1. トップ
  2. 働き方・生き方
  3. 執行役員から週3派遣社員、時短勤務の正社員マネージャーへ子どもの成長に合わせ、しなやかに働き方を変えるワーママ
2016.10.06 2023/05/31

執行役員から週3派遣社員、時短勤務の正社員マネージャーへ
子どもの成長に合わせ、しなやかに働き方を変えるワーママ

FacebookTwitter
執行役員から週3派遣社員、時短勤務の正社員マネージャーへ<br>子どもの成長に合わせ、しなやかに働き方を変えるワーママ

洗濯物を自宅まで取りに来てくれる宅配ネットクリーニングサービスとして急成長中の「リネット」を展開する株式会社ホワイトプラス。同社の組織開発グループで、時短勤務で働きながら、採用・人事・広報部門のリーダーを務めている田中雅子さんは、執行役員として働いていた会社を40代で退職し、その後、週3の派遣社員から正社員へとキャリアと働き方を変えてきた経歴の持ち主。今回は田中さん自身のキャリアストーリーと共に、キャリアチェンジの際に利用したサービス「時短エグゼ」運営企業である株式会社ビースタイルの広報柴田さんにも、週3でもやりがいを持てる仕事をするために必要なことなどを伺いました。

int59_1

育休からの復帰、執行役員になったけれど…

LAXIC編集部 齋藤(以下、齋藤):ホワイトプラスに入社される前は、どんなお仕事をされていたのですか?

ホワイトプラス 田中さん(以下、敬称略):前職はエディアというモバイルコンテンツの会社にいたんですが、妊娠・出産を経て、育休明けで執行役員になったんです。娘が5ヶ月の頃、1ヶ月間ベビーシッターを頼んで、3月1日から復帰し、4月1日から保育園に預けました。最初の1年間はそれほど残業しなかったんですが、翌年から夜の8~9時まで保育園に預けていましたね。

仕事が面白かったこともありますが、執行役員というポジション上、全力で頑張らないと役割を果たせないんです。仕事を持ち帰り、子どもを寝かせてからまた仕事をするという日々でした。子どもが熱を出したときは、朝、車で旦那が実家に連れていくなんてこともしていましたね。でも、子どもが成長していくにつれて「これでいいんだっけ」という疑問を感じたんです。

それでトップと相談し、2年ほどかけて新しい人にバトンタッチしていきました。子どもも幼稚園の年齢になっていたので、2~3年は制度外で時短勤務として働きました。

齋藤:時短勤務に変わっても、実際はかなりハードだったんでしょうね。

田中:時短勤務を条件にしていただいてからは、時間通りに帰れてはいましたが、それが他の社員のスタンダードではないので、大変は大変ですよね。今も続く悩みですが、ベンチャーの中で時短を全うするのは、きつい側面があります。

齋藤:その会社を離職された理由は?

田中:子どもが小学校に入るタイミングで「小1の壁」にぶつかりました。学童は6時までなので、会社を5時に出なければいけない。「どうしようかな」というときに、ちょうど会社がソーシャルゲームに事業転換をすることになりました。2つの環境変化が重なり、「ここで新規立ち上げに参加するより、いったん仕事のスタイルを変えたい」と決断しました。

執行役員から、週3日の派遣→直接雇用のパート→時短正社員に

int59_2

齋藤:前の会社を辞めて、すぐ転職されたんでしょうか?

田中:退職して5ヶ月くらい経って、女性に特化した人材サービス会社であるビースタイルの「時短エグゼ」に登録しました。週3くらいなら働けると思い、ネット検索していたところ、見つけたのが「時短エグゼ」で、紹介している仕事がアシスタント的なものばかりでないことに興味を持ったんです。そして担当者に紹介して頂いたのが、現在の会社です。当時はまだ小さなオフィスでしたが、仕事が面白そうで。

齋藤:フルタイムでばりばり働いていたのに、週3くらいの働き方に変えたのはお子様のことがあるからですか?

田中:私自身、もともとキャリア志向が強いわけじゃないんです。なぜ仕事を続けているかというと、女性には仕事とか子育てとかいくつかやらなければならないことがありますが、私の性格は家寄りというよりも外寄り。家の中にずっといると時間が余ってイライラしてしまうんです。

齋藤:フルタイムから週3に移行して、物足りないと感じることはありませんでしたか?

田中:週3の時は、この働き方もありだなと思っていました。仕事に負荷がかかりすぎると心にゆとりをなくして、家に帰った時の子どもへの向き合い方がひどいんですよ。「後にして」「早くして」みたいに言う自分も嫌で。

齋藤:それから、またフルタイムに変わったきっかけはなんだったんでしょうか?

田中:当時担当していたミッションが終わった頃、代表から「人材の採用をやりたい。できますか?」と尋ねられたんですね。「やったことないけど、できるでしょう」と請け合いました。

齋藤:そこで「やったことがないからできません」となるか「できます!」となるかの違いは大きいですね。

田中:ベンチャーで人事専任はとても置けない。通常はコアメンバーが採用をするんでしょうが、当初はどういう風に採用するのか、代表と手法から模索しながら作り上げました。現在はひととおり採用フローができ、それをブラッシュアップしていく段階に入っています。ただ、採用業務の担当としては、レスが遅い、ない、というのはあまり良くないですよね。それで「毎日来ましょうか」となったんです。

齋藤:時短で毎日出社するようになり、その後正社員になられるんですよね。

田中:時短のアルバイトなのにマネージャーになったんですよ。さすがにおかしいということで正社員にしてもらいました。正社員にこだわりがあったわけではないけれども、状況がそうさせた形ですね。

齋藤:時期的にお子さんも手はかからなくなっていましたか?

田中:子どもが小学校に入学して1年経った頃で、もう1人で帰って来れるし、家で迎えなくてもなんとかなるという状況でした。だいぶ独り立ちをしてくれるようになったんですが、小4で学童がなくなるので、今はそこがちょっと頭が痛いところです

時短だからこそ時間内に成果を

int59_3

齋藤:ビースタイルの「時短エグゼ」に応募したのは45~6歳とか。失礼なことを伺いますが、年齢的に不利だと考えませんでしたか?

田中:現実的に考えるとそうですよね。私自身、採用をやっていますので、よくわかります。

ビースタイル 柴田さん(以下、敬称略):弊社、時短エグゼの登録者は30代後半~40代前半が一番多いですね。そして企業側も専門的なスキル・経験を持つ人材が不足しているので一度主婦の実力を知るとリピート率が高いんです。ここ最近は、優秀であれば年齢は問わないという企業が増えています。

齋藤:「時短エグゼ」さんで紹介されている仕事は、一般的にイメージする派遣や時短勤務の仕事とはやりがいも仕事内容も違いますよね。

柴田:派遣や時短勤務だと任される仕事が限定的なのではと不安を覚える方もいるのですが、近年は企業側の姿勢が変わってきたと思います。正社員と同じような仕事を任せる企業が増えていますね。

齋藤:そして派遣というポジションで働いてみた後、田中さんのように正社員への登用もありうるということなんですね。

田中:私は、最初から「正社員」と言われたら重すぎてやめていたと思うんです。週3だから「とりあえずやってみよう」という気持ちになれた。私だけではなく、企業側も同じ気持ちだと思います。最初から正社員でと考えなくていいのは主婦ならではのポイントのような気がします。

齋藤:田中さんも会社役員経験者ですが「時短エグゼ」にはそういう方の登録も多いのですか?

柴田:管理職・専門職・企画職の経験がある方が多くいらっしゃいますね。なかには育休中に時短エグゼに登録される方もいます。また自営業やフリーランスの方の兼業も多いですね。

齋藤:現在子育て中で、これから再就職を希望する女性がやっておいた方がいい事があれば教えて下さい。

柴田:二つあるんですが、ひとつはキャリアの棚卸しをきちんとご自身でしてほしい。何ができるのかと、これからのキャリアプランを自分の意志で決めておいてほしい。田中さんように、専門外の仕事を紹介されるケースもあるので、広い視野で見ていただければと思います。

「時短エグゼ」に応募された上で働くということは、時短でも成果を出す必要があると思っていただきたいんです。柔軟性や理解がある企業さんに紹介させて頂いていますが、働く側も成果を出すという気持ちを持って頂かないと、いいパフォーマンスが出てこないので。

もし今育休中などで時間があるなら、どういう働き方で成果を出すのか、子どもの病気の時のサポートはどうするのか、どういう環境を整えれば対応できるのか、などイメージトレーニングをしておくとスムーズに働くことができると思います。

齋藤:ブランクがあっても活躍できるのはどういう人でしょうか?

柴田:時短でも責任を持って、その仕事をまっとうしたいという気持ちのある方です。いろいろ分析しましたが、婚前のキャリアがある程度あり、7~8年以上、正社員などそれなりに裁量を持って仕事をされていた方が活躍されていますね。

最近は再就職だけでなく転職も多くなっています。正社員としてフルで働かれていた方が時短になると、難しい局面も多いんです。絶対に時間内に成果を上げるために、気持ちを切り替え、さらに仕事の仕方を変えていかないといけないので。時短だから緩く働けるというわけではなく、逆なんです。より一層難しいんですよ。

齋藤:世の中がこうなればもっと働きやすくなるのにと思うことがあれば教えてください。

田中:まず家事分担ですよね。家事って小刻みの仕事が山のようにありますよね。一個一個はそんなにたいした時間じゃないんですが、まとまると負担が大きい。だからこそ、先に帰ったら洗濯物入れるとか、小さなことを少しずつ、男性も当たり前にやってくれるといいですよね。

あとは子育てですね。男女問わず働き方が変わらないとできないと思いますが、お迎えを分担したり、突発的に休めたり、そういうことが当たり前にできたらいいですよね。

齋藤:本当にそうですね。最後に田中さんの今後の目標を教えて下さい。

田中:この年で新しい仕事をいただけるってすごく恵まれていると思います。まだキャリアアップできるというのが、ベンチャーのいいところだと思うので真摯に向き合っていきたいと思います。「誰かの役に立っている」というのが自分にとってキーワードなので、自分が貢献できているかを考えながらこれからも仕事を続けていきたいと思います。

執行役員を経て、週3派遣の仕事へ。そしてまた時短正社員としてマネージャーに。子どもの状況に合わせてしなやかに働き方を変えてきた田中さん。今までのキャリアを活かす手段も整いつつありますが、経験のない仕事でも「できます」とチャレンジしてきたその田中さんの姿勢が新しい道を開いてきたのではないでしょうか。

プロフィール

田中 雅子さん

株式会社ホワイトプラス

短大を卒業後、CRM、販促、マス広告等の企画・マーケティング職を複数社で経験。直近では、モバイルコンテンツ事業の事業部長を経験し、子育てにより退職。約5ヶ月のブランク期間を経て現職に至る。現在、ネットクリーニング、ネットトランクルームを展開する株式会社ホワイトプラスにて、人事と広報部門のリーダーを兼任。

柴田 菜々子さん

株式会社ビースタイル 広報

文・インタビュー:齋藤 有子(インタビュー)・曽田照子(文)

ライター

ラシク 編集部


この記事をシェアする

FacebookTwitter