語る!
「育休を取りたいときに取れる風土」を醸成するための考え方

ラシク・インタビューvol.217

株式会社ヤッホーブルーイング 人事労務総務ディレクター 長岡知之さん

男性の育児休暇の取得を促進するにあたって、多くの会社が課題に挙げるのが「雰囲気づくり」。どれだけ充実した制度を整えても、職場に休みにくい雰囲気があると、従業員は育休を取得できません。

『よなよなエール』『水曜日のネコ』をはじめとしたクラフトビールの製造販売をしている株式会社ヤッホーブルーイングは、「働きがいのある会社」ランキング(※)に6年連続で選出されています。その背景にある理由のひとつが、高い育休取得率。2021年度の育休取得対象者は男女ともに100%育休を取得しています。育休を取りたいときに取れる雰囲気づくりに成功し、個々が自分のニーズに応じて休みを取得しています。
※「働きがいのある会社」に関する調査・分析を行うGreat Place to Work® Institute Japan(以下、GPTWジャパン) が毎年実施しているランキング調査

今回は、ヤッホーブルーイングで人事総務関連の業務を担当する長岡知之(ながおか・ともゆき)さんに、育休を取りやすい雰囲気づくりの過程やポイントなどをうかがいました。

「ガッホー文化」の下、 
個性を発揮しながら仕事を楽しんでいる

編集部:ヤッホーブルーイングさんではニックネームで呼び合っていると聞いたのですが、長岡さんは何と呼ばれているのでしょうか?

 

長岡知之さん(以下、敬称略。長岡)::私は「ちょーさん」と呼ばれています。ぜひ、「ちょーさん」と呼んでください!

 

編集部:では、ちょーさんと呼ばせていただきますね!普段の社内はどのような雰囲気なのでしょう?

 

長岡:ひと言で表すと、みんなが楽しく働いています。私たちのミッションは、「ビールに味を!人生に幸せを!」です。ビールを通じて、多くの人に幸せを届けたいと思っています。だからこそ、まず製品を生み出す私たちが楽しく仕事をすることが大事なんです。

 

編集部:楽しく働くための指針のようなものがあるのでしょうか?

 

長岡:会社として特に大切にしているのが、チームで仕事をすることです。当社では、「頑張れヤッホー」を略した「ガッホー文化」と呼ばれる行動指針を掲げています。フラットな組織のもと、「自ら考えて行動する」「切磋琢磨する」「仕事を楽しむ」を循環させることが、「究極の顧客志向」につながるという考え方です。個々が「知的な変わり者」であることを推奨していて、「出る杭」をどんどん伸ばし、個性が発揮される組織を目指しています。

 

編集部:ちなみに、今の良い雰囲気は昔から確立されていたのでしょうか?

 

長岡:実は、過去に苦しい時代もあったんです。1990年代後半~2000年代前半は「地ビール(現在でいうクラフトビール)」が国内で広がって当社の業績も上々でしたが、その後数年は市場全体が廃れてしまいました。売上が下がり、人は離れ、社内の空気も悪くなる。当時のヤッホーブルーイングは悪循環に陥っていました。
 
そんなつらい時期を乗り越えて、「従業員が末永く幸せに働けるように、会社づくりをいちからやり直そう」という決断に至りました。この経験があったからこそ、「幸せに働くことの大切さ」を会社として理解しています。従業員には、ヤッホーブルーイングを好きになって、末永く働いてほしいんです。

 

編集部:育休取得率100%のベースにある風土は、会社全体で組織づくりに励んできた結果なのですね。

 

長岡:そうですね。全員が自分らしく、幸せに働けるように。男性育休は、あくまで会社が目指す理想の働き方を実現するための手立ての一端です。

「休みたいときに休める風土」をつくるポイントは、
リーダーが率先して休むこと

長岡知之さん / オンラインで取材

編集部:会社として育休取得の促進を始めたのも、働き方を見直したタイミングですか?

 

長岡:そうです。2008年に現社長が就任して、自ら先陣を切り、育休を取得したのが始まりです。「自分が率先して理想的な働き方をしていかなくては」と、使命感を抱いていたのでしょう。そこから少しずつ社内へ空気感が浸透し、今の風土が醸成されていきました。

 

編集部:リーダーが休むと、社員も休みやすくなりますよね。

 

長岡:リーダーこそしっかり休まないと、チームメンバーが休みにくくなります。管理職は多くのチームメンバーから見られている立場なので、率先して休むことで組織内に良い文化ができやすくなるんです。反対に、悪い文化を作るきっかけになってしまうケースもある。
 
大事なのは、「育休を取らせること」ではなく「社員が育休を取りたいときに取れること」だと思うんです。ヤッホーブルーイングでは、有給休暇もすべて取得するのが当たり前になっています。自由に休める空気感を醸成しないと、仕事とプライベートが調和されず、結局社員が離れてしまいますからね。

 

編集部:今の風土ができるまでに、困難はありましたか?

 

長岡:休んだ人をカバーする体制に課題がありました。ヤッホーブルーイングは今でこそ約200名の従業員がいますが、私が入社した2009年当初の従業員数は約30名。人数が少ないので、休んだ1人分の業務をカバーすることが大変でした。小さな会社の多くが抱える悩みかもしれませんね。

 

編集部:どのようにして課題を乗り越えたのでしょう?

 

長岡:人員配置にゆとりを持たせ、誰かが休んでもチーム全体の負担を抑えられる体制を整えました。業務の属人化防止にも取り組んでいて、誰かの不在をお互いが協力しながらカバーしています。
 
今となっては、管理職から指示されずとも現場レベルで調整するほど、お互いを支え合う土壌ができています。「休むのはお互いさまだよ」「子育て頑張ってね」という気持ちがみんなの根底にあるんです。「自分が休むと仲間に迷惑がかかる」と不安を持たなくてよくなるので、休むハードルが下がっています。

生の声を共有して意識を促進。 
過去には3ヵ月→8ヵ月に延長した事例も

編集部:「育休を取得したいときに取得できる風土」ができるまでに実施した工夫を教えてください。

 

長岡:育児休業ポスターの掲示や、育休取得者のレポート共有を実施してきました。ちなみに育休取得者のレポートは、管理部門から指示しているわけではなく、本人が自発的に作成し、共有してくれています。育休の取得事例は、ポスター内にも盛り込んでいます。

 

編集部:やはり、取得者本人のリアルな声を届けることが大切なのですね。

 

長岡:実際に育休を取得した人の声を共有すると、「自分も育休を取ろうかな」と組織内の意識が促進されると思っています。育休中の喜びや効果を伝えるために、本人が工夫しながら作成しているので、見た人の心に響く内容になっていますよ。

 

編集部:となると、自分や配偶者が出産を控えている人は、基本的にみんな育休を取るのでしょうか?

 

長岡:そうでもないんです。過去には、パートナーと話し合った結果、育休を取得しない男性社員もいました。「休むこと」がすべてではなく、家庭の事情に合わせた取り方が大切だと思います。会社としても「その人がどうしたいのか」に寄り添ったサポートが重要なのではないでしょうか。

 

編集部:ちなみに、育休の取得日数も人によって違うのでしょうか?

 

長岡:そうですね。短い人は数日、長い人は8ヵ月間休んだ事例があります。ちなみに8ヵ月休んだ社員は、元々3ヵ月の予定だったのですが、あまりの充実ぶりに延長したんです。子どもと遊んだり、成長を楽しんだり、一緒に過ごす時間の尊さを実感したと言っていました。

 

編集部:休みを延長したときの会社側の反応は…?

 

長岡:「いいねいいね!」と、全然驚きませんでしたね。休む前と休む後では、状況や気持ちが変わりますし、子どもの成長を見られるのはその瞬間だけですから。仕事内容は調整すれば問題ありません。その人が「休んでよかった」と感じてくれて、復帰後に高いパフォーマンスを発揮してくれれば、会社としても良いことばかりです。

現状に満足せず、個々のニーズに寄り添い続ける

編集部:すでに良い土壌ができているように感じますが、今後はどのように組織づくりを進める予定でしょうか?

 

長岡:部署単位で見ると、うまくいっていない部分はたくさんあります。たとえば、「コミュニケーションを活発に」といっても、作業が中心の製造現場ではなかなか難しい。これからも一人ひとりへ目を向けながら、各自が幸せに働ける会社を作りたいと思っています。「働きがいのある会社」ランキングに選出されるなど対外的に評価されてはいるものの、「自社は働きがいがある」と自分たちが満足してはいけません。

 

編集部:ヤッホーブルーイング様のように、育休を取りやすい雰囲気をつくりたいと考えている会社が多いと思います。他社様に向けて、メッセージをお願いできますか。

 

長岡:「会社として」を意識しすぎると、どうしても制度に偏ってしまいます。「法律が変わったから」「社会的に育休取得が進んでいるから」と、「とりあえず」な取り組みになる。そうすると、個々のニーズや自分らしい働き方とずれてしまう可能性があります。
 
いまは労働人口が減っているので、従業員が長く働き続けられる組織を作ることは、どの会社にとっても大切なはずです。そういう意味でも、「ここで末永く働きたい」と思ってもらうために、従業員一人ひとりのニーズに沿った対応が重要だと思います。

インタビュー中、自社のことを楽しそうに話す姿が印象的だった、ちょーさん。「この会社が好き」という気持ちがヒシヒシと伝わってきました。ヤッホーブルーイング様に入社する人は、「休みたいときに休めるんだ!」とよく驚くそうです。機械的に制度を敷くでもなく、他社と比較するでもなく、自社の従業員一人ひとりに真摯に向き合う。そういった日々の積み重ねが、幸せに働ける組織を醸成すると実感したインタビューでした。

長岡知之さんプロフィール
ヤッホー盛り上げ隊ユニット(人事労務総務)ディレクター
長野県出身。日本大学生物資源科学部卒業後、星野リゾートにUターン就職。2009年よりヤッホーブルーイングへ。ファンイベント開発、受注事務、物流部門を経て、2015年より現職。採用、育成、組織開発、労務、総務、キャリア相談、メンタルヘルス推進など人事系領域を広く担当。「働きがいのある会社」ランキング(GPTWジャパン)6年連続ベストカンパニー受賞の運営や「長野県職場いきいきアドバンスカンパニー認証」取得など組織開発への取り組みに注力。キャリアコンサルタント有資格。2児の父。
HP:ヤッホーブルーイング

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文・インタビュー:紺野天地

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