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2022.06.14 2023/05/31

テレワーク時代の組織チームワークを高めるヒントにも!?
野球を通して再注目した「同じ釜の飯を食う」の意味

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テレワーク時代の組織チームワークを高めるヒントにも!?<br> 野球を通して再注目した「同じ釜の飯を食う」の意味

生活をともにしたり、苦楽を分かち合う親しい間柄の例えを表す言葉として、「同じ釜の飯を食う」があります。
箱根駅伝の大ファンである私は、優勝常連校となった青山学院大学陸上競技部の日々の様子を追ったドキュメンタリー番組を観るたび、思わず涙してしまいまうのですが、彼らはまさに「同じ釜の飯を食う」同志。ひとつ屋根の下、寝食をともにしながら大会に向けて切磋琢磨する姿には心動かされるものがあります。
スポーツの世界に限らず、ビジネスの世界でも、仕事やプロジェクトを通して仲間と苦楽を分かち合うことがあります。そんな経験で得た「同じ釜の飯を食った仲」は、記憶に残るだけでなく、つながり自体も続いていくものです。
コロナ禍の影響もありますが、最近は、会社で社員みんなが同じ空間で同じものを食べたり、社員旅行や研修合宿に出かける、という機会は減ってきているのではないでしょうか。ジョブ型雇用やフレックス勤務、リモートワークなどの浸透もあり、そもそも日常業務で社員の“気配” すら感じていない、というケースもあるくらいです。こうした背景からも、「同じ釜の飯を食う」は何となく古い考えや組織の形として捉えられることが多いように感じます。
一方で、私は最近、この「同じ釜の飯を食う」は、コロナ禍で混沌とする現代社会だからこそ、いま改めて考えるべき内容なのでは、と思うことがあります。今回はそう感じた3つのエピソードをもとにつづっていきたいと思います。

野球少年たちが教えてくれた、ともに過ごす時間の大切さ


小学校4年の息子は、小学校入学とともに野球を始めました。平日は友だちとキャッチボール、休日はチームの仲間と練習や試合と、野球漬けの生活が続いていましたが、コロナ禍でそんな生活も一変。外出制限でチームとしての活動ができず、近所の公園で父親とキャッチボールするのが精一杯のときは、勉強にも集中できず何かとストレスフルな日々でした。

 

最近は、コロナ前に近い形でチームの活動もできるようになり、可能な範囲で一緒に食事を取ったり、レクリエーションする機会も増え、息子にもかつての笑顔が戻りました。チームとしても、一層団結力が高まり、とてもいい状態にあるのがよく分かり、見守る親としてこんなに嬉しいことはありません。

 

会えばささいなことでけんかになることもあるものの、そうしたありふれた日常の中にこそ、子どもを成長させる要素がたくさん詰まっていると感じさせられます。コロナ前のような合宿はできなくとも、持ち寄ったお菓子を交換しながら遊んだり、みんなでひとつの目標に向かって団結し、切磋琢磨しながら過ごす時間が人を、チームを成長させるのだとつくづく感じました。

 

「同じ釜の飯」は、食事そのものよりも、野球という「場」を介してできる、人と人の深いつながりそのものかもしれない、と実感したエピソードです。

明確な共通目標を持つことで、団結力が磨かれていく


「夢は大きくプロ野球選手」を掲げる息子を差し置き、母親である私がプロ野球選手のリアルボイスを聞ける場に立ち合う機会に恵まれました。「AIG」×「MLB CUP 2022」活動プラン発表会です。このイベントでは、ゲストとして登壇された元 MLB プレーヤーの松坂大輔さんと岩隈久志さんから、少年時代の貴重な思い出話を聞くことができました。

 

私の息子がいままさに野球を通して経験していることや、楽しさ、悔しさ、葛藤といった気持ちは、少年時代の松坂さんや岩隈さんもまた同じように経験し、通ってきた道でもありました。

 

松坂さんは、元々人見知りの性格だったそうですが、「野球チームに入ったことで自分から周囲に話しかける経験ができ、行動が変わった」と話されていました。所属するチームの友だちだけではなく、試合を通してたくさんの友だちをつくれたことも、少年時代のいい思い出だと加えていました。岩隈さんもまた、仲間の存在は大きかったようで、「苦楽をともにした関係は一生モノ。大人になってからも親しい交流が続いています」と話されていました。

 

松坂さん、岩隈さんと一緒に登壇されていたプロゴルファーの東尾理子さんのお話もまた、同じ母親として共感することばかり。子どもの活動を支える親同士も、同様に団結力が高まるそうで、共通の目標や夢を持って切磋琢磨することの素晴らしさを語ってくださいました。

 

AIGジャパン・ホールディングス株式会社およびAIG損害保険株式会社代表取締役社長兼 CEO のジェームス・ナッシュ氏も、「チームにかかわる喜び、仲間との関係が生涯続く喜び、そして何より子ども時代に“夢を目指すワクワクした気持ち”を持ってほしい」と続けられました。

 

登壇された方たちのエピソードから、「同じ釜の飯」は、共通の目標そのものなのではないか、と考えさせられました。一緒に笑い、ときには衝突しながら目標に向かう経験は、VUCAと呼ばれるこれからの時代を生きる子どもたちの生きる力になっていくことでしょう。

テレワーク時代のコミュニケーション課題に生かすヒント


「同じ釜の飯」の意味するところが人と人のつながりや、共通の目標そのものだとしたら、私たち大人たちにとっての「チーム」にも応用できることはさまざまあるはずです。

 

私は2年前からほぼリモートワークで仕事が完結できるようになった一方で、物理的に人と会ってコミュニケーションする機会もぐっと減りました。同僚との「会社帰りの一杯」もなくなったことで、こうした時間が意外にも、自分のストレス発散や気持ちの切り替えに役立っていたのだと気付くこともありました。

 

ジョブ型雇用を基本とする欧米に比べ、メンバーシップ型(業務内容や勤務地、労働時間などが定められていて、総合的な知識とスキルを必要とする働き方)を基本とする日本では、そもそも職場の人間関係を重視する風潮があります。テレワークを積極導入した企業の中で、生産性や業績を保つことができている企業とそうではない企業が分かれているようですが、苦戦している企業はテレワークの制度や業務プロセスの整備以外に加え、コミュニケーションに課題を感じているケースが多いように感じます。

 

テレワークでは、社員同士が実際に顔を合わせることができないからこそ、お互いに信頼し合って協力できるチームづくりが重要といえます。一時流行したオンライン飲み会も、リアルの臨場感を得ることは難しく、「オンライン飲み会疲れ」を感じた人もいるようですから、コロナ禍の状況を見つつ、リアルとオンラインを上手に使い分けしながら、チームワークを高める工夫をしていく必要がありそうです。

 

いずれにしても、リモートワーク、テレワークは手段でしかないことを考えれば、本質的な要素である目標の共有やそのためのチームづくりは、私たち大人社会の大きな課題です。純粋な気持ちで好きなことに向かう子どもとは違うものの、同じ釜の飯を食いながら頑張る子どもたちから学べることは多々あるように思います。

コロナ禍とともにフリーランスとして独立し、複数の企業のプロジェクトに参画する私は、対面でのミーティングを重視しつつ、日常業務はリモートワークで集中して行っています。生産性を維持しながら、チームの一員として組織に貢献し、目標達成する方法を日々模索しています。チームとしての成果の出し方に正解はないと思いつつも、目標へのイメージをしっかり共有することが何よりもの近道だと実感しています。そんな部分は、ひたむきに練習に励む野球少年たちと通じる部分が多々あります。

ライター

ラシク 編集部


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