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2024.01.04 2024/02/14

ワーケーションを意欲的に楽しむ3人が語る、
余暇と仕事を充実させる働き方

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ワーケーションを意欲的に楽しむ3人が語る、<br>余暇と仕事を充実させる働き方

<座談会メンバー>

■入江哲子(いりえ・のりこ)さん
ワーケーション歴約3年。大手企業の人事やITで管理職を務めている。

■松井祐子(まつい・ゆうこ)さん
ワーケーション歴2年。大手企業の会社員をしている。趣味を楽しむことも兼ねて実施。

木村志帆(きむら・しほ)
ワーケーション歴5年。ラシク編集部デスク。合同会社代表、ランニングイベントも全国各地で開催している。

やっていたことが、結果としてワーケーションになっていた

左上より、入江哲子さん、松井祐子さん、木村志帆

編集部みなさんが、ワーケーションを始めたきっかけを教えてください。

入江哲子さん(以下、敬称略。入江)実は「ワーケーションをしよう」と思っていたわけではないんです。前職から、私は国内外を問わず出張が多く、メールチェックや電話などは出張先で行っていました。オフィス以外の場所で働く習慣が身についたことが、後にワーケーションにつながりました。

松井祐子さん(以下、敬称略。松井):私は、2022年からワーケーションを始めました。きっかけは、新型コロナウイルス感染症の流行です。勤務先では在宅勤務をしやすかったものの、人と話す機会が減ったことにモヤモヤしていました。

というのも、私は顧客と直接関わらないため、オフィスに行かないと誰かと対面で接することがなくなってしまうんです。やがて「外に出て交流を持ちたいな」と思うようになり、とある自治体が主催するワーケーションのモニターツアーに参加してみました。

ラシク編集デスク 木村志帆(以下、敬称略。木村):モニターツアーはいいですよね! 私も何度も参加しました。自治体が地域活性化を目指し、地域の文化や食などの良さに触れてもらうことが目的で行われています。ツアーによってはワーケーション施設が無料で使えたり、現地までの交通費を負担してくれたりしますからね。

松井:ツアーでの仕事スペースは快適でしたし、食事やお酒もおいしくて感動しました。ほかのツアー参加者との交流を通じて、人とのつながりも得ることができました。木村さんが始めたきっかけはなんだったのですか?

木村:私も入江さんと同じで、やっていたことが結果的にワーケーションになりました。私は走ることが好きで、マラソンチームのマネージャーをしていたんです。大会開催時には選手に帯同し、さまざまな場所に行きました。それとは別に、本業も持っていますので、帯同先で仕事をするようになったことが、現在につながっています。私はほぼ毎週全国のどこかで仕事をしていて、仕事仲間からは「今はどこにいるの?」と聞かれるくらいに自然な働き方になりました。

趣味と仕事を掛け合わせて、さまざまな体験を積むことができる

編集部みなさんが、ワーケーションをしてよかったと思うことを教えてください。

松井:人との出会い、つながりを得られたことです。私は新卒からずっと同じ会社で働いているので、どうしても人間関係が固定化しがちです。在宅勤務と違いワーケーションは移動を伴うので、「鉄道に乗る」という私の趣味との両立ができるのもうれしい点ですね!

鉄道好きにもいろいろなタイプがありますが、私の場合は「電車の顔」が好みの特急に乗るのが好きなんです。「今度はこの特急に乗りたい」と、その電車の沿線からワーケーション先を選んでいます。ちょっと前には、電車で九州を巡りながら仕事をしました。気に入ったデザインの電車に乗ると、気分が上がります。時刻表とにらめっこして、目的地を目指すのも好きです。ワーケーションでは、趣味と仕事を組み合わせていろいろな経験を積めるんですよ。

木村:私も電車が好きなので、松井さんの気持ちが分かります! ワーケーションでは、新たな出会いが生まれるのがいいですよね! 事前にアポを取るのではなく、現地での偶発的な出会いが私は好きですね。新しい発想やひらめきのチャンスになりますし。

場所を変えて働くことができることは、ワーケーションの大きなメリットです。仕事でストレスを感じて落ち込んでしまっても、各駅停車に揺られながら窓越しに景色を眺めていると、ネガティブな感情に飲み込まれずにすみます。フラットな気持ちで仕事に向き合えるというか。オフィスだと苦しくても、場所が変わることで、ふっと切り替えやすくなりますね。

入江おふたりの体験は素敵ですね! 場所を変えることの良さは私も感じています。同じ仕事内容でも、違った場所でやると気持ちが変わります。

モニターツアーの話が出てきましたが、旅先でさまざまな人と知り合ったり、土地の良さを知ることができることに魅力を感じます。また、ワーケーションを通じて、会社や職位なども超えて、自然とさまざまな人との交流ができる、と感じます。

また、現地の事業者や自治体の担当者と話す機会を得やすいのは良いですね。目の前にはリアルな人がいて、リアルな課題がある。それに対し、自社がどう、その課題の解決ができるかを考える機会にもなり、ビジネスチャンスになります。現地に行ってこそ分かることもあるので、ワーケーションは発見と学びの宝庫だと私は思っています。

トラブルを想定し、スケジュールを組み立てることは必須

入江ワーケーションでは、あえてアウェイな環境に行き、自分に小さな鍛錬を与えるようにしています。同じ場所で、同じ仕事をし続けると慣れてしまった思考で仕事をする状態になるかもしれません。ワーケーションを通じて適度なストレスを自分に与え、ちょっと困った体験をしてみる。それが仕事上での創意工夫もつながります。

松井:ちょっと困ってみる体験って、いいですね! ワーケーション先では「え、どうしよう」という場面に直面します。やっぱりネット環境でしょうか。タイに行ったとき、首都・バンコクではサクサクつながったものの、郊外では全然つながりませんでした。その時間帯にミーティングを入れていなくて本当によかったです。

木村:私は地方に行くことが多いのですが、ネットにつながりづらいことはあります。それが当たり前だと受け入れているので、事前に資料をクラウドからパソコン本体に保存しておいたり、Kindleに本をダウンロードしておいたりして、オフラインでも仕事ができるようにしています。ミーティングのスケジュールにも気をつけて、確実にネットに接続できるときに予定を入れています。状況を予測してスケジュールを決める計画性は求められますね。

入江快適に仕事をするため、ネット環境のほか、ホテルにコワーキングエリア、もしくはオンライン会議や執務ができるエリアがあるかの事前確認は心がけています。インターネット回線の速度も重要で毎回速度も確認しています。

ワーケーションに、これからどんな「動機」を持たせるか

編集部最後に、みなさんがこれからワーケーションを通じて実現したいことや、目標があれば教えてください。

木村:地元にある、ワーケーションにオススメの場所を発信したいです。観光地についてはガイドがあるものの、ワーケーションに向いている場所の情報はそこまで多くありません。ワーケーションを通じて、地元の良さを知るきっかけをつくりたいです。

松井:タイに行き、マンタと触れ合いながら働く計画を立てています。そのためにはダイビングライセンスが必要なので、下田で取得をしてきます。新しい目標を持つことが挑戦のきっかけとなって、仕事もプライベートも楽しくなります!

入江私は部署やプロジェクトでのグループワーケーションをしたいですね。リモートワークメインで仕事をすると、直接会うことなく仕事をする時間が長くなり、メンバー間で認識のズレや連携不足が起こりかねません。そこでチームメンバーと一緒にワーケーションを行い、コミュニケーションを活性化したいと考えています。実際、異業種との取り組みは多く、功を奏しています。

あと、ワーケーションは組織への帰属意識を高める効果があるのではないかと感じます。ポイントは「軽い罪悪感」です。

松井、木村:罪悪感ですか!?

入江はい(笑)。たとえば、背景に富士山の壮大な景色が見える快適な部屋で仕事をし、終業後にはおいしいお酒が飲める環境に身を置いたら、「こんな環境で仕事をさせてもらえてありがたい」という気持ちにもなり、その場の価値を最大化しようと考えることもあります。

ワーケーションができる環境を提供してくれた会社に感謝の気持ちを抱きやすいですし、より結果を出そうと仕事に取り組むようになることも多くあります。

いつでも、どこでも働けると、生活の質は格段に上がります。これからも、ワーケーションを通じて働く時間をもっと楽しみたいと思っています。

 

<編集後記>
日頃からワーケーションを仕事に意欲的に取り入れている3人が、ワーケーションの魅力を語ってくれました。始めたきっかけや向き合い方はそれぞれでも、みなさんが今「働く」を楽しんでいる様子が伝わってきました。
一方で、ネット環境をはじめとしたトラブルを想定してスケジュールを組むといった対策も講じていました。ワーケーションにおける仕事と余暇の比重は人それぞれですが、仕事をしているとの認識を持ち、計画的な行動は必要です。
3人は「仕事も現地の人との交流も楽しみたいし、ビジネスチャンスを創出したい」「趣味と仕事を掛け合わせて経験を積みたい」など、求めていることがはっきりとしているだけに、高い効果を得ているといえます。

ライター

薗部雄一


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