多様な人材をどう生かす?
人事コンサルタントに聞く、これからの組織づくりのポイント

ラシク・インタビューvol.213

株式会社Tenmaru 代表取締役 諸戸 歩さん

この春から新しいチームで仕事を始めた人もいらっしゃるのでは?そろそろ2ヵ月が経ち、ずいぶんなじんだころではないかと思います。だからこそ「コミュニケーションがうまくいかない…」「リモートワークだからメンバーの様子が見えなくてツライ…」と悩みを深めている方もいるかもしれません。

今回お話を伺う株式会社Tenmaru代表取締役の諸戸歩さんは、数々の企業に伴走する人事のプロフェッショナル。採用から人材育成、組織開発まで、あらゆる側面から企業の成長を支援しています。

「一人ひとりが個性を生かしながら活躍できる組織をつくる」をミッションとし、多様性に強い想いを持つ諸戸さん。さまざまな人がいるチームを機能させるためには、何かコツがあるのでしょうか?国家資格キャリアコンサルタントでもある諸戸さんに、じっくりと伺いました。 

人材業界で20年。諸戸歩さんが感じる組織づくりの変化とは?

諸戸歩さん/オンラインで取材しました

編集部:諸戸さんは人事に関わる仕事に就いて、20年を迎えるそうですね。以前と比べて、組織づくりに変化はありますか?

 

諸戸 歩さん(以下、敬称略。諸戸):あると思います。要因として大きいのは、世代間の考え方の違いです。氷河期世代(1970~1983年ごろ、バブルが崩壊し景気が悪くなったことにより就職難のあおりを受けた方々)に当たる私自身を思い返しても、新卒のころは上司が言うことは絶対で「とにかくガッツで乗り切れ!」の時代。先輩の背中を見て学ぶ…みたいなところがありました。

 

編集部:そうでしたね、分かります…。

 

諸戸:今の新卒世代は「一人ひとり違って良いじゃない?」といった傾向が強いですよね。ダイバーシティ&インクルージョンを重視していて、「上から目線」で組織になじませようとするのは嫌われがちです。それと、デジタルネイティブであることも特徴ですね。インターネット上では、自分が合わないと思う人とはコミュニケーションを切ることができますから、折り合いをつけて付き合っていく経験は少ないのかなと感じます。

 

編集部:なるほど、育ってきた環境で感じ方が変わってきているのですね。

 

諸戸:若手の力を引き出し、いきいきした組織をつくるためにも、一人ひとりの個性を生かすマネジメントがますます求められていると思います。加えて、今の新卒は団塊ジュニア世代(1971〜1974年ころに生まれた方々)の3分の2程度しかいません。人材確保を新卒採用だけに頼るのではマンパワーが足りず、子育てのために離職した女性やシニアなどいろんな方が活躍できる場づくりは必須になっています。その点からも多様性に対応した組織づくりは大切です。

 

編集部:個人の考え方としても、社会のあり方としても、多様性がキーワードですね。

 

諸戸:特に、この2年間のコロナ禍ですごく変わりましたよね。リモートワークが増えて、これまでは時間や場所に課せられていた制約が大きく減りました。これからは、性別や勤務時間の長さ、働く場所ではなく「成果を見る」新たな評価方法が広まっていくでしょう。多様な人が働ける環境が整ってきたといえます。一方で、成果を出せるだけの能力を身に付けていないと淘汰される厳しい時代でもありますね。

 

編集部:なるほど…。さまざまな人がチームにいることが当たり前になっていく、過渡期にいるのだなと思いました!

組織づくりのコツは、考え方の違いを可視化し「関係の質」を上げること

編集部:多様な人がいるチームは、マネジメントの難しさもありますよね?

 

諸戸:はい。お悩みの方、多いですよね。うまくいっているチームを見ると、ポイントは「関係の質」「思考の質」です。例えばリモートワークになって、コミュニケーションに課題を感じる方がいらっしゃいます。部下の行動が見えず、どうサポートしたら良いのか分かりづらいんですよね。

 

編集部:分かります。オフィスで隣の席にいるのとは違いますよね…。

 

諸戸:先ほど少しふれましたが、ダニエル・キム氏の組織の成功循環モデルでたとえると、チームマネジメントには、4つの「質」が求められます。「関係の質」「思考の質」「行動の質」「結果の質」です。多くのマネジャーが焦点を当てるのは、「行動の質」と「結果の質」です。「どう行動したの?」「それでどんな結果が出たの?」をチェックする、そんな1on1がほとんどではないでしょうか。でも、上司と部下の信頼関係ができていなかったら?

 

編集部:反発してしまうかもしれません。

 

諸戸:そうですよね。どんな良いアドバイスでも「嫌だな」と部下が思ってしまって、実行しない。そんなケースをよく聞きます。ですから、リソースを割くべきは、行動や結果の前段階にある「関係の質」「思考の質」なんです。

 

編集部:リソースとはなんですか?

 

諸戸:お互いを知るための時間や、パーソナリティ診断ツールの予算などです。以前は「飲みニケーション」で「この人はこういうタイプね」と知ることもありましたが、リモートワークの結果、表面的な関係性が増えてきました。ツールの活用は、お互いを知る一つの手だと思いますよ。

 

編集部:なるほど、違いを認識できそうです。

 

諸戸:本当にそうですね。私が行っている研修に「アフターコロナ研修」があるのですが、同じ会社の社員でも「コロナ前に戻したい人」「このまま変化していきたい人」で割れるんです。私は割れていいと思っています。大切なのは、考え方の違いを可視化することです。

 

編集部:確かに、違いに気付く機会はあまりないかもしれませんね。

 

諸戸:特に若い世代は、意見が違ってもなかなか言えないですよね。違いがあるとすれ違いも起こりますが、違うからこそ補い合えます。お互いを知って生かし合える組織が理想だと思います。

 

編集部:診断ツールや研修も活用して違いを可視化すること、違いを生かし合うこと。これからの組織づくりのコツといえそうです。

人が足りないと思ったら?多様性時代の人材採用の考え方

編集部:諸戸さんは採用支援にも長く関わってこられましたが、多様性時代の人材採用についてはどう思いますか?

 

諸戸:大切に考えてほしいのは、人を活かすことです。「人が足りない」と思ったとき、まず何をしますか? 

 

編集部:求人票を作る、でしょうか?

 

諸戸:違うんです。大事なのはまず、組織内を見渡し、今どんな人がいるのかを「棚卸し」していくこと。そして、新たなポジションにチャレンジできる人はいないかと考えることです。これまでいろんな会社をサポートしてきた経験でも、配置換えが有効なケースはたくさんありました。

 

編集部:外に人材を求めるのではないのですね。

 

諸戸:チャレンジしたい人が手を挙げる文化をつくれたら、組織の活性化や定着率アップにもつながります。一方で個人の側にも、自分のスキルの整理を期待したいところです。

 

編集部:組織だけでなく、個人にもその姿勢が必要、と。

 

諸戸:そうですね。もちろん会社側が「組織の中でどう育てていくか」という視点を持つことは必要なんです。特に、新卒社員の社会人基礎力アップは欠かせません。ですが、一定の基礎力を身に付けたあとは、自分自身で常にスキルやキャリアを点検していくのです。

 

編集部:キャリアを棚卸しするおすすめの方法はありますか?

 

諸戸:転職するつもりがなくても、職務経歴書を書くのはおすすめです。自分はどんなことをやってきたのか、定性的、定量的に言語化すること。出来上がった経歴書をもとに、他の人に相談してみること。すると「ここも強みだよね」など気付きを得られると思います。お友達でもいいですし、最近はキャリアコンサルタントに相談する方も増えていますよね。

 

編集部:冒頭で伺った「成果を出せるだけのスキルを身に付けていないと淘汰される厳しい時代」というお話とも重なりそうです。組織が求めるものと個人が持つスキル、両者がうまくマッチすればお互いに良いですね。

違ってこそいい。多様な人が活躍できるチームはつくれる!

編集部:ここまでのお話から、諸戸さんの多様性へのこだわりを感じています。Tenmaruという会社名も、多様性とつながりますよね。

 

諸戸:そうなんです。一人ひとりの「点」がつながって「丸」になり素敵な組織になりますように、という願いで付けた名前です。個性を生かし活躍できる組織をつくることは、私のミッションだと思っています。

 

編集部:そう思うようになったのは、何かきっかけが?

 

諸戸:私は新卒でリクルート系の代理店に入社しました。さまざまな会社の採用活動に15年ほど関わりましたが、チェーン店の採用を手伝う中で気付いたことがあったんです。大量に採用し、大量に辞めていく。ミスマッチが嫌だなと。

 

編集部:ミスマッチ、多いんですね…。

 

諸戸:人材はモノじゃないんです。一人ひとりの人生がかかっている。これを改善するにはクライアントの社内にアプローチする必要があると考え、研修・教育事業を立ち上げました。そこで診断ツールを扱うようになって、もうこれはしょうがない、と思ったんです。

 

編集部:しょうがない、というと?

 

諸戸:人は生まれながらに違うし、育った環境も違う。考え方や価値観が違うのは当たり前で、意識しても変えられない個性がある、これは「仕様」がないことなんですよ。そう思ったときに、違いを可視化し、お互いを認めて本音を言い合える関係をつくれれば、違っていい。違ってこそ良いと気付いたんです。

 

編集部:大きな気付きだったのですね。

 

諸戸:私自身、メンバーとの関係性が変わりました。アドバイスしても響かないメンバーを診断ツールで見ると、タイプが違ったんですね。そして本人に言われました。「諸戸さんは“まずやってみて”というタイプですけど、僕はよく考えてリスクを減らしてから行動するほうが心地いいんですよ」と。コミュニケーションの取り方で活躍できる環境はつくれる、個を生かす組織づくりは可能なんだと知りました。

 

編集部:そんな体験があったのですね。

 

諸戸:今、様々な組織をお手伝いしながら思うのは、経営者も出来上がった存在ではなく、実は苦手があって、社員はそこを補えるということです。「うちは社長がこうだからダメなんだよ」ではなくて、「一緒に組織をつくっていく」。そんな主体性を持つ人たちのチームが世の中に増えてほしいですね。

 

編集部:違いを生かし支え合う組織が増えたら、幸せな人が増えそうです!今日はありがとうございました。

「人はひとりひとり違う」。当たり前のようでいて、何がどう違うのかまで意識できる機会は少ないかもしれません。これからは、多様な人がチームにいて当たり前の時代。パーソナリティ診断ツールや研修を通じて、目の前に「違い」を置いてみることから、新しい何かが生まれそうです。

諸戸 歩さんプロフィール
人材業界20年。上場企業からベンチャー企業まで、約500社以上の採用課題全般のコンサル業務に携わる。20名以上のメンバーマネジメントを経て、企業のキャリア教育、組織課題解決に向けた制度設計を行う教育・研修コンサル事業責任者として従事した後、【心躍るワクドキな組織をつくる】をミッションに株式会社Tenmaruを設立。採用・配置・育成・定着のどこから手をつければ良くなるのか課題を洗い出し、経営者と現場をつなぐおせっかい母ちゃん型外部人事として、多くの組織に伴走している。
HP:株式会社 Tenmaru

ワーママを、楽しく。LAXIC

文・インタビュー:近藤 圭子

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