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2015.09.08 2023/05/31

ワーママは自分で自分を苦しめている!? モーハウス代表光畑さんに両立に必要なマインドと 行動力を学ぶ

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ワーママは自分で自分を苦しめている!?  モーハウス代表光畑さんに両立に必要なマインドと  行動力を学ぶ

今回のラシク・インタビューはママと授乳の関係性やライフスタイルをここ数十年でガラッと変えてきた火付け役であるモーハウス代表の光畑由佳さん。ご自身も3人のお子様を育ててきたワーママですが、子育てで「つらい」と思ったことはないそう!どうやら「つらい」と思うその気持ちの原因は、親自身の既成概念や意識の問題にもありそうです。子育てと仕事を楽しめる秘訣や、モーハウスが昔から行っている「子連れ出勤」のメリットなどを伺いました!

「自分で変えられること」はどんどん変えよう!

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宮﨑最近、いろんな世代のワーキングマザーとお会いするのですが、就職氷河期世代(ずばり私です!)に、仕事と育児の両立に関して「すみません」と言い、我慢してきた(笑)人が多いのに比べ、下の世代はもっとフラットで能動的にワーママ道を改善している気がします。

光畑さん(以下 敬称略)たしかに与えられるのを待っているというのはストレスですよね。でも陳情というのもまた違う。自分で整えられることはどんどん変えていくと、ストレスがなくなるんです。
まさに、私がモーハウスを立ち上げたのも、「自由に授乳ができる環境がないから作った」というのが理由です。それが、「陳情」という形になると「親子車両を作りましょう」とか、大それたことになりますよね。自分で整えられる環境を作ることで、意識が180度変わっていくんですよ。30年前と比べたら環境面においてグンと子育てしやすくなっている部分もありますよね。「制度」ということではなく、ママ・パパ自身の意識を変えていく事が必要だと思っています。

誰かが何かをするのを待つのではなく、「自分でできることはする」その意識は、子育てと仕事を楽しむとても大切な要素ですよね。

光畑子どもがいるということは「個性」の1つだと思うのです。子どもがいるからこそ見える別の世界がありますよね。

「子どもがいるからこそ見える世界」というのはキャリア面・プライベート面どちらにとっても、大いにあると私もよく思っています。実は今まで、テントで寝るようなキャンプをやるタイプではなかったのですが、その楽しさを子どもに教えてもらいました(笑)。

光畑引き出しも増えますよね。子どもを育てるということは、女性はもちろん、男性にとっても初めて経験する「理不尽」な体験なんですよね。その「理不尽」を前にして、努力が報われない、コントロールが効かないと悩む人が多い。でも、努力の仕方を変えてみたり、違った道を選択するのもありですよね。そして子どもって、みんなが思っているほど融通が効かないわけではないんです。そのいい例が、「授乳」です。3時間経たないとおっぱいを飲まないかというとそうではなくって、親のスケジュールに合わせて、早めに飲んでもらったり、ある時は少しずつ頻繁になど、うまくやれば親のタイミングに合わせてもらうことができるのです。

「申し訳ない」と思うから子育てが辛くなる。良い母プレッシャーから解放されよう

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病院で、最初は「授乳は3時間ごとに」と習うので、その通りにしなきゃいけないと、かえって縛られてしまうお母さんも多いですね。

光畑モーハウスでもよく「母乳相談」のイベントの中でお母さんたちの悩みを聞くのですが、「持っているのがその悩みなら、子育ては順調よ」と言う事があります。逆に言うと、お母さんたちがみんな悩みを探しているような気さえします。
子どもって3人目くらいになると楽になると言うでしょ。楽になると言うより、力が分散するんですよね。だから、「楽になった」ように感じる。1つのことに熱中してしまうタイプの人は、仕事をした方がいいですよね。子育てと仕事でいい具合に力が分散すると思います(笑)。だって、親が子ども命になってしまうと、子どもがプレッシャーで抑圧されてしまいますよね。
一方でバリバリと仕事をしているタイプの人でも、子どもに対して「仕事をしていて申し訳なかった」という人や、母乳を早いタイミングで止めたことを懺悔のように語る人がいます。「申し訳ない」とばかり思っていたら子育ても辛くなる。子どもは親が思うほどは親を責めては考えていませんよ。いい母プレッシャーから解放されればいいのに、と思います。もっと自然にいけばいいんです。
例えば、子どもを預けて働くということがプレッシャーな人は、預けずに一緒にいながらできることを探してみるとか、自分なりの、いろんな道を探っていけばいいと思います。

子連れ出勤で、埋もれている優秀な人材を確保

働きたいけど、「子どもを預けて働くこと」には抵抗があるという人にとっては、モーハウスの「子連れ出勤」の形はありがたいですよね。

光畑そうですね。そういう意味では「学校」のような立ち位置なのかもしれません。モーハウスで働くことによって、失いかけていた自信が生まれ、働くことの楽しさを改めて見出だす人も多いですね。

モーハウスでは現在、子連れ出勤している方はどのくらいいらっしゃるのですか?

光畑去年の例だと、約50人中約20人が子連れ出勤していました。勤務時間はショップでは4時間、つくばオフィスは2時間〜6時間と決まっています。子どもが1歳2ヶ月の時点で面談し、今後の方向性を決めます。そのままモーハウスで働く人もいますし、「卒業」して別の道に進む人もいますね。

子どもが熱を出して急に呼び出されたり、休まなければならない場面も多いと思うのですが、それでもうまく回る秘訣はなんですか?

光畑例えば広報だと、メインの担当者が2人、フォロー役として2人と、4人でチームを組み、メールはチーム全員をCCに入れるというルールで、わざわざ引き継ぎの時間を取る事なく業務を共有することができています。広報チームには、本当に多彩なキャリアを持った人が多くて、様々なプロジェクトの広報を担当した優秀な人材が集まっています。企業側としては、就業スタイルが合わずに埋もれていた優秀な人材の確保ができることもが大きなメリットですね。

光畑さん、最後にもう1度。「子育てがつらい」と思ったことはないですか

光畑ほとんどないですね。それは私が、子どもに合わせて行動を変えるということをあまりしてこなかったからだと思います。やりたいことは子連れで何でもやってきました。授乳時間を気にせずに、なんでもできるよう授乳服の制作を始めたのです。周りへの気配りや場の雰囲気を読む事は大切ですが、それさえ気をつけていれば子連れでも、我慢することなく、自分のやりたいことはやっていいと思います。
子育ては自分でコントロールできる」「我慢しなくてもいい」と思えば、子育てはもっと楽しく、もっと自由になっていけると思いますよ。

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実際、青山店で子連れ出勤をしている古河周子さん。息子さんが小さい間は子連れ出勤し、最近は家族に預けて週1・2回、4時間のシフト制で勤務しているそう。授乳も写真のスタイルのままで行うのが自然で当たり前とのこと。

「変えられることは変えていく」そして、「自分の今の立場を最大限生かし切って楽しんでいく」ことができる人は、仕事も育児も楽しんでいられる気がします。自分自身への自戒も込めて、ワーママの皆さん「これがない、あれがない」と環境に不満を言うよりも、ポジティブに前向きに、まずは自分自身から何かを変えていきましょう。そうするうちに山は動いていくはず!と思っています。

プロフィール

光畑 由佳さん

モーハウス代表取締役

倉敷出身。お茶の水女子大被服学科卒。パルコでの美術企画などを経て、1997年に二人目の出産後、電車の中での授乳体験を機に、授乳服製造・販売を手掛ける「モーハウス」を立ち上げ、2002年に法人化。出産、育児に関するイベントを企画するほか、講演や大学の非常勤講師、国の有識者会議メンバーなどとして活動。昨年は北京で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)関連の会合で「女性と経済」をテーマにスピーチした。茨城県ユニセフ協会評議員。
子連れスタイルで子育てと社会を結びつけ、多様な生き方や育て方、働き方を提案する「子連れスタイル推進協会」代表理事。三児の母。趣味はお産・おっぱい・建築。政府の有識者会議員。茨城県つくば市在住。

文・インタビュー:宮﨑 晴美

ライター

ラシク 編集部


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