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2021.08.25 2023/05/31

【TOKYOテレワークアワード受賞企業による座談会】
みんなのものになったテレワーク。普及のカギはトップのコミットと環境整備の支援にあり!/前編

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【TOKYOテレワークアワード受賞企業による座談会】<br>みんなのものになったテレワーク。普及のカギはトップのコミットと環境整備の支援にあり!/前編

コロナ禍を機にテレワークを導入する企業が増え、働き方も大きく変わったという人も多いのではないでしょうか。東京都は官民一体でテレワークを普及・定着を図ろうと「TOKYOテレワークアワード」を実施し、先進的な取り組みをしている企業を表彰しました。LAXICを運営するノヴィータも同アワードで推進賞を受賞しました。

 

家事に育児に毎日”フル回転”のワーママにとって、在宅で仕事ができるテレワークは気になる働き方。テレワークの導入で柔軟な働き方を推進する企業の取り組みをもっと知りたいし、情報交換もしてみたい…!そこで、今回、LAXICでは、「TOKYOテレワークアワード」の受賞企業に声かけし、返信のあった8社をお招きしたオンライン座談会を実施しました。

 

コロナでテレワークは「会社に来るのが難しい人のもの」から、「みんなのもの」へなりつつあります。テレワークを積極的に取り入れた企業は、どのようにして短期間でテレワークできる環境を整備したのかーー。柔軟な働き方を推進し、多様な人材の活躍できる環境整備を進める企業8社の座談会を前後編でお届けします。

<座談会メンバー>

■中田 倫未さん
株式会社船場 経営企画部 コーポレートコミュニケーション室

■永田 豊志さん
株式会社ショーケース 代表取締役社長

■田尻 智子さん
e-Janネットワークス株式会社 経営企画室

■菅井 沙紀さん
株式会社エイアンドピープル 管理本部 リーダー

■鈴木 はるなさん
株式会社エグゼクティブ パブリックリレーション部メディア担当責任者

■戸坂 妹子さん
CLINKS株式会社 経営企画室 採用チーム 課長補佐

■増田 佳子さん
株式会社j Career 総務部次長

■萩原 雅和さん
日都産業株式会社 総務部係長

■三好 怜子
株式会社ノヴィータ代表取締役社長

<モデレーター>
LAXIC編集長 小山 佐知子

きっかけはコロナ。テレワークはみんなのものへ

LAXIC編集長 小山 佐知子(以下、小山):ニュースなどを見ていると、コロナ禍にあってもテレワークの導入がなかなか進まない企業もあるようですね。「なぜテレワークか」というトップからのメッセージが社員に伝わらないと導入も進まないのではないかと思います。トップが「原則出社禁止」という強いメッセージを出されたショーケース様の取り組みについて、まずは代表の永田さんにお聞きしたいです。

 

永田 豊志さん(以下、敬称略。永田):実は、弊社はこれまでテレワーク推進派ではありませんでした。テレワークができるのは一部のスペシャリティを持っている人に限られると思っていました。コロナを契機に全社でテレワークを導入しようとしたのですが、当初は「できるときにやってください」という感じで…。しかし、それでは2、3割しかテレワークにならなくて、なかなか進まない。弊社の「おもてなしテクノロジーで人を幸せに」というコアバリューを社員に当てはめたときに、社員に安心・安全な働く場を提供しなくては、とテレワークを決断しました。

「出社は原則禁止」とメッセージを出し、1か月ほどで全社でテレワークができる体制を整えました。中途半端にしていては社員も不安になります。スピーディーな環境整備にはトップのコミットが必要だと思います

 

増田 佳子さん(以下、敬称略。増田):弊社でもコロナ禍を機に2020年3月からテレワークを導入しました。弊社も「社員とその家族の安全・健康を第一に」のメッセージをトップが強く発信しています。それが全社でのテレワークの実施・定着につながっていると思います

 

三好 怜子(以下、三好):やはり、トップのメッセージは大事ですよね。私も、コロナ禍は経営者としての覚悟をより問うものだったと感じています。

 

小山:日都産業様では、出社と在宅が半々の“ハイブリッド型”と伺いました。業種によってはテレワークが難しいこともあると思いますが、不公平にならないような取り組みなどはあるのでしょうか?

 

萩原 雅和さん(以下、敬称略。萩原):製造業なので、出社しないとできない仕事もあります。製造現場などは時間をずらしたり、営業は直行直帰にしたりして対応しています。全員テレワークにするのは難しいのですが、業務を細かく分けて会社でできる仕事、在宅でもできる仕事に分けました。家でもできる仕事は家で、会社でしかできない仕事は出社する人にやってもらう形にしています。

 

小山:御社でのテレワーク導入の背景もやはりコロナだったのでしょうか?

 

萩原:2017年ごろ、結婚・出産後も働き続けたいという一人の女性社員の希望からでした。それまでは在宅勤務はまったく考えられないという会社でした。希望を出してくれた社員の同じ部署には同年代の女性社員がいて4人中3人が女性で。同時期に結婚、出産のライフイベントが来ると業務が回らなくなってしまう状況でした。それで、「まずはお試しから始めよう」と総務がサポートする形で導入しました。試行錯誤しながらやっていたのですが、そこにコロナが来て、今では全社でテレワークという働き方が当たり前という状態になっています。

 

田尻 智子さん(以下、敬称略。田尻):弊社ではテレワークツールを開発しており、2019年までにはほとんどの社員がテレワークを経験していました。それでも、なかなか浸透しなくてテレワークは会社に来られない人のもの…という感じがありました。でも、コロナ禍を機にテレワークはみんなのものになったなと思いますね。

生産性を上げるならアロマもOK!?
テレワークの定着には環境整備への支援もカギ

小山:テレワークを推進するためには、企業としてハード面、ソフト面両方からのアプローチが必要に感じています。まずはハード面として、自宅の環境整備支援や手当などについてお聞きしたいです。

 

戸坂 妹子さん(以下、敬称略。戸坂):弊社は2016年にテレワーク事業を立ち上げていましたが、テレワークを始めた当初は実施率1割未満でなかなか浸透しませんでした。テレワークを推進するために、社員には自宅での環境を整備するために家具、モニター購入の補助を出しました。また、部署ごとに部署のメンバーの2割をテレワークにするテレワーク率のノルマを設けました。社員にテレワークを体験してもらって、デメリットは少ないことを理解してもらうと、コロナ禍の今では一気にテレワーク率は上がり、現在は7割程度で推移しています。

 

菅井 沙紀さん(以下、敬称略。菅井):弊社はテレワーク導入を機に交通費を実費精算にしました。在宅勤務だと光熱費もかさむので、光熱費を一律で支給しています。

 

永田:弊社もフルリモートにして交通費は実費精算にしました。その代わり、リモートワーク手当を月2万円支給しています。リモートワーク手当は用途を問いません。生産性を上げるために必要であれば、アロマを購入してもいい。コーヒーメーカーを購入した社員もいましたね。これまでは会社が働く場を提供してきましたが、これからは社員自らが働く場をつくる意識をもってほしいというメッセージを込めています。マストではないのですが、何に使ったのかはSNSなどで情報発信するように呼び掛けています。

 

小山:用途を問わない形で在宅勤務に関する諸手当を支給している企業様は珍しい気がします。ちなみにみなさんはどんなアイテムを購入されましたか?

 

田尻:私は机を購入しました。夫もテレワークなので、机が足りなくなって机を用意するところから始まりました。

 

鈴木 はるな(以下敬称略、鈴木):私もデスク周りを整えました。必需品ですよね。

 

三好:手当があるとより快適な仕事環境を整えられますから、業務効率にも影響しそうですよね!

ワーケーションで1か月帰省も!?  テレワークの可能性

小山:在宅で働くようになって、オフィスのあり方も変化したのではないでしょうか。エグゼクティブ様ではオフィスを改装したと記事で拝見しました。

 

鈴木:弊社では、オフィスは「働く場」ではなく、「コミュニケーションの場」へと変わりました。「働く場は自宅、オフィスはコミュニケーションの場である」というメッセージを社員に伝えるため、リモートワーク開始と同時に本社のオフィスから机といす、パソコンを撤去して、カフェ風に改装しました。今はコロナ禍で難しいですが、バーカウンターも作ったので将来的にはそこでお酒も飲めるようになっています。

 

中田 倫未さん(以下、敬称略。中田):リモートワークでどこでも働ける時代、あえてオフィスで仕事をする価値を高める必要があります。弊社でもオフィスを「コミュニケーションやつながりを醸成していく場所」と位置付け、本社リニューアルをしました。オフィスを1フロアに集約し、デザインや機能が異なる8つのエリアに分けて社員が自由に働く場所を選択できる形にしました。

 

小山:働きやすさだけでなく「働きがい」も、という時代になり、ワークとライフの両方楽しむのが大切になってくるのはと思います。e-Janネットワークス様では、在宅でのテレワークから一歩進んでワーケーションの推進も強化しているそうですね。

 

田尻:ワーケーションは自宅でもなく、会社でもない場所で働くというものです。社員が充実した経験をしながら仕事をし、生産性が高まるのを期待してワーケーション制度を導入しています。年間60日ワーケーションができ、交通宿泊費の支給もあります。東京本社のほか、大阪、高知、函館、インドに拠点があるのですが、それぞれの拠点で、ワーケーションで働いたり、レジャーを楽しんだりして社員同士交流を持ってもらえればと考えています

また、弊社の2割くらいは外国籍の社員なのですが、これまでは帰省するには有給休暇を取るしかありませんでした。これからはワーケーションの制度を使って仕事をしつつ帰省もできます。私も実家が地方なのですが、ワーケーション制度を使って帰省できれば助かりますし、両親も孫に会えて喜ぶのではないかと思います。

 

小山:テレワーク下での社内コミュニケーションをどのように推進していくか、非常にわかりやすい事例でした。この後は具体的なコミュニケーション方法や女性の活躍についてもお伺いしたいと思います!

 

後編に続きます。

以前からテレワークを導入していた企業もありましたが、テレワークは子育てや介護などで会社に来られない人のためというところが多かったようです。それがコロナを契機にテレワークは一部の人のものからみんなのものになりました。テレワークでどこでも働けるようになり、会社でも自宅でもない場所で楽しみながら働くワーケーションという働き方も出てきました。後編では座談会参加者が、実際にテレワークをしてみて感じたメリットやコミュニケーション不足を解消するための各社の取り組み、時間に制約がある人材でも活躍できる支援について報告します。後編もお楽しみに。

文:我謝 かおり
編集:相場 朋子/小山 佐知子

ライター

小山佐知子

ラシク編集部  旧編集長

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