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2021.07.16 2023/05/31

「#ズボラ管理栄養士」としてSNSでも注目を浴びる三城円さんに聞く
多忙なワーママに向けた “力まない” 食と健康の話

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「#ズボラ管理栄養士」としてSNSでも注目を浴びる三城円さんに聞く<br> 多忙なワーママに向けた “力まない” 食と健康の話

小さな子どもを抱えて働く母親たちの日常の忙しさはすさまじいものがありますよね。コロナ禍、在宅勤務にシフトした方も少なくないのかもしれませんが、家事のボリュームは減る訳ではなく、むしろ増えたのでは!? と思うほど…。幼稚園や保育園、学童などから子どもをピックアップし帰宅してから寝かせるまでは怒涛の勢いで自分のことは後回し!という方もいらっしゃるでしょう。

・仕事と育児を優先して、自分の健康が二の次になってしまってるけど本当はもっと自分のケアをしたい
・自粛生活で太ってしまい痩せたいけれど、自分に合ったダイエット法がわからない
・子どもが偏食で野菜を食べず困っている
・夕食はお惣菜に頼ってばかりだけど、家族の栄養、大丈夫…?

編集部でもここ数ヶ月このような話題で盛り上がっていました。
そこで、今回は、食と健康の悩みに寄り添い、解決に導くプロフェッショナル、一般社団法人日本パーソナル管理栄養士協会代表理事の三城円さんに、お話を伺いました。

「管理栄養士」というと病院や社員食堂、学校給食のメニューを考える人といったイメージを持つ方も多いと思いますが、一人ひとりに最適化した食のお悩み全般を解決してくれる、ワーママにとっても大変心強い味方でもあるのです。

三城さんは、日本初の「パーソナル管理栄養士」。摂食障害を乗り越えイキイキと活躍される三城さんにさまざまなアドバイスをいただきました!

自身の摂食障害を乗り越え、日本初の「パーソナル管理栄養士」に

三城円さん(オンラインで取材しました)

編集部:三城さんは日本初のパーソナル管理栄養⼠として12年前に開業されたとのことですが、そのきっかけは?

 

三城円さん(以下、敬称略 三城):学生時代に食事制限などの極端なダイエットが原因で摂食障害になりました。医師や臨床心理士さんに相談しても、本質的なところで解決はしていない気がして。管理栄養士の知識を持っている私が、食に関する相談相手もおらず、自分を客観的にナビゲートしてくれる存在にも出会えなかったのです。その時に、「知識としてわかる」ことと、実際に「行動できる」とは違う、と言うことを痛感しました。この経験をきっかけにこれからは個人に合わせて、食と上手に向き合う方法を考えようと「パーソナル管理栄養士」として活動をはじめました。

 

編集部:これまで管理栄養士と個人とが接点を持つイメージがありませんでした。

 

三城:そうですよね。それは管理栄養士自身も同じで、病院や学校給食、社員食堂のキャリアイメージを描くことが多いです。しかし私がパーソナル管理栄養士という肩書きで個人向けに活動し始めると、同じように、予防医学的な観点でサポートをしたいけど、個人とのつながり方がわからないと悩んでいた仲間から、キャリア相談を受けるようになりました。そこから講座を作ることにして、社会的認知度を上げるためにも3年前に法人化し協会を立ち上げました。今では約30名の管理栄養士が在籍しています。

ワーママ特有の「力む」「頑張りすぎる」をリセットしたい

対面での食事指導のようす

編集部:三城さんのところにご相談に来られる方はどんな方が多いですか?

 

三城:健康や美容、食に対する意識も意欲も高い方が多く、ワーキングマザーも多くいらっしゃいます。最近は一般の方が専属のパーソナルトレーナーをつけるということも珍しくなくビジネスモデルとしても一般的になってきましたよね。

 

編集部:ワーママも多いのですね…!

 

三城:働きながら、子育てしながら、自分の美容と健康を維持するとなると、いろいろ大変なので、みなさんどうしても力んでしまいがちなんです。まずは、いかに力まず、ほどよく手を抜く、この大切さを丁寧にお伝えしています。「頑張りましょう」というよりは、どうやって知恵を使って手を抜くか、ナチュラルなライフスタイルを維持するか、ということに重きを置いてアドバイスをしています。

 

編集部:この目標のためなら、この計画でこうサイクル回せば…と仕事的なスイッチが入るのかもしれませんね。

 

三城:私たちの肩書きには「管理」という言葉が入っていますが、これがまた堅苦しさを呼ぶんですよね(苦笑) 何か「厳しいことを言われそう」というイメージもあると思います。でも、実際には逆でして。「管理栄養士さんて意外とゆるいこと言うんだね」とギャップ萌えしてもらえたら嬉しいです(笑)

 

編集部:確かに、三城さんがSNSで発信されている「#ズボラ管理栄養士」というハッシュタグを見て、ハードルがグッと下がりました。

 

三城:世の中で「ズボラ〇〇」がこれだけ流行るってことは、それだけ頑張りすぎているってことですよね。

1週間で6〜7割基本食を食べていれば、あとは外食・お酒もOK

日本パーソナル管理栄養士協会の食事指導の方針

編集部:パーソナル管理栄養士協会の基本指導方針の中心にあるこの「⾷⾃⼒®」とはどういったものでしょうか?

 

三城:「食の自立」を目指す、という意味で⾷⾃⼒®と名付けました。ご自身の目標やライフスタイルに合わせて、自分に適した方法を個別にサポートしながら見つけ、最終的には自分で調整する力を身につけるところをゴールとしています。私がパーソナル管理栄養士として個人につかせていただく場合、原則として最長でも1年と期限を決めています。その理由の一つは、あるていど時間をかけないと体もメンタルも改革できないのと、もう一つはいつまでもサポーターがいると、自立につながらないので。

 

編集部:1年間で自分自身に見合った方法を見つけられる力がつけば、その後は安心ですね。

 

三城:今、書店に行けば「1日1食!」から「1日4回食べよう」とか「糖質は食べるな!」から「糖質を食べよう!」まで、本当にいろんな考え方の書籍がズラッと並んでいますし、SNSでも毎日のようにさまざまな健康情報に溢れています。これだけ多様な情報が発信され続けると、プロである私たちもどれがベストかわかりません。

 

編集部:自分に合っているかどうかを見分ける指標がないまま、ダイエットや健康ブームに乗ってしまい、その度に振り回されている感じがします(苦笑)

 

三城:私が摂食障害になったときも、やはりこういった自分に合っていない情報を鵜呑みにしてしまったからなのです。メディアは一般論しか言えませんし、個々に合わせて適切にアドバイスできる専門家がいないと、当然迷ったり、間違えます。最終的に自立を目指すという意味では、食べ方やメソッドよりも、まずは考え方をお伝えして行動を変え、生活になじんできてからメソッドを入れています。

 

編集部:基本方針としては「エビデンスに基づいた指導」「1週間でコントロール」「外⾷OK」「お菓⼦やお酒OK」「料理は頑張らない!」という5つのキーワードがあるのですね。「外⾷OK」「お菓⼦やお酒OK」「料理は頑張らない!」の3つは非常に安心感がありますが、この「1週間でコントロール」というのは?

 

三城:たった1食で完璧な栄養素を満たすというのは非常に緻密で困難な作業なので、まずは1週間単位で大きく捉えてもらいます。その中で、6〜7割「こういう食事だったらいいよね」という基本食を摂っていただき、残りの3〜4割は外食でもファストフードでもお酒を飲んでも問題ありません。1日3食×️7日=21食中、15食ぐらいは基本に忠実な食事を食べていただいて、ほかは自由です。これが身につけば、旅行に行って食事が乱れても、体型・体調は戻ります。

あと私はHER-SELF(※)という働く女性への健康プロジェクトの理事としても関わっていて、ここでは「腸会議」を開催するなど、健康のためにはまず腸を元気に、ということを発信しています。私の個人のSNSでも腸にいいお味噌汁やスープを紹介していますので、こちらもぜひ見てくださいね。
(※)HER-SELF 女性の健康プロジェクト
HER-SELF女性の健康プロジェクトとは、女性自身がいきいきと活躍できる世の中を作りたいという思いから生まれたプロジェクト。女性自身、そして女性を取り巻く社会や企業、パートナー、家族や友人のパートナーシップで女性の健康を実現します。

「お惣菜だけ」「食育って?」ワーママの食にまつわるお悩み相談

オンラインでの食事指導のようす

編集部:せっかくの機会なのでLAXIC世代の食に関するお悩みにお答えいただけたらと思っております。

未就学児が2⼈いて週5フルタイム。家事や育児は完璧を求めないようにしていますが、やっぱりお惣菜オンリーの⼣飯は罪悪感があります。スーパーのお惣菜やお惣菜のパウチを使いつつ、気をつけた⽅がいいことありますか?

 

三城:お惣菜オンリーだとしても毎日じゃなければ大丈夫です。罪悪感に関しては、お米だけは炊くとか、お味噌汁は作るとか、フリーズドライの汁物に海藻や冷凍野菜、卵を加えるとか、お皿に移し変えるとか、”ほんの少し”手を加えるだけで気持ちも栄養面も少し変わってきますよね。

また、大人も子どもも、栄養素の吸収率はそのときの環境に左右されます。たとえば、緊張しながら食べると上手く体内に栄養素が吸収されません。「ごはんをバランスよく食べさせなければならない」「マナーをしっかり教えなければならない」と思うあまり口うるさくあれこれ言ってしまうよりは、「子どもの成長は変化を感じる時間」と捉えて、食事の時間はできるだけリラックスして、ゆったり親子で楽しむのはいかがでしょうか。

選び方に関しては、毎日同じようなセレクトにならないように、特に主菜はお魚、お肉、卵、大豆製品…と変えて選ぶと良いと思います。あと、テイクアウトのものはどうしても味が濃いので、塩分と隠れた脂質に気をつけて。細かく切られているサラダはドレッシングの吸収率が高く、付着する油分も多くなりがち。ですから、夏野菜の美味しい季節はきゅうりやトマトをそのまま出したり、お豆腐や納豆などそのまま出す方が、シンプルで手間もかからず、余計な塩分や脂質を摂らなくてすむのでオススメです。

 

⾷育について興味はあるのですが、⾃分が料理下⼿であまり細かいことはできません。⽇常⽣活の中で⼦どもと⼀緒に食について考えるヒントがあれば教えてください

 

三城:食育という言葉自体が非常に曖昧で、解釈もさまざまですが、いわゆる「農業体験・収穫体験」などは第二段階でやるべきだと思います。その前に「家族で一緒に食べる」「いただきます、ごちそうさまを言う」「箸を正しくもつ」と、その理由を知ることをステップ1として、これらがしっかり定着してから、ステップ2「収穫体験」、ステップ3「栄養素」だと思います

ご家庭が今どのステップなのかと、どうなって欲しいのか、というイメージを持った上で検討されると良いと思います。食育をあまり難しく考えず、お料理が苦手なら子どもを一緒に巻き込んで作ってみるとか、「なんのためにいただきますっていうのかな?」と一緒に考えるだけでも十分立派な食育ですよ!

 

編集部:なるほど、とても参考になるお話、アドバイスの数々、ありがとうございました!

何事も、日々のあふれる情報を鵜呑みにせず、自分にあった軸と正しい知識を選ぶ力が大切、ということを痛感いたしました。家族の健康も守らなくてはなりませんし、自分も健康で長く働き続けたい。そのためには自分に合った健康維持方法にたどり着き、いろんな情報に流されず自立できるように。まずは自分の軸をしっかり持っておきたい思いました。ご自身の辛い体験を乗り越え「パーソナル管理栄養士」という新たなキャリアを牽引している三城さん。これからも応援していきたいと思います!

プロフィール

三城円さん

一般社団法人日本パーソナル管理栄養士協会 代表理事

食の相談窓口 San-CuBic代表/HER-SELF 女性の健康プロジェクト理事
自身のダイエット・摂食障害の経験から、食に悩む方々に向け「食べるダイエット」を基本とした食事の大切と内臓力を高める食べ方を伝えている。
くわばたりえの産後復帰ダイエットをはじめ、一般の方向けのダイエット、摂食障害(予防)サポートのほか、アスリートなど食事コンサルティングを実施。企業での健康経営セミナーやアプリケーションなどの考案・監修のほか、メディア出演多数。
三城円著「1週間で体が変わる 食べながらやせるすごい方法(サンマーク出版)」

文・インタビュー:飯田りえ

ライター

飯田りえ

ライター

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