気象予報士・岡田みはるさんに学ぶ「お天気と体」。
天気が悪い日の頭痛やめまい…… それって実は「気象病」かも!?

ラシク・インタビューvol.180

気象予報士/健康気象アドバイザー 岡田みはるさん

「どんよりと曇った朝、何となく調子が上がらない」「台風が近づくと頭痛がする」。こんな経験がある方は意外と多いのではないでしょうか。実はこれ、天気が変化する時に起こる「気象病」の症状かもしれません。数年前までは「気のせい」として片付けられていた気象病ですが、天気との因果関係が少しずつ理解され始めているようです。

では、天気に振り回されず、自分の体調と上手に付き合っていくにはどうしたら良いのでしょうか? 今回、気象予報士でもあり、健康気象アドバイザーの資格を持つ岡田みはるさんに気象病の症状や対処法にについて詳しく話を伺いました。「気象に関する情報発信を通じて、子どもたちやお父さんお母さんの健康維持のお役に立てたら」と話す岡田さん。あまり知られていない子どもの気象病についても話してくださいました。

天気が影響する「気象病」とは? どんな症状?

気象予報士岡田さん。取材時は出産直前でした……!

編集部:周囲のママたちを見ていると、悪天候の日に調子が悪くなりやすい人が多いような気がします。お天気と体調不良はどのように関係していますか?

 

岡田みはるさん(以下、敬称略。岡田):日々の天気の変化で生じたり悪化したりする不調を「気象病」といいます。「気象病」には天気や気候の変化がもたらすあらゆる不調を指すため、人によってさまざまな症状が起こります。私は気圧の低い朝は苦手で、だるくなったり憂鬱になったりします。気象予報士として多くの方とお話する中でも、天気の変化に影響される方が多いなと感じています。

 

編集部:具体的にはどんな症状がありますか?

 

岡田:代表的ものの一つに片頭痛があります。みなさんの周りにも「雨の日は頭が痛い」という方がいらっしゃるのではないでしょうか。梅雨や台風の時期など、気圧が低下するような時期に出やすい症状としてよく知られています。一方で、片頭痛の原因はさまざまで、たとえば月経周期によるホルモンバランスの変化が引き起こす片頭痛もあって、そちらは気象病とは呼びません。ただ、実際には気圧変化による片頭痛に月経に伴う片頭痛が重なって症状が重くなる、といったことを経験している女性は少なくなく、簡単に分けられない場合も多いです。

 

編集部:天気が関係する不調は、頭痛以外にもあるんでしょうか?

 

岡田:意外に思われるかもしれませんが、歯周病があります。気圧低下との関係が研究されていて、梅雨や台風シーズンは口腔ケアにも要注意の季節と言えますね。また、リウマチは、湿度が上がると悪化するということが分かっています。

 

編集部:天気の変化は体にさまざまな影響があるんですね。気圧が下がる時、どういうメカニズムで不調が引き起こされるんですか?

 

岡田:最近の研究では内耳にある前庭という器官が気圧センターになっていることが分かっています。平衡感覚を司る三半規管をにつながる場所です。気圧変化に伴う不調はさまざまで、個人差もあるものの、めまい、耳鳴り、吐き気の症状があること、メニエール病の方が気圧変化の影響を受けやすいことなどは、この内耳の気圧センサーが深く関係していることを示唆しているのではと思います。

30~40代女性に多い「片頭痛」、気圧の変化を知って事前の対策を

気象庁と日本赤十字社が開発した防災学習プログラムの講師を務めたときのようす

編集部:代表的とおっしゃった片頭痛は、女性に多いイメージがあります。

 

岡田:そうですね。片頭痛はホルモンバランスに影響されるため、女性の年代別の片頭痛人口は月経が開始される年頃から症状が出る方が増えて、30~40代の女性に最も多く、閉経後の50歳以降は次第に減っていきます。この記事を読んでいる方の中に片頭痛に悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

編集部:30~40代というと家庭でも仕事でも最も多忙な世代ですよね。片頭痛があってもなかなか休息できないのでつらいなと感じている女性も多いと思います。

 

岡田:本当に大変だろうなと思います。私は職業柄、気象病に悩むワーキングマザーのお話をよく聞くんです。私自身は妊娠中、気圧が低下する日に片頭痛の症状が強くなってしまって。一般的に片頭痛は月経のない妊娠中は落ち着くと言われているのですが…。改めて気象病の症状は一人ひとり異なるということを実感しました。また、自分が妊娠することで初めて妊娠中のお母さんの大変さを知りました。仕事も育児も両立しているワーママのみなさんを本当に尊敬します。

 

編集部:そうだったんですね。気圧変化による片頭痛にはどんな対処法が考えられますか?

 

岡田:気圧予測アプリ等、天気予報で気圧の変化を知ると、ある程度は体調の変化を予想できると思います。天気予報を活用している方に聞くと、「明日は低気圧が来るから、今日のうちにこの仕事を終わらせておこう」とか「今日は仕方ないけれど、明日は回復するはず」とか、ご自身のタスクも気持ちのコントロールもうまく調整しているそうです。それから、片頭痛はストレスから開放されたときに起きやすいんです。休みになると頭痛が起きる「週末頭痛」という言葉もあるくらいで。難しいとは思うのですが、できるだけ毎日のタスクを詰め込みすぎず、ゆるゆると過ごすのが良いみたいです。

大人だけじゃない! 実は見過ごされがちな子どもの気象病

「お天気をもっとみなさんの役に立つ形でお届けしていきたい」と話す岡田さん。

編集部:岡田さんは現在、大学院の教育学研究科で子どもの気象病を研究されているそうですね。子どもにも気象病の症状があるんですね…… 一般的にはあまり知られていないような気がします。子どもには、どんな不調がありますか?

 

岡田:みなさんもよくご存知なのは熱中症です。前日より気温が大幅に上がることで盛夏でなくても発症します。他には喘息も知られています。保護者の方からは、気圧が下がるとお子さんが喘息の発作を起こすという声を聞きます。「気圧予報を見ておくことでタイミングよく薬を飲ませられるようになり、以前より悪化しなくなった」という方も。もちろん、気圧だけでなく冷えや乾燥など他の要因も複合して起きると思うのですが、病院の先生や薬剤師さんと相談しながら対処できると良いですよね。

 

編集部:大人も子どもも事前に天気の変化を知っておくと、事前に対策ができるんですね。天気予報は体調管理にも役に立ちますね。

 

岡田:そうですね、予報をうまく使っていただけたらと思います。それと、気づかれにくいのが子どもの片頭痛です。片頭痛持ちの方はおわかりだと思うのですが、片頭痛は必ずしも頭が痛くなるだけとは限らないんですよね。めまいがして起きられなくなったり、吐き気がして気持ち悪くなったり。子どもの場合は頭痛ではなく腹痛として症状が出る場合があるので注意が必要です。

 

編集部:子どもにも気象病の症状があるというのは意外です!

 

岡田:そうなんです。「うちの子が体調が悪くなったり不機嫌になるのは天気が悪くなる日かもしれない」と思ったら、一度病院で相談してみると良いと思います。うまく付き合えるようになったら良いですね。

まずは生活習慣の見直しを、うまくいかない時は「お天気のせい」に

編集部:ちなみに、これから迎える冬に見られる気象病はありますか?

 

岡田:日照時間の短さから、うつになりやすいことが知られています。冬の間じゅう症状が続けば、気象病ではなく “季節病” です。正確には季節性情動障害(SAD)といい、一般的に「冬季うつ」と呼ばれています。こちらは春になると軽快するのが特徴です。

 

編集部:たしかに、冬は夏に比べると太陽を浴びる時間が圧倒的に短くなりますね。これにはどんな対策がありますか?

 

岡田:寒さに負けず、日中こまめに外に出ること、そして、朝にカーテンを開けることです。曇りや雨で太陽が見えなかったとしても、太陽光は電気と比べて10倍以上の明るさがあるんですよ。それに、朝の光は体を目覚めさせるブルーライトです。また、睡眠のリズムを整え、入眠もスムーズに。朝にカーテンを開けるという基本的な生活習慣は、冬こそますます大切になります。

 

編集部:生活習慣…… 大事ですね。

 

岡田:そうなんです。うつに限らず片頭痛についても生活習慣を整えることの大切さが重要視されています。気象病は「治す」より「付き合う」発想が大事。大学院の研究の一環で、中国最古の医書を見たんですが、そこでも生活リズムについて書かれていました。十分な睡眠をとることや空腹のままで過ごさないこと。そして、余力があれば、運動や入浴にも十分に時間をかけてもらいたいと思います。基本的な生活習慣を保つことが、長い目で見れば気象病を解決していくことに繫がります。

 

編集部:なるほど…… ただ、忙しいとついつい疎かになりがちです。

 

岡田:特に育児中はそうですよね。自分の体調だけでなく、お子さんの体調によっても日々の生活が変わりますし。工夫するポイントを絞るのはどうでしょうか。「1週間のうちに2日だけは日付が変わる前に寝る!」とか。

 

編集部:それならできるかもしれません!

 

岡田:あと、先ほどもあったように、できるだけゆるゆるとした生活が良いようです。平日はタスク満載、休日は一気に休む、といったメリハリが付きすぎる生活は体には負担がかかります。休日に寝だめするというような生活が一番良くないですね。私もやりがちなのですが……

 

編集部:「ゆるゆると」ですね。心がけたいです。

 

岡田:女性の体はリズムがあってゆらぎやすいですが、それはデメリットではないと思うんです。ゆらぐからこそ、身体に意識が向いて微調整できると思います。あと、天気に左右されるのも、ホルモンバランスで変化するのも、自分の体を見つめる機会になりますよね。ポジティブに捉えて、緩やかにバランスを保っていきたいですね。

 

編集部:一定をめざすのではなく、ゆらぎながら微調整を繰り返していくのですね。前向きに捉えて、うまく付き合っていきたいと思いました。最後に読者へのメッセージをいただけますか?

 

岡田:ワーママのみなさんは本当に頑張っていらっしゃいます。よく伺うのが、気圧が低い日に体が動かなくて、思うように家事ができなかったり、子どもに苛立ってしまったりして、自己嫌悪に陥っているというお話。つらいですよね。

そういう人には、「今日は低気圧が来ているからうまくいかないんだな」って「お天気のせい」にすることをおすすめしています。「自分の頑張りが足りない」なんて思わずに、お天気の影響を割り引いて考えて良いのではないかと思うんです。普段の生活では食事や睡眠に気をつけて、こまめに自分を労い、それでもダメなら、「お天気のせい」に。苛立つ前に、そんな考え方を取り入れてみてください。私も心がけていきたいと思っています。

 

編集部:「お天気のせい」と思って肩の力をうまく抜いていきたいです。岡田さん、本日はありがとうございました!

 

※本記事は健康関連情報の提供を目的とするものであり、特定の健康法のみを推奨するものではありません。症状がある方は医療機関を受診することをおすすめします。また、これらをご認識の上、あくまで参考情報としてご利用ください。

体調が悪いときの育児は、つらいものがあります。最後にお話されていた自己嫌悪に陥るお母さんは、まるで自分のことのよう。そんな状況になる原因が気象病にあるのだとしたら、岡田さんがおっしゃるように生活習慣を整え、こまめに自分を労ることで良い方向に向かうかもしれません。自分自身では絶対にコントロールできない「お天気」。無理に抗うのではなく、上手に付き合っていきたいですね。

岡田みはるさんプロフィール
気象予報士/健康気象アドバイザー。2013年、当時所属していた株式会社ポッケで開発ディレクターを務めながら気象病対策アプリ「頭痛ーる」を考案。気象予報士としてはNEXCO東日本やNHK山形等で気象予報を担当。気象病を長年の研究テーマとしており、現在は大学院に在籍しながら子どもの気象病を研究。NPO法人「気象と心とからだ研究所」代表。
HP:NPO法人「気象と心とからだ研究所」

ワーママを、楽しく。LAXIC

文・インタビュー:近藤 圭子

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