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2015.10.28 2023/05/31

「育休を取得したら、業務の無駄が見えるようになった」ワーパパが語る、育休のメリットと子育て観

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「育休を取得したら、業務の無駄が見えるようになった」ワーパパが語る、育休のメリットと子育て観

今回のインタビューは、シリコンバレーにあるスマホ広告ネットワークAppLovin日本代表の坂本達夫さんです。2015年4月まではGoogleで働いていた坂本さん、6月からはAppLovinの日本代表として多忙な毎日を送られています。坂本さんは、4歳の息子さんと1歳の娘さんを持つ2児のパパでもあり、Google時代には育児休暇も取得するなど、積極的に育児をされています。そんな坂本さんに、育休を取得したことによる仕事面でのメリットや、夫がイクメンに変わる方法?も教えてもらいました。

平日夜は基本的には予定を入れず、家族との時間を大切に

齋藤毎日外出が多いとの事で、お仕事もお忙しいとは思いますが、平日お子さん達と触れ合う機会はありますか?

坂本さん(以下 敬称略) 毎朝子ども達2人を保育園に送っていて、週に1~2回はお迎えもしています。朝食と夕食は一緒にとっていますし、お風呂は上の息子と一緒に入っていますよ。上の子には絵本を読んだり、おもちゃで毎日一緒に遊んだりしています。あと、寝る時は子ども達2人と一緒に寝ています。

夕食も一緒にとれる生活はすばらしいですね。休日はどうですか?

坂本何も予定がない日は、公園に連れていって疲れるほど遊ばせて、午後には昼寝をさせます。わりと毎週どこかに連れていっていますね。水族館、キドキドなどの遊戯場、児童館、動物園とか、色んな所に行っています。友人とのランチなど、親の予定に子ども同伴で行くこともあります。あとは、保育園の友達と親同伴でどちらかの家に遊びに行ったり、観光に行ったりする事も多いですね。

休日は特にお子さん中心なのですね。坂本さん自身、子どもが出来て自分が変わったなと思う事はありますか?

坂本やはり時間の使い方が、変わりましたね。特に、平日夜は仕事の会食を除いて、基本的には予定を入れず、なるべく家族との時間を作るようにしています。プライベートな友達との予定は、原則として朝の始業前や、ランチに限定しています。
また仕事の優先順位付けもよりドラスティックになり、「どうしても自分がやらないといけない」仕事以外は極力やらないように心がけています。

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家事は得意不得意で分担
夫婦間で常にコミュニケーションを!

齋藤奥さまとの家事分担は決まっていますか?またどのような形で担当を決めましたか?

坂本お互いの、得意不得意、好き嫌いで分けました。私は風呂掃除、保育園への送りを担当していますね。妻が嫌いだと言う事でゴミ捨てもしています。 料理や洗濯は妻のほうが得意なので 担当してもらっています。食器洗いや買い物は、二人でやっていますね。

ちなみに平日は奥さまとどのようにコミュニケーションをとっていますか?

坂本スケジュールは Google カレンダーで共有し、日中のコミュニケーションは FacebookメッセンジャーやLINEを使用しています。家にいるときはもちろん口頭ですね。

坂本さんと奥さまは日頃からコミュニケーションを密に取っているようですが、予定や連絡事項だけではなく、お子さんの教育について話し合う事はありますか?

坂本教育についてあまり細かいことは考えていません。基本的には「多種の機会を与える」「本人の好きなようにやらせる」「大学に入るまでに複数年海外経験を積ませる」といったざっくりとした方針は共有しています。

例えば、奥さまと教育に関して考え方が異なることは?

坂本しつけに関することでは、時々、揉めることがあります。例えば、怒るべきタイミングで怒らなかったとか、怒らなくてもいいときに怒った、というようなケースで揉めることが多いです。また、自分たちが育ったときとは時代も居住地も価値観も違うので、「自分たちの頃はこうだった」というのを押し付けないようにしよう、というのは自分も妻も心がけています。
あとは、早寝ですね。親も子もフィジカルコンディションが悪いと、色んなことが上手く回らなくなるので。

そうですね。フィジカルコンディションは大切ですよね。

育休を取得したら業務の無駄が見えるようになった

齋藤坂本さんはお子さんが出産の際に、育休を取られたんですよね?

坂本1人目のときは、たまたま転職の合間で有給消化期間中だったため、妻の実家で 3 週間過ごしその間に生まれました。出産 1 週間後から新しい職場での勤務が始まり、そちらでは休みはとりませんでした 。さすがに転職直後には休みがとれなかったので。

有給消化期間中でよかったですね。2人目の時はどうでした?

坂本2 人目のときは、出産後すぐに 1 ヶ月の育休をとりました。当時の職場 (Google) では、上司(男性)や同僚(男性)が過去に育休をとっていたので、チームとして「男性でも育休をとるのは普通」という雰囲気だったのはありがたかったですね。

-「男性でも育休をとるのが普通」という雰囲気があることが凄いですね。では、育休中はどんなことを考えていらっしゃいましたか?またその後、育児と仕事の考え方に何か影響はありましたか?

坂本実は、育休をとる前は、「僕がいなくて職場のみんなに負担がかからないかな」とか「担当プロダクトの売上が下がらないかな」と心配していたんです。でも、実際に1ヶ月いなくなってから戻ると、少なくとも売上という面からは、まったくマイナスの影響は出ていませんでした。あまり売上がセールス活動に影響されないオンラインプロダクトだったというのはありますが、とはいえ、自分にとってそれは大きい発見でした。

皆さんが育休をとれない原因の1つに、「自分がいなくなったら業務がまわらなくなるんじゃないか」という考えがありますからね。

坂本そうですよね。日々の仕事について、それまでは「絶対やらないといけない」という固定観念を持っていましたが、育休以降は全ての仕事に対して「これ、やらなくても良いんじゃない?」と疑いの目を向けるようになり、実際かなり無駄だなと思われる仕事をやらなくなりました。

仕事面でも効率がよくなったんですね。

坂本そうかもしれません。逆に子どもと過ごす時間は「効率」で語るべきではなく、特に子どもが小さいうちは、長ければ長いほど良いと思っています。良いというか、少なくとも僕は幸せと思っています。
仕事は究極まで無駄を省いて、同じ時間で同等以上のアウトプットを出す、余剰の時間を子どもと過ごすのに投入しよう、というのが現在のスタンスです。

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イクメンという言葉が流行っている事について何か思うことがあれば教えてください。

坂本男性が育児をするのがまだ当たり前になってないからこそ使われている言葉だと思いますので、長期的には無くなってほしいと思っています。
ただし、そのような状況になるまでの過渡期において、イクメンという言葉をきっかけに、それまで育児に興味がなかった男性が興味を持ったり育児に取り組んだりするのであれば、それはそれで悪いことではないと思います。

イクメンという言葉が流行っている一方で、旦那さまが全く育児や家事をしない家庭も方もまだまだ多いようです。そんな旦那さまをお持ちのワーママへアドバイスを。

坂本僕から見て、男性はおおむねカッコつけで 、異性からも同性からも良く見られたいという気持ちが強いと思います。承認欲求が強く、逆に叱られたりマイナス点を指摘されたりすると反発するものです。
他の男性と比べて育児・家事をしないことを叱っても、自分から進んでするようにはなりません。何か少しでも育児・家事に取り組んだときに、大袈裟に褒めて、できれば旦那さんの周りの人にも 、本人に伝わるように「助かった!素晴らしい!カッコいい!」と言ってみてください。
面倒かもしれないですが、事実、男性は面倒なものです。マネジメントだと割り切るのが良いかと思います。

最後に、子育てについて参考になった本、WEBの記事等あれば教えて下さい。

坂本漫画の「ママはテンパリスト」です。育児ってそんな綺麗なことばかりではないし、そんなに堅苦しく考えなくてもいいんだな、と肩の力を抜く助けになりました。あと「未来のイノベーターはどう育つのか」です。常識にとらわれずイノベーティブなことを志向し実現する人は、どのような幼少期を過ごし、どのような教育を受けてきたのかということを研究した本です。幼少期については好きな遊びを徹底的にやらせることで、内的なモチベーション の好奇心、情熱、目的意識 が生まれるという内容が特に参考になりました 中等教育以降はアメリカでの事例になるため直接的に参考にならない内容も多いですけどね。今は上の子については好きなオモチャで好きなように遊ぶのにひたすら付き合っています 特に、人形や動物のオモチャで、ごっこ遊びをするのが好きです。

坂本さんが人形や動物のおもちゃでお子さんと遊んでいる姿が目に浮かびます。
パパに大切なのは、「育児を手伝っている」という意識よりも「育児を楽しんでいる」というと事なのかもしれません。笑顔でお子さんのお話をする坂本さんをみてそう感じました。

プロフィール

坂本 達夫さん

AppLovin Corporation 日本営業部 部長

1985年生まれ。福岡県出身。2008年に東京大学経済学部を卒業し、新卒で楽天に入社。
2011年に Google へ。AdMob 事業部での3年の勤務を経て、現在はシリコンバレーのアドテク企業 AppLovin の日本展開を担当。日本唯一のメンバーとして孤独に耐えながら頑張っている。
ゲームパブリッシャ Polaris-X (ポラリスエックス) でマーケティング担当も兼務。40代独身男性が主人公の RPG「中年騎士ヤスヒロ」が Google Play で配信中 (iOS 版は 11 月中旬リリース予定)。

文・インタビュー:齋藤 有子

ライター

ラシク 編集部


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