0歳からの天才脳を育てる専門家に聞いた
ママを悩ませる3歳児神話の真意とは?

ラシク・インタビューvol.145

一般社団法人 輝きベビーアカデミー代表理事 伊藤美佳さん

「3歳児神話」という言葉をご存知ですか? この言葉には、大きく2つの解釈があります。1つは「三つ子の魂百まで」のことわざのように『3歳までの教育が重要だ』という考え方。そして、もう1つが『子どもが3歳になるまで母親は子育てに専念すべき』という考え方です。

今回取材させていただいた伊藤さんは、26年間の幼稚園・保育園教諭をしていた中でモンテッソーリ教育と出会い、自分がまさに求めていた教育法だと感銘を受けたのを機に、0歳からの乳幼児親子教室「輝きベビーアカデミー」を設立されました。

今回、編集部は乳幼児教育の専門家伊藤さんに、3歳児神話の真意についてお話をお聞きしました。時代遅れの価値観に囚われて悩んでいる働くママへ、たくさんのエールをお届けします!

「一斉保育」から、子どもたちがキラキラ輝く教育法との出会い

編集部:まず、伊藤さんのご経歴を聞かせてください。26年間、保育士・幼稚園教諭、そして幼稚園の代表職を勤められましたが、「子どもの脳は3歳までに育つ」をテーマに「輝きベビーアカデミー」を立ち上げることになったのはどんな経緯からですか?

 

伊藤美佳さん(以下、敬称略。伊藤):幼稚園教諭になって、当時は先生が教えたことを同じようにやる「一斉保育」の教育が主流でした。たとえばシール貼りの場合は、先生が教えた通りに貼るとか。体育の時間の跳び箱では、自分が飛ぶまでの長い時間は一列に並んで座って待っていないといけないとか。決めごとが多くて可哀そうだな、と感じていました。

 

編集部:じっと待たなければいけないことは、子どもにとって退屈な時間ですよね。

 

伊藤:その後、子育てに専念するため退職して8年間専業主婦をしていました。長男は一斉保育の幼稚園に通わせていたのですが、下の子がモンテッソーリ教育の幼稚園に通ったことがきっかけで、初めてモンテッソーリ教育に出会ったんです。

 

編集部:モンテッソーリ教育とはどんな教育法なのですか?

 

伊藤:子ども自身が自立に向かって、さまざまな能力を獲得していく教育法です。これまで、私は画一的な教育しか知らなかったので、子どもたちが目をキラキラさせて自分の好きなことに取り組んでいる姿を目の当たりにして「ここが子どもの生きる場所だ!」と思ったんです。そこでモンテッソーリ教育を学ぶためにその幼稚園の教諭として復職しました。

 

編集部:専業主婦を経て幼稚園教諭としてのキャリアが再スタートしたんですね。

 

伊藤:子どもたちにはもともと自立できる力が備わっているんです。自分でできることが増えて、やり遂げた時の満足した誇らしげな顔をみると私も嬉しくなりました。しばらくして、ある幼稚園の代表職として赴任することになりましたが、そこは昔ながらの教育に厳しい園で、先生たちが子どもたちを叱って、指示をして、管理してっていう教育法。もうどうしたらいいかと悩みました。

 

編集部:モンテッソーリ教育とは真逆ですね。子どもたちに自由がなさそう……

 

伊藤:そうなんです。それで、子どもたちをもう少し見守ってあげる方法を提案してみたんですが、「先生は甘いです。そんなことを許しているとワガママな子になってしまいます」と最初は反発されてしまいました。

 

編集部:わー! 厳しいですね。

 

伊藤:子どもを管理しなくても子どもが自分で考えて行動できる教育法を知っているからこそ、今度は先生たちにこの教育法の良さを広げていこうとあらゆる勉強を始めました。コーチング、心理学などを学び、少しずつ研修をしていくと、先生たちがみるみる変わっていったんです。

 

編集部:先生が変わってくると幼稚園の雰囲気も良くなりそうですね。

 

伊藤:6年間と長い時間がかかりましたが、子どもたちが自立できる教育法が浸透してきて、先生も生徒もイキイキと変わり人気園へ成長しました。しかし、新入園児がこれまた大変な状況でした。

 

編集部:というと?

 

伊藤:もちろん個人差はあるんですが、おむつがなかなか取れない、排せつするのにわざわざおむつを履いてする子もいたんです。

 

編集部:本当ですか!?

 

伊藤:教育よりもまずはトイレトレーニングから始めなければなりません。他にもシールを貼れない、道具袋をフックに掛けられないなど。物がかけられないというのは、手指の握力がついていないからなんです。

 

編集部:何気ない動作にも幼少期からの訓練が必要なんですね。

 

伊藤:現場では入園当初の1カ月間は先生たちがものすごく大変なんです。お母さん方の声を聞いていると「おむつ替えの時になんて声をかけていいか分からない」、「ボールを使ってどう遊んでいいか分からない」って…… 正直、今ってどうなっているの? と思いました。そこで教育を始めるのは0歳児からが大切なんだと悟ったんです。

 

編集部:核家族が増えていて、子育てについて周りに聞く人や見て覚える機会が少ないんですよね。

 

伊藤:幼稚園で0歳児の子を受け入れるようになって感じたことなのですが、年少組に上がった段階で基礎的な教育が終わっているのはすごくラクで。お母さんにとっても、子ども自身でできるから温かく見守れる、0歳からの教育が大事だと実感しました。

 

編集部:こんなにも変化があったんですね。

 

伊藤:私の20歳の頃からの夢は、「子どもからお年寄りまで能力を活性化する施設を作ること」だったんです。もともと人の能力開発に興味があって、子どもたちが自分の能力を自ら発揮できる方法が分かって、それが実現できたので、私の中ではやり切った感がありました。私がいなくても、この幼稚園では先生たちが教育できる。もっとこの教育を全国に広めたいと思い、輝きベビーアカデミーを6年前に立ち上げました。

3歳児神話の真意とは? 脳科学でも証明されている能力の土台を築くための教育法

編集部:「子育てで一番大事な3歳までの育て方を学ぶ」というセミナーも主宰されていますが、3歳までの母親との関りの必要性はどうなんでしょうか?

 

伊藤:私は「三つ子の魂百まで」ということわざを重要視しています。これは、3歳までに人としての基本的な能力の土台が出来上がるからなんです。

 

編集部:3歳までが勝負なんですね。

 

伊藤:脳科学的に脳の神経回路の80%が3歳までに出来上がると言われています。小さい頃から遊びを通じてさまざまな経験をさせることは、成長に役立つことがわかってきて、とくに将来の人格や人生の土台となるような発達は3歳までに最も強く表れるといわれています。なので、脳発達の土台ができる3歳までにどれだけアプローチを受けているかが大事なんです。脳の土台がしっかりしていれば、どんな分野でも修得が早いということが証明されています。

 

編集部:ということは、やっぱり0歳児から始めたほうがいいのでしょうか?

 

伊藤:いくつになっても修正プログラムがあるから大丈夫ですよ。ただ、0歳児から神経回路が育つことを知っているとその時から始めたほうがラクだと分かります。

 

編集部:お母さんが働いていても、先生のセミナーでやっていることは実践可能なのでしょうか?

 

伊藤:もちろん。仕事をしながらでも大丈夫。というか、育児ってお母さんだけがやるものではなくて、パパ、おじいちゃんおばあちゃん、ベビーシッターなどいろんな人が関わってくれることのほうが大事なんです。一番いいのは子どもの発達に沿ったアプロ―チ法を知っている先生が関わると子どもの能力が活かされていきますよ。

 

編集部:3歳児神話を背景に、周りの人から「小さいうちから子どもを預けて仕事に行くのはかわいそう」と言われると、働くママを苦しめていると思うのですが、ママが働くことによって将来的に子どもにどんな影響があるんでしょうか?

 

伊藤:影響はないですね。私自身の経験から話すと、ずっと保育園で正社員として働いてきました。子どもが3人いますが、お誕生日会とかやってあげられなかったんです。卒業式に行かれなかったときもありました。その時はかわいそうで申し訳ない気持ちでしたが、本人は関係ないしあまり覚えていない。それより、短い時間にどう関わるかのほうが大切なんですね。

 

編集部:なるほど、具体的に短い時間にどう関わればいいですか?

 

伊藤:例えばお風呂に入る時間や寝る時間は、子どもの話をちゃんと聞く。その時にお母さんがぼーっとリラックスしているとよりいいですよ。逆に家にいても忙しくしていると、子どもがしゃべりかけちゃいけないんだと遠慮するんです。ぼーっとしていると、子どもが隣に来て今日会った出来事を話し出したりします。たった5分でもそういう時間があると子どもは安心します。

 

編集部:ぼーっとする時間ですか。

 

伊藤:なので、寝る時間、お風呂入る時間など、1日の中で子どもと過ごす時間を決めておくんです。そして、子どもが話しかけてきてから、きちんと目を見て聞いてあげる。あとは、話しやすい雰囲気を作ること、短い時間の中でも子どもの話を聞くことをぜひ大切にしてあげてください。

これからの時代に求められる子どもの能力とママ自身に必要なもの

編集部: 伊藤さんの娘さんは、輝きベビーアカデミーの事業をお手伝いされているそうですね。娘さんたちにお会いしたことがありますが、やりたいことが明確でそれに向かって進んでいく行動力とパワーがあると感じました。どんな子育てをされてきたのですか?

 

伊藤:3人の子どもによく言われたことは、「好きなことをさせてもらって良かった」、「いつも応援してくれた」。あとは、「NOと言われたことがない」

 

編集部:具体的にどんなことですか?

 

伊藤:「そうなんだ、いいね」ただそれだけ言うんです。子どもの話を聞く中で、そんなことしたんだ! とビックリするようなことも中にはあります。それでも、自分はアドバイスをしないでただ「へーそうなんだ」と聞いてあげるだけでいいんです。否定することは、子どもの持っている可能性を狭めてしまうので、まずはやらせてみる、様子を見る。すると子どもが自信をもって挑戦していけます。自分で選択して自分で決定する、そこを大切にされてきたから、思ったことを言えたり、お母さんになら何を言っても大丈夫という安心感があったそうです。

 

編集部:自分の話を否定せず、きちんと聞いてくれると承認されていると感じるんですね。

 

伊藤:そう。あとは、相手に期待しないこと。子どもは親の期待を感じるのでいつの間にかその通りにしてしまい、親の夢が自分の夢にすり替わって、自分が本当は何がやりたいのか分からない子が増えています。

 

編集部:夢がない子も多いかもしれませんね。

 

伊藤:だから、小さい頃から自分で選択させることが重要です。子どもなりに精一杯考えて悩んで、やりたいと思ったことをお母さんに伝えたら、やってごらんと承認されるから、子どもはチャレンジできるんです。

 

編集部:承認されるとチャレンジできる、深いです。

 

伊藤:子どものことを信じられないと、そんなことしちゃダメでしょ! と止めてしまいます。子ども自身が考える力をつけていくこと、自分の力で行動できるようになること。これからの時代に一番求められるスキルです。

 

編集部:指示されて、それに倣ってやっているだけでは身に付かないスキルですよね。

 

伊藤:だから指示命令の教育法を続けていくと子どもの能力が潰されてしまいます。その前に、まずはお母さんが自分のことを信じてあげて、やりたいことをやって輝く。もし失敗しても「為になったわ」と自分にOKを出してあげる。すると、自然と子どもをOKできるようになります。

 

編集部:子どもの自己肯定感を高めるという言葉が最近増えていますが、それよりもまず自分なんですね。

 

伊藤:そうです。輝きベビーアカデミーの講座は、最終的にはお母さん自身のことに繋がっているんですよ。

 

編集部:今後、どのような活動や展望を望まれていますか?

 

伊藤:今後は発展途上国にいって、SDGsの目標のひとつである「質の高い教育をみんなに」を広める活動をしたいと思っています。ママも子どもも輝くというテーマで事業をやっていますが、中国でもメルマガ配信を始めました。

 

編集部:今後は海外にもママと子どもが輝く活動が広まっていくんですね! 今日は貴重なお話をありがとうございました。最後にLAXICの読者にメッセージをお願いします。

 

伊藤:ママが輝くというのは、自分の才能を活かす場所をみつけて自分のやりたいことをやること。今は手一杯で実際にはできないかもしれないけれど、ちょっと手が空いたら自分は何がしたいかをちょっとだけ考えてみてほしいなと思います。やりたいことって実は楽ではなく大変なんです。でも大変なんだけど、充実して幸福感に繋がります。

子どもは、お母さんが楽しんだり、喜んだり、感動したりしている姿を見て、ちゃんとついてくるから大丈夫ですよ。共に前を向いて進んでいくと、お互いが自立して歩んでいけます。

育児や教育のお話をたくさん聞かせてくれた伊藤さんは、若々しく柔和で、まさにキラキラ輝いた方でした。メルマガの読者も今では2万人近くいるそうです。ママの気持ちを重くさせる3歳児神話の真意については、3歳までが人間の土台形成に大切な時期なのは本当。でも、母親の就労による子どもへの影響は関係ないことが分かりました。働くママの1人として、子どもの話を聞く時間を大切にしつつ、育児は周りの手を借りて、胸を張って好きなことを頑張ればいいですよ! と伊藤さんが背中を押してくれた気がしました。

伊藤美佳さんプロフィール
0歳から 天才を育てる乳幼児親子教室「輝きベビースクール」代表理事。26年間、幼稚園・保育園で1万5000任以上の用事をお教え、9000組の親子と関わってきた。自身の子どもがモンテッソーリ教育の幼稚園で素晴らしい成長を遂げたことに感銘を受け、モンテッソーリ教師の資格を取得。
モンテッソーリ教育を実践していく中で、IQ以外の才能を見つけるハーバード大学教授の「多重知能理論」を取り入れ、日本人向けにアレンジしたオリジナルメソッド「9つの知能」を開発。子どもの隠れた才能を発見し、最大限伸ばす手法として、スクールでも取り入れている。ママ向けの子育て講座やインストラクター養成講座を開催するほか、保育園・幼稚園教員向けに指導を行うため全国を飛び回っている。
HP:輝きベビーアカデミー

ワーママを、楽しく。LAXIC

文・インタビュー:北向由紀子(文)・鎌田薫(インタビュー)

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