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2017.01.11 2023/02/15

小学校入学を機に専業主婦からワーママへ “離職した後悔”を解き放ったのは”ママインターン”だった

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小学校入学を機に専業主婦からワーママへ “離職した後悔”を解き放ったのは”ママインターン”だった

子どもの小学校進学、このタイミングで社会復帰を考える方が多いと思います。しかし「子育て一本の生活をしていた私に何ができるの…?」と、とにかく自信がないママも多いのでは? 今回お話を伺った小林順子さんもその中のお一人。働きたいけど自信もないし、自分にあった働き方が見つからない…そんなモヤモヤを抱えながら7年を費やしていたそうです。そこで出会ったのがNPO法人 Arrow Arrowが提唱するママインターン事業。ブランクが心配な女性に最初の一歩を踏み出すきっかけを持つためのプログラムで、地元で再就職する復帰のためのスキルを磨くだけでなく、新しい価値観や自分を見つめ直すワークショップを受けられたそうです。その後、実際に希望する企業での職場体験を経て、今年の6月に再就職を果たされました。「やっと前の仕事を辞めてよかったと思えるようになりました!」そんな後悔を払拭してくれたママインターンについて伺いました。

結婚・妊娠を機に退社。初めての育児&義父との同居…
ストレスフルな毎日と日々募って行く後悔

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LAXIC編集部:前職はどのタイミングで辞められたのですか?

小林順子さん(以下・敬称略。小林):妊娠中も調子が良くなかったのと、夜中まで働くことが多い仕事でしたので、妊娠が分かって早めに辞めたんです。産後復帰する社員もいましたが、私には頼れる協力者や家族が近くにいませんでしたし、当時、仕事をやりきった感があったので、潔く辞めて専業主婦になりました。そしてすぐに義父と同居生活が始まったのですが、それがストレスで。初めての子育てと同時だったので。

編集部:産後、精神が不安定な時期と重なると、余計そうなりますよね…。

小林:結局、同居はやめたのですが、そうなると経済的負担もかかります。前職はレコード会社のデザイン部だったのですが、辞めたら辞めたで「やっぱり前の仕事が好きだったな」と。

娘が2歳になると、家でもできるレイアウトの仕事を前職場から頂いて、少し手伝うようにもなりました。楽しかったですが、子どもの世話で疲れて自分も一緒に寝たいのに仕事をする…というのも少し無理があるなと感じまして。くすぶりながらも細々とできることをして、その間に他の仕事を探していました。

編集部:どのタイミングでママインターンに出会ったのですか?

小林:まず“セタガヤ庶務部”という活動を見つけたんです。「緩やかだけど本気で働く」という非営利型株式会社Polarisが運営している活動に共感して。子育て中でも「できる人ができることに手を上げる」スタンスなので、縛られることなく、そこでも細々と仕事を始めました。

例えば家でできるテープ起こしだとか文字打ちだとか、また土日なら娘を主人にお願いして外でできる仕事も単発で請け負いました。というのも、前職を辞めた理由のひとつに「全然違う仕事をしてみたい」という思いもあったので。そして娘が幼稚園に入った頃「子どもが小学生になるタイミングで外に勤めるという形で働きたいな」と思い始めたんです。

編集部:働くために調べたり、実際に単発で働いてみたり…常に仕事復帰のための準備はされていた訳ですね。

小林:今思うとそうですね。主婦向けお仕事登録サイトとか色々チェックもしましたが、短時間しか働けない上、通勤時間に片道1時間かけるのもどうかと。それに娘が低学年のうちは、できるだけ早く家に帰りたい思いもありました。そこでセタガヤ庶務部のFacebookで【世田谷】ママインターン1期生の募集を知ったんです。

“専業主婦だから得られたスキル”がある
そうマインドセットしてから自信が持てた

現在の職場で

現在の職場で

小林:それでも二の足を踏んだんです。やっぱり外で働いていないブランクがあったので。で、幼稚園のママ友を誘ってみたんです。自分でも女子っぽいと思いますが…… そしたらのってくれて一緒に参加することに(苦笑)。

編集部:お友達が一緒だと心強いですもんね。実際にどんな内容ですか?

小林:5月ごろからママインターンを運営しているNPO 法人Arrow Arrowの講習を受けました。いわゆるPCソフトの講習とかハローワークでするような内容ではなく、自分を見つめ直すワークショップや、会議などのシミュレーションなど、1回3時間の内容を週1回。全3回ですが働く“きっかけ”をそこで頂きました。

そこから実際に希望した会社でインターンが始まったのが6月、週2〜3で4回ほど行きました。

私は、ママインターン期間の報酬が無償でよかったなと思うんです。「自分に合わないな」と思ったらスパッとやめられるので。無償だからこそ自分の本気度が測れました。

編集部:ママインターンで紹介してもらったのはどんなお仕事ですか?

小林:ブライダルの写真を撮っているスタジオでアルバムのレイアウトをしています。「フォトショップを少し使いますが、初心者でも優しく教えます」というコメントを見て第一希望で出しました。自分がやっていたことが活かせるのと、今までやっていなかった新しいチャレンジができるのも嬉しい。自分の作ったものが形になるということも刺激になります。そして自転車で通える距離というのも理想的。これはもうご縁と思って続けています。

編集部:事務関係やらIT関連やら、十数社ある中から運命的な出会いですね!インターンという形でお互いお試しができるのもいいですよね!

小林:そうなんです。一緒に行った友人は、インターンには行きましたが実際に働いてみて「今は働く時期じゃないんだ」と思ったようです。同じ小1というタイミングでしたが、もう少し子どもと向きあっていたいようでした。でもそれって実際に働いてみないとわからないですから。

編集部:Arrow Arrowさんのワークで印象的だったことはありますか?

小林:主婦になってから「働くこと」に関してはインターバルができて、私自身はそれをどこか負い目に感じてた部分があったのですが、「主婦になったからこそ培ったものがあるんじゃないか」ということを洗い出してくれたワークがありました。それは考えてもみなかったことで、自信になったんです。

編集部:ちなみに小林さんにとって、主婦で培ったものは?

小林:忍耐強さでしょうね。子育てしていて「待つ姿勢」ができるようになったこととか。これに気づいたことですごくやる気が出て、自信をつけさせてもらったんです。

編集部:スキルとしてはやれるのに、自信を失ってしまっている人が多いことは取材をしていてもよく感じます。

小林:あとは企業側の理解もあると思います。「働ける時間短いでしょ」とは言わないけど、そう思っているところでは働きたくなかった。仕事を辞めて専業主婦になって、娘の成長も楽しめましたし、子どもを通しての出会いもかけがえのないものでした。幼稚園の行事も頑張りましたし、卒園前にアルバム委員で燃え尽きましたが、それぐらい楽しかったです。ようやく前の会社を辞めてよかったなって思えました。

編集部:それは素晴らしい!癒えたんですね!

小林:7年かかりましたけど!

家族それぞれの理解のもと外で働く楽しさを知り
改めて子育ての“プライスレス”な楽しさも知る

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編集部:今、実際に働くペースはどのぐらいですか?

小林:週3回10時〜14時で、残業があっても15時ぐらい。こちらの希望の時間に合わせてくれるので助かっています。子どもには「15時すぎに学校でてね」と言えば帰りにも間に合いますし、自転車で20分くらいで通える。3.11のことを思い出すと、徒歩で帰ってこれるぐらいの距離が私にとっては理想なんです。

編集部:自分が再び働くことと、娘さんの小1進学を同時にされたのがすごいなと思うのです。「小学校に入ったら働こう」と漠然と思っている方は多いと思うのですが、実際は子どもと親が同時に変化を迎えるのは大変だと思うんです。

小林:仕事は6月からスタートしたので娘も少し落ち着いていましたし、子どもも私も少しずつシフトしていけました。夏休みには会社側から「午前中だけ働いたら?」って言ってくださったので、午前中だけ働き、娘にはBOP(親の就業状況に関わらず、学校内で遊べる区独自の制度)に行ってもらいました。

編集部:お子さんは働くことに対してどう思ってますか?

小林:最初はBOPに行くのを少し嫌がっていたんですが、今は自分なりの遊び方や生活の仕方を見つけています。仕事をしていることでネックになることは何もなくて、家族がそれぞれ新しく生活のスタイルを見つけています。夫も「疲れてたらご飯簡単でいいよ」と言ってくれるので、それなりに気を使っているのかな?

編集部:いいですね。専業主婦から働き始める時に、旦那さんの協力が得られないで嘆いている人も多いと思うので。

小林:元々は専業主婦になって家のことをやってくれ、と言われていましたが、私が仕事をすることになって「お互いできることは協力しよう」という気持ちになってくれています。元々ハードな仕事をしていたのを知っていますし、子育てでストレスを抱えているのも見ていますから、仕事をすることで目線が変えられるのであれば良いと思っているようです。

編集部:以前の働き方を知ってくれているのは大きいですよね。

小林:そうですよね、土台があったのもよかったですよね。それに外で働くってやっぱり面白いです。でも一つ気がついたのは子育てと仕事って全然別の土俵で、子育てってこんなに大変なのに好きなものも買えない。でもお金には代えられない素晴らしい体験をたくさんさせてもらった。だから全く別物なんだな、と。

編集部:やりきった!って勢いで辞める人って多いと思うんです。でも後々続けとけばよかったな…と後悔する人も多くて。何か声をかけるとしたら?

小林:時間が解決するというか、準備していればタイミングは必ずやってくるんだと思います。でも自分でやってみようかな、と思った時にやってみることも大事。実際に足を運んでみるのもチャンスを広げる上で大切かと。そこで「今じゃない」って思う時もあると思います。それに働き方って外に出て企業で働くことだけでなく、いろいろ組み合わせて自分でできることを続ければいいのだと思います。これからも今を継続するわけではなく「その時々考えよう」というスタンスですね。

家でできる仕事を細々と続けながらも、基本は専業主婦で子育てを楽しんでいた小林さん。「小学生を機に働きたい」といろいろ準備していても二の足を踏むくらい、7年のブランクは自信を失ってしまうもの。でも「主婦で培ったスキルがある!」とママインターンで気づかせてもらったのは本当に大きいですね。それに働き方に対する考え方も以前とは変わって「その時々考えて、できることをやろう」。このセタガヤ庶務部で培ったフレキシブルさも素敵です。それぞれのプロジェクトに共感して実際に行動に移した小林さん。自分らしいワークライフバランスを体現され、充実した毎日を窺い知れました。

プロフィール

株式会社アンズフォト 小林 順子さん

レコード会社のデザイン部で勤務の後、結婚・妊娠を機に退社。出産を経て、前社からの仕事や、セタガヤ庶務部での仕事を少しずつ始め、子どもの小学校入学を機にNPO法人 Arrow Arrowが実施するママインターンへ参加。現在、インターン先であるブライダルフォトを扱うスタジオにて、週3で勤務。

文・インタビュー:宮﨑晴美(インタビュー)、飯田りえ(文)

ライター

飯田りえ

ライター

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