目立つ子どもの交通事故 通学路に潜む危険を防ぐには?
決められた通学路を歩くのが基本
登下校時は交通事故や不審者との遭遇など、子どもにとって危険がたくさん。保護者としても心配になりますよね。
登下校時の子どもを守る一番の基本は「決められた通学路を使うこと」なのです。なぜなら通学路は学校からの最短距離ではなく、子どもが安全に登下校できるルートとして定められているからです。
学校と地域、家庭が相談して決めた通学路は、学校から教育委員会に届け出がされています。また、地元の警察がパトロールを増やしているという地域もあります。さらにPTAで見回り当番があったり、地域のボランティアさんが交通指導してくれたりするのも通学路が中心ですし、いざというとき子どもが駆け込めるボランティア家庭(子ども110番の家など)も通学路沿いが多いですよね。
つまり通学路はただの道路ではなく、子どもの安全を見守る仕組みで二重三重に守られている安全な道なのです。
「通学路を通ると遠回りになる」「こっちの方が近い」などの理由で、勝手にルートを変えるのはやめておきましょう。危険なだけでなく、万が一子どもがトラブルに巻き込まれたときに居場所が確認できず対応が遅れたり、交通事故にあっても保険が下りなかったり、という不利益を被ることになります。「急がば回れ」という言葉を肝に命じるとともに、子どもにも教えてあげたいですね。
「通学路だから」とあえてやってくる不審者もいるかもしれませんが、通学路以外で不審者に遭遇するほうが、危険度は高いでしょう。
また最近目立っている通学路での交通事故も、通学路が危険なのではなく「安全なはずの通学路でまさか」というギャップがショッキングだからニュースになるのです。
もしも通学路がなかったら、子どもの事故はもっと増えていのではないでしょうか。
どんな危険があるかを把握しておこう
お子さんの通学路の危険箇所をどのくらい把握していますか? ほとんどのママ・パパが一応は把握していると思います。でも、本当にそうでしょうか? 先月には安全に歩けた道も、状況が変わっていることもあります。新しく看板ができたり、工事中だったり、植え込みが茂っていたり…… そういった変化を知るために、定期的に子どもと一緒に通学路を歩いてみることをおすすめします。
「一緒にパトロールしよう」とか「通学路を案内してくれる?」というと低学年なら喜んで一緒に歩いてくれます。「どこが危ないと思う?」と子どもに考えさせながら歩くことで防犯意識を高めることができます。なお、危険箇所をチェックして地図に落とし込む作業は、生活科の勉強にもなりますし、夏休みの自由研究にもおすすめです。
通学路の危険に気づいたら学校に相談しておきましょう。なんらかの対策をとってくれることもあります。通学路は一度決めたら絶対、というものではなく、保護者からの指摘で見直されるケースもあります。
知らない大人に話しかけられたらどうする?
不審者との遭遇も大きな心配事のひとつです。「うちにかわいい子猫がいるよ」と家に連れ込もうとしたり、「お母さんが事故に遭って入院した」と車に乗せようとしたり、不審者の声かけのバリエーションはさまざまです。知らない人からの声かけには乗らないように教えていても、やっかいなのは「道案内してくれないか?」「ケガをしているから助けて」など子どもの親切心を逆手におびきよせようとするパターン。
まともな大人なら、子どもに助けを求めたりせず、大人に声を掛けるはずです。知らない人から親しげに話しかけられたときは「知りません」「いやです」「大人を呼んできます」以外は言わなくてもいいと教えておきましょう。
防犯ブザーは助けてくれない
最後に思い出話をひとつ。あれは次女が小学校1年生の頃のこと。盛大に防犯ブザーを鳴らし、泣きながら帰ってきたことがありました。ふざけてクラスの男子に防犯ブザーを引っ張られ、どうしても音がなりやまなかったそうです。泣きながら歩いて帰ってきた次女の気持ちを思うと胸が痛みましたが、それ以上に普段は隣近所であいさつしあう地域でも、小学1年生の女の子が防犯ブザーを鳴らして泣きながら歩いていても、誰も声をかけない(かけられない?)んだ、という事実がショックでした。
防犯ブザーに効果がないとは言いません。不審者が恐れて声をかけにくくなると言う効果はあるでしょう。しかし、防犯ブザーを鳴らしたからといって誰かが助けてくれるという保証もありません。
あれは「助けを呼び出すボタン」ではなく、ただ「大きい音を出す装置」と理解しておいた方がいいでしょう。
- ライター 曽田 照子
- 書籍、広告、WEB、フリーペーパー、情報誌など、多彩な媒体に執筆。
- 著書
- 「ママが必ず知っておきたい!子どもに言ってはいけない55の言葉」メイツ出版
- 「『お母さんの愛情不足が原因』と言われたとき読む本」中経の文庫
- 「お母さんガミガミ言わないで!子どもが勉強のやる気を失う言葉66」学研パブリッシング等。