【リモートワーク応援企画!】圧倒的なデジタルシフトで一気に加速する、
「マザーハウス」山崎大祐さんインタビュー【前編】

ラシク・インタビューvol.161

株式会社マザーハウス 代表取締役副社長 山崎大祐さん

日本全土で一気にリモートワークに広がった、今回のコロナショック。家族がいる中で子どもを見ながら在宅勤務をされている方も多いと思います。緊急事態宣言から1ヶ月近く経ち、皆さんいかがですか? 手探り状態で始まったリモートワークに、そろそろ疲れてきていませんか?

デジタルシフトを一気に推し進め、各業界から注目されているアパレル企業があります。「途上国から世界に通用するブランドをつくる」と2006年にバングラディシュでスタートした『マザーハウス』です。バッグやアクセサリーなどのアパレルを通じて、途上国の生産者とユーザーをつなぐサステナブルな活動に多くの支持を集め、今や国内外に38店舗、11カ国で展開しています。

自粛要請を受け、小売業も大きな打撃を受けているはずですが…… 心配なんてどこ吹く風。全販売員をリモートワークに切り替え、店舗にいる感覚でリアルチャット接客をしたり、動画コンテンツを充実させたショッピングチャンネルを開設したり、全国の販売員へオンライン研修を行ったり…… と迷いのないデジタルシフトで仕事を止めることなく挑み続けています。

この短期間でどうやってここまでデジタルシフトを推し進められたのでしょうか? どうすればリモートで潤滑にコミュニケーションできるのでしょうか?

仕掛けているのは代表取締役副社長の山崎大祐さん。元ゴールドマン・サックスのエコノミストからベンチャーに転身、という経歴の持ち主で、次世代リーダーとしてメディアからも引っ張りだこの山崎さんに、今回オンライン取材をさせて頂きました。

今回の前編はコロナショックにおけるデジタルシフトについて、次回の後編は具体的なリモートワーク・コミュニケーション術について、前後編でお届けします。

この状況下におけるスピード感とポジティブさの根源は……?

編集部:今回のコロナショック以降、逆境を乗り越えるんだ! という、ポジティブさがビシバシ伝わってきて、非常に勇気付けられています。ここまでどんな課題感からデジタルシフトに踏み切られたのでしょうか?

 

山崎大祐副社長(以下、敬称略。山崎):第二次世界大戦後、世界中の人が自由を奪われたのは初めてですから、もう現実を受け入れるしかないですよね。マザーハウスはお客さんとのつながりを大事にしている会社で、いきなりそれがシャットアウトされてしまった。今後、どうやってつながっていられるかを考えた時に、今、できることをやっていかないといけない。実際そういう気持ちで始めてみると、僕自身、こんな時でもお客さんとつながれることでポジティブになれる。こういう “ポジティブの連鎖” が起こっています。

 

編集部: ポジティブの連鎖、素敵ですね! こんな今だからこそ非常に響きます。

 

山崎:僕自身、どちらかというとネットに対する抵抗感があり、リアルが大好きな人間なのです。この前もリモートでは200人ぐらいと延々話しているけど、リアルで人と話したのは「パスモで」「天ぷらそば」この2語だけで。それが本当に辛くて……(苦笑) そんな僕でもリモートのやり方一つで、こんなにも顔が見えている気がするんです。

 

編集部:今回、まさにその話が聞きたいのです!

 

山崎:今回、zoom研修も行なっていますが、リモートでこそ発見できる良さがたくさんあります。自分も社員もどんどんこの世界に適合して、この後、自由に動ける世界が来た時に、この “ハイブリット感” が持てれば、みんなも幸せになれるだろうな、と。それまでは与えられた環境下でやっていくしかないですよね。

 

編集部:ちなみに、どのタイミングから動かれたのですか?

 

山崎:2月中旬から、1年間ぐらい大変になったとしても大丈夫なように資金調達しました。

 

編集部:めちゃくちゃ早いですね! なぜそんなに早く危機感を?

 

山崎:まさに東日本大震災の時の経験が今に生かされています。当時はまだ30歳ぐらいでしたが、売上が8割減になり「あ、こうやって会社ってなくなるんだ……」って資金調達に走り回りながら思っていました。その一方で、正しいことをやり続けていると見てくれている人は必ずいるし、こういう時に早く動くことで助けくれる人もいる、ということも体感しました。

 

編集部:その後、スタッフには何と?

 

山崎:まずノーマル・バッド・ワーストと3つシナリオを用意し、「今後、こういうことが起こるかもしれない」というものを社員全員に共有しました。正直、その時はまだ「山崎さん、何言ってるの?!」という感じだったと思います。でもワーストシナリオを描くのもリーダーの仕事だし、もしそのシナリオが起こった時は、みんなが動揺しないように「お金は準備したし、心配いらないから落ち着いて行動しよう」と。

 

編集部:めちゃくちゃかっこいいですね。その安心感は何事にも代え難いものがありますよね。社員の方の気持ちの上でのゆとりが違うと思います。

 

山崎:それがリーダーの仕事だと思います。本来であれば、社会全体が東日本大震災の時の経験を活かせるかが、問われているのです。そう言う意味で言うと、今の若い経営者たちは意思決定者としての経験がない。しかし、不安や恐怖が一番社会にとって良くないものを生み出すことをみんな知っていると思うので、まずはそこを取り除くのが、リーダーの使命だと思います。

このリモート疲れをどうやって乗り越える?

編集部:とはいえ、先行きの見えない不安や孤独を感じ、子どももいる中でのリモートはストレスを抱えている人が多いのが実状です。

 

山崎:いや、今回リアルに感じました。僕はまだ結婚していないのでそこまでわからなかったのですが、子どもがいる中で仕事って、本当に大変。3人とかいると本当にカオスですよね……

 

編集部:そうなんです! 思うように仕事が進ます、ストレスフルで悩んでいる社員さんがいたらどうやってアドバイスしますか?

 

山崎:とにかく、一つのパスにならないこと。社内でも第2、第3のセーフティネット、チームを作ることを大事にしています。チームが1本の線としかつながっていないと、直属の上司にしか伝えられないことになるので。

 

編集部:リモート上で社内セーフティネット…… ですか!?

 

山崎:そうです。リモートの良さって、一緒に仕事をしなくてもいい。地域やチームを超えてみんなでバラバラでもチームが作れる。これって

zoom

Saw上だからできること。あと、今までは会社で調子悪そうな社員がいれば誰かが気づいて声をかけあえれたのですが、今はそれができない。だから、対話型のワークスペースを意図的に作っています。

ただ、会社がそういう場を設定していない場や、フリーランスの人はそもそも機会がないので、しんどくなってしまう。その場合は、同質(本業)のコミュニティ以外の第2、第3のコミュニティを作るのが大切です。多層的に趣味とか好みとかが同じコミュニティで、悩みやグチを言い合える、変化に気づいてもらえる場を自ら定期的に作ることが大事です。

 

編集部:多層的なコミュニティ、必要ですよね。すごくよくわかります。

 

山崎:自分に溜まったものを、定期的に吐き出すことを意識して作らないと危険です。僕もメンタルタフな方だと思っていますが、1週間の中頃にはすでに疲れていますから。リモート疲れなのでしょうね、疲れ方が今までと全然違います。

山崎流・リモートストレス解消法はズバリ……?

編集部:山崎さん自身、リモート疲れはどうやって解消していますか?

 

山崎:……泥のように彼女に甘えます(苦笑)

 

編集部:え! 意外ですがいいですね! でも仕事で返すとか、そういう感じかと思いました(笑)

 

山崎:両方大事ですよ。頑張る部分と、頑張らない部分。あと、気合が入る場所も必要ですね。僕自身、元々食わず嫌いなのですが、約束やイベントをやると、結果「やってよかった!」と思えるので、前向きになれる場を定期的に作っておくことも大事です。でも、今はただ、縁側の猫になりたいです……

 

編集部:そりゃ当然ですよ。こんな大きな歴史的転換期に世界中の社員を背負いながら決断していかないといけないのですから、猫にもなりたくなりますよ……

 

山崎:そうなんです、“決断疲れ” なんですよ。4月7日の緊急事態宣言の時から、毎日何かの重大決断を迫られているので、すごいイライラして。こういうしんどい時って自分の弱い部分が出るんですね。自分のワーニングサインに気づけるかどうかも大事だと思いました。こういう状況の時は「仕事を止めて、感情を吐き出そう!」とか。

 

編集部:どうやって感情を吐き出したのですか?

 

山崎:週末、時間のない中『ハゲタカ』を全6話一気見したんです。やっぱ、いいっすね。あれも決断の連続なんですよね。頑張ろうって、すごい元気もらいました。「こういう時に読む本」とか「こういう時にみる映画」とか、みんな引っ張り出した方がいいですよ。

 

編集部:本当に。ずっと家なので自分の気分転換術もすごく重要ですよね!

デジタルシフトしない日本の教育現場について

編集部:話は変わりますが、教育についてお伺いしたいです。デジタルシフトの進まない日本の学校教育について、山崎さんならどうメスを入れますか?

 

山崎:単純にリーダーシップが足りていない。いろんなところで「未来創造リーダーシップ」って言っていますが、「教育とはなんのためにあるのか」を考えた時に、小学校の教科書を覚えることじゃない。本来、今の子どもたちが未来の社会を作れる力を持てるか、自分に気づきがあるとかどうかです。絶対値から考えても、今のリモート教育は必要です。そういう哲学から語れるリーダーが、今回の管轄である文部科学省にいるかどうか。とはいえ、技術に人が合わせるわけではなく、人に技術が合わせていかないといけない。テクノロジーを感じさせないリモートが大事です。

 

編集部:そのためには、どうしたら良いのでしょうか。

 

山崎:学校がリモートできていないことに対して、テックに詳しい民間企業の人たちがもっとサポートに入っていければいいと思います。先日、(マザーハウスカレッジで)上海とつないで配信した時に聞いた話がとても印象的でした。デジタル化が進んでいる中国でも、リモートワークやオンライン授業に対して当初はすごい抵抗があったそうです。そこに対して、アリババが全面サポートして、機材もノウハウも全て提供したことによって一気に進んだそうです。

 

編集部:なるほど。日本も提供してくれる企業ありそうなのに。

 

山崎:そのためには、政府が予算を大きくつけられるかどうかです。これも先日、ミラノにzoomを繋いで配信した時の話なのですが、ミラノでは、もうロックダウン後の世界が討論されていて。満員電車を解消するために、今、彼らは自転車のレーンを拡充してどんどん作っているそうです。3密を防げるし、サステナブルな乗り物、ということで自転車を利用しようと。もちろんミラノ市がトップダウンで予算をつけて動いています。

 

編集部:そういうことなんですね。

 

山崎:政府がお金をつければビジネスとして動きます。大事なことはリモート教育が子どもたちの将来に必要である、というのをみんなが認識して、文部科学省大臣がリーダーシップをとってやってほしい。

 

編集部:ありがとうございます。元気が出ました! 後編はより具体的なリモートコミュニケーション術についてお伺いしたいと思います。

(後編に続く)

遅い時間の取材にもかかわらず、何を聞いても即座に明確に答えてくれ(さすがエコノミスト!)、そして、何よりも「未来創造リーダーシップ」をご自身で体現していらっしゃるのがよく伝わりました。本質的に今後なにが課題として上がってきて、そのためには何が必要で、そこに対してリーダーとしてどう動くべきか。これが見えているから、危機的状況でもポジティブに決断していけるのでしょうね。途中、何度も「(お子さんいながらのリモートで)大丈夫ですか?」「ストレスはどんどん吐き出していきましょうね!」と気遣ってもらう一面も。日本のリーダーになってほしい…… そう思えた瞬間でした。もっと山崎さんの思考を知りたい方はマザーハウスカレッジYouTube配信でどうぞ。アフターコロナのことも、リモートのことも詳しく解説してくださっているので勉強になります。

山崎大祐さんプロフィール
1980年東京生まれ。慶應義塾大学在学中にベトナムでストリートチルドレンのドキュメンタリーを撮影したことをきっかけに、途上国の貧困・開発問題に興味を持ち始める。03年3月大学卒業後、ゴールドマン・サックス証券にエコノミストとして入社。創業前から関わってきた株式会社マザーハウスの経営への参画を決意し、07年に取締役副社長に就任。19年から代表取締役副社長に。他にも(株)Que社外取締役、日本ブラインドサッカー協会外部理事、TBS朝の情報番組グッとラックの金曜レギュラーコメンテーターを務める。
HP:マザーハウス

ワーママを、楽しく。LAXIC

文・インタビュー:飯田りえ

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