男性育休を取得したコンサルマネージャーが思うこと
「キャリアの分断」が個人も事業も成長させる

ラシク・インタビューvol.222

株式会社Works Human Intelligence 赤津克明さん

近頃話題の男性育休。厚生労働省の雇用均等基本調査によると、2021年度の男性育休取得率は過去最高(13.97%)を記録したものの、2025年までに30%という政府目標には、まだまだ届かない数値です。

人事システムの開発・販売を手掛ける企業、株式会社Works Human Intelligence(以下、WHI)の赤津克明(あかつ・かつあき)さんは、第2子の誕生に際して育休を取得しました。コンサル部門のマネージャーを務めていた赤津さんは、育休取得を経て、「育休による“キャリアの分断”はキャリア再考のチャンスだ」という思いが強まったそうです。いったいどういうことなのか、育休を取ったきっかけや育休で生まれた変化、男性育休取得率アップにつながる会社の取り組みとあわせてうかがいました。

「180社の顧客と62人の部下をもつ部門長が3ヶ月の育休をとってみた。|はたらくを楽しくする理由 #009」

マネージャーだからこそ男性育休がキャリアにプラスに

赤津克明さん / オンラインで取材しました

編集部:赤津さんは、お2人目が生まれるときに、3ヵ月間の育休をお取りになったのですね。

 

赤津克明さん(以下、敬称略。赤津):はい、年子でしたので「こりゃ無理やな」と。1人目のときは、育休取得を考えることはなかったんです。当社が分社により設立されたばかりだったというタイミングもありますが、正直、育児の大変さを想像できていなかったんですね。東京への転勤が決まっていましたから、平日はほぼ東京に出張していました。育児を妻の実家に手伝ってもらえる環境は整えましたが…。

 

編集部:お1人目での育児経験を経て、育休を取ろうと思われたのですね。赤津さんはマネージャーというお立場ですが、ためらいはありませんでしたか?

 

赤津:むしろ、マネージャーとしてのキャリアにプラスになると考えていました。当社は平均年齢が30代前半と若い会社ですし、今後、育休を取得するメンバーが必ず出てきます。育休を取るとどんな状態に至るのかを、自分自身で体験しておくことは悪くないと考えたのです。加えて、マネージャーである私が育休を取得することは、誰でも取得できるというメッセージになる。デメリットはありませんでした。

 

編集部:なるほど、そうして3ヵ月の育休を取得されたのですね。

 

赤津:はい。2021年の3〜5月にかけてです。そして2022年の春には、妻が仕事復帰するにあたって、1週間の休暇を取りました。これには有給休暇を充てています。育児・介護休業法の改正により、2022年10月から育休の分割が可能になるので、より柔軟な育休取得が可能になりますね。

 

編集部:法制度にとらわれず、柔軟に働き方をつくっている様子がうかがえます。

 

赤津:そうですね。実のところ、当社は男性育休を推進しているわけではありません。行っているのは、多様な考え方を持つ一人ひとりに向き合って、それぞれに合う働き方をつくること。結果として男性育休の取得率が上がっていますが、育休を取りたい人も取りたくない人も、負荷なく自分自身の選択をできることが大切だと思います。

男性育休によるキャリアの分断は、デメリットではなくメリット

部署横断型のプロジェクト会議の様子

編集部:赤津さんは実際に育休を取得して、変化はありましたか?

 

赤津:メンバーへの声のかけ方が変わりました。私自身、仕事を離れることに対して「申し訳ない」と思う気持ちが、想像していた以上に生まれまして。メンバーが育休やいろんな理由で休むとき「申し訳ありません」と私に言いますが、「全然、問題ないよ。普通のことだから心配しなくていいよ!」と全力で返しています。育休前も言っていたはずですが、実体験を得て、共感する気持ちが強くなりました。

 

編集部:きっとメンバーの方もほっとされますね。

 

赤津:それから「キャリアの分断はしたほうがいいよ」とも言うようになりました。積み重ねてきた日常を変化させるのは、人の脳の構造上なかなかできないことです。つい同じやり方を続けることを選ぶ方が多いと思います。育休は、積み重ねをいったん分断せざるを得ない機会。一度離れることで「自分は何をしていきたいんだっけ」と、見つめ直す時間になります。

 

編集部:まだ世の中では育休によるキャリアの分断をネガティブに捉える向きがあると思います。そうではなく、分断はポジティブなことだと。

 

赤津:はい。分断によって見直しの期間を持つのは悪いことではありません。今までのやり方を続けたいと思う人もいれば、変えたいと思う人もいるはず。なんとなく続けるのではなく、自分で納得して選んだ状態で次に進めるのではないでしょうか。また、私の場合は子供がお昼寝をしている時間を利用して「学び直し」に取り組むなど、育休中ではありましたが、キャリアの面で新しいことに挑戦するチャンスにも恵まれました。
新たな取り組みを通じて、自分の視野を広げることができたと感じています。

 

編集部:仕事を離れることで、今後のキャリアを考える時間になりそうですね。あえて分断させるという考え方、新鮮でした。

男性育休を後押しする「キャリアが途絶える不安をサポートする取り組み」

「Respectプラン」を使って里帰り出産の立ち合いをした社員

編集部:ところで、WHI様では働きやすい環境が整えられている印象ですが、男性育休を取得する上でも後押しになっているのでしょうか?

 

赤津:そうだと思います。キャリアが分断されるとき、性別を問わず誰もが不安な気持ちになりますので、不安を解消できる取り組みがされています。

 

編集部:どのような取り組みがあるのでしょうか?

 

赤津:社内Slackの「パパママチャンネル」では近況報告や相談が盛んですし、毎月開催しているリモート座談会でも子育てがテーマの回があります。ある社員はキッズコーチングの資格を持っていて、自主的な勉強会を開いてくれています。

 

編集部:子育て経験者の話を聞けるつながり、ありがたいですね。

 

赤津:制度としてもたとえば、社員自身が勤務地を決められる「Respectプラン」があります。3ヵ月以内の期間限定で、育児、介護、キャリア開発などのライフステージに合わせて、日本全国どこからでも勤務可能とする制度です。ある男性社員は、パートナーの里帰り出産に合わせて利用し、パートナーの実家から仕事をしていました。出産への立ち会いも新生児の育児も一緒に経験できたそうです。
 
WHIは「複雑化、多様化する社会課題を人の知恵を結集し解決することで『はたらく』を楽しくする」とミッションに掲げていますから、われわれ自身が最も「はたらく」を楽しめるような制度・風土づくりがされてきました。

 

編集部:充実した環境ですが、課題もあるのでしょうか?

 

赤津:育休で直面する不安などの「実感」は、当事者でないと分かりません。働きやすい職場づくりを志向する会社ではあるものの、「育休で経験した実感」はきちんと伝えていかなければ、他の人は当事者の困りごとを知ることはできないのです。

 

編集部:なるほど、経験者が伝えていくことが大事なのですね。

 

赤津:ただ、伝える側には「こんなことを伝えていいのか」、聞く側には「こんなことを聞いていいのか」と遠慮が生まれます。当社の場合は、社内報で様々な情報を発信しており、子育て中のパパ・ママや、育休取得者の経験談などが取り上げられることがあります。私も取り上げていただいたことがあるのですが、記事を見た他部署の社員から1on1などで育休取得に関して相談されることが増えました。社内でコミュニケーションできる場を人事の方がつくってくださったことによって、育休について悩むことがあれば、誰に相談することができるのかが分かり、相談される側も相談者に対して何を伝えればいいかが分かるのです。

 

編集部:社内コミュニケーションのしくみづくりも大切なのですね。制度・風土を含めトータルな取り組みが、育休を取得しやすい環境の背景にあることがうかがえました!

仕事を離れる経験で個人の自律性が高まる 会社と個人が対等な関係に

カフェスペースで情報交換

編集部:赤津さんは育休を終えられたわけですが、復帰後もパートナーさんとともに育児を担っていらっしゃいますね。

 

赤津:先日も、風邪で保育園を休んだ子どもにご飯を食べさせながら、リモート会議に出ていました。当社の場合は、オンラインの画面を通じてみんなの家族模様が見えるのは普通ですし、お客さんとのリモート会議に子連れで出ることもあります。ですが、やはりまだ社会には、それが難しい雰囲気があると思います。次世代はある意味“みんなの子ども”なのに、まるで悪いことをしているかのように、子どもと大人の生活を分けないといけない。そんな現状は、壊してもいいですよね。
 
ただ、自分自身がきちんとパフォーマンスを上げていることが大前提だと思っています。仕事の成果が出ない理由を「子どもがいるから」とするのは、子どもに対しても失礼です。

 

編集部:子どもの存在をマイナス要因にするのではなく、チカラにしていきたいですね!育休経験者として、赤津さんが今後やっていきたいことはありますか?

 

赤津:キャリアの分断を恐れないで、と伝えていきたいです。人間は変わることを恐れる傾向があると思いますが、変化が大きい今の社会では変わり続ける必要があると考えています。自分のキャリアを怖がらずに選んでいく上で、育休をうまく使えたらいいのではないでしょうか。
 
積み重ねてきた日常から離れて、自分を客観的に眺め、自律的に選択して実行する。そんな経験を仲間に勧めていきたいです。会社を単なる働く場として受け身で捉えるのではなく、自分の意思でこの会社で働くことを選ぶことができれば、会社と社員はより対等な関係になって事業の成長にもつながると思います。

 

編集部:男性育休の普及は個人の成長につながるのはもちろんのこと、事業の成長にもつながっていくのですね。今日はありがとうございました!

一見ネガティブなことに思える「キャリアの分断」。長期に渡って職場を離れるとき、「無事に復帰できるだろうか」「取り残されてしまわないだろうか」と多くの人が不安を抱きます。ですが赤津さんが言われるように、分断によって得られることもあるのですね。子どもの誕生は人生の一大事。仕事を離れ、物の見方が少し変化する方も多いのではないでしょうか。社員がそんな経験をすることは、企業にとってもメリットなのだと感じました。

赤津克明さんプロフィール
Customer Success Div.SaaS Version Up Dept. Dept Mgr
2013年10月、Works Human Intelligenceの前身である株式会社ワークスアプリケーションズに入社後、営業、システム導入コンサルタント、カスタマーサクセスコンサルタントを経験。2021年育休取得時は、製造業のお客様約180社のカスタマーサクセスの責任者を担当していた。現在は、2児の子育てをしながらSaaSへ移行するお客様支援の責任者を務めている。
HP:株式会社Works Human Intelligence

ワーママを、楽しく。LAXIC

文・インタビュー:近藤圭子

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