事業所内保育施設開設に対するご報告と、次なる「解決策」への挑戦
事業所内保育施設の開設を見送ります
あっという間に10月末になりました。
来年4月開設予定で進めていた事業所内保育施設について、今日はご報告があります。
9月15日に入所希望者への説明会を行い、関係者の皆様と開設に向けて準備を進めておりましたが、諸般の事情により、来年4月開設は見送ることにいたしました。
ノヴィータの取り組みに対して多くの方々に興味を持っていただいたことに感謝の意を表し、今後も引き続き注目いただければと思い、説明会参加者様へのアナウンスのみならず、コラムに書くことにしました。
開設には至らなかったものの、今回の経験を基に次なるトライにつなげたいと思っておりますので、見送りに至った経緯と今後の展開について詳しくお伝えします。
託児施設実現に対する強い思いと、立ちはだかる大きな壁
助成金の申請許可がおりる10月末から開設までの流れがスムーズになるよう、運営協力いただく予定だったマフィスさんと共に、開設に向けた準備を進めておりました。
認可保育園の請負運営事業をしていた企業に勤務経験のあるメンバーもプロジェクトに加わり、収支計画を練りながら、途中でやめる場合のリスクなども考慮した上で、打ち合わせを重ねていました。
その準備の最中、検討していた物件が他の方の契約で決まってしまったと、不動産会社から報告をもらいました。
弊社、ノヴィータの企業規模は30人ほどです。大きい会社ではないので、助成金を活用しないと事業所内保育所の運営自体が難しく、10月末に判明する助成金申請許可がおりてから物件契約という流れを取らざるを得なかったため、このようなことになりました。
不動産会社も我々が物件探して苦労をしていたことを知っていたため、同じような広さで保育施設可という他の物件を探してご紹介いただきました。
新しい物件は、弊社から徒歩10分以上かかる新宿御苑寄りの物件でした。
同様の理由により、10月末までは今回の物件も契約できないので、他の方の契約で決まってしまう可能性を考えながら、新しい物件で託児施設を開設できないか調整を続けていました。保育施設の開設にあたっては、国が定めた設置基準を満たし、なおかつオーナーや管理会社の希望を踏まえて交渉する必要があり、物件が見つかってもすぐに進んでいくものではありません。当初予定していた場所では2ヶ月ほど、物件のオーナーや管理会社との交渉、内装設計、工事業者へ見積もりを行っていました。新しい物件においてもそれらをもう一度やるために、交渉や条件の確認、折衷案の模索などをしなければならないと思うと、手間と時間がかかることが予想され、当初の予定通りに開設することが難しくなってきました。
また、関係者との打ち合わせを重ねるにつれ、助成金があるとはいえ、事業所内保育施設の取り組みにはそれなりの初期コストと人員が必要なことも明らかになってまいりました。LAXICは「働きたいママの課題解決」に関わることを、WEBメディアにとどまらず様々なアプローチで取り組んでいきたいと思っておりますが、ノヴィータの企業規模では、リソースには限りがあります。保育施設運営をマフィスさんに委託をして、保育周りの人員は万全なように準備しておりましたが、親御さんから大事なお子さんをお預かりするということを考え、保育以外の部分に関わる人員も十分に確保する必要がありました。そのためには、LAXICでやろうと計画していた取り組み、既にやっている取り組みとのバランスを検討せざるを得ませんでした。先にご説明した状況の中、自分の思いとは裏腹に、両方をとる選択をするのは困難を極めました。
当事者となって、「仕事をするのに子どもを預ける先がない」現実が見えるにつれ危機感が増し、昨今の待機児童問題の解決策の1つになればと思い取り組み始めた事業所内保育施設ですが、今のノヴィータの体制と基盤では、親御さんから大事なお子さんをお預かりする「保育所(託児施設)」をつくるには様々な面で力不足であることを痛感しました。
今の危機感を原動力に、一人の母親として何とか実現させたい思いはありましたが、最終的には経営者として、開設の見送りを決断せざるを得ませんでした。
目的は「保育園に預けられないから仕事ができない」をなくすこと
ノヴィータで事業所内保育施設をするには、現在のオフィスだと規定に合ったスペースがなく、新規で場所を借りる必要があったため、託児施設は実現へのハードルが高くあきらめることになりました。
ただ、以前から疑問に感じている「保育園に預けられないから仕事ができない」に対して、形が変わっても、何かしらの解決策を提供したいと考えております。
今回、事業所内保育施設のプロジェクトを進める中で、
多くの場合、親御さんが施設内にいることを条件に、
今は働いていないが働きたいというママさんたちの共通の悩みとして「子どもを預ける先がない」という声を多く聞きます。
区が運営している認可保育園の申し込みも始まり、ご存知の方も多いかと思いますが、認可保育園の入所の際には保育の必要性が点数で計算されます。「共働き」かつ「兄弟が既に保育園に通っている」という一昔前であれば保育園に入れる可能性が高かった方ですら預けられない現実があります。当然、働いていないママさんたちはそれだけで点数が低くなり、託児は遠い道のりです。
私が個人的に周りに聞いた様子では、すべての親御さんが週5でお子さんを預けたいと考えているわけではなく、例えば週2くらい働きたいというママさんも多いようです。ただ、今の認可保育園ではそのような対応ができないため、キッズスペース付きコワーキングスペースのニーズがあるのではないかと思っています。
また、キッズスペース付きコワーキングスペースは、託児施設として規定されるものではなく、開設場所には柔軟のようです。(規定はありませんが、お子さんが安全に過ごせるよう十分留意する必要はあると考えています。)
託児施設としては、今のノヴィータのオフィススペースは設置基準を満たしていませんが、キッズスペース付きのコワーキングスペースであれば、可能性があるのでは?と模索し始めています。
中小企業が実行可能な、ソリューションの提案に挑戦したい
私自身も仕事をするために9月からシッターさんに定期的にお願いするようになり、どうしても娘と一緒に過ごす時間が少なくなる中、ある日、シッターさんから「娘さんは、●●のお歌がすきですね」と言われました。自分が知らないうちに娘が成長していることに少なからず心がざわつきます。
経営者としても、中小企業が事業内保育所を作ることがまだまだ難しく、財務的に余力がある大きい企業しか作れないという事実を突き付けられたようで、悔しいなと感じています。今回は力及ばず断念しましたが、他企業と連携したり、違うやり方を模索したりすることで、「保育園に預けられないから仕事ができない」に対するソリューションの提案に挑戦したい思いもあります。
働くママそれぞれのライフスタイルに合わせて、0か100でない働き方を実現できるように、これからも挑戦を続けていきます。