真の意味での多様化にむけて
女性の様々な働き方をサポートする「Waris」が考える、女性活躍の今後とは

ラシク・インタビューvol.190

株式会社Waris 共同代表 田中 美和さん

ここ数年女性の働くスタイルは多様化が進んでいます。特にこの1年はコロナ禍で、在宅勤務などリモートワークでの働き方に切り替わり、従来の通勤をメインとした働き方から一気にスタイルの幅が広がりました。
一方で、やりがいやステップアップという面では、女性の働き方はどう変化しているのでしょうか。2月の東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森前会長による発言は社会においても大きな話題を呼び、女性のキャリアアップやポジションアップの壁を改めて実感しました。

今回、LAXICでは、Waris共同代表の田中美和さんと編集長小山で「女性活躍のこれまでとこの先」について対談を行いました。これまで女性の再就職支援や、ビジネス系フリーランスのマッチング事業を行ってきたWaris社は2月より女性役員の人材紹介サービス「Warisエグゼクティブ」を立ち上げ、日本企業の経営における多様性促進へと動き出しました。新規事業の背景についても伺いました!

企業の意思決定層における多様化は全く進んでいない

田中美和さん/オンラインで取材しました

LAXIC編集長 小山 佐知子(以下、敬称略。小山):コロナ禍、一気にリモートワークが進み、2020年は女性に限らず多くの方にとって働き方が変化しましたね。御社では1月に『コロナ禍における女性の働き方』をテーマにアンケート(※)を実施されましたが、どのようなことが見えてきましたか?

 

田中 美和さん(以下、敬称略。田中):そうですね、アンケートでは働き方がポジティブに変化したとの回答が91%、一方でデメリットとの回答も82%ありました。

 

小山:良い面と難しい面というのは表裏一体だなと感じるのですが、でもやっぱりポジティブに捉えられている方の多さは特徴的ですよね。LAXICの読者はワーママが多いので、「在宅勤務が増え、通勤がなくなった分、子どもと一緒にいる時間が増えた」という意見も多いんです。

 

田中:それはありますよね。暮らしと仕事の垣根がなくなってきたことで働き方に自由度が増してより意欲的になれたという方はいらっしゃると思います。

 

小山:一方で、先日の東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森前会長の発言からも見えるように、女性活躍に憚かる壁はまだあります。企業における女性活躍推進は加速・拡大しているのでしょうか。

 

田中:働き方の多様性は広がりました。ただし、ポジションの多様化ははまた別の話。この10年で女性リーダーはほとんど増えていないのが現実です。厚労省の調査では女性管理職比率は10年で2%弱しか伸びていないんです。特に企業の意思決定層の多様化が進んでいないのはとても残念ですね。

 

小山:今回女性役員の人材紹介サービス「Warisエグゼクティブ」をローンチされましたが、まさにそのような危機感から立ち上げに至ったということでしょうか?

 

田中:はい、そうですね。最終的に企業の意思決定をするのは経営層であり、その層を多様化することが大事だと感じています。上場企業の半数以上は女性役員が誰もいなく、とても多様な意見が反映されているとは言えません。まずはそこを変えたいと思ったんです。

 

小山:限られた職種やポジションだけでなく、広くいろいろなポジションで多様性が広がってほしいですよね。

 

田中: 働き方の多様性だけではなく、ポジションにおける多様性も重要。色んな施策を同時多発的にやる必要があると思っています。女性であることは、あくまで表面的な属性に過ぎません。けれども、女性であるがゆえに、男性よりも幅広い経験をしている可能性はあるのです。さまざまなポジションで女性を意識的に取り入れていくことが大事ではないでしょうか。

(※)コロナ禍における女性の働き方の変化アンケート

上昇志向がないのではなく、目の前になりたいロールモデルがいないだけ

Warisエグゼクティブ

編集部:「Warisエグゼクティブ」に登録されている女性はどのような経歴の方なのでしょうか?

 

田中:ビジネス経験が豊富な40〜50代の女性の方が多いですね。会計士や弁護士の方にとどまらず、経営企画、マーケティング、人事、財務など専門性の高い職種がメインです。

 

編集部:まだまだ企業の意思決定層に女性は少ないと伺いましたが、実際にサービスに登録している方は、役員経験者ということでしょうか?

 

田中:3~4割の方はすでに取締役などの役員経験があり、6割がこれからという方です。つまり、チャレンジしたいという意欲のある方がこれほどにいるということです。よく、「女性は上昇志向がない」などと言わますが、私たちの感覚ではそんなことはないんです。

 

小山:共感ですね。確かに、管理職経験がないと「私に務まるかな」などと最初は不安になりますし、女性のほうが真面目だったりもするのでインポスター症候群(※)になりやすい部分はあると思います。でも、「やる気がない」という訳じゃないんですよね。目の前で見てきた管理職のロールモデルがそもそも男性ばかりだったり、バリキャリの女性しかいなければ不安になるのは当然。それを「上昇志向がない」と切り取られるのは残念だなと感じてきました。

 

田中:女性も「いい仕事をしたい」「いい結果を出したい」と思っています。一つの企業にてキャリアップするのも手段の一つですし、複数の会社を経験しながらキャリアアップすることもそう。新しい価値観に触れて、多様なロールモデルを知ることは大事です。いままで、経営に携わる女性のロールモデルが極端に少なかった分、これからはまた新しいロールモデルが世の中に出ていくことを期待しています。

 

小山:ロールモデルがたくさんいると、若い世代への勇気づけにもなりますし、女性のキャリアパスがもっと増えますよね。

 

編集部:「Warisエグゼクティブ」では、どのような企業がマッチング先になりますか?

 

田中:上場企業が多いです。2018年に、外国人や女性を意思決定層に積極登用するよう、コーポレートガバナンス・コード改訂がありその影響もあります。また、最近注目を集めているESGやSDGsの観点から「経営陣が中高年の日本人男性ばかりなのはいかがなものか?」と株主から指摘をされていることも。選ばれる会社であるためには、ソーシャルな観点を持ち、多様な方が自社で力を発揮することを重視していくことが必要ですね。

(※)実績や実力があるにもかかわらず、なかなか自信が持てないなど、「成功や実績は偶然か周囲のおかげ」と思い込んでしまう状態

働く人のキャリアや人生を考えられない企業は淘汰されていく

オンライン取材のようす

編集部:女性社員を採用して育成して定着・活躍してもらうという視点で女性活躍推進を捉えると、田中さんの目にはどのように映っていますか?

 

田中:女性活躍推進の取り組みが始まって長く経ちますが、女性のリーダー層と同じで、旧態依然、推進している企業と二極化が進んでいる印象ですね。

 

編集部:なかなか推進が進まないのはどうしてなのでしょうか……

 

田中:難しい問題ですよね。なぜなのか私も考えています。ただ、言えるのはこれからの少子高齢化社会で労働人口が減り、労働者売り手市場になるということです。労働人口の半分を占める女性を生かしきれないというのは大変な損失です。よりスキルアップポジションアップすることに関心のある人は実際にいます。優秀な女性ならなおのこと取り合いに。「いい仕事をしたい、向上したい」という意欲を持つ人のキャリアをしっかり検討している企業か、あるいはそうでない企業か。多様性について真剣に考え、取り入れない企業は選ばれなくなっていくと思いますよ。

 

小山:女性だけではなく、男性も同じですよね。「男だからこうあるべき」「女だからこうあるべき」いう枠を外していかないと、社会の多様性は広がらないですね。

 

田中:実際に後輩世代である就職前の大学生はこの現実を直視してしっかり考えています。「ここで働きたい」と思える行動をしている企業には就職を希望するし、そうでない企業からは離れていく。今企業側が危機感を持てるかどうか、そこが課題なのでしょうね。

 

小山:まだ新卒を多く採用している日本は、活躍してもらう前に、採用して育てるという環境が大事ですよね。その環境がしっかりしていないと、見限られていってしまいますね。

多様性の本質が見える時代だからこそ、再定義していきたい

Waris共同代表の3人。現在はフルリモートワークで共同経営に挑戦中。

編集部:田中さんは今後女性の働き方・活躍についてどのように考え、Warisとしてどうアプローチをしていくのでしょうか?

 

田中:これからが企業の多様性に対する本質が見える時代になのかなと感じています。弊社は2013年に創業して以来、女性のみなさんに「時間と場所にとらわれない働き方の支援」や「離職者の再就職支援」をしてきました。働き方のバリエーションは確かに増えてきましたが、それだけではなくキャリアパスのバリエーションももっと増やしていきたいですね。

多様性というのは、単に「男性の中に女性が入ること」ではありません。ですから、さまざまな成功のパターンや人生、働き方というものがあっていいと思うし、それを作ってきたいです。多様性の再定義と位置付けています。

 

小山:今日のお話をお聞きして、改めて女性の真面目さを感じました。真面目故に一生懸命に目の前のことに取り組んでいる方も多いですが、視線を上げてみると女性にはたくさんの可能性や世界が広がっているのではないでしょうか。

 

編集部:「女性だから」「男性だから」だけではない、一人の「人」としてあり方、が働く場所においてもお互いに認められる社会になっていくと良いし、そこを目指していきたいですよね。とても深いお話をありがとうございました!

取材の最後に、田中さんが「頑張って実力をつけている女性というのはこれから各社本当に取り合いですよ」とお話していたのが印象的でした。どんな立場でどんな仕事をしていても、「いい仕事をしたい」「向上したい」という意欲を持つことは良いことですし、大切なこと。視界を広げると可能性がたくさんある世の中になりました。自分の心に眠る「意欲」に素直になって多くの人が挑戦できればといいなと心の底から思います。

田中 美和さんプロフィール
1978年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、2001年に日経ホーム出版社(現・日経BP)入社。編集記者として雑誌「日経ウーマン」を担当。取材・調査を通じて接してきた働く女性の声はのべ3万人以上。女性が生き生き働き続けるためのサポートを行うべく2012年退職。フリーランスのライター・キャリアカウンセラーとしての活動を経て、2013年多様な生き方・働き方を実現する人材エージェント株式会社Warisを創業し共同代表に。フリーランス女性と企業とのマッチングや離職女性の再就職支援に取り組む。最近では女性役員紹介事業を通じて意思決定層の多様性推進にも尽力。フリーランス/複業/女性のキャリア/ダイバーシティ等をテーマに講演・執筆も。著書に『普通の会社員がフリーランスで稼ぐ』。一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会理事。国家資格キャリアコンサルタント。2018年に出産し1児の母。
HP:株式会社Waris

ワーママを、楽しく。LAXIC

文・インタビュー:永見 薫

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