はじめまして、高野です。
私はとある東南アジアの国にて駐在員の妻、いわゆる「駐妻」として生活しています。
日本では総合職として働いていましたが、夫の海外赴任に帯同するにあたり退職しました。
……退職しました、とあっさり書きましたが、実は退職するまで悩みに悩みなかなか決断ができませんでした。
海外生活や語学習得に不安があったのはもちろんですが、それより何より私を迷わせたのは夫についていくには、仕事を辞めなければいけないということでした。
退職を躊躇するのは「バリキャリ」だけじゃない
私は俗に言う「バリキャリ」というタイプではないと自認しています。
しかも、とても失礼な言い方ですが、勤めていた企業にも職種にも特に思い入れはなく、仕事は仕事と割り切り淡々と働いている、という感じでした。
夫が海外勤務を希望していることは前々から知っていました。友人に「もし海外行くことになったらどうするの?」と聞かれれば、
「うーん、別に好きな仕事じゃないし、辞めてついていこうかな?」と軽い気持ちで答えていたものです。
しかしいざ当事者となってみると、「OK! じゃあ私は会社辞めるね!」と即答できない自分がいました。
職がなくなる、という状況を初めてリアルに実感してとても怖くなってしまったのです。
「同期達が出世に向けてより一層仕事に励む時期に、専業主婦というブランクは痛手すぎやしないか」
「仕事を辞めてしまって、またどこかに再就職できるのだろうか?」
そんな思いに駆られ、足がすくんでしまいました。
当事者になって初めて知る仲間
悩んでいることはあまり大々的に人に話してはいませんでしたが、しかし噂というのはどこからか広まるもので、会社で「旦那さん、海外に転勤するんだって?」と話しかけられることが増えました。
あるときは、自身が海外勤務経験のある同僚。奥さんが仕事を辞めた経緯、海外で奥さんがどんな暮らしをしていたかをシェアしてくれました。
あまり話したことのない人から「突然すみません。実は私の夫も海外赴任になるかもしれなくて…… お話いいですか」と言われたことも、一度や二度ではありません。
さらには「〇〇部に新しく入った△△さん、旦那さんについて海外住んでたことあるって聞いたよ。話聞いてみたら?」なんていう情報も入ってくるように。
それまで全然知らなかったけど、パートナーの海外勤務に伴い「自分のキャリアをどうするか」悩んでいる人って、実は身近にもたくさんいたのだと知りました。
そして、悩んでいる当事者は同じ悩みを持つ仲間を求めているということも、よくわかりました。
悩みを打ち明けづらい駐妻という立場
いざ海外に来てみても、キャリア継続のために何ができるか日々考えている駐妻さんを多く目にし、さらに駐在を終えて帰国した人々もまた、別の悩みを抱えていると感じます。
しかし世間的には、「駐妻って海外でいい暮らしをしているんでしょ」と思われがち。そのイメージが先行していることもあり、なかなか人に悩みを打ち明けらないという現状があります。
そんな中「ワーママを、楽しく。」をコピーに掲げるこのラシクで、駐妻にスポットを当てた情報発信がスタートすることになりました。
駐妻は厳密にいえば「ワーママ」ではないかもしれません。それでもキャリアについて考えているし、同じ悩みを持つ仲間や情報を求めています。
私自身が駐在して感じたことを共有するだけでなく、駐妻経験のある方々にもお話をうかがっていく予定です。
駐妻のみならず、何らかの都合で一時的に職を離れている方々とも共有できることがたくさんあるのではないかと願っています。
ライター