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2020.03.23 2023/02/15

【緊急取材】新型コロナウィルス対策で学校が全国一斉に休校!
その時ママ区議たちはどう動き、どう考えた……?

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【緊急取材】新型コロナウィルス対策で学校が全国一斉に休校!<br>その時ママ区議たちはどう動き、どう考えた……?

2月27日夕方、新型コロナウィルス対策で全国の学校に臨時休校要請が入りました。え? こんなに急に? いきなり春休み突入ってどういうこと? 仕事はどうしよう? 学童は? 勉強は誰がみるの? 子どもの居場所は……?

誰もがニュースの内容を疑ったと思います。政府の一方的な要請に、学校も先生も親たちも大慌て。また、どうして子どもにしわ寄せが……! やるせない気持ちでいっぱいの中、地域のリーダーとしてママ区議が正しい情報をSNSで伝え続けています。そこで、前回の座談会記事(座談会記事リンク)で登場いただいたママ区議たちに改めてオンライン取材を敢行(3月4日・5日)。

この緊急事態の中、区議としてどう動いていますか?

渋谷区議神薗まちこさん「正しい情報をわかりやすく伝えて、行政には区民の不安な声を届ける」

編集部:(インタビューは3月4日朝)先週末の突然の休校要請でしたが、渋谷区としてはどの様に対応を?

 

神薗まちこ区議(以下、敬称略。神薗):渋谷区の放課後クラブ(渋谷区では学校敷地内に専門事業者をいれ、希望のあった児童を全員受け入れられる体制になっています。他自治体と合わせるため、以下「学童」とします。)では、原則、就労している家庭の子どもたちを受け入れてくれました。会員以外の子どもたちにも柔軟に個別対応してくれています。国と東京都からも費用の足りない部分は補填が発表になりましたが、大変なのはスタッフの人員確保だと思います。でも学童の先生方が踏ん張ってくださっているので、親は働き続けることができるので感謝です。

 

編集部:その中で神薗さんはどんな役割を?

 

神薗:行政や各機関と区民との間をとにかくつないでいます。教育委員会がOKした情報は、早く区民の皆さんに届くようにコンパクトにまとめてSNSで発信し、正確な情報を区民に届けています。そして区民の不安な声を集約して行政に伝え、今後は、改善点などを集約して提案していきます。

 

編集部:具体的に区民からの問い合わせや相談は?

 

神薗:ありました。学童に関しては声が上がっていたので、教育委員会からの発表を待つ間に「保護者からはこういう不安や要望がきている」とメールでお伝えしました。ただ、メール一本でも対応に手を取られてしまうとこの緊急事態に申し訳ないので「情報は提供するけれども返信不要です」とひと言添えて。

また、学童に通っていない児童の保護者の方々からも「子どもたちが安心して、外で遊べるようにしてほしい」と要望が上がっています。文部科学省からも、問い合わせが多かったんでしょうね。3月11日に、自宅で過ごす子どもたちはかぜのような症状がなければ、「屋外の運動を妨げない」とする見解を示しています。一番良いのは、学校の校庭を開放することなのでしょうが、施設の管理や子どもたちの安全を誰が見守るのかといった課題もあります。保護者の方々からいただいた要望書を同会派の森田由紀議員と一緒に区長・教育長へお渡しし、感染や安全のリスクも鑑みながら、どういった対応がベストか検討いただいています。

 

編集部:学童以外での動きもありましたか?

 

神薗:特別支援学校に通っているご家庭から「児童・生徒を受け入れてくれる学校とそうでない学校がある」という課題があがっていました。都のサイトを見ると「保護者の都合により自宅等で過ごすことが困難な子供、子供たちの精神的な安定という観点から配慮が必要な場合などには、必要に応じて学校で過ごせるよう配慮」とあり、学校によって判断が分かれるような発信になっていました。困っている区民がいることを都議会の龍円愛梨議員とも共有して、東京都教育委員会に働きかけていただきました。

 

編集部:議会の動きはどんな様子なのでしょう?

 

神薗:今回の議会が3月終わりまで続くので、その間、もし誰か発症すると議会が止まってしまいます。いろんな条例や予算の審議が可決されないと来期の行政事業がストップしてしまうので、とにかく早めに本会議で決めようと動いています。これは議会側ができる配慮ですね。

 

編集部:改めて今回のことで難しいと思ったことはありますか?

 

神薗:やっぱり自然災害と違って目に見えない感染症なので、手助けしないといけない人や場所が目に見えづらい。それに誰が感染するかわからないから、全員が気をつけないといけない中で、情報戦みたいになっているのが難しいですよね…… トイレットペーパーの問題もそうですが。

 

編集部:正しい情報が届いていない、収集できない、もしくは届くのに時間差がある…というのは感じますね。

教育、働き方、地方行政…… 様々な意味でパラダイムシフトが起きる

編集部:今回の発表に対しては、個人的にどう思われますか?

 

神薗:一斉休校の発表をするにしても、どうしてもう少しタイミングを見計れなかったのかが、とにかく疑問です。木曜の夕方の5時に発信されても現場は動けませんよ。日常生活が混乱しない中で、どう提示できるかが誰も考えられなかったのか…… もしくは台湾のように段階的な対応ができたのでは? と思いますね。落ち着いてから一度、総括しないといけない、と思います。

一方で、千葉市の熊谷市長はじめ、それぞれの地方自治体が科学的なエビデンスを踏まえて、「自分たちの方針で行こう」と迅速に決め、市民に発信され続けているのは本当に素晴らしい動きだと思います。

 

編集部:今後の動きは?

 

神薗:今、エドテック企業が教育コンテンツを無料で提供してくれていますよね。渋谷区の子どもたちはITCタブレットを持っているのですが、教育委員会にセレクションしてもらい、ネットワーク内でも使えるように検討してもらっています。

 

編集部:神薗さんは元ベネッセですから、教育関係者の声が多く届くと思いますが、みなさん教育に関してはどうおっしゃっていますか?

 

神薗:とにかく「この1ヶ月間を子ども達の自主的な学びにどう繋げられるか」を問うている人が多いです。一言で言うと“探究”なのですが、これを理解して、親が子どもに働きかけていると、学校教育を含めてすごいパラダイムシフトが起きると思います。

 

編集部:学校も習い事もイベントも全て飛びましたからね…… 今の子どもたちにとって、時間がこれだけ自由なのって本当に貴重。これくらいの強制ストップがかかる機会って本当にないです。

 

神薗:そうなのです。条件が限られる中、子どもたち自身で考えて「何をして学ぼう」と考えることが大事です。何かをやっていなくても、ただ意識が働いていたり、心で感じられたりしていればそれでいいと思います。結果、学校という既存のカタチを考え直す機会にもなります。みんなで学校に集まってやるべきことってなんだろう。先生たちも再定義するのではないでしょうか。

 

編集部:働き方や教育も再定義を求められつつ、なかなかできていなかった。

 

神薗:色々な意味でも、2020年って転換期になると思いますよ。

 

編集部:本当にお忙しい中、ありがとうございました!

北区区議こまざき美紀さん「学校預かりでの子どもたちへの対応が…… とにかく行き過ぎている学校には改善を!」

編集部:(インタビューは3月5日夜)先週末の休校要請の後、いかがでしたか?

 

こまざき美紀区議(以下、敬称略。こまざき):本当に衝撃で、頭が真っ白になりました。まず「子どもたち、どうしよう」議会中で休めないですし、周りの子育て世代も同じに違いない、と。夫(NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さん)と話をして、これから区の方針が出されるので、その前に行政に対して伝えないといけないことをまず考えました。学童のお子さんはもちろん、学童以外の細かいところ(短時間労働の方などが利用する放課後子ども教室に通うお子さんや、高学年でも一人で留守番できない子など)を取りこぼさないように……! という必死の訴えをメールなどで伝えました。

 

編集部:その訴えは伝わりましたか?

 

こまざき: 夜10時には(保育園だけでなく)学童も通常通りと国の発表もあり、少しホッとしましたが、細かい点ではどういう対応になるのか不安で眠れず。翌朝、文教子ども委員会があったので「就労世帯は学童にいる子どもだけじゃなく、お子さんによっては居場所が必要な子がいる」「児童館や図書館も閉鎖すると、子どもたちの居場所がなくなってしまう」と訴え続けました。行政の方は十分理解してくださっていて、夕方の発表を見て…泣きました。「学年問わず、預かりが必要なお子さんに対して」と間口を広げる配慮がされていてとにかく安堵でした。

 

編集部:思いが通じましたね……!

 

こまざき:しかし、今はもう別の問題が起きています。学校預かりでの過ごし方の指導が校庭での運動禁止、マスクをしていても休み時間も私語厳禁、トイレに行く以外席は離席禁止など行き過ぎている学校があり「子どもが泣きながら嫌がっている」「行きたがらないから家で無理して留守番させている」との声も多数届きました。まさに本末転倒で…… すぐに課長に連絡をして改善をお願いしました。

 

編集部:私も別の区ですが同様の話を聞きました。どうしてなのですか?

 

こまざき:区からは学校での過ごし方の見解を示しているわけではなく、各学校判断となっているのですが、プリントなどに記載されている理由を見ると「感染防止のため」「自宅学習の代替だから」との記載がありました。でも、考えたらわかりますよね。元気な子どもたちが数週間も連日、教室だけでじっと過ごすなんて不可能ですし、そんな環境、大人でもストレスですよ。休校が始まり、このことに気づいてすぐの3月3日には担当課に改善依頼をしましたが、予算特別委員会という大きな初日のスタートの際も、機会あるたびに発言させてもらいました。区からは「過度な指導を行わないよう各学校へ促していく」との積極的な回答をいただきました。

 

編集部:良かったです……!

然るべきタイミングで区議になったのだから、自分がやるべきことを全うするだけです

こまざき:この学校預かりの状況において捉え方のちがう方もいて「みんな離れて座っていて静かに勉強できていてよかった」と。確かに、管理の視点や感染リスクだけを考えたらやりやすいかもしれませんが、子どもたちへのしわ寄せがひどいです。毎日こんな状況だとトラウマになりますよ!

 

編集部:本当ですね。一番、子どもたちのことをわかっている現場なはずなのに。感染ということを考えると、学校としては致し方ないのでしょうか?

 

こまざき:それにしてもエビデンスが薄いですよね。WHOの調査報告によると子どもの感染自体が少ないですし、調査チームが聞き取りを行った範囲では、子どもから大人に感染したと話す人はいなかったと指摘しています。

単に国の方針に従うだけで、感染率の低い子どもたちの環境を著しく追い込まないでほしいと訴えました。そこまで指し示さないと子どもの最善の策がわからないのかなと。あるお母さんが言うには学校は軟禁状態だと。子どもがそういう扱いを受けていてお母さんたちも皆ショックですよ。学校側も「子どもを想うが故」のこととは思いますが、聞いていて、胸が痛いです。

実際、学校預かりには、学童クラブに通っている通常の4割程度しか来ていないそうです。想像以上に少ないですよね。自分は北区にいるから、この状況がわかっていて声があげられるけれど、他の地域ではどうなのだろう…… と。そういう声を拾ってくれる人がいてくれると信じたいです。

 

編集部:こう言った情報をSNSで本当に細かく発信されていますよね。

 

こまざき:行政の文言ってわかりにくいので、なるべく噛み砕いて伝えています。これは私の役割だと思っていますし、これまでそういう発信をしてきている人も、決して多くはないんじゃないかな、と。

 

編集部:ご自身の中でこのうねりをどう受け止めていますか?

 

こまざき:自分が区議になっているタイミングでよかったと思っています。もし私が区議になっていなかったら、この現実を誰が伝えているのか。先ほどの学校預かりの話でも「みんな離れて大人しくしているね、めでたし、めでたし」になってしまう。現場の声を届けるのが自分の役目だし、然るべきタイミングでの区議なのだから、いち早く自分が発信し続けないとダメだと思っています。

 

編集部:議会の方はいかがですか?

 

こまざき:短縮スケジュールになっているのでたくさん詰め込まれていますが、次の予算を執行していくための委員会なので重要です。でも、やっぱり一番の気がかりは子どもたちのこと。北区の子どもたちが子どもの権利を守りながら過ごせているかが本当に心配。やっぱり声を届けていかないと。自分のやることをやるだけです。

 

編集部:北区の子育て世代はこまざきさんがいてくれるので心強いですね。ありがとうございました!

品川区議せお麻里さん「予算委員会でも新型コロナ対策に柔軟な対応を」

(現状を3月3日にメールで回答いただきました)

編集部:品川区議会の状況を教えてください。

 

せお麻里(以下、敬称略。せお):今日から予算委員会が始まっています。通常は大きい部屋に、議員全員(40名)と理事者(区長・副区長、教育長、部長・課長など30名ほど)が集まり、隣の小さな部屋にそれ以外の課長がぎゅうぎゅうに座っているのですが、この緊急事態においてその状況では感染を避けられないということで、窓を開けて換気をし、小さい部屋に理事者は居なくても良いことにし、議員も部屋に20名いれば良いということになりました。 国が要請を出しても、実際には地方自治体の判断に委ねられているので、今は決めなければいけないことがたくさんあります。この委員会に集まっている人たちが集団感染してしまっては、支援が届かなくなりますので、細心の注意を払っています。

 

編集部:決めなければいけない事とは具体的にどんなことでしょうか?

 

せお:主に予算です。今回の学校・幼稚園などのお休みで影響が及ぶ事象に対して、どのように予算を使うかなど。国庫なのか、品川区の持ち出しなのか、一部ご家庭でも負担していただくのか…… もそうですね。

例えば、4月に初めて保育園に入園するが、こういう状況なので育休を延長して5月入園にしたい。しかし国の法律で、育休延長での5月入園は認められていない。国からの通達があれば自治体としてはやると…… でもこのような状況なので柔軟に対応できないか、何か他に方法はないか、検討しているところです。

(取材後、以下の追加情報をいただきました)その後、森沢きょうこ都議と山下雄平参議院議員の、国への働きかけで、3月6日夜に「各自治体は柔軟な取り扱いをするように」と通知がきました。 品川区としても「柔軟な対応をしていく」とのことです。

学校休校がスタートして3週間ほど経ちましたが、想像以上に、子育て家庭への負担がものすごく大きいです。小学生以上の子どもを持つ家庭は特にそうだと思います。「どうして子どもたち、私たちがこんな思いを?」そんな中、正しい情報や区政の動きなどを細かくSNSなどで伝えてくれていることは、とても見えやすく安心感につながります。何よりも「この声を届けてくれている人たちがいる」それだけで安心できますし、「みんなで声を届けながらも、頑張ろう」と前向きに思えてくるのです。今回の件で、ママ区議たちの存在は私たちにとって最強に心強い存在であると実感しましたし、これからももっと応援したい。そして、もっと女性や子育て世代だけでなく幅広い層の声を届けやすくする社会になるためには、もっともっと女性の政治参画が必要だと思いました。

※内容は取材した3月4・5日時点のものです。
※3月18日追記・変更箇所あり。
※3月20日校了。
※日々、状況が変動しています。現時点での状況は各自治体ホームページの発表内容でご確認ください。

プロフィール

神薗まちこさん

渋谷区議会議員:無所属

「渋谷で子どもも大人も育ちあうまちをつくりたい!」と思い、区議会議員に立候補、令和の時代とともに議員活動がスタート。それまではベネッセで全国4,500校の学校を支援し、ソフトバンクや鉄緑会などのパートナーと新規事業も立ち上げた。渋谷をフィールドに、0~3歳の子育て世帯向けのイベント「渋谷papamamaマルシェ」を企画運営、「渋谷をつなげる30人」の4期メンバー、拡張家族Ciftのメンバー、小学1年生女子の母でもある。

こまざき美紀さん

北区議会議員:無所属

産後うつになりかけた経験から、2013年地域団体「北区はたらくママネット」設立。2018年 戸田市役所退職 もっともっと地域社会に関わり、地域をよくする活動を広げたい!15年間務めた市役所を悩みに悩んだ末、退職し、忙しくなってきた地域活動を更に拡大し、地域の課題により向き合うべく、子育て支援のNPOに勤務後、政治家を志す。2019年 北区議会議員。 史上最多の7335票を賜り、トップ当選を果たす。小学3年生の女児、小学1年生の男児の母。

せお麻里さん

品川区議会議員:無所属

1977年東京都生まれ 成蹊高校、成蹊大学卒業。東京医科大学看護専門学校卒業。東京医科大学病院などで看護師として勤務。その後結婚し、約2年の不妊治療を経て、5歳長男(ダウン症)、3歳長女の二児の母。2019年の品川区議会議員選挙にて初当選。

文・インタビュー:飯田りえ

ライター

飯田りえ

ライター

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