「春眠暁を覚えず」
春の夜の眠りは、夜が明けたことも気づかないほど心地よく、なかなか目が覚めない、という意味の漢詩の一節です。
このところ朝寝坊しがちになっていたり、一度目が覚めてもなかなか眠気が取れず、午前中にぼーっとする、といったお悩みを抱えている方はいませんか?
春は「三寒四温」といわれるように、寒い日が続いたと思ったら急にあたたかくなったりするため、自律神経のバランスが乱れやすくなるといわれています。また、この時期は、年度末で仕事が忙しくなる方も少なくなく、異動や引越し、子どもの卒業や進級といった生活環境変化の影響も受けやすくなります。
忙しい春を“不調知らず”で迎えるために、知っておきたい睡眠の質について、大正製薬 セルフメディケーション研究開発本部の研究員さんにお話を伺いました!
今夜の快眠のために知っておきたい睡眠のメカニズム
睡眠のサイクルが乱れると「寝ても疲れが取れない」「昼間に眠気に襲われる」などの悩みになることも…。快眠につなげるためにも、まずは睡眠のメカニズムを知っておきましょう。
疲れたから眠るしくみ……恒常性維持機構
一日中動いて身体的に疲れた日や、頭を使いすぎた日に強い眠気に襲われる…という経験は、きっと誰にでもありますよね。目覚めている間に脳に疲れがたまり、脳の活動が低下して眠くなるもので、覚醒していた時間に依存するしくみといえます。徹夜した翌日にぐっすり眠れるのはこのしくみのためです。
夜になると眠るしくみ……体内時計機構
体内時計によって、夜になると体と心を休息の状態に切り替えて、自然に眠くなります。夜暗くなるとメラトニンというホルモンが脳から分泌され、体内時計に働きかけて睡眠に導きます。十分に睡眠をとった次の日も、夜になると眠くなるのは、この体内時計の働きによるものです。体内時計を整えるには、毎日の起床時間を同じにして、朝日を浴びることが有効とされています。
夜になると、睡眠を促すホルモンが分泌され、脳の活動が弱まり眠りに入ります。睡眠は身体を休ませる「レム睡眠」と脳を休ませる「ノンレム睡眠」で構成されます。一般的な睡眠は眠りの深いノンレム睡眠から始まり、眠りの浅いレム睡眠に移ります。そして、その後約90分間隔でノンレム睡眠、レム睡眠が繰り返されます。
睡眠中は時間帯に適した自律神経の働きやホルモン分泌が行われ、休息・修復などの働きをしています。深夜から朝にかけて、体内時計は覚醒作用のあるホルモンを分泌させ、徐々に血圧や脈拍を上げ、自然な目覚めにつながります。
睡眠は量より質。いい眠りを手に入れる生活習慣
Emma Sleep Japan 合同会社による「コロナ禍における働く男女の睡眠意識調査」によると、8割以上の人が何らかの悩みを抱えているようです。その悩みとしては、「途中で起きてしまう」「朝スッキリ起きられない」「寝つきが悪い」など、睡眠の質に関するものが多く見受けられます 。
睡眠不足は糖尿病などの生活習慣病のリスクを高めることが報告されています。2005年に発表されたアメリカの研究(糖尿病と睡眠時間の関係性)では、睡眠時間が7~8時間の人に比べ、5時間以下の人は糖尿病の発症リスクが2.5倍となり、6時間以下の人では1.7倍となったと報告されています。
成人の標準的な睡眠時間は6〜8時間ですが、必要な睡眠時間は人それぞれで、年齢によっても変化し、日中の活動量によっても異なります。長く眠れば健康になるわけではなく、必要以上に眠ろうとすると、かえって眠れなくなったり眠りが浅くなったりし、睡眠の質が低下するケースも見られます。大切なのは長く眠ることよりも、自分に合った質のよい睡眠を確保することなので、まずは日中の過ごし方を工夫していきましょう。
朝の光を浴びて体内時計を整える
朝起きたらすぐにカーテンを開け、朝の光を浴びましょう。人間の生活は24時間周期ですが、体内時計のサイクルは25時間周期の人が多いという特徴があります。この1時間のずれを調整しているのが太陽の光。朝、太陽の光を浴びることで体内時計はリセットされ、実際の時刻に調整されます。
昼はなるべく活動的に過ごす
昼間は意識してなるべく活動的に過ごしましょう。一駅分歩く、なるべくエレベーターではなく階段を使うなど工夫することで、夜は心地よい疲れのもと、良質な眠りにつけるでしょう。
夜はぬるめの入浴でリラックス
就寝1~2時間前を目安に、ぬるめのお湯(38~40℃程度)で入浴しましょう。お風呂は一日の疲れをとり、リラックスするのに最適です。湯船にゆったりと浸かれば、副交感神経が優位になり、質の良い眠りが得やすくなります。入浴で一時的に上がった体温が下がるタイミングでベッドに入るのがおすすめです。
いつもの食べ物も、ちょっとした工夫で快眠対策に
睡眠の質を高めるためには、生活習慣の改善と合わせて日常的に口にする食べ物にも気を配るといいでしょう。
寝つきを良くするグリシン
アミノ酸の一種であるグリシンは、体内時計に作用して深部体温を下げ、寝つきをよくするといわれています。エビ・ホタテ・イカなどの魚介類に多く含まれます。
精神の興奮を抑え、心身をリラックスさせるGABA
アミノ酸の一種であるGABA(ギャバ)は、ストレスを軽減させる効果やリラックス効果があるといわれています。脳内の興奮を鎮め、平常心を保つ手助けをしてくれる癒しの存在としても注目されています。発酵食品やキノコ類、雑穀類、トマトなどに多く含まれています。
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睡眠ホルモン「メラトニン」の素となるトリプトファン
メラトニンの原料となるトリプトファンは、体内で生成することができないため、食事から摂らなければなりません。
トリプトファンは主にたんぱく質に含まれており、豆腐や納豆、味噌などの大豆製品、かつお、まぐろ、牛肉、卵、牛乳などのたんぱく源となる食品、そして穀類、バナナなどに多く含まれています。
気軽に買えるオススメ快眠アイテム
コンビニやスーパーで買える快眠アイテムを見つけたのでご紹介します。ぜひ、チェックしてみてくださいね。
グリシンは、特に就寝前に摂取することで起床時の疲労感が改善する成分。寝付きの悪さや眠りの浅さが気になる方は、お休み前に栄養ドリンクを試してみるのもおすすめです。
大正製薬 リポビタンフィールN [指定医薬部外品] 1本 161円(税込)
疲労回復、栄養不良に伴う目覚めの悪さ・眠りの浅さ・寝付きの悪さの改善
ノンカフェインの栄養ドリンクなので、眠りを妨げることもなく、妊娠中や授乳中の女性にもおすすめです。特に産後のママは授乳によって睡眠リズムが大きく狂いがちなので、短い時間で質よく休息をとるときも活用できるのではないでしょうか。
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江崎グリコ メンタルバランスチョコレートGABA【ミルク】 162円(税込)
特にバナナは、生だけでなくバナナチップスもオススメです。小腹が空いたときの栄養補給として、またヨーグルトにトッピングしてデザートとしてもおいしくいただけます。
KALDI オリジナル さくさくバナナチップス 220g 297円(税込)
「春は眠りが浅くなる」、「ぐっすり眠れるけれど寝起きが悪い…」編集部でも、眠りに関するさまざまな体験談が寄せられています。
コロナ禍3年目の春。新生活が始まるこの季節、健康的に過ごすためにも、質のいい睡眠をしっかり取って、元気に過ごしたいものですね!
ライター