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2022.12.09 2023/08/29

地方における「働きがいのある会社」優秀企業に選出された株式会社ミクセルの取り組み

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地方における「働きがいのある会社」優秀企業に選出された株式会社ミクセルの取り組み

「働きがいのある会社」に関する調査・分析を行うGreat Place to Work® Institute Japan(以下、GPTWジャパン)では、一定の水準を満たした企業を「働きがい認定企業」として選出し、さらに年1回、上位100社をランキング形式で発表しています。

広島県広島市に本社を構える株式会社ミクセルは、2022年のランキングで小規模部門26位に選出され、中国・四国地方における「働きがいのある会社」優秀企業にも輝きました。

その背景にあるのが、同社の掲げる理念「人々の健康な日々と大切な人の笑顔の為に、自らの心と力を磨き、新しい価値づくりに挑み続けます」。これが、多くの従業員に共感されていること。今回は、代表取締役の島幸司(しま・こうじ)さんに、理念への共感を得るための取り組みや働きがいへの影響について、採用・広報担当の岡田典子(おかだ・のりこ)さんに現場からのリアルな声についてうかがいました。

10年かけて広がってきた共感の輪
「わが子と同じように部下と接すること」を幹部に共有

株式会社ミクセル 代表取締役の島幸司さん

編集部:はじめに、展開されている事業について教えてください。

島幸司さん(以下、敬称略。島):会社のテーマとしては、「長寿社会をどう支えていくか」を掲げていて、大きく2つの事業を展開しています。1つ目が「研究支援事業」で、医療分野の研究に使う器材を販売する、いわゆる卸売業です。2つ目はヘルスケア事業。『元氣ジム』という理学療法士による個別リハビリを特徴とした運動特化型の介護施設や、介護用品のレンタル・販売、お身体に合わせた住宅改修を行っている『広島介護用品』を運営しています。

編集部:「働きがいのある会社」に選出された大きな理由のひとつが、社員の皆さんが理念に共感していることですね。理念への共感度は、以前から高かったのでしょうか?

島:10年以上かけて少しずつ共感の輪が広がってきて、ここ数年で、ようやく今のような状態になりました。最初の段階で理念への共感を促すと、強制のようになっておそらく反発されると思うんですよ。理念を掲げる理由を整理するところから始まり、社員に日々伝え続けることで、少しずつ共感者が増えてきました。

編集部:理念への共感を深めるために、島さんが普段から大切にしてきたことはありますか?

島:「経営理念の一番の体現者が自分である」と常に意識して、すべての言動が理念とズレないようにすることです。会社経営において、経営理念は社長の上にある存在なので、自分がそれを実行できていないと、社員から共感を得ることはできませんからね。

編集部:社員をマネジメントする立場にある幹部の皆さんと共有していることは、何かありますか?

島:幹部にも「自身の立ち振る舞いが理念を体現しているか」を意識するように話しています。具体的な例を挙げると、当社の育成方針として「自分の子どもと同じように部下と接する」と決めていて、日頃から幹部に伝えています。自分の子どもに言わないことは言わない、逆に成長のために言うべきことは言う。

たとえば、結婚式に参列して親御さんを前にしたときに、急に態度が変わる上司って格好悪いじゃないですか。仕事以外の場面でも、上司と部下がいつもと同じように自然に接することができて、それを見て親御さんが安心できる。そのような関係が理想だと思うんです。

理念への共感度を高めるための取り組み
「日替わり社長」と「360度評価」とは

「日替わり社長」の取り組み風景

編集部:理念への共感度を高めるために、これまで実施してきた代表的な取り組みを教えていただけますか?

島:毎日行っているのが、「日替わり社長」という、理念と関連したスピーチを朝礼で行う取り組みです。日常生活で芽生えた思いや気づきをもとに、話す内容を考えてもらっています。たとえば過去には、「身内で不幸があり、大切な人の笑顔のために働こうと感じた」というスピーチがあり、聞いていて心が動かされました。

岡田典子さん(以下、敬称略。岡田):「自分たちの仕事がもっと社会に広まり、研究が進んでいたら助かった命かもしれない」。そんなふうに、社会に対する深い思いを持ったスピーチばかりで、いち社員として聞いていても、印象に残っている内容がたくさんあります。

編集部:理念について自分事として考える機会になるので、共感の度合いが高まりそうですね。他に実施している取り組みはありますか?

島:半年に1度行っている「360度評価」です。その人の業績だけでなく、理念の体現度についても、上司・同僚・部下の全立場から評価します。評価される側でいるだけだと理念を意識する機会は少ないと思いますが、一人ひとりの社員が評価する側にもなることで、当事者としての意識が強くなるんです。

編集部:そのような取り組みが、やはり社内の働きがいに好影響をもたらしているのでしょうか?

島:そうだと思っています。私たちは商社としての仕事がメインなので、モノを売ることに意識が向きすぎると、面白みや味わいのない毎日になりやすいと思うんです。ですが、最近の社員の様子を見ていると、自分たちがどのように社会の役に立っているのかを、ロジカルに意味づけできるようになってきています。

そうすると、仕事における本質的な目的が分かって、社会の変化に柔軟に対応できるようにもなります。仕事への好影響は大きいはずです。

編集部:理念が浸透して、社員が働きがいを感じることができるようになると、社内の雰囲気にもよい変化がありそうですね。

島:はい。最近は、お互いの意見がストレートに交わされる場面が増えてきました。一人ひとりが理念の意義について理解しているので、「会社としてどのように目的を果たすべきか」という観点で話し合いができているからだと思います。

岡田:私も同じようなことを感じています。双方の感情ではなく、自分たちが目指している明るい未来を念頭に置いて話し合いをしていますよね。聞いていてワクワクするような会話が、社内のいろいろなところから聞こえてくるようになりました。

充実した制度のベースには「休みやすい文化」が必要!

代表取締役の島さん(左)と採用・広報担当の岡田典子さん(右)

編集部:働きがいのある職場をつくるために、休暇の取得や福利厚生などの面でも何か工夫されているのでしょうか?

島:休みやすい雰囲気はもともとあったのですが、それにプラスして、土日や祝日の前後に休暇を取得して長く休んでもらったり、子どもが体調を崩したら終日休むよう促したり、休む罪悪感が小さくなるような声かけをしています。どれほど充実した制度を敷いても、組織内に休みやすい文化が伴っていないと、そもそも制度が使えないと思うんです。

岡田:私自身、子育てをしているので突発的な休みが必要になる日もあるのですが、周囲からネガティブな声をもらったことは一度もないですね。ママ友の話を聞いていると、「周囲の反応が気になって休めないんです」と悩んでいる方も少なくないので、私は会社に恵まれているんだなあと常々感じています。

編集部:島さんと岡田さんがお話しされている際の空気感からも、社内にフラットな雰囲気があることが伝わってきますね。

岡田:そうですね。もちろん人としての尊敬の念は前提にありますが、年齢や役職による垣根がなく、対等な立場でコミュニケーションが取れています。気軽に話せる空気を、社長が中心となってつくってくださっているように感じています。

編集部:ミクセルさんは、東京に支社があるので、地方と都市部の両方の事情に触れる機会がおありかと思います。地方・都市部の福利厚生や働くモチベーションなどの違いについて、感じることはありますか?

島:地方で働く人は、「何をするか」より「誰と仕事をするか」、いわば人とのつながりを重視する傾向にあると感じます。地方では、地元に住む社員が多くなるので、仕事終わりにみんなで出かけたり、社員の親御さんも子育てを手伝ってくれたり、地方ならではの見えない福利厚生があるんですよね。私たちのような地方企業は、そのような「潜在的な福利厚生」を持っていて、働きがいや働きやすさにも影響しているように思います。

社員には感謝しかない
「ミクセルで働けて幸せだった」と思ってもらえるように

研究支援事業に携わる社員の方々

編集部:会社としての今後の展望を教えてください。

島:これまでは、「小さくて強い会社」にしたいと思っていましたが、日本の長寿社会を支えるうえで、現状では企業規模が小さいんですよ。会社としての目標を達成するために、理念を根幹に据えつつ、今後はエネルギーを外に向けながら組織をスケールアップしていきたいと思っています。2030年までに、従業員数100名規模を目指します。

編集部:事業面での展望も何かおありでしょうか?

島:個人ではできない挑戦が、会社にいることで社会へと還元されるように、いろいろな事業にチャレンジしたいと思っています。現在、海外事業のローンチも準備中なんです。事業の幅が広がることで、社員がライフステージに応じたキャリアを築けるようにもなると思っています。

幹部とよく話すのですが、私たちの「夢」が親子二代で働いてもらうことなんです。実際に最近、幹部の娘さんが「当社で働きたい」と言ってくれて。やはり、自分たちの子どもに誇らしく任せられる仕事をしたいですよね。

編集部:最後に、従業員の方々への思いをお聞かせいただけますか? 「働きがい認定企業」に選出されたミクセルの社長さんの胸中にはどのような思いがあるのか、気になる方も多いと思います。

島:社員には、「ありがたい」という気持ちしかありません。「自社で働けて幸せだった」「家族が幸せになった」。そう思ってもらえる会社をつくり続けたいし、どうしたらそう思ってもらえるのかを、自分のなかでは常に考えています。ミクセルは、会社としてこれからも進化し続けるので、お互いにとって「幸せ」と思える日々を築いていきたいと思っています。

島社長と岡田さんの、信頼関係で結ばれつつも、どこか友人同士のようなフラットさのあるかけ合いが印象的でした。取材に入る前、島社長が壁に時計をかけようとしたところ、岡田さんが「壁にかけるのはやめましょう」と声をかけたそうです。そんな話を笑いながらする岡田さんと、ほほ笑みながら聞く島さん。
島さんがおっしゃっていた「働きがいのある職場をつくるためには、制度よりも文化が大事」という言葉の背景にある社内のよい雰囲気が、インタビューの短い間にも垣間見えていました。

プロフィール

島幸司さん

株式会社ミクセル 代表取締役

大学休学中に、知人の会社設立の手伝い等を経験。約10年間のサラリーマン生活を経て、2008年㈱ミクセルを設立、代表取締役に就任し現在に至る。
2021年に、㈱ミクセルの100%子会社である㈱ミクセルヘルスケア設立、代表取締役就任。同年、県立広島大学大学院経営管理研究科卒業(MBA取得)。

岡田典子さん

株式会社ミクセル 採用・広報担当

広島修道大学を卒業後、2014年にミクセルに入社(現在9年目)。セールスコンサルタント(営業)として入社、出産を機にインサイドセールスへ。現在の広報・採用担当に至る。
現在6歳と3歳の子を持つ2児の母。高校時代は女子サッカー部に所属、3年生の時に全国大会出場経験あり。

文・インタビュー:紺野天地

ライター

紺野天地

ライター、文筆家

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