小学生の交通事故は5月下旬~6月がピーク
子どもの安全を守るために身近でできること
新年度に入って2ヵ月が経ち、初夏の陽気を感じる季節となりました。この春から新生活を迎えた方は、少しずつ慣れてきたころではないでしょうか?
街を歩くと、大きなランドセルを背負った小さな子どもたちが登下校をしている様子を見かけます。元気いっぱいの姿にほほ笑ましい気持ちになる一方で、思わず「危ない!」とヒヤヒヤする瞬間も。
小学1〜2年生に該当する7歳は、歩行中に交通事故に遭う可能性の高い年齢であることから「魔の7歳」と呼ばれています。
また、小学生の交通事故発生の時期は5月下旬〜6月がピーク。これは、小学生になってしばらく経ち、新生活にも慣れてきたことによる気のゆるみが原因とされています。
子どもの安全を守るために、保護者や学校関係者だけでなく、身近な大人にもできることがあります。最も交通事故が発生する時期である今、子どもの交通安全について一緒に考えてみませんか?
交通事故は「7歳」が危ない
交通事故総合分析センターによると、2019年における歩行中の交通事故死傷者数は、全年代を通して7歳が最も多かったことが分かりました。
また、警察庁によると、2018年〜2022年における歩行中の死者・重傷者数は、小学1年生が小学6年生の約3.2倍となっています。死者数だけをみると、1年生は6年生の実に10倍の数に……
このように、7歳は歩行中の交通事故に遭う可能性がきわめて高い年齢であるといえるでしょう。危険な時期であることから「魔の7歳」と称されることもあります。
小学生の交通事故が、5月と6月に多い理由
警視庁の発表によると、小学生における令和4年中の交通事故発生の月別発生状況は、5〜6月に集中していることが分かります。
では、なぜ5月と6月に交通事故が集中しているのでしょうか。
子どもは、小学生になると行動範囲が広がります。
幼稚園や保育園時代は常に大人と行動をともにします。しかし、小学生になると一変、登下校時はもちろん、放課後や休日に友だちと遊ぶために出かけるなど、保護者の元を離れてひとり歩きする機会が増えていきます。
まさに「ひとり歩きデビュー」の時期でもある小学生。入学直後は交通安全学習があることからまだ緊張感があるでしょう。しかし、入学から数ヵ月〜1年も経つと慣れが生じてしまい、歩行中に気を抜いてしまうことも。
実際に、幼少期の子どもにおける交通事故の原因で最も多いのが「飛び出し事故」であり、全体の60%以上が該当します。飛び出しのような一瞬の不注意による事故が大半を占めていることが分かります。
交通事故からわが子を守るため、親子で日常的にコミュニケーションを
愛するわが子を交通事故から守るためには、親子での日常的なコミュニケーションが不可欠です。では、子どもと交通安全について会話をするうえで、具体的にどのような方法があるのでしょうか?
代表的なもので、交通安全読本や絵本を使ったコミュニケーションがあります。実際に子どもと一緒に道を歩くことで、交差点の渡り方をレクチャーしたり、飛び出してはいけない場所を一緒に確認したりと、子どもに体験として伝える方法も有効でしょう。
また、一緒に動画を視聴することでコミュニケーションの機会をつくることもおすすめです。スマートフォン1台で簡単にできるため、誰でも手軽に実践することができます。
具体例として、今回はひとつの動画を紹介します。トヨタ自動車株式会社は、滋賀県発祥の交通安全啓発看板キャラクター「飛び出し坊や(とび太くん」)」を起用した交通安全動画『飛び出さないで!とびだし坊や』を公開しています。
出典:トヨタドライバーズチャンネル『飛び出さないで!とびだし坊や』
この動画は、小学生を対象にした正しい交通ルールを学ぶことができるアニメーションです。「キャラクターが飛び出すと強制終了するアニメ」として、さまざまなシチュエーションで正しい交通ルールを紹介することで、道路の渡り方を楽しく学ぶことができる映像になっています。
このような動画を子どもと一緒に観ることで、「近所ではこんな場所が危ないね」「こんなことに気を付けようね」などと、実際の身の回りの場所を想定しながら、話し合う時間をもってみてはいかがでしょうか?
子どもの交通事故を防ぐため、全国に広がる「ながら見守り」
ほかにも、子どもの安全を守るため、全国各地で「ながら見守り」という活動が広がっていることをご存知でしょうか?
「ながら見守り」とは、私たち大人が日常活動をしながら防犯の視点を持つことで、子どもの見守りを行う活動です。保護者や学校関係者だけでなく、誰でも意識するだけで気軽に子どもの見守りに参加することができます。
<「ながら見守り」の具体例>
- 犬の散歩をしながら見守る
- ウォーキングをしながら見守る
- ジョギングをしながら見守る
- 自転車に「パトロール中」等のプレートを付けて移動をしながら見守る
- 農作業をしながら見守る
- 花の水やりや手入れをしながら見守る
- 業務を行いながら見守る
小学生の登下校時間に合わせてこのような「ながら見守り」をすることで、地域全体で交通安全の意識やレベルを底上げすることができるでしょう。
また、コロナ禍の影響もあり、近年は在宅勤務をする保護者も多くなってきています。リモートワーク化が進む中で、実際にラシク編集部内でも「登下校の見守りがこれまでよりしやすくなった」という声が上がっています。これからの時代、よりいっそう子どもの安全確保の手段も増え、交通安全における社会的な啓発ムードも高まっていってほしいものです。
小学生の交通事故が多発する時期に、私たち一人ひとりが、意識をしてできることから行動することで、子どもを事故から防ぐことにつながります。
新生活に慣れてきたタイミングだからこそ、改めて子どもの交通安全について考えてみてはいかがでしょうか?
ライター