【共同養育特集/実践者取材】
わが子にとっての「子どもファースト」を問い続けて

離婚しても二人で子どもを育てる「共同養育」特集。シングル家庭の社会的問題が浮き彫りになる中、離婚後の新しい家族像としてここ数年注目を浴びています。しかし、知れば知るほど、表面的かつ簡単には捉えられないテーマだと感じます。

離婚の理由も100組いれば100通りあり、子どもがいる夫婦の場合、子どもの年齢や置かれている環境もさまざまです。一口に「子どもファースト」と言っても、それぞれ「何がわが子にとってファーストなのか」を見極めることがとても重要になります。

 

今回お話を伺った共同養育実践者の大道枝里さんも、まさにそうしたことを痛感したお一人でした。ホテルでレストランサービス担当として活躍されていた大道さんは、25歳で結婚し専業主婦に。結婚5年目で結婚相談所に再就職し、婚活プランナーとして活動したのち、32歳の時に離婚。現在小学2年生の娘さんを元パートナーと共同養育し2年半が経過しました。

「子どもの成長とともに共同養育のしかたにも変化があった」と話す大道さん。前回(※1)に引き続き、一般社団法人 りむすびのしばはし聡子さん(※2)の協力の元、お話を伺いました。

(※1)共同養育 実践者小林信子さんインタビューはこちら
(※2)一般社団法人「りむすび」代表 しばはし聡子さんインタビューはこちら
(※)世田谷用賀法律事務所 水谷江利先生 インタビューはこちら

価値観の違い・ズレをどう捉えるか…悩んだ末、離婚という決断に

大道さん

結婚当初から元パートナーとの間に乗り越えることの難しい問題に直面し、年数を重ねるごとに価値観の違いも感じるように。離婚を考え始め、結婚相談所に再就職された大道さん。離婚について悩んでいる最中だったことから、「自分自身を見つめ直し、新しいことにもチャレンジしよう」という気持ちで仕事復帰されたそうです。そこから子どものために婚姻関係を続けるのか離婚するのかについて、両者で話し合いを重ねました。さまざまな感情が溢れ、気持ちが揺れ動きながら2年という月日が経過。婚活プランナーとして3年目を迎え、ちょうど100組のカップルを結婚へと導いた頃、大道さんはあることに気づいたそうです。

婚活現場ではさまざまなことを乗り越え、自ら成長していく男女の姿を目の当たりにしてきました。自分の状況に立ち返った時、今のパートナーと向き合ってお互いが変わることはできないだろう…と思い向き合うどころか、ズレていく時間が増えていきました。実際、彼に訊ねても、『変わるのは難しいのではないか』と言われてしまいました。

「子どものためには仮面夫婦でもいいから離婚はせず育てていった方が良いのではないか。」、と相手は考えていたようですが、大道さんは「子どもが不仲を感じ取り夫婦が向き合わず変わらないのは意味がないのではないか。」という考えに至り、元パートナーへ離婚調停を提案したのです。

離婚原因は明確にあったものの、子供のことがない場合は、踏ん切りもついたと思うのですが、信頼ができず、日常の小さな積み重ねもあり…。思っていることを相手にちゃんと伝えないこと、向き合って話し合いをできないと結婚生活は継続できないな、と。話し合いの場を持つことも、相手からの提案も少なく、自分からするのも疲れてきてしまって。ですので、最後の離婚調停は提案ではなく、決意でした。

モヤモヤした調停期間を終え「子どもファースト」の共同養育へ

大道さん/オンラインにて取材を行いました

離婚調停をしている時期に、大道さんはインターネットで「共同養育」という存在を知りました。子どもを父親に会わせてあげた方がいい、子どものことを考えると共同養育がいいと分かっていながらも、調停中は気持ちが追いつかず、会わせてあげられなかったそうです

共同養育という言葉を知ったときに、とても興味をもちましたが、一方で私にできるかな?という気持ちもありました。というのも、調停中で子供の養育費の話とか、条件の話がまだ解決していないのに子どもを会わせるところまで考えられず…。そもそも話し合いをして、折り合いをつけてやっていける相手だったら、離婚してないので、子供を会わせていくことがスムーズにできるのか と思っていました。もう少し冷静になって考える時間が、私には必要でした。

調停の終わりが見えてきた頃、ご自身の気持ちにも踏ん切りがつき、ようやく共同養育に向けての話し合いが進められたそうです。娘さんのご希望もあり、最初の月からお泊まりするという、共同養育の中でも密度の濃い面会交流をしたのですが、そこで思いもよらぬ反応が…。

娘は当時4〜5歳でしたが、思っていた以上にダメージを受けていて。パパと面会交流した後、お迎えの時に大声で泣いたりしていたのです。そんな娘を抱き抱えて連れて帰って、30分〜1時間彼女に向き合ってケアしていると、共同養育が良かったのかも分からなくなるくらい、悩み私自身は2年間娘の涙と向き合いながら自身も泣く日がありました。娘が大泣きしたのは最初の数回だけでしたが、それからも面会の後に少し涙することが続き、そこからもずっと模索は続いています。

子どもの反応に戸惑う日々、わが子の性格や状況を見極めなければ…

子どもにとって、離婚後も両親からの愛情が注がれることがベストだと考え共同養育を始めた大道さん。一方で、お子さんが新しい家族関係に慣れる過程には、さまざまなハードルがあるといいます。そしてそれらは、子ども自身の成長度合いや父親とのこれまでの関係性などによって異なるということを痛感したといいます。

しばはしさんからも子どもの反応について聞いてはいたのですが、自分の娘がここまで大変になるとは思ってもみませんでした。父親と普通にニコニコ会って「今日も楽しかったー!」と帰ってくるお子さんもいれば、遠慮して言いたいことが言えず、帰ってからしくしく泣く子もいる…など、さまざまな事例を聞き想定はしていたのですが、私の考えが甘かったです。何がその子にとって『ファースト』になるのか、正直、やってみないと分からないのです。

月1回の面会交流に慣れるまで、三人で会う時間を設けたり、ディズニーランドに三人で出かけたり。本人が望む方法を毎月試しながら、次はどんな交流がいいか、娘さんに相談し、一緒に考える時間がとにかく増えたといいます。

今でも面会の後に娘が落ち込んでしまうことがありますが、そのようすも娘の成長と共に変わってきたと思います。私から「次にパパにあったら何をする?」と提案することで娘自身に考えてもらうようにしています。

また、元パートナーにもきちんとその日の別れてからの状況や娘からの感想を伝える日も作ったり、最近は娘にスマホを持たせ、自由に父親とやり取りができる環境を作りながら、工夫をしながらシェアする時間を作ることも心がけているのだそう。

周囲の方からは「二人で育てていて偉いね、安泰だね」と言われることもありますが、ポジティブに見える世界の裏側は、まさに“現場”ですから。それぞれの思いを抱え、葛藤しながら続けている家庭もあるのです。これから検討されている方にも、こうした事例はたくさんあった方がいいなと思います。

期限もゴールも決めない、そしてギャップが生じることが共同養育

現在、娘さんは小学生。周りの家庭と自分の家庭との違いも分かり始めたようです。大道さんは、以前よりももっと娘さんの話をじっくり聞くことを心がけ、自分たちの環境下でできる最大限のことを三人で相談しながら続けています。一方、運動会や授業参観など学校行事にも参加する中で、元パートナーにも変化があったそう。

最初の頃と対応が変わってきました。こちらも歩み寄った提案を前向きな気持ちでしているのと、父親の責任を感じているのか、娘の行事にも積極的に関わってくれますし、3人で食事をすることも彼から提案してくれるようにもなりました。これまでは月1回のお泊まりでしたが、平日の夜ごはんを一緒に食べて会える時間を作ろうと、両者で前向きに調整するようにもなりました。娘にとって大事な時期だからやれることはやろう、と協力しています。

お互いに悩み結果的に別れを選択したお二人でしたが、それぞれの捉え方にも変化がみられたようです。大道さん曰く、「夫婦じゃなくなったからこそ、私自身過去の出来事も受け入れるようになり、お互いを気遣うようになった」のだとか。なるほど、相手の思いも想像しながら、気持ちをうまく汲み取れる距離感になったということでしょうか。最後に、共同養育を実践していく中で、良いことと難しいことは?

今は良いよりも大変なことの方が多いです。ただ、娘がもう少し大人になった時、いろんな家庭環境を知った上で自分の家族は一緒には住んでいないが、三人でも会えると、この関係性を理解した時にメリットを感じるんじゃないかなと思っています。あとは月に1回、定期的に自分の時間を確保できる点はいいな、と思います。

一般の家庭でも 『休日は家族で過ごすべき』 と思っている部分はありますよね。日々仕事や、人間関係に疲れることも当然ある中で、家族で過ごす時間に気を遣い疲れてしまうこともある…。そんな中、自分の時間もありながら、わが子が安心して過ごしているのは助かりますね。

子どもの成長に終わりはないので、共同養育にゴールや期限、理想像などを設けない方が良いと思います。ただでさえ、母親として離婚を決めた自分を責めてしまう瞬間があるので、『ギャップが生じるのが共同養育』、そういうものだと受け止めておくことが大事だな、と思います。

「ギャップがあるのが共同養育」これは実践者だからこそ、さまざまな経験をしてきた大道さんだからこその、重みのある言葉だと思いました。特集1回目にお話を伺った世田谷用賀法律事務所の水谷江利先生が「微妙な表情をしつつも子どものために元夫とやりとりできればいい」とおしゃった、まさにそういう距離感なのですね。でも最後は、お子さんのために元夫婦で向き合い、奮闘されている様子が窺い知れました。

全4回を通して、共同養育の良さも難しさも、深く、よりリアルな部分で知ることができたと思います。ただ、離婚後の家族の在り方として選択肢が増えることは社会全体としても意義のあることだと思いますので、今後も注目していきたいと思っています。

インタビュー・文 飯田りえ

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