この状況だからこそ、パパママたちに知っておいてほしい防災のこと
NPO法人ママプラグ理事 アクティブ防災事業代表の冨川です。
新型コロナウィルス感染拡大にともなう緊急事態宣言で、ゴールデンウィーク明けまで保育園や幼稚園、学校に行けない日々が続いていますね。自宅でのお仕事や育児に日々工夫を凝らしながら過ごしていらっしゃる読者のみなさんも多いことと思います。
わが家にも、6年生の娘と年長さんの息子がいます。毎日の外出はほぼ食材や日用品の買い物のみで、3食提供している間にあっという間に1日が終わってしまいます。自分のことにはなかなか構っていられません……
とはいえ、私と娘は、仕事や塾の授業、習い事が全てオンライン化されたりして、それはそれで新しい時代を感じながら過ごしていたりもします。大変な日々がもう少し続きそうですが、みなさんも、体調第一で、前向きに捉えて、新しいことややってみたかったことにトライする期間にしていきましょうね。
さて、今回、こちらにコラムを書かせていただいたのには理由があります。
私は、ライフワークとして、東日本大震災のママ達の支援をきっかけに、家族の防災の大切さを啓発し続けています。
防災対策は人それぞれに違いあり!だからこそ日常生活で「オーダーメイド防災」で最適な備えを
この度の新型コロナウイルスの脅威も、まさに災害レベルの不安に全地球が巻き込まれていると言わざるを得ません。しかしながら、実はもう一つ考えておかなければいけないことがあります。それは、別の自然災害のことです。
もし、いま大地震がきたら……
新型コロナウィルスの蔓延によって、ほとんどの報道や、人々の関心がほぼコロナ一色になっているこの時期ですが、つい先日、関東でもやや強めの地震がありました。
もし! 今、お住いの地域に地震がきたらどうしますか? コロナ禍は長期化が予測されていますから、これからの季節は大型の台風も心配です。
あまり考えたくはないですが、感染病に脅かされている今の日本に大災害が発生してしまったら…… 書いているだけでも背筋が凍りつくような恐怖です。実際、もしもそんなことが起きたら、避難所はおそらく開設されないでしょう。すでに医療崩壊が懸念されているこの状況で、怪我人が多数出たとしてもなかなか受け入れてもらえないかもしれません。そしてライフライン(電気ガス水道)はおろか、交通インフラや物流にも影響が出てくるかもしれません。
もちろん、そんなことが無いように私も祈っているのですが、残念ながら大きな地震は近い未来に必ず来る厄介者です。ですが、逆にいえば「この状況だからこそ」進められる準備がたくさんあるんです!
なぜなら、今は、
- 家族が一緒にいる時間が長い
- 家にいる時間が長い
- 今までできなかった事を行うチャンス
だからです。
過去の災害では、災害時に、なかなか家族の安否がわからず不安で仕方がなかったという声が非常に多く聞かれました。夫婦共働きで、家族がバラバラの時間が多いことが一つの原因でした。
私たちはこれまでの活動の中で、防災の「ハード面(備蓄や耐震対策)」と同様、「ソフト面(家族との情報交換や、災害時のルール作り)」にも取り組んでほしいと訴え続けて来ました。
その点、ほぼ毎日家族が側にいる今、もし大きな地震が来ても、安否がわからない不安はコロナ前よりは明らかに減ると思います。このように、ポジティブに捉えてみると、今というのはこれまでにない「防災がしやすい」期間でもあるのです。
家族が側にいる安心感もありますし、顔を合わせる時間が長いのでルール作りもしやすい。だからこそ、今は家の中の耐震や、備蓄などを見直してみませんか?
備蓄だけが防災対策じゃない
防災といってももちろん、備蓄のために「買いだめに走れ」といっているわけではありません。
家の備蓄を見直して、足りないものを日常的に少しずつ買い足していきましょう。たとえば、お米や根菜類は多めに常備しておくとか、子どもの好きなお菓子を切らさないようにしておく、または、この機会に乾物野菜を子ども達と一緒に作ってみるなんてことも立派な防災です。
今回の騒ぎで、買いだめが起こるスーパーマーケットの様子に、びっくりされた方も多いと思います。無くなってから買いに走るのではなく、常に必要な分をストックしておくだけでパニックにならずに済むということをぜひ心に留めておいてください。これは、食料品だけでなく、日用品も然りですね。
また、家の中にいる時間も多いので、ぜひ、安全な家作りを徹底してみてください。頭上に危ないものは落ちてこないか、大型の家電や家具は固定されているか、家族でとっさに身を寄せられる安全スペースはあるかなど、対策できることはいくらでもあります。
前述の通り、不安なこともたくさんあるのは事実です。しかし、準備していることで、冷静に対応できるようになることもまた事実です。ぜひ、これを機会だと思って、家族の安心につながる防災対策を始めてみてください。
私たちの書籍を一定期間、無料公開しています。お家で過ごす時間を有意義に使って頂きたくて、出版社さんにご協力をお願いしました。
■kindle『子連れ防災』作品ページ 4月10日から6月30日まで
■ブックパス『子連れ防災』作品ページ 4月4日から5月31日まで
■祥伝社HP上での無料公開 4月4日から4月30日まで
本の中には、具体的な防災アドバイスがたくさん詰まっていますのでぜひ活用してください。どんなことにも、強く立ち向かえる力を蓄えていきましょう!
- NPO法人ママプラグ理事 アクティブ防災事業代表 冨川万美
- 青山学院大学卒業後、大手旅行会社、PR会社を経て、出産を機にフリーランスに転向。東日本大震災で被災母子支援を行って以降、防災事業を中心としたNPO法人ママプラグ設立に携わる。二児の母。東京都のプロジェクト「東京くらし防災」編集検討委員。『子連れ防災手帖』『子連れ防災実践ノート』などの防災本の執筆も手掛ける。2019年3月、『全災害対応!子連れ防災BOOK』(祥伝社、ママプラグ著)を上梓した。
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