【オンライン授業最前線】ICTが進む先生たちに聞く、実際にどうやって進め、どんな内容を実践していますか?

今回のコロナ禍において、学校での対応が二極化しています。これまでもICTに積極的だった学校はすでにオンラインシフトができていますが、従来のプリント・黒板を中心としたアナログ授業のみだった学校の多くは、コロナ禍で必要に迫られ舵を切りはじめているように感じます。

二極化するオンライン授業、先人たちの動向を知りたい……!

わが子が通っている学校は実体験に重きをおく私立学校(行事や総合学習、体験学習などが充実)なので、ICTには縁遠く…… 最初は若い先生たちが頑張ってクラス単位でYouTubeに動画を上げてくださっていましたが、5月の連休まではほぼ準備段階。緊急事態宣言が延長され、やっとこれからが本格始動。動画の授業と、朝のオンライン朝の会が週一回といった状況です。

 

現場の先生たちの頑張りにはもちろん感謝しています。しかし、3月の休校要請のあとすぐにオンライン化に着手し、トライ&エラーを重ねた学校があると聞くと…… 正直やきもき。そもそも導入するのに手間取っている学校は準備にも時間がかかり、やっと今からトライ&エラーを重ねるタイミング。子どもたちも親も先生も慣れない中で始まりました。もちろん、スタートしただけで感謝すべきなのですが、正直、この2ヶ月間の差は大きく、学校としての指針も見え隠れしました。文科省もこの状況に危機感をもち、5月11日「学校の情報環境整備に関する説明会」をYouTubeでライブ配信され、強くオンラインシフトに向けて提唱しています。

 

先陣を切ってオンライン化が進んでいる学校の状況が知りたい! そう思っていた矢先、こんなオンラインイベントが行われました。『日本や世界のオンライン授業最前線』 ニューヨーク育英学園を中心に全4回で行われていたそうで、私はギリギリ最終回に滑り込み参加しました。

当日は2部制。1部は4人の先生が20分ずつ登壇、2部は他の国内外で実践されている先生のお話を3分ずつ伺い、チャットで質問や意見が飛び交うインタラクティブな会に。全国の先生はじめ、文科省、学習塾、海外の日本人学校の先生、塾経営者、保護者…… など360人以上が参加されました。小学生の子を持つ一人の親として参加しましたので、その時の内容を少しご紹介します。

ファシリテーター:調布市立玉川小学校 庄子 寛之先生
運営協力:株式会社マモル

小金井市立前原小学校・蓑手先生の場合/オンラインで授業を取り組む意味とは

まずこちらは総務省のICT実証授業推進校に指定されている公立校です。担当している旧5年生は、一人1台のPCが普段から使えるそうです。休校になった日の夜にはオンラインでつないだそうなので、もうスタートして2ヶ月以上経とうとしている中で、実践を共有してもらいました。まず蓑手先生は自分に2つのミッションを課したそうです。

ミッション1「学校での学びの楽しさを取り戻す」

子どもたちは「勉強が楽しみ!」と言って入学してくるのに、6年後、「もう勉強したくない」と言って卒業していく姿に危機感を持覚えていた先生。学びや成長は本来楽しいはずなのに、一番大事なものが失われているのではないか、と常々思っていたそうです。こういう時にこそ、学びの楽しさを取り戻したい。

ミッション2「学校や先生がいなくても成長できる」

学校にいけなくても「自分は成長できる」「自分の力で成長できる」「自分は捨てたもんじゃない」ということを実感してほしい。

 

この時点でもう、パラダイムシフトが起こりそうじゃありませんか……!

Zoom朝の会から自習部屋へ、そして「いつもの宿題を打ち破れ」

こちらはZoomの朝の会が中心です。こちらも任意参加で、特に学校からの課題も出していないそうです。自分で計算や漢字をする子もいるし、料理をしたりマスクを作ったり、マイクラやボカロなど好きな動画を作る子など、とにかく遊びでも教科でも、自分で決めた学びを進めてそれをシェアする場になっています。スケジュール的には朝の会をしてから、その後のZOOMは開きっぱなしで自習時間へ突入。それぞれ入退出も自由で、帰りの会は子どもたち主導でゆるく雑談やおしゃべりタイムへ。

 

 

記録用に使っているツールはスクールタクト。これを学級内SNSの様に使っていて、ここに一日のやったことを残します。子どもたちには「遊び」を「学び」にするために「足跡を残す」「数値化する」と成長がわかりやすい、と伝えているそう。これは素敵な取り組みですね。こういったことが子どもたちのモチベーションにつながりますから。そして蓑手先生が生徒に向けて言ったのが「いつもの宿題の習慣を打ち破れ!」だったとか。

 

 

最初は子どもたちの中でも「勉強ってこうだよね」と漢字ドリルや計算など、従来通りの宿題スタイルだったそうです。しかし、蓑手先生のこの言葉に次第に刺激され、自分の中でのアイデアが嬉々として湧き、また友だちにも刺激され…… 今ではさまざまな挑戦を取り組んでいるとか。まさに探究学習ですね。こういうきっかけやモチベーションを保てる場所を作ってくれるのが、親として本当にありがたいと思います。

勉強ばかり一人でやっていても続かないですよ。でも僕は『本気で遊べば全て学びだよ『ダラダラ遊ぶな、本気でゲームをしろ』と言っています。

大事にしたいのは「自分自身で成長させる力=自己調整学習力」

とにかく蓑手先生が大事にしたいことは自分で自分を成長させる力。

大事なのは自分自身で自己調整学習ができること。粘り強さや、自分で自分を成長させられる、そういうスキルが今、養われればいいな、と思っています。決してデジタルが偉いわけではありませんし、アナログでやりたい子にもいます。工作や紙で頑張っている子もいるので、もちろん文書でやり取りしています。

素敵な言葉ですね。これは学校でなくても家でも十分取り入れられるな、と思いました。これらの考えに行き着いたルーツは、特別支援学級での経験にあったようです。教育、学び、学校とは何か。常に考えていらっしゃるそうです。最後は蓑手先生の好きなウッィリアム・ウォードの言葉が改めて響きました。

 

 

私は子どもたちに何も教えていません、何もしていません。子どもたちに場を開いて、子どもたちが勝手に共有し、刺激しあっています。私たち教師がすることって、実際、何なんだろうな、ということを、改めて捉え直していきたいです。

その “場” が必要なんですよね! そこさえ開いてもらえれば、あとは子どもたちが勝手に動き出すのだと思うのですが…… 蓑手先生自身はご自身のことを “火種” に例えられました。上司に恵まれて、同僚や保護者に支えてもらえる環境にあったので運が良かったのですが、この火種がないと火はつきません。こうした火種をどんどん、日本中に広げて欲しいです。

最後にはオンライン化を導入したくても、同意してもらえない現場の先生から「どうやって説得しましたか?」という質問がありました。

まずは場を作って動かしながら作っていくことが大事かと思います。その中で対話を重ね、その都度、理解をもらいながらですね。あとは、子どもたちの姿が大人を動かすというのは大いにあると思います。とにかく、子どもたちが声を出せる場を作っていきたいと思っています。

 

 

いや、まさに! 「子どもたちの姿が子どもを動かす」ですよ。とにかくいろいろ問題点を懸念する前に、子どもたちに場を提供して、そこから子どもたちの適応能力を見ようよ…… と声を大にして言いたいです。そして「ICTが偉いわけじゃない、オンラインがすべて解決するわけじゃない」この蓑手先生の芯の通ったお話、そして気負わない姿勢にも、とても共感できました。

ニューヨーク育英学園・中村先生の場合/1ヶ月取り組んでわかったこと “オンライン化は難しくない”

次に紹介するのがN.Y.にある私立校(時差は13時間、これから朝の授業をスタートと言う中での登壇でした)。20代〜70代の週末校合わせて100人以上の先生たち全員が、ICT機器が苦手な先生もオンライン授業を取り組んでいるそうです。(幼稚園もあり、ライブ授業と動画配信で保育を始めているとか!)

3月23日にオンライン授業の準備をはじめ、4月1日から実際にオンラインを開始しました。1週間というタイトな準備期間でしたが、実際にできました。まずは授業に必ず必要なもの=会話×板書なのでPCかタブレットが1台あればできますし、iPadはノートと教科書を両方同時に見せられることも可能です。

 

 

時間割を見せてもらいましたが、一見、みっちり組まれている印象です。8時半の朝の会からスタートして、各1コマ30分の短縮授業。子どもたちが画面を見続ける時間を少なくするためと、拘束時間を短くし、子どもたちの自由な時間を確保しています。5時間目のみんなで勉強の時間は、ただ黙々とやりたいことをやる、と言う充実した探求時間に当てているそうです。

親は心配…… でも実際にオンライン授業を受けるのは子どもたち

このスタイルを続けてみて、保護者からのアンケートにはさまざまな意見があったそうです。

たとえば、

  • 授業時間を長くしてほしい(1コマ30分→40分に、コマ数を増やしてほしい)
  • 休み時間を短くしてほしい(昼休みを2時間も取らないで1時間に)
  • 宿題を少なくしてほしいor多くしてほしい
  • 授業の進路が遅れてしまうのでは?

 

そういう中で、子どもたちのようすを実際に見ていると

  • 不安よりも今の状況の楽しさの方が上回っている
  • 1年生でも機器の操作にはすぐに慣れている
  • 毎日30分×5コマでも、疲れが溜まっている子どもがいる
  • 普段の授業よりもテンポよく、影響されることがないので集中できる

こういったようすが見受けられたそうです。疲労具合は子どもたちによるので、疲れたら休んでも良いし、子どもたちのようすを見ながら慎重に進めているそう。先生たちも、授業内容を飽きないように、色々工夫され(実際に体育の授業でZUMBAを見せてくれましたが、非常に元気で楽しい授業でした)、先生同士でミュージックビデオを作るなど、子どもたちとのつながりを非常に大事にしているんだな、と言うことが伝わりました。

一番大変なのは現場の先生たち、これからケアも課題に

中村先生が次に懸念されていたのは、先生たちへの心身のケア。一つは身体的疲労で、授業の準備、そしてオンライン授業、オンライン上での添削、職員オンライン会議…… など、常にPCを使っているので非常に疲れが溜まっています。そうですよね…… 普段の授業準備+なれないオンラインでの作業が山積みですから。そして、もう一つはモチベーションの問題。オンライン授業では実際子どもたちの反応が受け取りにくく、手応えがつかめないと言うデメリットがあるのです。

対面の授業だと子どもたちが実際に笑ったり、みんなで対話が盛り上がったり…と、子どもたちの良い反応が日々の先生たちのエネルギーになりますが、オンラインだとどうしてもリアクションが伝わりにくく、モチベーションを保つのが難しい先生もいるので、こういった心のケアも必要になってくると思います

 

 

あと、中村先生が一番懸念していたのが、「習ってもいない内容を、教科書を見て家庭でやリましょう」というスタイルで出されている課題。オンライン化も進まずに、家庭だけでやらせると言うのは、親の負担も家族のストレスも増える一方。“教育虐待” にもつながると問題提起していらっしゃいました。

子どもたちは、家で5時間も6時間も一人で学習なんてできません。ただでさえ、保護者も時間が取られて、みんなが家にいないといけない状況下で課題だけが多くなるのは危険です。『勉強=プリントの課題を教科書から見つけて写すもの』ではないのです。このコロナの時期に『勉強=嫌だけどやらなければならない=苦行』というイメージを残したくないのです。

最後にオンライン授業とは、双方向のやり取りをする場である、とにかくつながるということが第一、と中村先生はおっしゃいます。

いろいろ言い訳しないで、双方向のツールを使ってやれることをまずはやってみましょう。そして、オンラインという環境を利用して、「こんな会えない中でも伝えたいことってなんだろう」と一人一人が考えることが必要だと思います。Zoomを使ってとりあえず先生同士で勉強会をやってみる。「教育ってなんだろうね」「幸せってなんだろうね」こういう話が、日本各地で夜な夜な話されればいいなと思っています。

今回のお二人をピックアップさせていただいたのは、思想的な部分で蓑手先生、実践的な部分で中村先生の実例が良かったのでご紹介させていただきました。他にもたくさんの学校の事例がシェア&ディスカッションされ(トータル4時間以上!)、どの先生も熱量が高く、やりたいことを明確に持ち実現に向けて動き出されていらっしゃいました。それに刺激され、「やりたくてもできない」「ブロックがかかる」そういう、諦めモードの先生の士気も高まったことでしょう。正解のない、初めての試みに挑戦する現場の先生たちを目の当たりにして、保護者としてとても胸が熱くなりました。360人の参加者みんなが、子どもたちの未来についてこんなに遅くまで、熱く、語り合っている会に参加できて感慨深いものがありました。

 

実際、先生や教育委員会、保護者の中でも、オンライン授業に求めるものがバラバラだと思います。そこをまず、整理し、共通認識を持つところからのスタートだと実感しました。そして明らかになったのが、いつものチョーク&トークの授業をオンラインでやるのではない事と、プリント&プラクティスを進めるために、ネット上にPDFデータを置くのではないという事。すでに民間の良いオンラインサービスがありますから、そこに先生たちは尽力すべきではありません。

今後アフターコロナにおいて、親として学校に求めるのは、子どもたちが刺激し合い自分で自分の学びを進められる場。先生に求めるのは、子どもたち一人一人が学び深められるためのファシリテートなのです。これまでの先生中心のカリキュラムを消化するだけの授業ではなく、これからの未来に必要な、自分たちが問いを探して探究していく学びにつながると思います。そのために、うまく民間のオンラインサービスを利用していけば、先生たちの負担もグッと減り、ファシリテートに注力できるはずです。これを機に思考もシフトできると、明治時代から続く旧来型の教育スタイルが淘汰されることでしょう。そうなることを切に願っています。

ライター 飯田 りえ
関西の女性誌編集部&MOOK編集部に勤務。とにかく自分で見て、歩いて、聞いて、食べて…… リージョナル誌編集者として7年過ごす。その後、結婚を機に上京しフリーに。雑誌、WEBを中心に幅広く執筆中。6歳3歳の男子に振り回されながらも「成長を見届けながらしっかり育児を楽しみたい!」と日々アクティブに活動中。

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