育休中を“留学するように”過ごしてみる 復帰を見据えて育休をポジティブ&アクティブに過ごしたワーママ
ラシク・インタビューvol.8
ニフティ株式会社 栗林 真由美さん
ここ数年、ママたちの育休の過ごし方が変わってきています。子ども向けではなく「ママのため」、「ビジネスに関連する」のプログラムが生まれはじめたのは、実はここ数年のこと!
近年生まれた多くのプログラムに第1期生として参加しているのが、今回のラシク・インタビューにご協力下さった栗林真由美さん。栗林さんは、産休前に上司から「育休中にしかできないことをするといい」と言われ、産休直前に以前より興味があったアニバーサリープランナーの取得や育休中に、育休プチMBA、ママのためのプロボノ「ママボノ」など興味のあるプログラムに多く参加し、育休をビジネスの上でも「プラスの経験」にすることができたそう。栗林さんのように、多くに参加するのは大変ですが、自分がやりたいことを探して何らかのプログラムに参加することは、かけがえのないママ友との出会いや復職前のスキルアップだけでなく、「仕事」や「働くこと」について改めて考え直すことに繋がります。
まずはアクティブな栗林さんの例をどうぞ!
育休中にしかできないことをする!
宮崎育休中、とーってもアクティブに活動されていますよね?まずは、育休中に行ったことは?
栗林さん(以下敬称略)
まずは産休直前から「アニバーサリープランナー」の講座に通いはじめました。以前より業界でユニークな人を呼んで、生き方や自分のキャリアを考えるイベントを行っていたので、イベントを創り出すことに興味があったのです。また、「人の記憶に残る仕事」をしたいなあという気持ちもありました。日本では「結婚式」ばかりがクローズアップされるけれども、結婚記念日や誕生日など他の記念日ももっと祝ってもいいのでは?と思い、この講座を知った翌日には申込をしていました(笑)。そして、産休に入った翌日にコンセプト作りから会場の決定など全てオリジナルで作り上げた「卒業パーティー」でした。私の産休はそうやってスタートしたのです(笑)。
アニバーサリープランナーの資格を取得していたので、育休中にはその資格を生かして地元のママたちやスクールの先生たちと一緒にハーフバースデーパーティーやハロウィンパーティーなども手がけましたね。このパーティーにはベビーマッサージや寝相アートなどイベント要素も取り入れて、楽しく企画・運営させてもらいました。
また、このアニバーサリープランナーの資格を、なんらかビジネスに結びつけられないかなあと考えたことから、自由大学のクリエイティブ創業スクールに通いました。こちらは通常のプログラムとは異なり子連れOKだったので、元々起業に興味があったこともあり、子連れで参加してみたのです。起業を前提として、理念やコンセプトを作る事からはじまり会計やビジネスプランなどを具体的に作っていきました。
また、妊娠してから「食事」のことが気になるようになり、オーガニックの料理教室で主催した「赤ちゃんからはじめる食育講座」にも行きました。思えば、これも1期生でしたね。その他は、育休プチMBA勉強会とママのためのプロボノ「ママボノ」です。
育休中、とっても忙しかったのではないですか?(笑)。なぜ、育休中にいろんなプログラムに参加されたのでしょうか。
栗林そうですね。今思えば、育休中は毎日出かけていましたし、子どもが大きくなってからはプログラムの間、子どもをよく追いかけながら学んでいましたね。(笑)
ただ、育休中というのは、ある一定の期間、会社を離れる滅多にない機会であり、「育休中にしかできないことをしよう!」と思っていました。自分の幅を広げるいい機会だなと。
そこで、「新たな視点を取り入れること」「今までにない人との出会い」「自分の可能性の模索」をしようと考えたのです。
育休プチMBA勉強会とママボノはどちらも子連れOKのビジネスに近いプログラムですよね。受講のきっかけは?
栗林マドレボニータが行う産後エクササイズに行っていたのですが、ちょうど同じエクササイズの教室で静岡県立大学経営学部の講師をしている国保さんがいらっしゃったんですね。ちょうど国保さんが仕事柄、経営に関する教材を持っていたこともあり、人数がそろったら勉強会を開けますよという話になりまして、そこに私も参加することになりました。それがちょうど8月・9月くらいですね。まさに第1期生でした。
「復職して困難なケースに直面した場合、どうするのか?」というケースに具体的なシュチュエーションを設定し、ディスカッションをすることからスタートしたのですが、回を重ねるごとに参加したいという声が増えていきまして、11月くらいからは運営メンバーとして勉強会を運営していましたね。この育休プチMBA勉強会を通して、復帰後について個人の視点だけではなく、組織の視点から考えることができるようになりました。そして、3月に、企業のダイバーシティ担当に報告会を行っています。
モラトリアムな育休中に、「自分」と「働き方」を見つめ直す
3月と言えば、ママボノの参加とも重なっていますよね?相当忙しかったのでは?
栗林そうですね、ママボノでもプロジェクトチームのリーダーとして進捗管理やスケジュール管理を行う「プロジェクト・マネージャー」を行っていたので、この時期はかなり忙しく過ごしていましたね。育休プチMBA勉強会やママボノで出会ったママ友に共通していたのは、仕事に対する価値観が同じで、これから直面する「復職」に関してや「働くこと」に関する話ができるということ。もちろん、ケーススタディやプロジェクトなどもすごく勉強になりましたが、ここで出会えたママ友と「働くこと」について改めて考えたことはとても貴重な財産でしたね。
ママボノのメンバーとは、スピンアウト企画として「なぜ働くのか」について話し合う機会を設け、子どもが寝てから、みんなスカイプでつないでディスカッションを行いました。参加者に事前に考えてもらったのは「なぜ働くのか」「大切な価値観は何なのか」「もし制約がなければ何をしていたいのか」「10年後はどうなっていたいのか」ということ。働くという根幹の部分がしっかりしていないと、復職してからも揺らいでしまうと思ったので、質問項目については「こういうことを考えてくれたらこれからキャリアを築いていく上で役に立つだろうな」ということを考えました。
実際は、みんな悩んでいたのですよね。特にメディアに出てくるワーママは鉄人ママのように感じてしまい、自分とは違うように感じてしまう。そして、身近な職場にはロールモデルがいない。実は、この機会に「働くこと」について再度考え直すことで、自分がやりたいことを見つめ直し、キャリアを変更した人もいます。育休中ってモラトリアムな期間なのですよね。この期間に自分について見つめ直すことは復職後も、そしてその先の人生にもとっても重要なことだと思っています。
そうして迎えた実際の復職、どうでしたか?
栗林育休中にいろいろと学び、既に復帰した先輩ママの話を聞く中で、自分の中で「新しいことにチャレンジしたい」という気持ちがどんどん出てきたのです。そこで、復職面談の際に上司に、以前とは違う業務を行いたい旨を伝えて、現在は同じ部署ですが、出産前とは別の業務を担当しています。
それはゆるく働きたいからという理由の異動希望ではないわけですよね。
栗林はい、責任がある仕事がしたいという旨やフォロー役になるつもりがないことを伝えた上でありがたいことに、希望を受け入れて頂いています。今は時短勤務なので決められた時間の中でいかに最大限の価値を出すか、を念頭に業務についています。
また、子どもを産んで次世代担う後輩に少しでも成長してほしくて、自ら後輩の育成係に立候補しました。
ワーママ1人ひとりが、「楽しい」ことを発信しよう
これから産休・育休を経験する人にアドバイスしたいことを是非!
栗林“育休中を留学中に”がモットーです。会社から離れる滅多にない機会だからこそ普段学べないようなことをたくさん吸収して自分の視野を広げて人としての幅を持つことができる機会と思います。私の場合はたくさんのことを手がけましたが、育児ひとつだったとしても学ぶことは非常に多いと思います。
最後に、あなたにとって「働く」とは、どんなことですか?ママになって、「働く」意味は変わりましたか?
栗林「働く」ことは楽しいことだと思っています。世の中には「ワーママ」=大変!というイメージが根強くあるのですが、メディアというよりも、ワーママ1人ひとりが、「働く」ことは「楽しい」ということをもっと発信していくべきだと思っています。
栗林さんのようにいろんなプログラムに参加して発見を求めるのも1つの方法。方法は人それぞれ違うとは思います。ただ、育休中に是非やって欲しいのは、「自分」がやりたい事と、「なぜ働くのか」について改めて見つめ直すこと。ここでしっかり考えておくことによって、実際の復職生活における揺らぎは少なくなると思います。と言いつつ、忙しいワーママ生活、多少は揺らいでもベストな道を見つけていきましょうね!
- 栗林 真由美さんプロフィール
- 1982年生まれ。神奈川県横浜市出身。大学生の頃インターネットに触れ、その無限大の可能性を感じて大学卒業後、ニフティ会社に入社。以後インターネット接続サービス、クラウドサービスに関する企画・ディレクションを務める。2012年から「つながることで輝ける」をテーマに、毎回業界のユニークな生き方をしている方をゲストにし、自身のキャリアプランや生き方を考えるイベント「Connect!」を開催。2014年に第一子を出産。産休直前にアニバーサリープランナーの資格を取得。育休中はママボノプロジェクトでプロジェクトリーダーに抜擢。その他にも自由大学のクリエイティブ創業スクール受講や育休プチMBA勉強会の運営に携わるなど精力的に活動し、色々な形で自分の可能性を追い求めている。2015年4月に現職に復帰。
- HP:栗林 真由美
ワーママを、楽しく。LAXIC
文・インタビュー:宮﨑 晴美