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2022.08.10 2023/05/31

“働きがいのある会社”受賞企業に学ぶ、チームと組織の可能性の広げ方 <後編>

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“働きがいのある会社”受賞企業に学ぶ、チームと組織の可能性の広げ方 <後編>

「地方企業における働きがい」をテーマに、組織づくりや人材育成、地域貢献、社員のキャリアアップの取り組み事例についてインタビューする本企画。鹿児島市に拠点を置く株式会社現場サポートでは、福留進一社長をはじめ、社員が一丸となって理念である「チームを活かす だれもが活きる」を実践しています。「働きがいのある会社」に関する調査・分析を行うGreat Place to Work® Institute Japanが5月に発表した各地域における「働きがいのある会社」優秀企業では、九州・沖縄地域の優秀企業として選出されています。
 
後編では、取材に同席いただいた営業企画部 カスタマーサクセスチーム 兼 事業推進室 採用チームリーダーの牧園萌子さんのお話も交えながら、リモートワークや採用についてお伝えします!

※前編はこちら

「チームをいかす だれもが活きる」理念を肌で感じながら働く

表彰を受ける牧園さん/現場サポート様 提供

 

編集部:牧園さんのお名前は、新聞などのメディアでも拝見しております。今日はご同席いただきありがとうございます!簡単に自己紹介いただけますか?

株式会社現場サポート 営業企画部 カスタマーサクセスチーム 兼 事業推進室 採用チームリーダー牧園萌子さん(以下敬称略、牧園):私は2015年に新卒で入社して今年で8年目になります。入社当初はカスタマーサポート業務をメインで行っていましたが、2年目のときに兼務で新卒採用担当になりました。その後、二度の産休育休を経て復職した後も、カスタマーサクセスと新卒採用業務に携わっています。

編集部:採用業務を兼務とは、すごいです!

株式会社現場サポート代表取締役社長 福留進一さん(以下敬称略、福留):弊社は彼女に限らず、兼務が多いです。業務の属人化を防ぐ意味でも、ダブルアサインメント、つまり一つの仕事に2人以上割り当てるのは当然だと考えています。あとは、分業・兼業することで生産性も上がります。

編集部:属人化防止と生産性向上の両立はまさにチーム力が試されそうです。

牧園:本当にそうだと思います。私が兼業できているのは、カスタマーサクセスと採用それぞれのメンバーの応援があってこそです。この会社で働いてみて、本当に「チームをいかす だれもが活きる」という理念をそのまま経験させてもらっているなと感じます。

福留:萌子さんは特に優秀ですから。鹿児島を代表するワーママだと思いますよ。会社説明会でも、私の話を聞きたい人よりも、彼女の話を聞きたいという人が多いくらいなんですから(笑)。ロールモデルとしてひっぱりだこですよ。

牧園:いえいえ、そんなことないですよ(笑)。私の子どもは4歳と2歳でまだ手がかかるのですが、家庭でも夫と協力しながら育児や家事をしています。復職後は時短で働いていたんですが、今は夫がパートタイムで私がフルタイムで働いているんです。

編集部:新しいパターンですね!

牧園:この働き方も、会社に相談したら「いいんじゃない?」って言われまして。弊社の良さは、社員一人一人のライフスタイルに寄り添いながら「この先どう活躍していったらいいのか」一緒に考えてくれるところだと思います。

フルリモートだからこそ細やかなケアやコミュニケーションが大切

株式会社現場サポート代表取締役社長 福留進一さん(左)と営業企画部 カスタマーサクセスチーム 兼 事業推進室 採用チームリーダー牧園萌子さん(右)/オンラインで取材

 

編集部:ここまでお話を伺ってきて、御社の風通しの良さを感じているのですが、フルリモート体制ということもあり、どのように組織のチーム力をあげる工夫をされてきたかについてお伺いしたいです。

福留:前編でコミュニケーションについてお伝えしましたが、いくらコミュニケーションを取っていても、やっぱりフルリモートだけだとうまく回らない、というのはこの2年でよく分かりました。フルリモートはどうしたって生産性は下がるし、知らず知らずにメンタルが不調に陥りやすいですから。そこで最近は定期的に外に出るように伝え、出社の頻度が上がってきました。

オフィスだけにこだわらず、コワーキングスペースとも契約していますのでそこで働いてもらったり、あとは、最近県内のさらに田舎の方に元々カフェだった物件を購入したので、そこもリモートワークの拠点にする予定です。みんなでBBQができるように改装してるんですが、この時代、「楽しみながら働く」という視点はとても大事だと思います。

編集部:社員のメンタルケアが必要になるということも、フルリモート体制にして感じられたことなのですね。

福留:メンタル不調者は一定数出るので、弊社では長期疾病者へのケアに関するガイドラインを作って、仮にそうなっても会社を辞めずに復職できるような運用をしています。
萌子さんはまさにそのガイドラインに基づいて社員の面談をしているんです。

編集部:牧園さんはカスタマーサクセスと新卒採用だけでなく、社員のケアまでされているのですね!?

牧園:会社の福利厚生制度を活用して行動心理士の資格を取ったので、採用活動や社員面談の機会に生かせればなと思っています。脱落者がでないようなチームのケアの重要性を感じています。

編集部:ちなみに、牧園さんご自身はフルリモートですか?それとも出社?

牧園:私自身は出社とリモート半々ですね。対面で会話する必要のあるときや用事があるときは出社しています。働く母親としてはリモートはすごくありがたいです。昼休みにご飯を作るとか簡単な家事もできますし(笑)。

編集部:牧園さんご自身がメンタル的にしんどいな、と感じることはありませんでしたか?

牧園:私自身はないですね。でもこれは社歴が8年あって、社員の人となりが分かっていたり業務をある程度自分で回せると思っているからだと思うんです。新入社員や社歴が浅いメンバーはその点は違うと思うので、逆に私たちからアプローチしたり、ケアしないといけないと思っています。

リモートワーク中は、バーチャルオフィスを活用しているので、その中で気軽に声をかけられる環境をつくったり、雑談できるチャットルームで気軽に話をしたりというのも大事だなと思います。そうしたオンラインでのコミュニケーションがあれば、対面のコミュニケーションももっとうまくいきます。オンラインとオフラインをうまく組み合わせていくのも今の時代ならではの工夫だと思います。

採用応募は全国から!地方も大都市も関係なく成長できない企業は淘汰されていく

経営説明会でスピーチする福留さん/現場サポート様 提供

 

編集部:フルリモートという働き方も含め、採用活動には変化がありましたか?

牧園:全国から応募が来るようになりましたね。新卒採用でも、東京の大学に通っていている学生が東京の会社への就職と弊社で悩んでくれたり、鹿児島出身の学生の中には、「地元に帰るなら現場サポート一択!」という人もいます。

このような環境変化を直に感じると、もう地方だとか東京だとか言ってられないですよね。我々が地方にいながら大都市圏の優秀な人材を採用できるのと同じように、たとえば東京の企業だって地方の優秀な人材を採用できるわけですから。

編集部:牧園さんは新卒採用としてそのあたり、肌で感じられていますよね。

牧園:採用担当としてさまざまな学生にお会いする機会をもらっていますが、エリアを問わず、本当に多くの方が弊社に興味を持ってくれるのでありがたく思います。行動心理士の資格の勉強を通して人材採用についてもより体系的に学ぶことができたので、これからの採用活動にも生かしていけたらなと思います。

福留:こういうのを肌で感じると、地域で優良企業と言われていたってダメだなと思うわけです。比較対象が全国の至るところにいるわけですから。成長・発展できない企業はこれからどんどん淘汰されていくと思います。地域企業ももっと良くならないといけないですね。

編集部:最後に、福利厚生について教えてください。牧園さんは会社の福利厚生を活用して資格を取られたようですが、社員の資格取得も会社としてサポートされているのでしょうか?

福留:福利厚生で社員の教育支援をしているのも弊社の特徴だと思います。資格の勉強に限らず、社員の学びに対して年間5万円の補助を出しています。ただし、アウトプットが条件なので、社内で勉強会を開くとか、レポート提出するといった形で可視化しています。

福利厚生の内容については大企業には全く勝てませんが、できることはやりたいので、他にも会社の車を休日に社員に貸し出したりもしています。あとは、会社のカフェを社会貢献活動で使ってもらったり。その制度を使って子ども向けプログラミング教室をやる社員がいたりします。

他にも、年に2回、福岡で読書会を行う際に、社員懇親会を設けるのですが、これも好評です。

牧園:私もちょうど昨日福岡から帰ってきました。読書会の後、美味しいご飯を食べてきました。

福留:弊社は福岡にもオフィスがあるんですが、鹿児島から都会に行けるのはなかなかの楽しみなんです(笑)。出張でお金使わなくなった分、こういう部分で経費を活用しているわけですが、リアルなコミュニケーションがあるとやっぱりいいですよね。これからも続けていきます。

編集部:福留さん、牧園さん、今日は貴重なお話、ありがとうございました!

今回の取材では、福留さんと牧園さんの掛け合いのようなテンポの良いやりとりがとても印象的でした。普段、テレワークが多いという牧園さんですが、8年の経験の中で上司や同僚たちと築いてきた信頼関係が生かされて、テレワーク環境でもイキイキと働いているようすが伝わってきました。
 
また、社長の想いや経営方針を社員が「自分たちごと」として捉えて日々の業務に向き合っているようすも伝わり、「働きがいのある会社」に選出された理由がよく分かりました。風通しのよい組織づくり、チームづくりを目指す企業のロールモデルとして大変貴重なお話を聞かせていただきました。

プロフィール

福留進一さん

株式会社現場サポート代表取締役社長

1990 年大学を卒業後、鹿児島ゼロックス(株)に営業職として入社。2005 年新規事業撤退方針を受け、同社を退職と同時に (株)現場サポートを設立。
2019 年 鹿児島県経営品質賞知事賞・2020 年日本でいちばん大切にしたい会社大賞・2022年版 日本における「働きがいのある会社」ランキング ベスト100(小企業部門 2 位)など受賞。(一社)施工管理ソフトウェア産業協会 理事・鹿児島県中小企業家同友会 副代表理事 ・鹿児島県経営品質協議会 幹事等も務める。

牧園萌子さん

営業企画部 カスタマーサクセスチーム 兼 事業推進室 採用チームリーダー

2015年大学を卒業後、(株)現場サポートに入社。導入後の顧客対応を行うカスタマーサポートを担当。
2016年からカスタマーサポートと新卒採用担当の兼務をスタート。2度の産休・育休を経て、現在はカスタマーサクセスと採用チームリーダーを兼務。
プライベートでは夫と協力しながら、4歳と2歳の年子男子育児に奔走中。

ライター

小山佐知子

ラシク編集部  旧編集長

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