働くママの”姓”について考える。新しい姓? 旧姓?
自分らしく働けるビジネスネームとは?! 座談会【後編】

ラシク・インタビューvol.141

ソーシャルアクティビスト 平本沙織さん

株式会社マモル 代表 隈有子(くまゆうこ)さん

株式会社ノヴィータ 代表 三好怜子さん

前編に引き続き、ワーママの”姓”について、特にビジネスネームについての座談会をお届けします。前編では座談会メンバーそれぞれのビジネスネームの経緯を語ってもらい、旧姓を選んだ理由、新姓に変えた理由、途中で姓を変えた時の周囲の反応やシステム上の困ったことなど…… 実体験を大いに語ってもらいました。後半では姓や名前の課題から派生して、自分の中のジェンダーバイアスや子どもたちの時代、そして実家&墓問題にまで話が及びました。

前編はコチラ

 

<座談会メンバー紹介>
右から

  • 結婚しても旧姓 → LAXIC運営会社ノヴィータ代表 三好怜子さん(新姓は野間)
  • 旧姓~新姓 → ソーシャルアクティビスト 平本沙織さん(旧姓は神田)
  • 新姓~旧姓 → ITベンチャー マモル代表 隈有子(くまゆうこ)さん(新姓は齋藤)
  • 結婚してから新姓 → フリーライター 飯田りえ(進行役・旧姓は田中)

今、結婚するタイミングだったら…… 姓について話し合う?

編集部:みなさん、ご結婚されて5~10年ぐらいだと思いますが、もし、いま結婚するとなると、姓について相手と相談しますか?

 

平本沙織さん(以下、さおたん):結婚した当初は、彼の苗字になった=良いことでした。でもその後、葛藤もあった。もう少し知識や周りの環境が整っていればよかったなと思います。

親しい友人で事実婚を選んだ夫婦がいるのですが、公証役場で60Pぐらいある婚前契約書を一つ一つ確認して契約を結ぶのです。そういう話し合いが当時の私たちにできたかな、って思うと…… でも、今ならしていると思う。

 

編集部:法律婚ではそこまで確認しませんね。

 

さおたん:私たちが選んだ婚姻届の提出=造籍っていうのはいわゆる「安心込み込みパック」みたいなものを利用したんだって思うようになりました(苦笑) 約款とか細かく読まないじゃないですか。多少話はしましたが、若いし何十年先の将来のことなんて想像できない。正直、一つ一つの契約を確認して結婚する人ってなかなかいないと思う。でも結婚って、お互いの人生について、将来についてきちんと向き合って対峙する機会なんだって後から気づきました。

 

三好怜子(以下、怜子さん):時代の流れもありそうな気がして。戦国時代が大好きな夫は、「(村上水軍の時代の戦国大名である)三好の方がいいよ」って冗談まじりで言っています。ただ、前提としてどっちかが変わるのであれば、好きな方を選べたらいいなって。

 

隈有子(くまゆうこ)さん(以下、有子さん):それだったらうちの夫も言っていますね。隈の方がいいって。

子どもには……? 自分の中で見え隠れするジェンダーバイアス

怜子さん:うちの3歳の娘が「わたしのはは(母)、なまえ2つあるんだよ」って説明していて。その認識が面白くて! でも、自分の中ではどこか女の子だから(姓が変わってしまう)」って思っている部分もある。将来、誰かと所帯を持つ時に性別関係なく、自分達の選びたい形が自由であればいいと思います。「どっちにする?」って言えればいいなぁ。

 

さおたん:そう。自分の中のジェンダーバイアスありますよね。当然、夫は妻側の苗字になることに抵抗があるだろう=彼も嫌だろう=だからお願いできない、と勝手に思い込んでいました。

 

編集部:自分の中のバイアス…… めっちゃわかります。

 

さおたん:でも今年になって、先ほど話した婚前契約した夫婦の話をポロっとした時に、そもそもどっちかの苗字になる現行のルールの中で、彼は当時も“姓を選ぶ”という認識はあったみたい。

 

編集部:実際に選択的夫婦別姓できるようになったら…… 別姓にします?

 

有子さん:あまり別姓を考えた事はないけど、うちの夫はいいといいそうですね。ただ、夫の家族から反対されるような気がしますね(笑)

 

怜子さん:うちは母世代までは大丈夫だと思うけど、夫のおばあちゃん世代はどうかな……

 

さおたん:ただ、選択的夫婦別姓になった時に、子どもの苗字がどうなるのかってことがまだわからない。息子に対しては”平本”という苗字ありきで、画数とかも考えて、下の名前をつけた経緯もあって。そこが私も捻れていて、男の子だから名前が変わる可能性は低い、と言う大前提がやっぱりどこかにあった。フラットでいたいけど、自分の中で捻れが生じている……

 

怜子さん:男の子だからですよね。うちは女の子だからいずれ変わるだろう、と思ってつけているから。そこまで画数とか気にしなかった。

 

有子さん:小3の娘に「ママ、わたしが結婚したら名前が変わるんでしょう?」って聞かれた時に、「絶対そうとは決まっていないよ」と伝えています。好きな人の苗字になりたいというのは、あるかも。怜子さんやさおたんは、好きな人の苗字になる憧れとかありました?

 

一同:あー、全然ないですね。小中学生の頃止まりかな? 好きな人の苗字で呼ばれたい的な(笑)

 

有子さん:そうなの? あれ、嬉しいのは私だけ?(笑) 結婚したら苗字が変わるが当たり前だと思ってたから、まりちゃんってさ、水田さんと結婚したら「みずたまり」になっちゃうよね、とか言わなかった?

 

一同:あった、あった! もう設定として無くなりそうですね(笑)

姓のテーマから、話は実家問題→墓問題まで浮上……?

さおたん:今話していて思った事ですけど、私は弟がいるから神田の姓は消えない。名前を継ぐ人がいるから、どこか安心している自分がいました。神田の名前が消えちゃう、となれば考えたかもしれない。

 

編集部:うちがそうですね。田舎の古い家で、父が直系で十何代続いていましたが、私たちは三姉妹。今の所、名前を継ぐ人はいません。お墓・実家をどうしよう…… という問題は常に付きまとっていて。父が亡くなってからも、誰でも通いやすいように、と実家を建て直しておいてくれました。そのおかげで私たち家族も夏と冬にお墓をお参りしつつ、子どもたちと田舎を楽しんでいます。実際、名前は継いでいませんが、思いは途絶えていないので、これは一つの在り方だなぁと。私も小さい頃からお参りしていて愛着があるので正直、あそこに入りたい(笑)

 

有子さん:自分の親と一緒のお墓に入れないのが悲しいですよね……

 

さおたん:死んだ後の自分についての話は、その後の後見る人がやりやすいようにしてくれたらいいと思っています。新宿の駅前でとか、見てくれる人の便利なのでいい。でも苗字が変わったから寄り付かない、とかではなく、家族の形を変えながらも、時代に合わせて続けられることが、苗字とか継ぐとかお墓とか云々より、素晴らしいと思います。

 

編集部:そうそう、その方が自然ですよね。誰かが名前を残さないといけないから、お婿さんに来てもらうまで結婚できません、とか不自然ですから。

文化や考え方によって違う、家族や名前についての考え方

編集部:韓国では女性は旧姓のままですよね? 儒教の国だから血族を大事にするというのを聞いたことがあります。

 

怜子さん:そうそう、子どもは父方の苗字を名乗りますね。女性は旧姓のまま。

 

さおたん:アメリカはミドルネームが自由に選べますよね。これもとても新鮮で、捉え方が全く違う。だからこそ、日本も夫婦同姓じゃないといけない、という認識はなくていいと思う。

 

編集部:本当ですね。国や文化によって名前の捉え方が全然違う。

 

さおたん:姓の話ではないけれど、日本って歴史的に見ても名前を大切にしている国。本名などもそうそう明かさない、人前では言わない風習がありましたよね。神話的な世界観でいうと、名前を呼ばれると吸い込まれてしまう…… とか。今でも『千と千尋の神かくし』や『君の名は』を見ていても、名前ってすごく大事にされてきている文化だって改めて思いました。

 

編集部:そう言えば、ママ友の中でも「〜ちゃんママ」とか「〜くんママ」って呼び方、だいぶ減りましたね。下の名前とか愛称で呼び合うことが多いかも。

 

一同:うんうん、減ったと思う。

 

さおたん:「平本さん」って姓だけで呼ばれる時って、お母さんとか抽象化して立場とか役割名で呼ばれることに近いと思います。私の中でそこに対する抵抗もあって、違和感を感じていたのかもしれない。

最終結論。別姓? 同姓?
これからどうあって欲しい?

編集部:姓をテーマにして、随分と話題が広がりましたね! 最終的に、今後はどうあって欲しいですか?

 

さおたん:夫婦は同姓であるべき、という考え方に縛られる必要はないと思う。でも、今のままの制度が必要な人もいる。だからこそ”選択的”という言葉を用いているわけで。夫婦別姓もやりたい人がやればいい。様々な事情で、姓を選べずに苦しんでいる人がいる。そこにどれだけ想像力を働かせて寄り添えるかだと思います。生まれたままの名前を残したい人には残せる権利を。身の回りの個人的なことでも、制度とか社会のことと結びつけて考えたい、と常に思っています。

 

編集部:あえて選択的と言っているのだから、そこには大きな理由がありますよね。

 

さおたん:それぞれのカップルが結婚する時に、議論があった上で「夫婦同姓」を選ぼうが、結果として「男性側の姓が多い」とかの統計はどうでもよくて。一人一人が選べればいい。どっちがどう、と言う話ではない。

 

編集部:議論すらしてこなかったことが勿体無いって思いはあります。あの時、そんな話をしてもよかったな、と。

 

怜子さん:結婚前に相手と話すことで、新しい発見につながりますしね。「そんなこと思っていたんだ」と。所詮、他人同士なんだし。あと、子どもたちの時代には選択できるかもしれないから、その時は本人たちの意見を尊重してあげたい。

 

有子さん:子どもたちが大人になる頃は、結婚の形も全然変わっていると思うし、姓が別姓とか同姓とか…… そんなレベルじゃないと思う。

 

さおたん:どんな立場でも、その人がその人らしくその人が思う幸せの形の選択肢として、結婚とか姓のことがあればいい!

編集部:ですね! ありがとうございました!

前後編でお届けしました、姓についての座談会。過渡期である今、生じている混乱は社会のシステムだけでなく、私たちの中にあるバイアスにも生じていることに気がつきました。だからと言って、法律で夫婦が同姓である必要性も今の時代にはありませんし、これだけ社会で働き続ける女性が増えたのですから、選択できる自由があって欲しいと願います。男女間でも考え方は違ってくると思うので、これを機に同姓か、別姓か。新姓か、旧姓か…… 夫婦間で話し合っても、面白いかもしれませんね。

平本沙織さんプロフィール
ソーシャルアクティビスト。日本女子大学家政学部家政経済学科卒業。女子大生から丸の内OL、2度の転職と夫婦起業を経てソーシャルアクティビストとして活動。
2016年生まれの息子を持つ。3Dプリンタ専門家、拡張家族実験プロジェクト「Cift」メンバー。
2017年「雇用関係によらない働き方と子育て研究会」発起人 
2018年「子連れ100人カイギ」実行委員長 
2019年「子どもの安全な移動を考えるパートナーズ」代表。満員電車や公共交通機関でのベビーカーや子連れの安全のために1,000件規模の実態調査アンケートを実施。小池百合子東京都知事に要望書を手渡し、都営大江戸線に子育て応援スペースの導入を実現。
HP:平本沙織HP
隈有子(くまゆうこ)さんプロフィール
株式会社マモル代表取締役CEO。福岡県出身。大学を卒業後、カーナビメーカーやIT企業数社でコンテンツ企画、マーケティングを経験。2007年勤務の傍ら、東京大学大学院情報学環コンテンツ創造科学産学連携教育プログラム4期生に所属。自身の強みであるWebマーケティングのノウハウを活かし、いじめや組織のハラスメントをITで早期発見する株式会社マモルを設立。
HP:株式会社マモル
三好怜子さんプロフィール
株式会社ノヴィータ代表取締役社長。広島県出身。お茶の水女子大学在学当時に100人の経営者に話を聞き、経営者という働き方に興味を持つ。2005年3月に大学卒業。2006年、ノヴィータ創業時の立ち上げメンバーとして参画し、WEBディレクターとしてWEB制作の企画営業・進行/品質管理を担当。WEB制作受託営業で常にトップ成績を収める。2010年に取締役に就任し、風通しが良く女性が働きやすい環境への整備を推進、業績拡大に大きく寄与した。2015年3月に代表取締役社長に就任。
HP:株式会社ノヴィータ

ワーママを、楽しく。LAXIC

文・インタビュー:飯田りえ

求人情報

時短勤務可!シェアオフィスの営業管理 

株式会社アクトコールでシェアオフィスの営業管理のお仕事となります。
契約獲得の後に発生する手続きなどをご担当いただく予定です。

詳しく見る↓

勤務地
品川
勤務時間
9:00〜18:00
報酬
応相談
条件
若手社員の教育や1人称で作業も行えるくらいの能力を持たれている方を希望しております。イメージとしては大手不動産会社でバリバリ手続きや部下をもっていた方などが理想的です。

話をきいてみる

↑閉じる