我が家の産後の危機を救った救世主「夫婦会議」!

ラシク・インタビューvol.157

Logista株式会社 共同代表CEO(妻) 長廣百合子さん

Logista株式会社 共同代表COO(夫) 長廣遥さん

子どもが生まれる前、と夫はよく話していました。
「どんな子が生まれてくるのかな?」「いま、お腹の中で蹴ったよね?」
そこにあるのは、未来への希望ばかり。

しかし、産後に待ち受けていたのは夫婦間での深刻なコミュニケーション不足でした。

国立成育医療研究センターが2018年に発表したデータによると、妊娠中や産後1年未満に自殺した女性は全国で年間100人を超えたとのこと。その主な要因が産後に発症する「産後うつ」とみられていることが分かり、話題になりました。今思えば、私も産後クライシスや産後うつ状態だったと思います。夫の言動や行動に苛立ち、追い詰められて泣いてばかりいた私は、いつしか笑うことすらできなくなり、ベランダの柵を見つめて飛び降りることを考えるようになっていったのです。


そんな危機を救ってくれたのが、『夫婦会議』です。

夫婦で会議をするの?と、ちょっと大げさに思う方もいるかもしれませんが、少なくとも私たち夫婦に前向きなキカッケをくれました。

というわけで、今回は、私たち夫婦が取り組んでいる『夫婦会議』をご紹介!

『夫婦会議』とは何なのか?
実際に私たち夫婦が『夫婦会議』を行うようになった経緯とは?

『夫婦会議』の発案者であり、そのツールとして注目される『世帯経営ノート』の開発者でもあるLogista株式会社の共同代表の長廣百合子さん、遥さんご夫妻へのインタビューを交えてお届けします。

もう愛してない? 我が家の『夫婦会議』

助産師である私には、当然ながら産後の知識があり、妊娠中から夫にも、産後うつや産後の女性の心身の変化ついて伝えていました。

しかし、出産後、私たち夫婦の会話はほぼ「ゼロ」状態に……

夫は子どもを溺愛する一方で、私への話かけはぐんと減り、名前もあまり呼ばなくなるなど、冷めた態度。こちらから夫に話しかけても気の無い返事ばかりで、「あぁ、私はもう夫に愛されていないのかな。必要なのは、息子の母親としての私だけなのかな……」と、不安ばかりが募っていきました。

 

一般に、産後は妻から夫への愛情が下がりがちですが、我が家は逆パターンで産後クライシスに突入。夫の言動を必要以上に悪く捉え、「ダメな妻だ……」と思い込むようになったり、「上司と部下」の関係性のように、夫からの評価を恐れるようになる中、関係がギクシャク。最終的に、産後うつ寸前のところまで追い詰められてしまったのです。

ある日、意を決して夫に伝えました。「あなたは手もつないでくれないし、声もかけてくれない。私はあなたに愛されていない気がしてとても悲しい!」、「もっと夫婦の未来の話がしたい」と。

すると夫からは、「お互いに親になったわけだし、今までとはもう違う。今は子どものことだけ考えよう」という予期せぬ返答が…… 私の想いは全く届かず、「もう、この人とは分かり合えないのかな」と諦めに似た脱力感でいっぱいになりました。

 

そんな時に出会ったのが、【夫婦会議ツール】夫婦で産後をデザインする「世帯経営ノート」です。

オンラインでのママたちのおしゃべり会で、「夫婦でうまく話し合うキッカケになる」と話題に上る中、私は藁にもすがる思いで、早速購入。取り寄せた『世帯経営ノート』には、産後に夫婦間でズレが生じがちな10のテーマ(ビジョン/家事/子育て/仕事/お金/住まい/セックス/自由時間/美容と健康/人間関係)が収録されていました。なかなかの分厚さでしたが、前半に、出逢った頃のこと、結婚したときのことなど、ふたりの馴れ初めを書き込んでいくページがあり、まずはそこから、一人で振り返ってみることにしました。

 

出産前から、夫の言葉の足りなさに怒鳴ったり、泣いたりしていたな。流産した時には、「辛かったんだね、わからなくてごめんね」と寄り添ってくれたな。

 

文字に書き出すほどに蘇る記憶と感情。

夫との思い出を懐かしみながら、「口数が少ないタイプの夫だけど、どんな態度を取られても、私はこの人と家族でいたい!」と前向きに思えるようになった私は、結婚記念日が迫ったある日、『世帯経営ノート』を携え、夫に「これからも一緒にいたいので話す時間がほしい」と切り出しました。すると夫は、「いいよ」とひと言。しかもわざわざ、宿まで予約してくれたのです。

そうして迎えた3回目の結婚記念日。思いがけず、夫が予約してくれた湖畔の宿でゆったりとした時間を過ごしながら、わたしたちは人生初となる『夫婦会議』をしました。

夫婦ふたりの間に『世帯経営ノート』を広げ、問いに沿って話し合う。書いて話して…… とやり取りを重ねるうちに、無口な夫の普段の会話では聞かれないような、夫の両親や兄弟への想い、そして、妻である私への想い聞くことができました。

 

直接「愛の告白」をされたわけではないのに、「私は結構愛されているんだなぁ」と思えた初回の『夫婦会議』。以来、定期的な『夫婦会議』で、日々の暮らしを振り返ったり未来について考えたりする時間をつくるようになる中、私の心には安心と安定が生まれ、以前ほど、夫の言葉や行動が気にならなくなりました。夫は? というと、なんと会社の方に『世帯経営ノート』をオススメしたそう! 彼なりに気に入って、毎回の『夫婦会議』に取り組んでくれていることが何より嬉しい変化かもしれません。

夫婦、そして「子どもたちの未来」のために

『世帯経営ノート』のおかげで『夫婦会議』がはじまり、産後クライシスによる離婚の危機を乗り越えることができたわたしたち夫婦。

一体どんな人が、世帯経営ノートを作り、夫婦会議を広めているのだろう? 感謝の気持ちだけでも伝えられたら…… と、思い切って開発者の長廣ご夫妻に連絡したところ、気さくにインタビューに応じてくださいました。

編集部:自分たちの経験を差し引いても、助産師として『夫婦会議』の必要性を感じています。そもそも長廣さんご夫妻は、なぜ『夫婦会議』を広めていこうと思われたのですか?

 

長廣百合子さん(以下敬称略。百合子):嬉しいご感想、ありがとうございます!
まず『夫婦会議』は、人生を共に創ると決めたパートナーと、より良い未来に向けて対話を重ね、行動を決める場…なんですが、産後の夫婦は日常的な「会話」に加え、大切なことを話し合って決める「対話」が不足しがち。私たち自身もその当事者で、家庭と仕事の両立を巡る問題や、産後うつ・産後クライシスに直面。産後10ヶ月目には離婚の危機に陥る中、「同じように葛藤する夫婦の力になり、子どもたちにより良い家庭環境を届けたい」という思いで『夫婦会議』を広める事業を始めました。

 

編集部:夫婦会議は「対話の場」なんですね!産前は夫とよく「会話」をしていましたが、夫婦会議を始めて「私がしたかったのは、会話じゃなくて対話だったんだ!」と気がつきました。何か「対話」のポイントはありますか?

 

長廣遥さん(以下、敬称略。遥):色々ありますが、一番は夫婦を世帯の共同経営者に見立てた「世帯経営」という考え方を土台に置くこと。簡単に言うと、主語を“わたし”から“わたしたち”に変えて話し合うことがポイントです。日々の他愛のない「会話」も互いの意見を述べ合う「議論」もどれも大切ですが、価値観の違いを尊重し、互いに納得のいく結論を導き出す「対話」によるコミュニケーションは特に大切。「ぼくが、わたしが」と競い合う関係から、「わたしたちとして、どうするか?」を考えられる関係を意識することで、「対話」に移行しやすくなります。

編集部:なるほど、主語はあくまで「わたしたち」。でも、つい対話を避けてしまうご夫婦は少なくないですよね。

 

遥:そうですね、僕自身、まさにその一人でした。妻から、家事や子育てのこと、お互いの働き方、家計管理のことなど持ち掛けてられても、ゆっくり向き合う時間をつくろうとしなかった。将来につながる大切な話も多かったのに、「好きにしていいよ」と任せきり。「わたしたち」という意識が欠けていたと思います。

 

百合子:どこで産む?離乳食はどんな風に進める?保育園はどうする?など、妊娠期から産後・育児期は決めることの連続。決断力が高い人でも、子どもの健康や命、成長に影響するようなことを一人で調べて決めていくのはプレッシャーです。何より私の場合は、一番身近な存在であるはずの夫との間でパートナーシップを感じられない日々が辛かった。子どもは“みんな”で育てるもの。その中心に、他の誰でもなく「夫」にいてほしかったんですよね。

 

編集部:妊娠期から産後・育児期にかけて夫婦でしっかり対話することで、産後うつや産後クライシスなどの危機を未然に防げます。子どもたちの未来のためにも、「対話」ができる夫婦関係づくりは本当に大切ですね!

「わたしたち」で理想を描く

編集部:ここからは、夫婦会議のやり方について伺っていきます。世帯経営ノートには産後にズレが生じがちな10のテーマが収録されていますが、どこから始めるのが良いですか?

遥:世帯経営領域の9つのテーマに着手する前に、まずは「ビジョン」から話し合うのがおすすめです。ビジョンは夢や目標に関わるテーマ。夫婦・家族の方向性とも言えます。実は僕たちもこのテーマを通じて「一家団らん」という共通のビジョンを確認し合い、新しい協力体制を築いてきました。

 

百合子:もともと「一家団らん」は夫がプロポーズの時に教えてくれた夢で、結婚を機に「わたしたちのビジョン」になりました。でも、子どもが生まれてからも仕事中心の生活で、「本気で一家団らんを実現する気はあるの?」と不信感が募っていって…。家事や育児への主体性も感じられず、細々話し合いたいことはありましたが、人生を共に歩む者同士、最も共有しておきたいテーマでした。

 

編集部:どんな自分・夫婦・家族でいたいか?ビジョンの共有は大切ですよね。ちなみに、お二人が描いていた「一家団らん」は同じものだったのでしょうか?

 

遥:結果的に同じでした。ただ、当時の僕は自分の育ってきた環境から「一家団らんの理想」を低く見積もっていたんですよね。例えば、食事をする環境で言うと、「週に1回でも家族で夕飯の食卓を囲むことができれば十分」と思っていたけれど、本当は妻と同じように、家族で一緒にごはんを食べて過ごす時間をもっと充実させたかった。対話は「問い」が要なんですが、妻が諦めずに問い続けてくれたおかげで、自分が本当に望んでいる一家団らんの形が見えてきました。

 

編集部:世帯経営ノートに『生まれ育った家庭や周囲と、これからふたりで形創っていく夫婦、家庭は別物』という言葉が書かれていますが、遥さんはまさにそれを経験された……?

 

遥:そうですね。自分一人の価値観で理想を描くのではなく、夫婦という単位で理想を描くことを経験したんだと思います。

 

百合子:産後は「私ばかりキツイ」と思いがちでしたが、夫も自分の心に正直に生きられず苦しんでいた。いろんな角度から問い続けて、互いに諦めずにコミュニケーションを取り続けたことで夫婦のビジョンを見出せました。「家の仕事も外の仕事も夫婦で協力し合って一家団らんを実現していくこと」を確認しあえた今は、とても快適です。家事・育児はもちろん、夫婦で共有している全てのことに対する当事者意識がお互いに高まったと思っています。

自分と向き合い、相手と向き合い、違いを尊重した話し合いができるかどうか。

長廣さんご夫妻へのインタビューを終えて、あらためて自分たち夫婦のことを振り返る中、「当事者同士が諦めずにコミュニケーション取ろうとする気持ち」が何より大切さなのだと感じました。

長廣夫妻は、「夫婦会議は魔法ではない」と言います。「夫婦のパートナーシップは、地道な努力の上に築いていくもの。時間をかけて徐々に深まるもの。夫婦会議はご夫婦の諦めたくない気持ち、信じ合う気持ちを後押ししているにすぎない」と。

夫婦とはいえ、もちろん全てを分かり合えるわけではありません。むしろ、分かり合えないことの方が断然多いのが夫婦なのかもしれません。でも、だからこそ、分かり合えた時の喜びは大きいのではないでしょうか。

私たちは、「諦めたくない側の夫婦」でした。
皆さんは……?

長廣百合子さんプロフィール
1984年生まれ、福岡県出身。1児の母。九州産業大学卒業後、(株)マイナビでの採用コンサル業務を経てキャリア支援・人財育成の分野で独立。2013年に結婚し、翌年第一子を出産する中、孤育てや産後クライシス、仕事と家庭の両立など産後の危機に直面。「夫婦のパートナーシップ」に課題を感じ続けた結果、「未来を担う子どもたちのために産後の危機を乗り越え、より良い家庭環境を創り出していける夫婦で溢れる社会」を目指し、夫とLogista株式会社を設立。キャリアデザインの観点や対話の手法を用いた「夫婦会議」のメソッドを構築し、「世帯経営ノート(2019年キッズデザイン賞受賞)」をはじめとする夫婦会議ツールや、夫婦会議の講座・研修プログラムを開発。運営するWebメディア「産後夫婦ナビ」で、育児期のご夫婦向けに情報を発信している
HP:産後夫婦ナビ
長廣遥さんプロフィール
1976年生まれ、東京都出身。1児の父。東京工業大学大学院修了後、(株)リクルートでの勤務を経て、農業の現場や地方創生のコンサル業務に取り組む。前妻との離婚後、現在の妻、百合子と出逢い再婚。第一子を授かり、人生のプライオリティが「一家だんらん」に変化する一方で、家庭と仕事の両立に苦戦し、産後離婚の危機に直面。「夫婦会議(対話)を通じて夫婦のパートナーシップを再構築した経験」を踏まえ、同様の課題を抱える子育てご夫婦の力になりたいという思いから、妻とLogista株式会社を設立。「夫婦会議」を子育ての文化にすべく、現在は、自治体・企業・産婦人科との連携の他、認定講師制度、オンライン講座・相談などの新サービスの開発に力を注いでいる。
HP:Logista株式会社

ワーママを、楽しく。LAXIC

文・インタビュー:伊藤麻衣子

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