地域も政治も、実はとっても自分たちの身近なところにあった!
ママ区議リアル座談会「はじめての区議」【後編】

ラシク・インタビューvol.155

渋谷区議会議員:無所属 神薗まちこさん

品川区議会議員:無所属 せお麻里さん

北区議会議員:無所属 駒崎美紀さん

2019年の統一地方選で東京20の区議会選挙では、これまでで最も多い243人の女性が当選されました。中でも、子育て真っ只中のママ区議たちが誕生してくれたおかげで、私たち子育て世帯の意見がもっと届きやすくなると…… 思っていた矢先の今回のコロナウィルス問題。あまりにも突然すぎる学校の休校要請に、慌てふためいている一人のワーママの一人として、彼女たちの動きがこれまで以上に気になっています。(近々、追加でインタビューさせて頂く予定です。)

とはいえ、今回の問題だけでなく、「自分たちの生活や地域の話題をしていく上で、区議会や行政について知らないこと多すぎる……」ということで、この度、無所属で初当選された3名のママ区議たちに集まっていただき、座談会を開催しました。

前編記事では、出馬した理由や初選挙のこと、家庭と議員の両立など…… 個人的なお話を中心に語ってもらいました。後半では具体的に区議と行政の関係性や、一般社会とのギャップ、実際に政治に参加したからこそわかるリアルなお話をお届けします。(※座談会は1月下旬に行われたものです。)

前編はこちら

区議会でどんな質問をするの? 区議と行政の関係性って?

編集部:そもそも、区議会というのは区民の意向を区政に反映させるため、予算や条例などの事項について話し合う場ですよね。実際にみなさんが議会で質問・提案するというのは、具体的にどんな内容なのですか?

 

駒崎美紀さん(以下、敬称略。駒崎):条例とか予算はもちろんですが、議会では細かな制度なども質問・提案できます。たとえば、北区でファミリーサポートをお願いする時、「子どもと援助会員はマンツーマンで対応する」という決まりがありました。兄弟二人でお願いしたければ、二人のファミサポさんを探さないといけないなんて、ハードルが高すぎるじゃないですか。

 

編集部:え、そんな決まりがあるんですか? 普通に兄弟で見てくれますよ。

 

駒崎:ですよね。実際に23区内を調べたら、北区と板橋区だけのマイナールールだったのです。しかも兄弟割引もなく、「親が病気の時には預かれない」という謎のルールもあって…… この3つを、行政に切々と訴えて改善してもらいました。

 

編集部:そういう点も議会で訴えられるのですね。

 

駒崎:議会の前から担当の方におかしい点を言い続けていて、議会の後も説明して…… 行政の方も、現場とのギャップに気づいていないことも多いのです。通常は1年ぐらいかかりますが、頑張って年度内に変えてくださいました。ほかにも“歩きタバコ”の巡回業強化など、コツコツと足元の課題を解決しています。

 

編集部::時代にそぐわないシステムやルールは変えないと……! でも、実際に執行するのは行政だから、連携をうまく取らないといけない?

 

神薗まちこさん(以下、敬称略。神薗):そうなのです。議員はチェックする立場、行政は動かす・執行する立場なので基本的には対立構造なのですが、チェック側にいるだけでは行政は動いてくれない。だから、チェックはしつつも、前向きで新しい提案をする、というスタンスです。

そして、何よりも議会で発言するまでの事前準備が重要。議会で発言した時には、行政との間ですでにお互いの認識がすり合わせできている状態を作ります。さらに、議会で質問や現状だけ聞いても意味がないので、提案をしっかり行って、お互いの着地点が見出せていたらベストです。

 

編集部:勉強になります! そのすり合わせする相手が、各分野で抑えていた方がいい人?

 

神薗:そうです。たとえば、「インクルーシブ教育しましょう」って言っても「誰がやるの?」って感じですよね。まずは大きな提案の課題を分解して、それぞれ適している人物を抑えて定例会で提案…… といった感じです。

 

編集部:しかし、それを一人でやるのですか?

 

神薗:私は同じ会派の人か、共感が高い人たちと課題を分解して、タスク化しています。「都議会でここ提案するから、渋谷区でこう動かしてよ」といった感じで、例えば都議会の議員さんとも協力します。

 

編集部:なるほど~。なんだか仕組みが見えてきました!

区議になって驚いたこと&ギャップに感じたことって何ですか?

編集部:ちなみに、区議になって一番驚いたことはなんですか?

 

駒崎:休んではダメだ、とみんなが頑張り過ぎてしまう点でしょうか。欠席の事由として選択できるのは規則上「事故と出産」のみなので、何かあれば事故として処理しなければなりません。議員に産休・育休がないのは知っていましたが、実際に “おしるし” があるまで議場にいたという方が以前おられたそうです……

 

編集部:女性が、ましてや子育て世代が議員になる前提が今までも少なく、想定していない状態のままできているからでしょうね……

 
駒崎:今は20~30代の女性区議も増えているし、お子さんが2~3人目という方も増えているので、子育て議員連盟の一員としても問題提起していきたいです。さらに、議場で水分とってはいけない、などのルールもあります。妊婦さんは大変ですよ。しかも今の時代「夏場はこまめに水分とって熱中症予防」なのに。傍聴に来る方も水が飲めないので、議長に相談し「蓋つきのものでOK」になりました。とにかく議場=神聖な場、という印象が強いです。

 

編集部:……なんだか土俵みたいですね。他の区はいかがですか?

 

神薗:渋谷区は新庁舎になり、子連れでも気兼ねなく傍聴できる部屋が作られたり、電子評決ができたり、現代的なシステムの導入で誰でも気軽に傍聴しやすくなったのですが、メディアの写真撮影と録音は未だにNGで。記者の方も間違ったこと書けないし録音ないと不安じゃないですか。緩和を提案してもダメでした。

 

せお麻里さん(以下、敬称略。せお):私は無所属ですが、正直言って、地方政治に“党”とか会派とか要らないと思いません? この前も選択的夫婦別姓の議論があって、一番身近な地域なのだから、みんなで良い方向に変えて行けばいいのに「党の見解」が邪魔をするのです。地方だからこそできることもあるじゃないですか、若い人から変えていきたい。

 

神薗:スペースの使い方にも課題があると感じます。応接室も低いソファとテーブルがあるだけで、ホワイトボードやプロジェクターやモニターがないんです。フリーアドレスの机と椅子と、会議室がいくつかあればいいじゃん! って思いますよね。あとは委員会室。委員会も朝から晩まで毎日あるわけでないのに、委員会専用で他の会議では使えないルールなんです。

 

編集部:そう言う謎ルールは、どんどん無くしてください!

区政に参加してから、周りにはどんな影響がありましたか?

編集部:区議になってから、周りやお友達の反応っていかがですか?

 

駒崎:普通のママ友が区議になったので「区政が身近になった」って言われます。あと、自分の困っている声が区に届いて、実際に変えられることに驚いていました。「こんなことができるとは思ってもみなかった」と。それからは「何か私にできることない?」って声をかけてくれるようになりました。みんな自分ごととして動いてくれます。

 

せお:障がいのある子のご家庭って、実際、社会に対して困っていても声をあげにくい。「困っていることを届けてくれる人がいるんだ」って言われて胸がいっぱいになりました。障がいに対しても、少しずつオープンになってきたと思います。

編集部:区議や政治家って、議員バッジをつけて高尚なオーラがあって…… 正直、今までは近寄り難い存在でした。

 

一同:そうですよね。でも、私たちはそういうオーラは全く出していません。

神薗:区政が身近な存在であるっていうのは、大事だなと思います。なぜなら、みんなで変える=みんなが当事者ということだからです。以前、「子どもの遊び場がないからなんとかしてほしい」という陳情書をママたちのグループからもらいました。区としても、すぐに作ることはできないので、 “どこでも運動場” と言う住民主体で出来る取り組みを紹介しました。「私も応援するのでできることからやりましょう!」と一緒に企画をしました。

イベント後の振り返りで「今まで消費者気分で行政に伝えていたけど、初めて当事者だということに気づきました」とおっしゃって頂いて。その後、そのママたちはご自身のお子さんが通う小学校の校庭をトライアルで開放し、まさに当事者として自発的に活動され始めたのです。私たちが伝えて、行政が動くことももちろんですけど、当事者である自分たちが活動することで「街が変わる」という体感を得ることができるんですよね。

 

編集部:「自分ごと化する」と言うのが大きいですね。子どもたちにとっても身近だし、教科書よりずっと勉強になると思います。

 

神薗:自分たちの街の代表は自分たちで選べるし、選んだ代表と一緒に街を作って行けばいい、この発想が浸透していけばいいな、と。自分の生活と密着しているものなのだと言うことを、もっと感じてもらいたいです。

 

駒崎:立候補して、一人一人の一票がどれだけ大事かがわかりました。

 

神薗:政治となると身構えてしまいますが、自分たちの生活について話そう、というスタンスでいいと思います。基礎自治体の政治は生活そのものなので。「あれ? おかしいな?」ってモヤモヤしたことについて、まずは話せる場を作るのが大切。

 

編集部:以前、参加した神薗さんとお話するクローズドの会がすごく面白かったです。「今、どんなことに悩んでる?」とフランクに語れる場だったので、急に区政が身近になりました。みんな、政治は遠い存在だと思っているので。

せお:私、区議の仕事は政治家ではなく、経営者だと思っています。品川区の区政を考えてマネージメントしています。だからこそ、いろんな立場の人が参加してほしいし、当事者が発信していかないと変わらないので。

 

神薗:私も。何よりも先生って呼ばれるのが嫌ですね。

 

駒崎:そうそう、先生って呼ばないで! あと女性の立候補をもっと増やしたい。みんなもっと(選挙に)出た方がいいですよ!

 

神薗:そうですね。だからこそ、区議の仕事はとにかく面白いよって伝えることで選挙に出るためのハードルがもっと下がればいいな、と。あと、選挙についてのノウハウも出していけばいいと思います。

 

編集部:何だか新しい選挙のカタチですね!

2020年駆け抜けるための、マイテーマはズバリ何ですか?

神薗:2020年のテーマは “ボーダレス” です。自分の専門領域プラス、それ以外の境界線を超えていきたい。主軸に子育てがあって、そこに関連してくる防災とか、福祉とか。行政、民間、議員という枠組みにとらわれず、渋谷以外のエリア、日本国内外問わず視野をどんどん広げていきたい。自分の中の「こんな感じ」という固定観念を外していくことで、新しいことが見えてくるかな、と。

 

せお:「共生社会」の実現に向けて、今年はとにかく福祉と教育を中心に動くぞ! と思っています。障がいのある子が早期に適切な療育を受けることで「自分らしく生きる」ことに繋がるし、サポートを受けなくても済むようになる事もありますから。それに、教育現場において普通学級と特別支援学級が分かれているのがおかしい。日本は障がいのある子どもとない子どもが触れあう機会がありません。多様性に触れる・学ぶ機会が本当にないので、その辺りも訴えていきたいです。

 

編集部:ロンドンに駐在していた時に、すごく実感しました。イギリスではインクルーシブ教育が進み、教育テレビに障がいのある子も当然出ています。

 

せお:そうなのです。渋谷区選出都議会議員の龍円あいりさんもダウン症のお子さんがいらっしゃいますが、インクルーシブ公園を提案されています。いろんな人がいて、いろんな多様性が小さな頃から自然に受け入れる環境ってすごく大事だと思います。「自分と違うこと」が受け入れられなくなるので。学校現場で理想的なのは、まず誰もが普通学級に籍があり、その子の特性に合わせて特別支援…… と選択できるのがいいと思う。

 

編集部:日本は子どもの頃から共生する環境がないのが問題ですよね。

 

駒崎:私はとにかくすべて議会で質問しようと思っています。本議会が年4回あるので、すべて質問して、議題について深く切り込んでいきたいです。今は多胎児家庭への支援や、障がい児・障がい者の虐待防止について行政と調整しながら進めています。

 

編集部:活発な意見をありがとうございました。少しずつ区政に対してイメージ湧いてきました。ぜひ、今後、読者とも意見交流イベントなどやっていきましょう!

区政や区議会に対する知識や意識があまりにもなく、超初級なところから教えていただきましたが…… まずはみんなが知ることが、大きな一歩になりました。神薗さんのおっしゃる「地域はみんなで変えられる=みんなが当事者であるということ」がとても印象的でした。私たちに足りなかったのはまさにこの「当事者意識」。考えてみたら当然のことで、ただ、“政治” というイメージだけで遠ざけてしまっていた事に反省しました。より多くの人が、地域=自分ごととして捉えられるようになったら…… もっと地域が、政治が、日本が、面白くなるのかもしれません。今後も彼女たちの活躍を応援します!

神薗まちこさんプロフィール
「渋谷で子どもも大人も育ちあうまちをつくりたい!」と思い、区議会議員に立候補、令和の時代とともに議員活動がスタート。それまではベネッセで全国4,500校の学校を支援し、ソフトバンクや鉄緑会などのパートナーと新規事業も立ち上げた。渋谷をフィールドに、0~3歳の子育て世帯向けのイベント「渋谷papamamaマルシェ」を企画運営、「渋谷をつなげる30人」の4期メンバー、拡張家族Ciftのメンバー、小学1年生女子の母でもある。

前回のインタビューはこちら
HP:神薗まちこ
せお麻里さんプロフィール
1977年東京都生まれ 成蹊高校、成蹊大学卒業。東京医科大学看護専門学校卒業。東京医科大学病院などで看護師として勤務。その後結婚し、約2年の不妊治療を経て、5歳長男(ダウン症)、3歳長女の二児の母。2019年の品川区議会議員選挙にて初当選。
HP:せお麻里 公式FB
駒崎美紀さんプロフィール
産後うつになりかけた経験から、2013年地域団体「北区はたらくママネット」設立。2018年 戸田市役所退職 もっともっと地域社会に関わり、地域をよくする活動を広げたい!15年間務めた市役所を悩みに悩んだ末、退職。地域の課題により向き合うべく、子育て支援のNPOに勤務後、政治家を志す。2019年 北区議会議員。 史上最多の7335票を賜り、トップ当選を果たす。小学3年生の女児、小学1年生の男児の母。
HP:駒崎美紀

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文・インタビュー:(文)飯田理恵・(インタビュー)LAXIC編集部

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