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2019.09.27 2023/05/20

経歴に自信がなかった1児のママが、
Webデザインの世界に飛び込み才能を開花させた秘訣

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laxic

出産後、自分らしく働くためにフリーランスの道を選んだ女性がいます。中村早雪さんはかつて企業で海外転勤も視野に働いた経験の持ち主。夫の海外転勤帯同や出産でキャリアが中断し経歴に自信が持てなかったという中村さんですが、まさに今、プロのWebデザイナーとして新たな一歩を踏み出そうとしています。彼女の飛躍の舞台になったのが、デジタルハリウッドのママデザイナー限定プロジェクト。いじめを未然に防ぐサービスを提供する株式会社マモルのWebサイトリニューアルをコンペ形式で実施しました。このコラムでは、株式会社マモル代表の隈(くま)さんと、デジタルハリウッドで 「ママクラス」 を立ち上げた矢野さん、そして見事デザイン案が採用された中村さんの対談をお送りします。女性が自分らしく働き続けるための秘訣とは!?

プレスリリースはこちら

ビギナーママのWeb デザイナーへ実績づくりの機会を提供! デジタルハリウッド「xWORKS」でママ限定「Majiyaru Project」を実施

企業はママの眠れるスキルを求めている!
デジハリ×マモルのプロジェクトとは?

左から、株式会社マモル代表取締役社長 隈有子、Webデザイナー 中村早雪、デジタルハリウッド xWORKS 矢野麻衣

編集部:まずは隈さんにお聞きしたいのですが、今回、御社のHPリニューアルにあたり、デジタルハリウッドxWORKS(以下、デジハリ)の協力のもとコンペを行ったとのことですが、「ビギナーママWebデザイナーへ実績づくりの場を提供するプロジェクト」 として企画した背景について教えてください。

 

株式会社マモル 代表取締役社長 隈 有子さん(以下、敬称略。隈):今回のプロジェクトは、ママ目線の提案を求めていた弊社と、ママWebデザイナーに機会提供をしたいデジハリ、双方の想いにより実現しました。デザインは制作会社にお願いする方法ももちろんありましたが、当社の事業に共感いただける方とご一緒したい気持ちが強かったです。

 

編集部:なるほど。御社はITでいじめを未然に防ぐサービスを提供していますから、ママ目線で提案いただけるのは嬉しいですよね!

 

隈:あとは、HPリニューアル後も良きパートナーとしてご一緒できるような方とチームを組めたら最高だなと思っていました。そんな矢先に、このプロジェクを通して2歳児のママでもある中村さんとご縁をいただいたので嬉しかったです。

 

編集部:まさにご縁ですね! ちなみに、矢野さんは、「Webデザイナー専攻 主婦ママクラス」 の立ち上げや、在校生・卒業生の出口支援に携わってこられたとお聞きしていますが、どのような経緯で隈さんとプロジェクトをご一緒することになったのでしょうか?

 

矢野 麻衣さん(以下、敬称略。矢野):隈さんとの出会いは卒業生からの紹介です。フリーランスのWebデザイナーを目指すママは最近とても増えていて、当校でも5年前に 「ママクラス」 を立ち上げました。ママの皆さんはフルタイムで働きたいというよりも、子育てと両立しながらリモートなどで柔軟に働きたいという方が多いので、私たちとしても 「ママ向けの出口支援をもっと強化したい」 と思っていたんです。そんな矢先に隈さんを紹介いただき、すぐに 「一緒にやりましょう!」 となりました。

 

編集部:そして実施したコンペで、見事、中村さんの作品が選ばれたと!

 

中村 早雪さん(以下、敬称略。中村):私は今まさにママコースを受講しています。もともと異業種で働いていましたが、働き方の価値観が少しずつ変化してきた中でWebデザインに出会いました。実績づくりはこれからなのでチャンスは逃すまい! とアンテナを張っていたところ、メールで今回のプロジェクトを知り、応募させていただきました。

 

隈:中村さんのプレゼン本当によかったですよ! 当日はお子さん抱っこしながらでしたよね。「世の中にはこんなに優秀な方がいらっしゃるんだな」って思いました。ママの潜在スキルはすごいですね。

 

矢野:本当に! 社会に眠れる女性のパワーをもっともっと知ってもらいたいですよね。

 

隈:このプロジェクトも、そういう意味でこれから頑張っていく才能ある方が活躍するきっかけになったら嬉しいなという思いで企画しました。女性のキャリアってライフイベントに影響されやすいですけど、だからこそ「前向きに頑張っていれば道は開けるよ!」ということを中村さんを通して伝えられたらいいなと。

ライバルだけど仲間!
ママ目線を生かし、切磋琢磨で共に成長

編集部:コンペにはデジハリ受講生・卒業生8名8作品がエントリーしましたが、中村さんは、何が勝因だったと思いますか?

 

中村:一言でいうと 「リサーチ量」 です。 コンペの事前オリエンテーションでのヒアリングはもちろん、隈さんにFacebookの友達申請をさせていただいて活動内容やプライベートの部分も含めじっくり見させていただきました(笑)

 

隈:え〜! そんなところまで見られていたとは!(笑)

 

中村:講演会に登壇されていたり、隈さんはとにかく活動的でいろいろな所に種を蒔いている方だな、と思いました。なので、Webサイト制作だけで終わらずに、今後の活動を一緒に育てていけるようなご提案をするのがいいのかな? と思いました。

こちらが実際に中村さんが提案し採用された作品

編集部:それにしても、他の7名についてもデジハリで腕を磨いたママWebデザイナーなので、なかなかハイレベルな戦いになったのでは?

 

隈:本当に皆さん素晴らしい提案をしていただいたので最後まで迷いました。でも、今回のサイトリニューアルに限らず先のことも考えて提案してくれたのが中村さんでした。リサーチをたくさんしてくれたおかげでプレゼンにも説得力がありましたし…… これは仕事においてとても大事な点ですよね。

 

編集部: ちなみに、コンペの応募からプレゼンが行われるまでの間、矢野さんは事務局として応募者にどのような関わり方をされていたのですか?

 

矢野:事務局としてプロジェクトの企画から中村さんに決定するまで近くで伴走してきました。コンペなので公平性を保つ意味で個別の相談には応じませんでしたが、Facebookで非公開グループを作って支援しました。コンペに参加する方と隈さん、事務局がコミュニケーションを取れる場として開設したのですが、これがかなりよかったんですよ!

 

編集部:え? コンペでFacebookグループですか?? 普通は “競合他社” になるので交流なんてしないですよね?

 

矢野:確かに、言われてみればそうかもしれませんね(笑) でも、今回はあくまでスクールが主催しているので、コンペと言っても育成プロジェクト的な意味合いが大きくて。プロで独立している人同士のコンペだったら卒業生とはいえこんなに和気藹々やらないですが、今回は全員ママですし、実績をつくりたい! というのが共通の目標だったので、競合というよりも、仲間として切磋琢磨していました。

 

中村:オリエンテーションからプレゼンまでの間は約1ヶ月あったのですが、途中経過を発表する機会がFacebookグループ上であったんです。事務局に進捗を報告する意図もありましたが、何より他の仲間たちがどんな視点で作っているかを見られるのは張り合いにもなりました。

 

編集部:Facebookページ上で途中経過を発表ですか! おもしろい! どうやって発表したのですか?

 

矢野:制作途中のデザインデータをグループページにアップロードして、隈さんや他の応募者からフィードバックをもらいました。みなさんとても活発に意見交換されていて驚きました。私はママクラスを立ち上げるときに、まさにこうして切磋琢磨しながら共に成長できるママ受講生のコミュニティを作りたいなと思っていたのですが、実現したな! と感じて嬉しかったですね。

女性のキャリアは一本道じゃないからこそ、小さな “種まき“ をし続けよう

編集部:中村さんは、今まさにWebデザイナーとしての道を歩み出そうとしていますが、スクールに通ってゼロからスキルを身につけてまでWebの道に進もうと思った理由はなんですか?

 

中村:以前、セレクトショップを開業した際にECサイトを立ち上げて運営していたこともあり、Webを使って仕事がしたいなというのは前々から考えていたことでした。でも、当時は夫の海外転勤に帯同するため仕事を辞めてしまって。経歴に一貫性がないことをコンプレックスに感じてきたこともあり、「今からでも遅くない! キャリアをつくっていこう!」という想いでチャレンジしたんです。

 

編集部:キャリアの一貫性…… 働く女性がぶつかりやすい部分ですよね。とはいえ、中村さんはその都度できることを見つけてやってきたでしょうからそんなに自信を失う必要はない気がしますが……?

 

中村:私って、海外や、いろいろな場所で仕事をしながら成長していくことに喜びを感じる人なのかなと自己分析していまして。新卒で入社した素材メーカーも、海外拠点がたくさんあったので、「どこでもいきます! 頑張ります!」みたいな感じで選びましたし。会社の中でキャリアアップをしていくことがある意味一貫性だと思っていたのですが、現実には私自身のライフスタイルの変化もあって離職してしまいました。

 

編集部:特に女性はライフイベントの影響もありますから、変わっていくこと自体は自然なこととも思いますが、新卒で入った会社が終身雇用や年功序列的な風土であれば、中村さんの仕事観に大きな影響を与えたでしょうからね。大企業や男性社会で揉まれた総合職女性の “あるある” 的なお悩みなのかもしれませんね。

 

中村:まさにそうですね! 歴史のある日本の会社という感じで、会社の中でステージを上げていく働き方でした。だから、途中で戦線離脱してしまった自分は一貫性がないと感じてしまったのかもしれません。

 

矢野:一方で、こういうクリエイティブな業界だと、働き方もフリーランスが多いですし、新しい出会いからスピーディにものごとが生まれたりするので、そういう意味で固定観念を払拭するきっかけになったのでは?

 

中村:まさに! さまざまな経験を糧に活躍する方と出会えて、刺激をもらいました。人と人のつながりって言うんですかね…… セレクトショップを開業したときも、当時住んでいた神戸市に事業計画書を提出して助成金をいただいたんですが、商店街活性化の事業にも携わらせてもらい、確かにやりがいを感じましたし。会社の中で上に上がっていくだけがキャリアじゃないんですよね。

 

隈:ここまで中村さんのお話を聞いていてつくづく今回採用になったことに納得しちゃいました。中村さんは元々マインドが高いからちゃんと “種まき” できる方なんじゃないかしら!?

 

矢野:共感です! 才能の有無だけじゃなくて、やっぱり “種まき” ですよね。今回だって、私が発信したメールをちゃんとキャッチしてくれたからチャンスをモノにして今に至るわけですし。ワーママのキャリアのお話ってブランクの有無に焦点が行きがちですけど、種まきをしていればブランクそのものってあまり関係ないんじゃないかなって思います。

 

編集部:中村さん、今こうして新たな実績ができつつあるわけですが、コンプレックスや自信には変化がありましたか?

 

中村:コンプレックスは無くなりました! 最初のころは、デジハリの仲間にすら自分の経歴を自信をもって伝えられなかったんですが、最近は、過去のお仕事でご一緒した方にもちゃんと近況報告ができましたし。

点と点をつなぎ、私の道を切り拓く!

隈:デジハリで身につけるのはあくまでクリエイティブスキルだと思うんですけど、これからの時代はスキルだけじゃなくて、コミュニケーションスキルだったり、その人が歩んできた道が滲みでるような人間性だったりが求められるんじゃないでしょうか。総合点で勝負!みたいな。

 

中村:Webに出会って、いままで出会わなかった方たちとお話をしていたら、私だけじゃなく、みなさんもやっぱりいろんな経験をし、漂流しながらこのお仕事に辿り着いているんだなと感じます。ママクラスの仲間や先輩やお仕事関係のみなさんのお話を聞いていて、まさにコネクティングザドッツじゃないですけど、いままでの経歴が点と点で全部つながっているんだなと思います

 

矢野:こういうお話って知識として理解するというよりも、やっぱり自分で体験して会得していくものなのかなと思います。ブランクがあっても、窮地に立たされても、腐らずちゃんと種まきできる人はどのステージにいても点と点をつないでいけるんですね!

 

編集部:女性のキャリアに置き換えるならば、さまざまな浮き沈みも成長するための材料というわけですね!

 

隈:“種まき” って言葉が頻繁に出ていますけど、種まきって何も特別なことじゃないんですよね。誰にでもできるちょっとしたアクションを、意志を持ってし続けることが大事なのかな。

 

編集部: LAXICの読者の中には、キャリアのブランクや、制約によって思うように働けずモヤモヤしている方も多いと思います。最後に、3人それぞれの立場から、読者へメッセージをお願いします!

 

中村:「一歩を踏み出そう」なんておこがましいのですが、ちょっとしたきっかけで最初の一歩は踏み出せると思いますので、自分にできることから始めてみるといいと思います。

 

矢野: 「こうあるべきだ」 という固定観念は機会損失につながるリスクもあると思うので、視野は広く自分の可能性を模索してほしいですね。私は2ヶ月前にデジハリを退職し、今はフリーランスとしてデジハリのお仕事を含め、幅広く活動をしています。「ママだから諦めよう」じゃなくて、「ママの私だからできることは何か」を考えて動いてみたら会社員時代よりも仕事の幅が広がりました。

 

隈:キャリアの停滞期がない女性はほとんどいないと思います。みなさん必ずどこかで「100%の自分で生きていないな」というときがあると思うんですよね。「そういうときもあっていいんだ!」って思えないと辛くなっちゃうと思うので、お休みしつつも小さな“種まき”をしてみるとのではないでしょうか。

働く女性にとって、キャリアブランクやスピード感の変化はつきものです。それゆえ、モヤモヤしたり自信を失いそうになることがあるのも当然です。今回取材させていただいた中村さんのように、長く働き続けたいからこそ点と点を線で結ぶキャリアの作り方は多くの女性の参考になったのではないでしょうか。 小さな種まき、大事ですね!

プロフィール

隈 有子(くまゆうこ)さん

株式会社マモル 代表取締役社長

大学を卒業後、IT企業数社でコンテンツ企画、マーケティングを経験。
自身の強みであるWebマーケティングのノウハウを活かし、いじめや組織のハラスメントをITで早期発見する株式会社マモルを設立。

中村 早雪さん

フリーランスWebデザイナー

大学卒業後、素材メーカーにて工場の勤労、人事担当として勤務。地元の兵庫に戻り、開業準備期間を経て、メイドインジャパン土産のセレクトショップ開業。ECサイト運営、商店街復興プロジェクトを立ち上げる。結婚を機に店を閉め中国山東省青島へ帯同。帰国後、かねてより興味があったwebデザインを学ぶためにデジタルハリウッドwebデザイナー専攻主婦ママクラスに入学。夢は、中国語のwebサイトをつくること。再び海外に拠点を移すことになってもwebデザイナーの仕事を続けていきたい。

矢野 麻衣さん

デジタルハリウッド xWORKS コーディネーター

兼 フリーランスWebディレクター&ライター。デジタルハリウッド株式会社に新卒入社して14 年勤務。集客プロモーション、ママ向け新コースの立ち上げ、BtoBのWeb制作受託など様々な業務を経験。2016年に第一子出産、育休中に始めたブログで月間10万PVを突破。ブログがライフワークに。時短ワーママとして復職し、1年半後にフリーランスとして独立。デジタルハリウッド xWORKSのコーディネーターを継続しつつ、Webサイトの集客やライティング活動を行う。

文・インタビュー:小山 佐知子

ライター

小山佐知子

ラシク編集部  旧編集長

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