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2023.05.19 2023/05/18

1年目で企業理念策定や採用を担うことも!
「信頼」で若手の成長を育む山形の工務店

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1年目で企業理念策定や採用を担うことも!<br>「信頼」で若手の成長を育む山形の工務店

山形県南部の置賜地方を中心に、建築業を軸とした事業を展開する株式会社ホリエ。「リゾートに、住まう。」というコンセプトのもと、一級建築士と自社職人によって造られる高品質・高性能な住宅は、地域住民の豊かな暮らしを支えています。

同社で特徴的なのが、「ミッション・ビジョン・バリュー(以下MVV)策定」や「採用活動」など、企業の根幹となる業務を若手社員に託すプロジェクトを実施していること。入社1、2年目の社員がリーダーとなって業務を進めることもあります。

設計課でインテリアコーディネーターのリーダーを務める有住和華(ありすみ・のどか)さんは、2019年の新卒入社から同プロジェクトに関わり、自らの成長を実感しているひとりです。有住さんに、取り組みの内容やご自身の関わり方、成長などについてうかがいました。

住宅提案を軸に“生きるを、彩る”
近年は福岡や岐阜からの新卒社員も

有住和華さん / オンラインで取材しました

編集部はじめに、ホリエさんの事業について教えてください。

有住和華さん(以下、敬称略。有住)当社は「シエルホームデザイン」という住宅ブランドを主軸に、山形県置賜地方やその近隣エリアで建築事業を展開しています。ミッションとして据えているのは「生きるを、彩る」です。一人ひとりの理想的なライフスタイルを実現するために、近年はレストラン事業やホテル事業などにも手を広げています。

編集部若い社員さんが多いとうかがいました。

有住そうですね。社員数は68名(2023年5月現在)、平均年齢は32.9歳で、地方の建築会社としては年齢層が若めだと思います。

編集部山形や東北の社員さんが多いのでしょうか?

有住周辺地域の社員が多いのですが、近年は、当社の事業や思いに共感して遠方の方が応募してくださるケースも増えています。昨年は福岡、その前は岐阜からの新入社員がいました。

編集部普段の社内は、どのような様子ですか?

有住部門や立場を超えて、すべての社員が垣根なくコミュニケーションを取っています。入ったばかりの社員が社長と一緒に仕事をしたり、直接アドバイスをもらったり。反対に、後輩が先輩に何かを教えることもあるんです。自分の気持ちや考えを安心して伝えられるので、挑戦しやすい環境だと思います。

編集部若手主体のプロジェクトも、そういった社風がベースにあるわけですね。

有住そうですね。「新入社員だから」とか「経験が浅いから」と、立場によって行動が制限されることはありません。組織として若手社員を信頼してくれていて、すべての社員が意思決定に参画できる。そんな基盤があるからこそ、各プロジェクトが成立しているのだと思います。

挙手制で誰でも参加可能!
決定権もプロジェクトメンバーに与えられる

入社2年目に手がけたシェアハウスのリノベーション。家具・内装を担当

編集部若手主体のプロジェクトについて、概要や代表的な取り組みをうかがえますか?

有住内容としては、MVV策定や採用活動など企業の根幹となる業務を、一貫して若手社員が担うものです。参加は任意で、年齢や在籍年数、スキルなどの条件はなく、挙手制でメンバーを募ります。
決定権を持つのも、プロジェクトに参加している若手社員。たとえば現在、採用プロジェクトのリーダーとして決定権を持っているのは、2年目の社員なんです。

編集部決定権まで持たれているとは驚きです。

有住正確にいうと、決定後の運用まで担うんですよ。例を挙げると、MVVを決めた後の組織づくりや、採用後の研修も担当します。当社には人事部が存在しないので、実質的にはプロジェクトメンバーが人事を担っていることになりますね。

編集部有住さんは、プロジェクトにおいてどのような業務を担ってこられましたか?

有住私は入社1年目でMVVの策定に携わりました。住宅って、よく「一生に一度の買い物」と表現されるのですが、私たちがつくっているものには、「一生に一度の買い物であること」を超えた価値があると思っています。それを言語化して、現在のミッションである「生きるを、彩る」を考案したんです。
運用について付け足すと、MVV策定後にスタートした「未来会議」と銘打つプロジェクトにも参加しています。これは「10年後に30拠点」を目指すために、会社づくりに何が求められるかを考えるものです。

編集部ちなみに、採用ではどのような役割を?

有住採用に初めて関わったのは入社2年目で、主にリクルーターのような立場で自社の魅力を伝えたり、求職者の相談に乗ったりしていました。現在は、最終面接のひとつ前の面接を担当することが多いです。

編集部責任のある業務だと思いますが、プレッシャーはありませんでしたか?

有住正直はじめは、「私が入って大丈夫かな……」という不安がありました。ですが、みや疑問は先輩にどんどん相談できますし、その場合も最初から否定されたり、摩擦が生じたりすることなんて絶対にありませんでした。そんな環境で活動するうちに、ワクワクの方が圧倒的に大きくなりましたね。

悩める企業に変革を起こした過去
プロジェクトの背景には社長自身の成功体験が

プロジェクトから生まれたミッション「生きるを、彩る。」

編集部若手主体のプロジェクトは、もともとどういった経緯でスタートしたのでしょうか?

有住会社の成り立ちから簡単にお話しすることになりますが、当社は創業から90年以上続いていて、はじめは町の鍛冶屋から始まり、鉄骨業、木造住宅事業と、時代とともにその形を変えてきました。そして現在の住宅事業を今後の軸にしていくという中で、現社長が前社長(お父様)に呼ばれ入社したのが2010年。そこから企業のコンセプトを大きく変え、当時のメンバーで2011年に「シエルホームデザイン」を立ち上げました。
変革を起こそうとする自分を信頼して、事業を託してくれたこと。そして、もがきながらも会社を次のステージへと導くことができたこと。社長にとってそれは自身の成長やキャリアにおけるかけがえのない経験だった。だからこそ社員の成長のために、一緒に働くメンバー、特に若手メンバーには、裁量権を持ってもらいたいと考えているそうです。

編集部社長の経験と社員を思う気持ちが、形になったプロジェクトなのですね。

有住はい。実は私がプロジェクトに参加する前、MVVを社長が決めて、発表する直前の状態まで進めていたそうです。ですが社長が「いや、みんなの意見を取り入れよう」と考え直したことで、プロジェクトとして始まったと聞きました。

編集部プロジェクトを通して感じる、ご自身の変化はありますか?

有住「自分の意見が会社の今後を左右するかもしれない」という責任や仕事の重みを感じるようになりました。ただそういう状況であっても、ひるむことなく、仲間たちと意見を交わして、ワクワクしながら前進できるんです。当社で働く楽しさを伝えたいことも、私が採用に携わっている動機です。

編集部過去に困難を感じた場面がもしあれば、お聞かせください。

有住私のがむしゃらな性格もあって、プロジェクトに積極的に参加していますが、義務ではないのでもちろん参加していない方もいます。その温度差を、自分が勝手に感じることがありました。
だからこそ、お互いの価値観を尊重できる関係性をつくることを大切にしています。たとえば、「目の前にある自分の業務に落ち着いて取り組みたい」と考えるのも、大切な価値観です。一人ひとりの価値観を尊重することは、私個人というより、組織全体で重視していることかもしれませんけどね。

「地方だからこそのかっこいい部分」を伝えたい
会社勤めの概念を超える取り組みを、これからも

同社オフィス兼ラウンジ。運営主体は若手社員、地域住民もオープンに利用

編集部有住さんの今後について、思いをお話しいただけますか?

有住当社が大切にしている「クールローカル」という言葉を、私自身のテーマとしても掲げています。これは「地方こそかっこいい」という意味なのですが、どうしても、「東北は関東より劣っている」と引け目を感じる人は多いと思うんです。
ですがたとえば、町にひとつ当社の取り組みのようなラウンジができれば、それが地域住民の方々にとっての交流の場となって、地域の盛り上がりを加速させることもあります。そんなふうに、地方だからこそ自分たちに提供できる価値ってきっとある。住宅に限らず、皆さんにそういった価値を提供できる活動を、これからも続けていきたいです。

編集部若手主体のプロジェクトには今後も参加される予定ですか?

有住はい、そう考えています。自分自身がプロジェクトを通して成長してきました。こんなにも若手に成長の機会を与えてくれる企業って、まだまだ少ないと思います。今後もプロジェクトに関わりながら新入社員をサポートして、「会社に勤める」という概念を超えるような価値を見出していきたいです。

編集部最後に、組織としての展望についてお願いいたします。

有住最近は新卒採用だけでなく中途採用も強化していて、当社の考えや事業に共感してくれる仲間を、これまで以上に積極的に募っています。
人生一度きり。社員一人ひとりが自分の人生を悔いなく生きると同時に、周りの人にも良い影響を与えられる。そんな企業を目指して、ミッションでもある「生きるを、彩る」を体現できるような活動を、今後も展開していきたいと思っています!

入社5年目の有住さんが、自社の現状や目指す姿について、企業人としての思いを交えながら語る様子から、会社が若手社員を信頼していることが伝わってきました。その信頼があるからこそ、若者たちはプロジェクトを自身の成長へとつなげていけるのでしょう。
この4月、地元である仙台支社に異動した有住さんは、置賜に住んでいた時間が、人生においてかけがえのないものだったと話します。置賜、ひいては東北に彩りを加える有住さんと株式会社ホリエに、ワクワクせずにはいられません。

プロフィール

有住和華さん

株式会社ホリエ インテリアコーディネーター

現社長の考えに強く共感し、2019年株式会社ホリエに入社。戸建て住宅や商業施設関係のインテリアコーディネーター・リーダーとして業務にあたりながら、採用や企業方針に関わるプロジェクトにも参画している。2022年に仙台支店開設とともに地元仙台に戻る。
「生きるを、彩る。」を自分のモットーとしても掲げ、自社で働くことを最大限に楽しみながら業務に勤しんでいる。

ライター

紺野天地

ライター、文筆家

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