1. トップ
  2. 健康経営
  3. その疲れ、本当に“ただの疲労”?コロナ禍の冬こそ注意したい「不安疲労」
2022.02.15 2023/05/31

その疲れ、本当に“ただの疲労”?
コロナ禍の冬こそ注意したい「不安疲労」

FacebookTwitter
その疲れ、本当に“ただの疲労”?<br>コロナ禍の冬こそ注意したい「不安疲労」

コロナ禍が長期化している現在、感染への不安はさらに広がり、心身ともに疲労感を感じている人は多いのではないでしょうか。

新型コロナウイルスの感染拡大は、日常生活を一変させ、私たちの心には常に不安がつきまとうようになりました。働き方や仕事そのものにも変化や制約が生じ、労働環境の急激な変化や収入・家計への影響などにより、さまざまな不安やストレスにさらされる状況が続いています。

 

特にこの冬という季節は、メンタルの不調に注意したい時期。「冬になると気分が落ち込みやすい」「やる気が出ない」…… そんな症状に悩まされていませんか?

そこで今回は、冬のコロナ禍に私たちが感じる不安の原因とケア方法についてご紹介します。

生活状況でこんなに違う… コロナ禍がおよぼすメンタルヘルスへの影響


コロナ禍がもたらす働き方・生活状況の変化は、ストレスの大きな要因となっています。

感染の不安、行動自粛にともなうストレスのほかに、所得減少などによる生活への不安もまた、メンタルヘルスに影響します。

 

独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査によると、収入が3割以上減少した人のうち、メンタルに不調をきたした人の割合は62.9%、収入の減少がなかった人と比べて20%以上の人が心に問題を抱えています。世帯別に見ても、生活水準が低下した世帯の65.5%が心理的ストレスを感じている、というのです。

 

出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)
※メンタルヘルス尺度として、「K6」という指標を用いて、K6スコア「0~4点」「5~9点」「10~12点」「13点以上」の回答割合を属性ごとに表示。「5点以上(合計)」の割合で、心理的ストレスの所在を検討している。

 

さらに収入減のみならず、転職の有無も人々のストレスに大きな影響をおよぼしています。2020年4月以降に転職を経験した人のうち、半数以上がメンタルヘルスに不調を抱える結果に。入社当初から続くリモートワークが孤立感を招くなど、慣れない環境下でのコミュニケーションの量・質の低下はストレスの要因につながっているようです。

1~2月は「冬季うつ」がピークに!

コロナ禍が長期化し、ただでさえ不安を感じやすいこの時期、特に注意したいのが「冬季うつ」です。主な症状は、気分の落ち込みや眠気、集中力の低下、過食など。「季節性感情障害(SAD)」という病気からくる症状で、その名の通り季節によって症状が出る周期的なものです。10月頃から症状があらわれ、1~2月にはピークを迎えるといわれています。

 

冬季うつは、季節性でないうつ病とは少し異なる症状があらわれます。非季節性のうつ病の場合、食欲がなくなったり眠れなくなったりするのが一般的ですが、冬季うつは「過眠」「過食」「体重増加」といった症状がみられ、睡眠時間が長くなり、食欲も増すことが多いのです。夜に十分な睡眠をとっても日中何度も眠気におそわれるようになったり、白米やパンなどの炭水化物やチョコレートなどの甘いお菓子への食欲が高まるといわれています。

 

冬季うつは、特に女性に発症するケースが多いという調査結果もあり、多くの女性たちにとっては決して他人事ではなさそうです。

 

そもそも心身の不調は、ストレス・不安などによる「自律神経の乱れ」が原因といわれていますが、なかでも冬は自律神経が乱れやすい時期。その要因の一つに、精神を安定させる脳内物質「セロトニン」の分泌量の低下があります。セロトニンは、日中、太陽光を浴びることで作られるため、日照時間が短く、太陽光が少ない冬の時期はその量が低下してしまうのです。セロトニンが低下すると、慢性的なストレスや疲労、うつ症状、不眠といった症状があらわれます。そのほかにも、冬は寒さのために体温や血圧を一定に保つため、自律神経をフル活動することで乱れが生じやすくなります。

 

冬は、年末年始で仕事のスケジュールが過密になったり、お正月前後は生活リズムも狂いやすい時期。また、LAXIC世代の方であれば、子どもの受験でピリピリしている、という方も少なくないのではないでしょうか。疲れやすいな、と感じたら、“ただの疲労”ではないのかも? 以下、セルフチェックをおすすめします。

その症状、「不安疲労」かも…!? 気になる内容とチェックリスト

「不安疲労」とは、「やる気が出ない」「気持ちが重い」という「精神的疲労感」と、「なんとなくだるい」という「身体的疲労感」が結びついた新しいタイプの疲労です。

 

長引くコロナ禍で顕在化し、2021年に日本疲労学会総会・学術総会において、東海大学医学部客員教授/内分泌・糖尿病専門医の久保 明医師より問題提起されました。

 

「不安疲労」は、不安感や集中力の低下を招くほか、物事への意欲を失ったり、睡眠の質が低下したり、日常生活にまで影響をおよぼします。忙しさに追われ、「これくらい大丈夫…」と自身のストレスを見て見ぬ振りをしていると、症状がますます悪化する恐れがあります。

 

まずは自身の心の状態を知るため、「不安疲労チェックリスト」で、不安疲労のリスクを確認しましょう。

症状を放置すると、「うつ」「免疫機能の低下」「老化促進」につながるリスクが懸念されるため、久保医師いわく「早めの処置が重要」なのだそう。

 

冬場は寒さなどの外的環境が「不安疲労」を加速させ、冬に起こりがちな心の不調を悪化させている可能性が考えられます。さらにコロナ禍で心身ともに疲れている人が増えている今、あらためて自身の心と向き合い、ケアすることが求められています。

専門家が教える!手軽に実践できる「精神的疲労感のケア方法」

症状を放置するとうつに移行する恐れのある「不安疲労」。予防医療の専門家である久保 明医師がすすめる「精神的疲労感のケア方法」をご紹介します。疲労感を感じたときの対処方法としてぜひ実践してください。

1. 吐く息を長くする呼吸でリラックスする

吸う息よりも吐く息を長くする呼吸を行うことで、副交感神経を高め、自律神経のバランスを整えます。不安を感じているときは呼吸が浅くなりがちなため、吐く息を意識して呼吸しましょう。

2. 笑い声を聞くようにする

笑うと幸福ホルモンが出るなどと言われるように、静かに休息するよりも笑い声を聞いた方がリラックス効果が高いという研究結果も発表されています。笑うような気分でないときでも、テレビやラジオでの笑い声を聞くだけでOKです。

3. 手を温める

手を温めると交感神経が活性化されます。逆に足を温めることは服交換神経を活性化させるため、落ち着きたいときに効果的です。

4. 汗がにじむ10分程度の運動をする

過度な運動は逆にストレスにつながります。無理に頑張って運動するよりも、汗がにじむ10分程度の運動(運動前の心拍数+20%以内)にとどめた方がよいでしょう。

5. 心身の疲労感軽減効果が認められる成分「パラミロン」でケア

精神的・身体的疲労軽減が認められる「パラミロン」は、藻の一種であるユーグレナのみが生成する植物成分です。副交感神経の活動アップ、免疫力やホメオスタシスの維持・向上、糖と脂質の代謝を高めることによる生活習慣病の予防など、さまざまな健康への効果が期待されています。「パラミロン」は体内で吸収されることなく腸まで届き、小腸に点在する腸ツボを刺激して、自律神経のバランスを整えるといわれています。サプリメントとして取り入れるのも方法の一つです。

 

長引くコロナ禍と冬の影響で、なんとなく気分がすぐれないとき、日常生活にぜひ取り入れてみてください。

 

コロナの感染拡大により、私たちはこれまでさまざまな変化や制約に対応してきました。しかし、まだまだ先行きが見えない状況に心が疲れ果てている人は多いでしょう。保育園や小学校の休園・休校が続き、仕事と子育てのバランスに悩んだり、夫婦揃ってのリモートワークが逆に家庭内のギスギス感を生んだり……。そんな閉塞感を感じる状況のなかで、物事に対して悲観的になったり、何をするにもやる気がでなくなったり、自分でも気づかぬうちに心の不調=不安疲労を抱えやすくなっています。さらに今は「冬季うつ」に要注意の時期。これまでのメンタル不調が蓄積し、ますます症状が悪化することもあるため、放置は厳禁です。

 

今回ご紹介したケア方法を取り入れながら、自身の心と向き合う時間を大切にしてみてください。

 

(※)JILPTリサーチアイ 第69回コロナ禍における仕事・生活とメンタルヘルス─感染不安と生活不安の中で─

ライター

倉沢れい

ライター

この記事をシェアする

FacebookTwitter