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2021.08.26 2023/05/31

【TOKYOテレワークアワード受賞企業による座談会】
多様な働き方と認め合う風土、みんなが働きやすい職場で生産性を向上させる/後編

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【TOKYOテレワークアワード受賞企業による座談会】<br>多様な働き方と認め合う風土、みんなが働きやすい職場で生産性を向上させる/後編

コロナを機にテレワークを導入する企業も増えましたが、テレワークのメリットを感じつつもオンラインでのコミュニケーションの難しさを感じている人も少なくないのではないでしょうか。「TOKYOテレワークアワード」を受賞した8社の座談会後編です。テレワークを積極的に推進している企業がコミュニケーションの課題を解決するためにしている工夫のほか、実際にテレワークをしてみて感じるメリット、女性活躍のための取り組みについて事例を共有しました!

前編はこちら

<座談会メンバー>

■中田 倫未さん
株式会社船場 経営企画部 コーポレートコミュニケーション室

■永田 豊志さん
株式会社ショーケース 代表取締役社長

■田尻 智子さん
e-Janネットワークス株式会社 経営企画室

■菅井 沙紀さん
株式会社エイアンドピープル 管理本部 リーダー

■鈴木 はるなさん
株式会社エグゼクティブ パブリックリレーション部メディア担当責任者

■戸坂 妹子さん
CLINKS株式会社 経営企画室 採用チーム 課長補佐

■増田 佳子さん
株式会社j Career 総務部次長

■萩原 雅和さん
日都産業株式会社 総務部係長

■三好 怜子
株式会社ノヴィータ代表取締役社長

<モデレーター>
LAXIC編集長 小山 佐知子

ママには特にありがたい! テレワークでかなう柔軟な働き方

LAXIC編集長 小山 佐知子(以下、小山):この座談会にご参加のみなさんはママが多いですが、みなさん自身は、実際にテレワークをしてみていかがでしたか?

 

田尻 智子さん(以下、敬称略。田尻):弊社ではコロナ前から会社にテレワークの制度があり、私はつわりのときに利用しました。つわりで電車に乗れなくなってしまい仕事を辞めなくてはいけないのかと思ったのですが、テレワークができたので辞めなくてすみました。通勤がないのは大きいです。

 

鈴木 はるなさん(以下敬称略、鈴木):私は子どもが2人いるのですが、子どもの病気のときに助かっています。たとえばインフルエンザの場合は5日間は学校を休まないといけません。出社が前提であれば、自分は元気でも会社を休まざるを得ないのですが、テレワークだと在宅で仕事ができます。状況によって「休むかテレワークで働くか」という選択肢があるのはいいですね。通勤時間がない分、保育園帰りに公園に行く、趣味を楽しむという時間もできました。ゆとりがあることで視野も広がったと思います。

 

中田 倫未さん(以下敬称略、中田):私は出産を機に職場から片道2時間のところに引越しをしました。子育てに加え毎日の通勤を考えると本当に不安で、数ヶ月やれるだけやってみてダメだったら育児と仕事の両立を諦めるしかないのでは、と考えていました。でも、コロナ禍の中、去年6月に復帰してみるとテレワークに移行していて不安は解消されました。通勤時間往復4時間は大きいです。この時間を仕事にあてることもできるので、テレワークは私にとってはポジティブな部分しかありません。

 

小山:テレワークにはポジティブな部分が多いというのは共感です。私ごとですが、弊社で「週3日正社員」として働きながら復業で働き方支援の事業を行っているのですが、どちらの仕事もフルリモートなので子育てを含めて時間をとても有意義に活用できていると思います。

テレワークの課題はコミュニケーション。
社員の一体感、帰属意識の醸成はどうする?


小山:逆に、テレワークの難しさやデメリットを感じることはありますか?

 

菅井 沙紀さん(以下敬称略、菅井):テレワークの難しいところはコミュニケーションだと実感しています。チャットなどテキストでのコミュニケーションが多くなりますが、テキストだと思ったように受け取ってもらえないこともあって…。弊社では、速く効率的で理解しやすい伝達法「プレイン・ジャパニーズ」の研修を行っていて、社内でも日頃から「プレイン・ジャパニーズ」を意識してコミュニケーションを行うよう心がけています。

 

小山:テキストだと思ったように伝わらないというのはありますよね…。弊社の三好も苦い顔をしてうなずいています(苦笑)

 

三好 怜子(以下、三好):まさにそうだなと思いながらお聞きしていました。私は「仕事がつまってないか」といった社員のようすを表情や雰囲気などの空気で感じ取るタイプなので、出社していれば雑談しながら見て感じ取れるところを、テレワークだと「大丈夫?」とパトロールして回る必要があると感じているんです。みなさんは先進的な取り組みをされているので、コミュニケーションの工夫を知りたいです。

 

中田:出社していれば、隣の席の人に聞けるようなささいなことがテレワークだと聞きにくいという声があったので、弊社では有志でアイディアを出し合って「Yahoo!知恵袋」のような気軽に質問できるプラットフォームを作りました。社歴の浅い社員の質問に、わかる社員が答えています。あとは、外部から講師を招いて昼休みにオンラインストレッチをやったりもしています。

 

増田 佳子さん(以下敬称略、増田):テレワークだと、オフィスにいれば見えていたお互いのスケジュールが見えなくなってしまいますよね。弊社では、社員のスケジュールをオンラインで可視化しました。会議予定はもちろん、どんな事務作業をしているかもわかるようにしているので、状況を見ながらコミュニケーションが取れています。あと、社長が全社員に「いつでも何でも相談してください」というメッセージを繰り返し発信しています。社長が呼びかけることで、実際に社員が直接社長に電話などで相談することが日常茶飯事になりました

 

戸坂 妹子さん(以下敬称略、戸坂):弊社では、社員にテレワークに関するアンケートを取ったところ、コミュニケーションに課題があることが分かりました。テレワーク専門の事業部を編成していますので、その事業部が中心となり、テレワークをサポートするコミュニケーションツール「Zaitark(ザイターク)」を開発しました。このツールを使うとチームメンバーの業務状況を知ることができるので「チームのみんなと一緒に仕事している」と感じられると好評です

 

鈴木:弊社でも「まるでオフィスにいるように」を意識して環境づくりをしています。「一人じゃない。みんなで働いている」と思えるようにZoomでおでこまで出してお互いの一部が見えるようにしたり。Zoom越しに「今、ちょっといい?」と話しかけることもできます。あと、朝は「おはよう」のあいさつと雑談からスタートできるようにSlackに「おはようチャンネル」を設けました。きちんとSlackを活用できるようチャットでの発言のハードルが下がるようにしていますね。1on1や人事定期面談などのほか、社員のちょっとしたモヤモヤや疑問を解消しようと社内ラジオもやっています。

 

永田 豊志さん(以下敬称略、永田):オンラインで仕事ができると「会社に所属する意味は?」と社員と会社との関係性が希薄になってしまう。社員が会社への帰属意識が持ちにくくなるのは経営者としては頭の痛いところです。これまでは社員旅行やバーベキューなどの全社イベントをやっていたのですが、コロナでできなくなってしまった。そこで、一体感をつくるのに何かできないかと社員に調べてもらったら、オンラインで運動会をする業者があって、Zoomを使ってオンライン運動会をやりました。

 

一同:へえー!

 

小山:そんな業者があるのですね。何人くらい参加できるのでしょうか?

 

永田:弊社は100人くらいでやりました。Zoomの上限までは参加できるのではないかな。
会社にまつわるクイズを出題したり、借り物競争をやったりとカメラの前で、みんなで汗をかいて。非常に盛り上がりました。

女性活躍のためではなく、みんなの満足と生産性向上のために

小山:国も女性の管理職の割合を増やそうとしていますし、取り組みをしている企業もありますが、女性活躍の視点からも話ができたらと思います。戸坂さんは3人のお子さんがいらっしゃるそうですね!?両立の工夫をぜひうかがいたいです。

 

戸坂:今は子どもたちも大きくなってきたので、それほど苦労はないですが、5年前に入社した時は、下の子がまだ幼稚園でした。時短勤務を希望していたのですが、当時は時短勤務で働ける会社も少なくて、就職活動でつまずいたというのはありました。でも、弊社は社員の事情に合わせた勤務時間にするなど柔軟に対応していますし、周りも「大丈夫?」と気にかけてくれました。おかげで、「両立が大変だった」という感覚はなく、会社に支えられたと思っています。

 

中田:弊社は建築・内装業ですので現場を受け持つ社員がいますが、テレワークの促進により、会社でなくてもできる作業を自宅でできるようにしたことで、現場と会社の往復移動が減り、業務の効率化につながりました。育休から復帰した女性社員が前と同じ現場での施工管理職で復帰した事例もあり、キャリアをあきらめずに積み上げていけるのがうれしいという声も寄せられています。

 

増田:子育てや介護をしながらでも働きやすい環境を整えるため、子の看護休暇や介護休暇を法定の2倍にしました。弊社の管理職6人中4人が女性でその中には時短勤務者や週4日勤務者もいます。女性や子育て世代がキャリア形成できる環境をつくり、戦力として長期的に活躍できるようにしています。みなさんのお話を聞いていると、テレワークなどの各社の取り組みは人材を大切にしたいという思いからきているのだなと感じました。

 

小山:エイアンドピープル様は社員が女性100%なんですね。結婚・出産というライフイベントにはどのように対応されていますか?

 

菅井:女性100%は結果論だと思っています。翻訳のプロジェクトマネージャーは複数のプロジェクトを回し、お客様の要望をすくいあげる、そうしたことが得意な女性の集まりです。弊社のスタンスは「働くママを応援」より「活躍してきた女性がライフイベントでキャリアをあきらめないよう寄り添う」が近いです。一口にワーママといっても、各家庭の事情で必要な支援は変わるので、事情に応じて勤務時間を柔軟にするなどの対応をしています。実力があれば、育休復帰後に管理職昇進もあります。そうなると管理業務が出てくるので、無理のない範囲で勤務時間をのばす感じですね。これからは男女を問わず、みんなで生産性を高めて時間内で成果を上げるような働き方が大事かと。

 

小山:家庭との両立はこれまで個人の努力の問題とされていた部分も大きいのですが、みなさんのように柔軟に働ける制度と風土の両輪が整っていると、女性だけでなく働く人みんなの満足度も高いのだなと感じます。荻原さんも今日は自宅から参加いただいていますが、テレワークをなさってみて、いかがでしたか?

 

萩原 雅和さん(以下敬称略、萩原):夏休みで子どもが家にいるのですが、家族の存在を感じながら仕事ができるのはありがたいです。子育て中の社員は会社より家の方が効率は上がるという人もいますね。弊社は中小企業の製造業で、最初は「テレワークは無理」と思っていたし、私の周りには今でも「うちでは…」と言っている会社もあります。弊社もまだまだ足りない部分もあるありますが、これからテレワークに取り組む企業とも一緒にやっていけたらいいなと思いますし、中小企業でももっとテレワークが広がればいいと思います。

 

小山:まさに、テレワークはみんなの新しい働き方ですね!今日は貴重なお話を本当にありがとうございました。

 

テレワークの導入や柔軟な働き方は多様な人材の活躍にもつながるほか、働く人の満足度を高めて、生産性を上げることにもつながる。これからの時代はジェンダーを問わず多様性を尊重しながら、みんなで生産性を上げてワークライフバランスを実現することが大事-。そんなことを感じた座談会でした。

文:我謝 かおり
編集:相場 朋子/小山 佐知子

ライター

小山佐知子

ラシク編集部  旧編集長

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