【共同養育特集/実践者取材】
離婚しても子どもと父親との関係性は保ちたい!

離婚しても二人で子どもを育てる「共同養育」特集。

LAXICでは前回、離婚弁護士の水谷江利先生(※1)と、共同養育の実践に向けたサポートをしている一般社団法人「りむすび」代表のしばはし聡子さん(※2)にそれぞれお話を伺いました。

共同養育というと「子どもを中心に考えた新しい家族の形」や、「離婚後の理想像」などと捉えられがちでしたが、お二人の取材を通し、素晴らしい仕組みである反面、そう簡単に片付けられない難しさもあることが分かりました。

 

実際、共同養育をされている方の声を聞いてみたい…! ということで、編集部ではしばはしさんのご協力の元、共同養育の実践者にお話を伺うことになりました。

今回インタビューさせて頂いたのは20代からネイリスト・セラピストとして活躍されている小林 信子さんです。25歳の時に結婚され、18年の結婚生活の後、離婚が成立。現在、中学1年生と3年生の二人のお子さんを元パートナーと共同養育中で、1年半が経とうとしています。

どのような過程でこの選択に至ったのか。非常にセンシティブな話題にも関わらず、特集の趣旨に賛同いただき、貴重なお話を伺うことができました。

(※1)世田谷用賀法律事務所 水谷江利先生 インタビューはこちら
(※2)一般社団法人「りむすび」代表 しばはし聡子さんインタビューはこちら

結婚10年目に夫婦の溝…。誰にも相談できず、悶々とする日々が5年間続いた

ネイリスト・セラピストとして活動中の小林さん

小林さんが離婚を考え始めたのは結婚10年目の時でした。元パートナーのある行動が発覚し、ショックで深い悲しみを感じ、信頼も失いました。すぐに離婚を考えたものの、小林さんは当時は専業主婦。長男は幼稚園・次男は未就園児だったのでフルタイムで働くこともできず…。離婚をするか、しないかで日々葛藤していたといいます。

収入がない今、離婚すると親権をもっていかれるのかな…とか、自分の無力さを痛感しました。まずは経済力が必要と思い、今できることから模索しました。

まずはお子さんを幼稚園に通わせながら、小林さんはネイルサロンにパート社員として復帰。元パートナーに対する愛情もありながら複雑な思いを整理できず、とにかく現状維持を心がけたそうです。この「見ざる、言わざる、聞かざる」の期間が5年間続いたそうです。そして、ある時、心境の変化が。

また彼の問題が発覚したのですが、自分の感情に驚きました。悲しさや迷いは一切なくて(苦笑)。そこから離婚に向かって進みました。

相手を排除する離婚に違和感を感じていた時、共同養育に出会う

小林さん/オンラインにて取材を行いました

弁護士に相談するうちに、小林さんの中で新たな葛藤が出てきたといいます。それが離婚=子どもたちから父親を引き離すことなのでは?という気持ち。夫婦としては関係を継続できないけれど、父親と子どもの関係はとても良好だったがゆえに、そこを断絶してしまうのは本望ではなかったのです。

弁護士さんに相談しても『結果的に家族を裏切っているのだから、相手を排除するぐらいの覚悟がないと離婚はできない』と言われました。じゃあ、覚悟が足りない私は離婚できないの?何がなんでも争わなくちゃいけないの?と、離婚に対する違和感が広がる一方でした。

そんな中、一般社団法人りむすびが提唱している「共同養育」に出会います。子どもファーストで考えること、そして離婚後も両方の親に会える環境が子どもの成長にとって良いことを知り、ご自身の中での違和感が解消。「これなら私も離婚できる!」と自信につながったそうです。それにしても、この状況下にありながら元パートナーと子どもの関係を冷静に見ることができている小林さん…素敵です。その理由をたずねると…。

一人で悶々とした期間が5年もあったので、その間に感情が冷却でき、夫婦関係は終わっても、客観的にパパと子どもたちの関係を見ることができました。彼は子どもたちと遊ぶことはピカイチで、子どもたちも楽しくてしょうがない。だからこそ、そこは引き離したくなかった。ただ、この共同養育がわが家にぴったり合っただっただけで、どの家庭にも適するとは思いません

確かに、子煩悩だった元パートナーだったからこそ、この選択が最適解だったことは否めません。普段から子育てに関心のない方や、ましてやモラハラや暴力のある相手でしたらこの選択肢は絶対にあり得ないのでしょうし、同様のお話しは初回インタビューをさせていただいた世田谷用賀法律事務所の水谷弁護士もおっしゃっていました。その後、小林さんはりむすびが開催している離婚当事者の集まりに参加し、いろいろな考えに触れる中で気づきがあったそうです。

みなさんの話を聞いていて、離婚する(した)相手に会わせたくないという気持ちもわかりますが、子どもは自分と違う人格。自分の感情と子どもの感情は切り離さないといけない、と思いました。私だって自分の父親と母親、どちらか一方にしか会えない、と言われても選べないので。

カウンセラーを間に「争わない離婚」をめざす
そして子どもたちに伝える

そこからは、共同養育を前提に離婚の意思を元パートナーに伝え、カウンセラーのしばはしさんを間に挟みながら話し合いによる離婚サポートへと進みます。当事者二人だけだと全く進まず常に平行線だった話し合いでしたが、三者を交えることでお互いの気持ちの整理がついていったそう。最終的に両者の離婚の合意がとれ、そこからは弁護士を交えて条件的な交渉へと進んだそうです。

しばはしさんは常に平等でした。どちらの意見も否定せず、両方の味方になってくれました。彼も自分の話を聞いてくれる人がいて安心し、信頼できたからこそ進むことができたのだと思います。同じ離婚をするにしても、できるだけ争いたくないと思っていたので助かりました。

協議離婚でまとまらず、さらに調停や裁判に進むと争いは避けられません。この「争わない離婚」という点でも、小林さんの考え方にマッチしたのですね。とはいえ、“別居”という形を取らず、同居しながらの話し合いをしていたので、その期間、家ではぎくしゃくした時期もあったとか。

彼もイライラが募っていたのでしょう。子どもたちの前で一度、爆発したことがあって…。その時、私は「もう、今しかない!」と思い、子どもたちに離婚と共同養育の話をしました。長男はただ黙り、次男は四人がいい…と泣いていました。

これまで物腰も柔らかく、非常に明るくお話ししてくださっていた小林さんでしたが、お子さんとの話となると目が潤みます。同じ子どもを持つ親として、胸が詰まる思いでした。実際、子どもたちは現状、どのように捉えているのでしょうか。

子どもたちの本心は、本人たちにしかわからないです。先日も下の子の誕生日で、四人で食事をしてお祝いをしました。長男の身長が高くなってきたので、パパと背中合わせで背くらべをした時に、パパがハグしたんです。するとお兄ちゃんも嬉しそうにしてギュッと返して。それを見て、中2になってもパパのハグは嬉しいんだな、いつまで経ってもパパの存在は変わらないんだな…と思いました。

冷静になれる距離を保ちながら、両親からの愛を注ぐ

アウトドア好きの元パートナー。長男の友だちも連れて海に行ったことも。

離婚への意思が固まってからは一人で抱え込まず、ママ友たちにもオープンにして相談してきたという小林さん。周囲の反応はどうだったのでしょうか?

『離婚をする意思だから、みんなで子どもたちを見守って育てて欲しい』と打ち明けたので、周りのママ友たちにも、本当に助けられています。誰にも隠していないので、学校行事にパパが来ても自然ですし、今まで通り、パパが子どもの友達を引き連れて遊びに行くこともあります。子どもたちには離婚=隠したいこと・後ろめたいこと、と思ってほしくない

これまでの信頼関係があってこそですが、この周囲にヘルプを出せる力はとても大切だと思いました。そして離婚が成立、いつでも会える、お泊まりも可能な共同養育がスタート。親同士で連絡を取り合って約束したり、子どもと元パートナーが直接やりとりしたり、子どもたちは両親の間を自由に行き来しているそうです。実際に始められた印象を伺いました。

共同養育をして感じることは、子どもや元夫、そして自分。それぞれの存在をお互いが認め合えているな、と思います。離婚しないで済むならそれに越したことはありませんが、私みたいに無理をして我慢して…、仲がよくない姿を子どもたちに見せて暮らすよりは、距離を置いて冷静に向き合えるカタチが私たちにとって良かったのだと思います。

離婚を検討し始めてから8年。特に一人で悩まれた5年間は色々な苦悩があったと思います。「私はのんびり屋だから…」と話つつも、自分の感情整理に必要な時間をたっぷりと確保し、自分と子どもは違う・自分と相手は違う、という視点があったからこそ、この答えにたどり着いたのではないでしょうか。しかし、このご自身を客観視できる素地は一体どこから来ているのでしょう?

家族と友達に支えられている事が大きいと思います。そして、職業柄、毎日たくさんの方のお話を聞きながら、ネイルやマッサージを施しているからでしょうか…。今の私はすべて家族と友だちとお客様との関係性で成り立っていますから。

なるほど、納得です。毎日、多くの人生に触れながら、多様な価値観に触れてきた小林さん。離婚後も共同養育という形で両親からの愛は受け取れる、その環境を整えてこられた彼女にとても芯の強さを感じました。

日本においては離婚=ひとり親、シングル家庭という状況がほとんどで、そこにまつわる多くの社会課題が潜んでいるのも事実。しかし、これだけ共働き家庭が増え、父親の育児参加率が高くなり、子どもの人権が注目されている現在。

小林さんのように「子どもと父親の関係を奪いたくない」と考え、共同養育がぴったり適合するご家庭もあるのではないでしょうか?選択肢の一つとして当たり前のように認識されると、自分たちらしい家族のあり方が見つけられるのではないでしょうか。

インタビュー・文/飯田りえ

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