梅雨シーズンの登園・登校対策、どうしてる?
ママ気象予報士・今井明子さんに聞く、天気予報活用術

ラシク・インタビューvol.197

サイエンスライター、気象予報士 今井明子さん

6月になり、全国各地で梅⾬が始まりましたね。最近は「気象病」という言葉も耳にしますが、この時期は雨や湿気でなんとなく気分も体調も優れない…と感じる人が増えているようです。そして雨の日のママのお悩みといえば、子どもの送迎方法や、登校・登園の持ち物。毎日の変わりやすいお天気でどう送迎するか、何を持たせるかと、天気とにらめっこしながら頭を悩ませていませんか?
今回お話をお聞きしたのは気象予報士であり、小学1年生と3歳のお子さんのママでもある、サイエンスライターの今井明子さんです。気象病の原因やお付き合いの仕方に始まり、子どもの送迎や持ち物など、雨の日に向けたワーママならではの準備のコツを教えていただきました。

子どもでも起こる!
なんとなく体調が優れないその理由は「気象病」かも?

編集部:今年は全国的に例年より梅雨入りが早く、今日も雨が降っていますが、こういう日は何だかだるかったり、頭痛が出たりという人が増えているように思います。

 

今井明子さん(以下敬称略。今井):「気象病」と呼ばれる体調の変化ですね。「気象病」は、温度や湿度の変化が急激すぎて、自律神経の調整が追い付かない状態になることで症状が出てきます。梅雨の時期は日によって気温や湿度の変化が激しいので、気象病の症状で悩む人が多いです。

 

編集部:気象病という言葉、ここ数年のうちによく耳にするようになりましたよね。先日も、朝の情報番組で気象病をテーマにした話題が取り上げられていました!

 

今井:気象の変化が原因で起こる「何だかだるい」「頭が痛い」といった症状は、今でこそ気象の影響だと認知されつつありますが、それでもまだ広く知られているわけではありません。実際に職場などで、体調がすぐれないのは気象のせいだと伝えても、周囲からは理解されなくて辛いという声を多く聞きます。

 

編集部:確かに、雨の日に天気のせいで偏頭痛がすると上司や同僚に伝えても、「辛いかもしれないけど頑張って…!」と言われて終わりにされたことがあります。

 

今井:私の子どもも気象病の症状があるんです。たまに「頭が痛い」と言うことがあるのでしばらく観察していたのですが、大人が低気圧の影響を受けているタイミングで頭痛を訴えることが分かったので、小学校の個人面談の時に先生に症状を伝えました。子どもが学校に行って、「天気が悪いから体調が悪いです」と言うのを仮病と思われてしまうことは避けたかったですし。先生には理解していただけたようでよかったです。

 

編集部:子どもはまだ自分の体調をきちんと把握できないことが多いですし、大人にうまく伝えることも難しいですからね。親が気象病の正しい知識を持っていて、ケアしたり、ヘルプの手を差し延べることが大切なんですね。

 

今井:まずは子どものようすとお天気を照らし合わせながら、少しずつ「あれ、もしかしてこの子は気象病なのかしら?」と変化を観察してあげるのが大事ですね。もし日常生活に支障が出るようであれば、医師に相談してみることをおすすめします。

急な天気の変化に対応するために気をつけたいことは?

今井明子さん/オンラインにて取材しました。

編集部:梅雨時の変わりやすいお天気だと子どもの送り迎えや、どんな持ち物を持たせるかに悩みます。

 

今井:朝の段階で「帰宅のときに天気が崩れるかどうか」をぜひ見てみてください。気象庁ホームページの「今後の雨(降水短時間予報)」を見れば15時間後までの雨雲のおおよそのようすが分かります。「何時から何時まで降り続くのか」を観察して、それに合わせて雨具を持っていくことがコツです。

 

編集部:なるほど、そんなに先まで予想ができるんですね!

 

今井:我が家では確実に雨が降るとわかっている日は、自転車は使わないようにして、早めに家を出て歩いていくようにしています

 

編集部:時間の見積もりは大事ですよね。ただ、頭では分かっていても、朝の支度に手間取って結局自転車を使ってしまうことも…。

 

今井:どうしても急いでいる方もいますし、難しいところですよね…。少しお金がかかってしまいますし、園によっては禁止されているかもしれませんのですべての人におすすめできるわけではないのですが、家から保育園まで遠い人は、安全のためにタクシーを利用することも検討してみてはいかがでしょうか。また安全面という観点から言うと、「風が強いかどうか」もポイントです。風が強いと自転車はさらに転倒の危険が上がります。傘だと子どもは飛ばされやすく、支えきれないなどのリスクも生じます。風の強い日は、自転車を控えて、傘を持ちつつレインコートをメインで使うのがおすすめです。

 

編集部:天気予報をチェックするときに、風を意識をしたことがありませんでした!

 

今井:風速5mを超えると外に干した洗濯物が飛ぶので日常生活では「ちょっと風が強いぞ」と感じる風の強さだと思います。この「5m以上」を覚えておくといいですよ! 一般的に風速が1m強くなると、体感気温が1度下がると言われていますので、風の強い日は気温から風速を引いた数字で着る服を用意することをおすすめします。

あとは気温の変化にも注目した方がいいですね。最高気温と最低気温は気にされる方が多いと思いますが、日によって最高気温と最低気温の時間帯は異なります。昼間に晴れる場合、日の出前に最低気温を、昼過ぎに最高気温を記録することがほとんどですが、1日中雨が降るような日だと、ときには朝の気温が高く、日中にどんどん温度が下がっていくこともあります。風の強さと時系列の温度変化がその日子どもに何を着せるか決めるときの参考になります。

 

編集部:なるほど、たとえば風の強い日は風を通しやすいセーターではなく、風を通しにくい暖かい素材の服にしようとか工夫ができますね。雨の日の服装でいうと、小学校は保育園のようにレインコートや長靴を置く場所がないところも多いので、身に付けさせるか悩ましいですね。

 

今井:我が家の話ですが、1日中断続的に雨が降るという予報が出たので、子どもを長靴で登校させたところ、たまたま体育の授業のときだけ雨が上がり、屋外での体育の授業は長靴で受けたと子どもから聞き、頭を抱えたことがあります。また、レインコートはとくに小学校低学年の場合、ビチャビチャに濡れたままランドセルに突っ込んだりすることも考えられるので、あまりおすすめできませんね。

 

編集部:近頃の天気は変わりやすいことも多いので、雨の日でも運動靴と傘で登校するほうがいいのかもしれないですね。

 

今井:雨が降ったりやんだりするような変わりやすい天気の日は、運動靴で行くのがベストなのかなと思います。家では運動靴を2足用意しておいて、濡れたら次の日はもう1足の靴を履いて行ってローテーションするというのが現実的ですかね。

 

編集部:子どもが低学年のうちは、自分で機転を利かせるのは難しいので、親がこまめにチェックすることが大切ですね。

天気予報は複数の情報を合わせ技で見るのがおすすめ

編集部:とはいえ、朝は支度で忙しく、毎日の天気予報を見るのもお天気マークの情報のみに頼りがちになります。夏場はとくにゲリラ豪雨の発生などもあって天気の予測がしにくいです。どんな情報を見るのがおすすめですか?

 

今井:その前に…よく聞く「ゲリラ豪雨」という言葉ですが、実はこれ、正式な気象用語ではないんです。実際に気象庁の天気予報では「局地的大雨」といわれているんですよ。いわゆる夕立の強いバージョンですね。このような大雨は単発の積乱雲によってもたらされることが多いので、雨雲レーダー(高解像度降水ナウキャスト)を見ると、赤や黄色で示されるような強い雨が降っているところが丸く表示されます。その場合は雨が降るのも1時間程度のことがほとんどです。このような範囲が狭く、短時間で終わる現象は天気予報で「今日何時にこの地域で局地的大雨が来ます」とは言いにくいんです。でも、もし天気予報で「大気の状態が不安定」という言葉がでたら要注意です。この言葉の意味することは「積乱雲が発生しやすい」ということです。局地的大雨が起こりそうな日は、朝のニュースなどで必ずこの言葉が出ます。

 

編集部:なるほど、この言葉の意味を知っているだけでも心構えができそうです!

 

今井:その上で、よく空の状態を見てみて、積乱雲、とくにエリンギのように頂上部分が平らな形をしている雲が見えていたり、少し遠くの場所の空が真っ暗だったりしたら、その下で大雨が降っている可能性が高いと考えてください。雨雲レーダーを見れば、その雲がどこで雨を降らせているかわかります。雨雲レーダーで今後の雨雲の動きの予想を見て、もしこちらの方に雨雲が発生してきそうだなと思ったら、その時刻までに室内に入るようにしたほうがよいでしょう。あとは自分の頭の上の空が暗くなる、冷たい風が吹いてくる、ゴロゴロという音が聞こえるようになったら積乱雲がすぐ近くで発生しているサインなので、なるべく早く室内に避難してください。

 

編集部:空のようすを観察すると分かることが多いのですね。ですが働いている方はテレビを見る時間がなく、アプリやネットニュースなどの情報を見ることが多いです。「大気の状態が不安定」という状況は分かるものですか?

 

今井:気象庁のホームページや「Yahoo!天気」など天気予報アプリの概況部分を読めば「大気の状態が不安定です」と書かれているのが分かります。天気予報は複数の情報を合わせ技で見るのがおすすめです。

 

編集部:複数の情報を見るというのはどういうことですか?

 

今井:ナウキャストは30分後までの情報は詳細に分かるのですが、30分~1時間後の雨雲情報はややざっくりとした情報になります。それよりも先の情報を見るときには、同じく気象庁の「今後の雨(降水短時間予報)」というのを見ると、ナウキャストほどきめ細やかではありませんが、15時間後までの雨雲の動きがわかります。また、その日や翌日の通勤や子どもの送迎の時間帯に雨が降るのかどうか、気温や風はどうなのかを知るには、地域時系列予報の情報もおすすめです。

 

編集部:お天気アプリはどの情報を元にしているのでしょうか?

 

今井:気象庁の情報を元にしつつ、気象会社が独自の予報を加えていることもあります。Yahoo!のお天気アプリは、15時間後までの雨雲のようすが分かるので便利ですね。天気予報は先の予報ほど当たりにくいという性質があります。梅雨の時期や夏は特に予報が当たりにくい傾向があるので、何度か確認してみて下さい。

 

編集部:夏は予報が当たりにくいとなると、休日にレジャーにいく予定が立てづらかったりします。気をつけるポイントはありますか?

 

今井:まずは朝に「大気の状態が不安定」という言葉が天気予報で出てこないかチェックすることです。そのうえで、雨が降る時間帯をアプリで把握したり、空の様子を注意深く観察したりして、積乱雲が発生しそうであればすぐに屋内か車内に入れるような予定を立てておくとよいでしょう。

 

編集部:なるほど、こまめに天気予報やお天気アプリをチェックすることで、急な天気の変化に慌てることなく対応することができそうです。今井さん、本日はありがとうございました。

 

高解像度降水ナウキャスト(雨雲の動き):気象レーダーの観測データを利用して、250m〜1km解像度で降水の短時間予報を提供
降水短時間予報(今後の雨)
地域時系列予報

今井さんからは変わりやすい天気と仲良く付き合うコツとして、「変化をこまかく察知すること」と、「変化に合わせて、体調や持ち物を備えること」と教えてもらいました。雨が続く梅雨はなんとなく憂鬱な毎日。でも、ほんの少しの知識を知っていることと、いつもより少しだけこまかく情報とお付き合いするだけで、今までの憂鬱な梅雨の時期が快適に乗り切れそうな気がしますね。

今井明子さんプロフィール
サイエンスライター。気象予報士。「Newton」「東洋経済オンライン」「暦生活」などで気象系の記事を中心に執筆。子ども用の科学本も執筆している。著書に『こちら、横浜国大「そらの研究室」!  天気と気象の特別授業』(共著、三笠書房知的生き方文庫)、『気象の図鑑』(共著、技術評論社)『異常気象と温暖化がわかる』(技術評論社)がある。気象予報士として、お天気実験教室や防災講座の講師、気象科学館の解説員なども務める。2014年生まれの女の子、2018年生まれの男の子の母。
HP:気象予報士の資格を持つサイエンスライター 今井明子公式ホームページ

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文・インタビュー:永見 薫

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