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2020.08.10 2023/02/16

キャリアにブランクなんてない!
子育てで身につけた人間スキルこそ“ニューノーマル”な社会への鍵

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キャリアにブランクなんてない! <br>子育てで身につけた人間スキルこそ“ニューノーマル”な社会への鍵

「出産を機に離職したけれど、今さら社会復帰できるのだろうか?」
「ブランク期間が長いので再就職に一歩を踏み出せない」

ライフイベントを機に一旦働くことから遠ざかったママたちにとって、キャリアのブランクは大きな壁のように感じることも多いはず。

でも、本当にそうでしょうか……?

急激に変化していく社会において「ブランク=壁」という考えは、もはや古い価値観なのかもしれません。

私がそんな考えに至ったのは、駐在妻キャリア支援・人材紹介サービス「CAREER MARK(キャリアマーク)」主催のトークイベント「もと駐在妻が知っておくべき転職市場の話」で登壇したプロビティ・グローバルサーチ株式会社代表取締役 高藤悠子さんが発したある一言がきっかけでした。

プロビティ・グローバルサーチ株式会社代表取締役 高藤悠子さん

子育てを通して一度常識を壊した女性たちこそ、これからの新しい社会を生き抜く人材である

パートナーの海外勤務による離職経験を持ち、ご自身も海外で就労し、国内外でエグゼクティブ層を中心とした人材紹介を手掛ける高藤さんは、現在の転職市場を分析したうえで、子育てなどのブランク期間に身につけたスキルこそ、これからの世の中で求められる人材スキルだと話します。

キャリアにブランクなどない

このコラムでは、高藤さんの心強いメッセージをご紹介するとともに、ブランクを抱えた女性たちに贈る再就職のヒントをお届けします。

ブランク期間こそ仕事に役立つ貴重な“ソフトスキル”を磨いている!

転職活動時に企業から懸念されやすい要素のひとつに「ブランク期間」があります。中途採用の現場では、企業は一般的に即戦力を期待しています。そのため、前職の離職からのブランク期間が長いと、以下のような心配をせざるを得ません。

  • 仕事に対するモチベーションは維持できそうか?
  • 勘やリズムが鈍っていないか?
  • 最新のマーケット動向や情報をキャッチアップできているか?

これらはいずれも企業側の懸念事項なので、特に面接ではこれらを見極められます。ということは、面接の場で「これらの懸念事項は私には当てはまらない」と、納得してもらえさえすればマイナス評価はされずに済むということになります。

今回、冒頭でお伝えしたイベントでも、転職のプロ高藤さんはこのように話していました。

パートナーの駐在帯同や子育てによって仕事を離れた期間こそ、“ソフトスキル”が磨かれる貴重な時間になっている

資格や専門的な知識を使いこなすハードスキルに対して、ソフトスキルは、人間関係におけるコミュニケーション能力や協調性、自発性、営業力、リーダーシップなどの目に見えない定性的なスキルを指します。

高藤さんによると、ソフトスキルは転職市場において、業界業種を問わず多くの企業で高く評価される要素のひとつなのだとか。

そんなビジネスの現場で活きるスキルがキャリアのブランク期間中に養える……!? 確かに育児中は何かとストレス耐性が鍛えられますし、駐在帯同であれば異国での暮らしの中でさまざまなトラブルに対応するでしょうから、課題解決スキルも身に付きそうです。

 

とはいえ、目に見えづらく、アピールしにくいソフトスキルを実際どうやって仕事に活かせばいいのでしょうか?

そんな疑問に対して高藤さんが例にあげたのが、「チーフお世話係」として活躍する母親社員の存在でした。「チーフお世話係」とは、部署を超えて社員の面倒を見る、母親的な立場で活躍している“リアルお母さん”のこと。

特にスピードが速い急成長企業は、社員一人一人に目を配るのも難しいため、面倒見の良い彼女たちのような存在はとても貴重だと高藤さん。臨機応変なフォローは社内のコミュニケーションをより円滑にし、そうして周囲から頼られる人材になればなるほど自然と社内の情報も集まります。中には経営陣から相談を持ちかけられるまでになった人もいたようです。

母親という役割を通して家族に対して気を配り、生活を整えるという一見当たり前のようにも思えることも、思い返せば優れたソフトスキルがなせる技。全体を見て周りをサポートし、マネジメントするという母親ならではの力は、社会でも十分に通用するようです。

コロナ禍で変化する社会
子育てを通して常識を壊した経験が活きるとき

コロナの影響もありますます先行きが不透明な時代になっていく中で、個人だけではなく、企業もまた変わり続けることを求められています。

子育てや駐在帯同を経験した女性は、これからの新しい社会を生き抜く力を備えている

高藤さんによると、特に、子育てや駐在帯同を通してこれまでの当たり前や常識が壊れる経験をしている女性たちは強い! そうです。アフターコロナに到来する新しい常識や状態が生まれる“ニューノーマル”の時代には、そうした経験に裏付けされた柔軟性と対応力がますます重要になるのだとか。確かに、世の中の当たり前や常識が崩れても抵抗なく柔軟に対応できる人は、家庭はもちろん、会社組織の中でも重宝されそうですね。

 

これまで、一旦離職し子育てに専念する女性たちは社会から分断された存在となり、社会復帰も難しい傾向がありました。離職期間はまさに「ブランク=空白」とみなされ、子育てに要する能力さえも“母親だからできて当たり前”というレッテルのもと、努力やスキルが評価されることはほぼなかったように思います。

時代が大きく変わりつつあるいま、これまでの社会常識では太刀打ちできない事態が続き、まさにイノベーションが求められています。そんな今こそ、女性たちの強みが活きるとき。

駐妻はもちろん、子育てに専念した経験を持つ女性には、まずはその経験を自信に変えて、ポジティブに次のキャリアを見据えてほしいと思います。

ブランクは関係ない!
環境の変化も自分次第でスキルやPR材料になる

来たるべきニューノーマルの時代に向けて、転職市場でも変化が起きている

高藤さんによると、スキルやビジネス経験を中心に評価されてきたこれまでの中途採用市場は、確実に変わりつつあるそうです。冒頭でお伝えしたソフトスキルなどの人間性が重視され、誠実さや信頼感、柔軟性もこれまで以上に求められているのです。これはブランク期間をもプラスに換える絶好の機会と言えそうですね!

私も、妊娠・出産で数年間仕事を離れる経験をし、社会から断絶されたように感じて自己肯定感までもががくんと下がった時期もありました。30歳半ばまで頑張って仕事をしてきたのに、これまでの自分のキャリアが何も意味を為さないように思えたのです。でも今思えば、それはただの思い込みに過ぎませんでした。努力してきたことは自分の体にちゃんと残っていることに気づいたのです。

離職期間を経て、全くの異業種に飛び込んで感じたのは、まさに高藤さんが言うところのソフトスキル、人間力でした。そもそも、知識やスキルを発揮する以前に人と良好な人間関係を築くためのコミュニケーションスキルがなければ仕事は円滑に進みません。やはり人生において無駄な時間はないということなんですよね。私にとって、ブランク期間もまた、自分の頭で考え行動する力をつける期間だったようにも思います。

 

ブランクがネックでなかなか動き出せない……

もしもそんな風に考えている方がいたら、まずは離職期間中に培った力を冷静に棚卸ししてみてはいかがでしょうか? 環境の変化の中で経験したこともスキルやPR材料に変えしっかりと自分に自信を持つことが大切だと思います。

ちなみに、今回私が参加したイベントの主催者である駐妻キャリア支援CAREER MARKでは、海外経験も活かしたキャリアの再設計=「キャリア・ブランディング」で駐在妻がチカラを発揮できる社会を目指し、セミナーや人材紹介を行なっています。キャリア支援のプロによる自分の軸を見つけることができる帰国後セミナーも開催しているそうなので、社会復帰を考えている元駐妻の方は参加してみてはいかがでしょうか。

これからの社会に活かせる貴重なスキルを磨いたこの期間こそ、次なるステージへと続くかけがえのない時間。そう捉えることで、「キャリアにブランクなどない」という高藤さんのメッセージの通り、ポジティブなマインドセットに変えていくことができますね!

ライター

倉沢れい

ライター

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