いつかは訪れる親の介護・看取り。そんな「老いた親とのつき合い方」をアドラー心理学で解決しよう【書籍プレゼントあり】

ラシク・インタビューvol.179

株式会社子育て支援/ボン・ヴォヤージュ有栖川 代表 熊野英一さん

子育て真っ只中のLAXIC世代。子どもの成長を楽しむ一方で、自分の親の老化を感じざるを得ない時はありませんか? 今は元気にしていても、いつ訪れてもおかしくないのが親の介護・看取り問題。

自分の親・義理の親との関係が良好な方ばかりではありません。「いつまでも子ども扱いで、干渉してくる母」「頑固を通り越して、常にイライラしている父」会うたびにモヤモヤしてしまう(もしくは疎遠になりつつある)親が突然、倒れ自由に身動きができなくなった時、今の親子関係のまま、介護や看取りができますか? 夫婦や兄弟間で相談できていますか? いつか、あとで、と先送りにしていませんか?

これまで⼦育て世代の悩みを中⼼に、アドラー心理学に基づいたファミリーカウンセラーとして活動され、LAXICでも過去に登場いただいている熊野英一さんが「アドラー式 老いた親とのつきあい方」(海竜社)を出版されました。日々の介護で悩んでいる方はもちろんのこと、将来介護をすることに不安や心配がある方まで、親子関係に悩むすべての人に優しく寄り添い、関係改善のために勇気づけてくれる本です。親の老いという課題にどう向き合えばいいのか。熊野さんに話を伺いました。

2017年の取材記事はこちら

 

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自分の子ども時代とかつての親との関係を整理することからすべては始まる

新刊では、アドラーの考えに基づく親との適切なコミュニケーションについて、事例とともに書かれています

編集部:これまで熊野さんにはアドラー心理学に基づいた「子育て」についてお話を伺ってきたので、「老いた親との付き合い方」というテーマで本を書かれたことに少し驚きました。その経緯について教えてください。

 

熊野英一さん(以下、敬称略。熊野):たまたま…… というか、ご縁が重なりまして。以前、取材してくださったライターさんが親の介護をすることになり、「もしかして親の介護にもアドラーは使えるのでは?」と、出版社に企画を通して下さったのが今年の2月頃でした。新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた頃で、本業である保育サービスや研修、カウンセリング業も止まっていたので「この間に一冊作ろう!」と。

 

編集部:タイミングが合致したのですね! これまでにも「老い」というテーマに対して課題感はありましたか?

 

熊野:常にありましたね。というのも、夫婦関係や子育てでお悩みの方とカウンセリングする時に、必ず自分の育った環境を振り返るからです。自分が子どもの頃の親との関係が整理できると、途端に子どもの見方が変わったり、夫婦で許し合えたり、信頼につながったりする。こうした振り返りの中で、ほかの悩みを抱えている30~40代にとっては、まだリアルな介護に直面している訳ではないけれど、「親が頑固になってきた」「家が離れているから心配だ」など親に関する話も必ず出てくるのです。

 

編集部:なるほど。アドラー心理学を進めていく上では、子ども時代を振り返ることは必要不可欠ですもんね。いつもご縁を大事にされている熊野さんだからこそのタイミングだったのでしょうね。

社会背景を知り、相手の気持ちに乗り移って、まずは共感してみる

編集部:時代背景をコラムとして掲載していますが、親世代のマインドを知るために、社会的な空気感はやはり必要不可欠なのでしょうか?

 

熊野:非常に大事です。今、読者が40代であれば、親世代は70代前後でしょうか。どうしても、目の前にいる今の親の状況で捉えがちですが、元々この人はどういう人だったのか、を思い出してほしいのです。その時に、時代背景の年表があれば、80年代前半って聖子ちゃんとか、チェッカーズとか人気あったよね、と思い出すと同時に、自分の小学生時代を思い出しますよね。すると「あの時、親にこう言われたな」「あの頃から関係が変わってきたな」そういう記憶が蘇るきっかけになるので。

「バブルの時、今、考えたらお父さんはめちゃくちゃ残業して、子育てもやりたくてもやれなかった」「『ワンオペ』なんて言葉がなかった時、お母さん一人で三人子育てしてたってことね」と、今の感覚で親をジャッジせずに「あの時の親は一生懸命してくれていた」と思い出すきっかけになりますよね。

 

編集部:年表にはそういう作用があったのですね。

 

熊野:アドラーのカウンセリングの時も、まずは「共感ファースト」という話をします。相手に乗り移ってみる。認めなくてもいいけど「そりゃそうだよな」と一度、共感する作業はとにかく大事。夫婦のことも子育ても、会社での人間関係も、全てにおいて大切なことです。「なんでこんなに頑固なんだろう」「なんでいつも私のこと子ども扱いするの」と、腹がたつことも多いですが、どうやって「これまでの時代を過ごしてきたのか」、まずは、そこに共感することから始まります。そこまでできると、話し合いのベースができるので、とにかく共感ファーストです。

 

編集部:なるほど。時代の持つ空気感というのは影響が強いんですね。

 

熊野:人格の形成要因については、遺伝、環境、自分の意思、と言われています。遺伝も環境もコントロールするのは難しいものです。昭和の戦後復興からの高度成長期、そしてバブルまで一気に上り詰めたのが親世代ですから。こういう時代背景の中で育てられた私たちが、今、令和の時代に生きている。そこをちゃんと理解して意識することは大事なのです。

 

編集部:この共感は今からでもできそうです。

 

熊野:そうですね。早すぎることは全然ないので、親子の関係を整理しておくことは大事だと思います。「今、読んでおいてよかった」と若い人もたくさん読んでくれていますよ!

今すぐ介護の必要がなくても…… まずはスモールステップから始めよう

編集部:LAXIC読者の多くはどちらかというと、キャリアを積んでから出産しているので、共働きで子育ても手伝ってほしいけど、親も高齢で頼れない…… というのが実情かと。

 

熊野:いま、大多数がその状況ですよね、都心部の読者でしたら特に。一方で、寿命も延び「人生100年時代」もリアルになっています。だとしたら、どうやって付き合っていったらいいか。お互い健康で長寿であればいいけど、そうじゃない場合もありますから。介護というのは、いつ始まるかもわからないし、いつまで続くのかもわからない、その予測不可能な難しさがありますので。あと、今回取材していて思ったのが“8050問題”が深刻だな…… と。なかなか外には言えないできている。だからこそ実態がつかめないのですが、結構身近に起こっている問題ですよ。

 

編集部:そうなんですね……! ニュースでは聞いていましたが……

 

熊野:そういう意味でも、家族会議などみんなで腹を割って、少し先のことを話し始めた方がいいと思います。言い出すことは勇気がいるけど、逃げて先延ばしにしておくよりは、小さな一歩でも踏み出しておく方がいい。そう考えた時に、その小さな一歩ってなんだと思います?

 

編集部:書籍の中に、LINEのやりとり例がありましたね!

 

熊野:そうそう。LINE一本でいいので、義理のお姉さんのところに連絡するとか、家族でグループLINEをつくるとか、お母さんに先手を打って連絡しておくとか…… そういう小さな一歩でもいいんじゃない? というご提案です。LINE一本入れて、どうしようもなくなる失敗って、そこまでないじゃないですか。どっちでもいいんだったら、ちょっとの勇気を出してしてみたら? と。

 

編集部:いきなり家族会議を提案するのは無理だけど、家族でLINEグループを作って、日頃からコミュニケーションとっておくことはできますね。

変化が怖い私たち、でも、仲間を作れば変化の一歩を踏み出せる

編集部:余談になりますが、熊野さんは緊急事態宣言が解除された直後に、ウェビナーを7夜連続で開催されましたね。非常に熱量の高いイベントも影響していますか?

 

熊野:あのイベントで再認識したことがすごく多くて。私たちは今回のコロナ禍で「これからどう生きるか」という変化の必要性について考えさせられました。働き方、夫婦の関係、子育て、自分自身のライフデザイン…… 以前から頭にはよぎっていたけれど、決断せずに後回しにしていたこと。それら変化の必要性が、一気に表面化して「動くの? 動かないの? どっち?」と。そこで、僕らは”マイレボリューション”という7日間連続でオンラインイベントを企画したのです。

一日一人、メンターや諸先輩方の話をじっくり聞いてわかったことは、やはり「僕らは変化をすることが怖い」。特に日本人は「失敗することに不安を持ちやすい」民族であるということが、遺伝的にも科学的にも、文化的にも証明されているのです。一方で、「みんなで行動する」というのが大得意。だからこそ、マスクや手洗いなどのコロナ対策も功を奏しました。みんなが罰則なくてもルールをきっちり守るので。

 

編集部:一方で、”自粛警察”みたいな負の一面も露呈しました。

 

熊野:そうですね。自分の頭で考えて判断するより、決められたからやる。しかも「どうしてルール守らないんだ!」と他人を攻撃するまでやってしまう。そこまで”同調圧力”が強いこともわかりました。でも、自分から決めて一歩踏み出す事に関しては、LINE一本打つこともできない(苦笑)

 

編集部:本当ですね。はみ出すことが怖いんですね。

 

熊野:でもこれからは変化しなければならない時代になってきていて、じゃあ、どうすればいいか。専門分野も違う諸先輩方ですが、みんな共通して「一人が恐ければ、仲間と動けばいい」「大きなジャンプが恐ければ、小さな一歩に分解すればいい」「自分のワクワクすることを選べばいい」と助言してくれたのです。世の中に、大きな貢献を成し遂げてこられた先輩たちも、ごく当たり前のシンプルなことで乗り越えて来られたのです。

 

編集部:物事の本質ってシンプルなことなのでしょうね。そのことを、今回の書籍にも込められたのですね。

 

熊野:そうそう、誰かと一緒に小さな成功体験を積み上げてみる。夫婦はもちろん、兄弟でもいいし、ほかのママ友とか、同じ境遇の人たちですね。自分一人じゃ怖いけど、みんなで一歩踏み出せるんだったらそれでいい。そういった意味で、後半の実践編では、親の老化度に合わせた事例をたくさん載せました。

 

編集部:一方で、仕事と育児の両立もそうですが、仲間といると「みんな頑張っているから自分もやらなきゃ」みたいな自己犠牲が働いてしまいそう。

 

熊野:それもね、あるんです。「不安になりがちな民族性」と同じように、私たちは「謎の罪悪感」「謎の自己犠牲」を持ってしまっているんですよ。誰も頼んでないのに「私がやらねば」って勝手に思っている。それは、親世代がそう育ち、私たちをそう育ててきたからです。ただ、わざと呪いをかけているのではなく、みんな一生懸命、頑張っていたのですが。

 

編集部:どこから来るのかわからないので不思議ですね。

 

熊野:みんな仕事も、子育ても頑張っているのに、それに加えて親まで…。過度に背負いすぎると、結局、どこかで破綻します。自分の体を壊したり、必要もないのに相手を傷つけてしまったり。ここは冷静に立ち止まって、まずは自分自身がこの謎に迫る。この「罪悪感」「自己犠牲」がどこからきているのか。何がそうさせているのか。その原因を冷静に探ってみてください。この謎の「罪悪感」「自己犠牲」自体が物事をおかしくさせているのがわかりますから。

 

編集部:なるほど、謎に迫るのですね! 次回もその辺り、詳しく伺いたいです。熊野さん、今日はありがとうございました!

 

<ワークショップ開催のお知らせ>
熊野さんのお話を直接聞いてみたい!という方にお知らせです。12月6日(日)14時〜リアル&オンラインで『アドラーに学ぶ、「老い」に向き合う「私」の見直し』対談型ワークショップが開催されます。こちらもぜひ、ご参加ください!

まだまだ、介護なんて先のこと」と思っていましたが、お話を聞いていると親子の関係性を良好にしておくために、今からできることがたくさんあるのですね。急に介護状態になって慌てるより、余裕があるうちに「共感ファースト」を実践して、心づもりしておきたいです。

LAXICでは、12/8(火)に熊野さんを交えグループカウンセリングを開催します。もし「熊野さんに話を聞いてほしい」「グループカウンセリングに参加したい」という方がいらっしゃいましたら、以下の応募フォームにてご応募ください!(応募締め切りは12/3まで)

グループカウンセリング&書籍プレゼント応募フォーム

熊野英一さんプロフィール
日本アドラー心理学会、日本個人心理学会正会員。株式会社子育て支援/ボン・ヴォヤージュ代表。アドラー心理学に基づく「相互尊敬・相互信頼」のコミュニケーションを伝える〈親と上司の勇気づけ〉のプロフェッショナル。全国での多数の講演や、「日経DUAL」「朝日おとうさん新聞」などでのコラム執筆。「アドラー子育て・親育てシリーズ」の刊行等を通して活発な情報発信も行う。
HP:株式会社子育て支援

ワーママを、楽しく。LAXIC

文・インタビュー:飯田りえ

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