保育園でお友達に噛まれた! 噛む子どもの心理って?
保育園に子どもを預けていると、時々発生するのが子どもの噛みつき問題。
「うちの子が噛みつかれた!」となると親としてはカッとして頭に血が上りがちです。
まだ小さい我が子の、ぷよぷよした肌に痛々しい歯形がついていると、かわいそうで、申し訳なくて、さらに預けて働くこととの後ろめたさとあいまって、いたたまれなくなってしまうのかもしれません。
しつけの悪いその子の親を恨み、ちゃんと見てくれなかった保育士さんへの怒りと不信感がこみ上げ、謝罪を求めクレームを言ってしまうママ・パパもいるそうです。
でもちょっと待って、1歳~2歳の子が集まる場所では子どもの「噛みつき」は本当によくあること。
うちの子がまだ乳児クラスだった頃もありました。
ある日の夕方保育園に子どもを迎えに行くと、保育士さんが申し訳なさそうに「お友達に噛まれちゃったんです」…… えーっ! 頭が一瞬パニックになりました。
では、そんなとき親としてどうしたらいいのでしょう? 今回は「噛みつき問題」について、噛む子の心理と噛まれた場合の対策を考えてみます。
どうして噛みついちゃうの? 噛む子の心理状況が知りたい!
「噛みつき問題」が発生しやすいのは、自我が芽生え始める1歳~2歳の時期。
噛みついてしまう理由はいくつか考えられます。
【理由1】過激な意思表示
「おもちゃを貸して欲しい」「突き飛ばされて悔しい」「自分でやりたい」など、気持ちが言葉で表現できなくて「がぶり」と噛みつくことで意思表示をしてしまうのです。
【理由2】適切な関わり方がわからない
時には「あいさつ」「じゃれてるつもり」「大好き」が噛みつき行動になることも。食べちゃいたいくらい好きということかもしれませんが、やめてほしいものです。
【理由3】手や足より口が先
1歳~2歳ではまだ赤ちゃんの頃にいちいち口に運んで確かめていたなごりで、とっさの場合に手や足より口が出てくることがあるそうです。
なお、ストレスから噛みつくこともあるそうですが、どんなに愛情深く育てても、噛みついてしまうことはあります。
噛みつくから問題児とか、しつけがなってないとか、園が悪いとか、決めつけないほうがよさそうです。1歳~2歳の子どもには「お友達を噛むのはいけないこと」という善悪の認識はまだありませんし、親が注意してわかる年齢ではありません。また保育士さんがいくら注意をしていても、とっさのできごとは発生するのです。
噛まれた子どもの気持ちを受け止めて
保育園ではしっかり応急処置をしてくれますし、噛みつきやすい子には特に注意をしているはずです。保育園にもよりますが、クラスだよりで噛みつきが発生していることを知らせてくれることもあります。しかし、特に乳児クラスでは、保育時間中の出来事は園の責任、として噛みついた子の名前は教えてくれないことが多いです。あまりひどくない限り噛みついた子の親に「お宅のお子さんが〇〇ちゃんを噛みましたよ」と報告することもありません。
(年中さんくらいになると教えてくれます。子どもも話してくれますしね)
当然のことですが、噛みついた子も乳幼児です。発達段階の中で、たまたま噛んでしまっただけのこと。悪者にしたり加害者扱いはかわいそうです。
それに乳幼児の場合はいつ立場が逆転するかわかりません。かつては「お互い様」という言葉がありました。おもちゃの取り合い、一緒に遊びたいなど、お友達との関わり合いがハードな形で現れただけ。よその子にされたことを、同じようにしでかす可能性もなきにしもあらず、と考えるのが適当ではないでしょうか。
ちなみに我が家の場合ですが、噛みつかれた我が子は「いたいたい、ちた」と、なぜか噛まれた方と逆の手を指さしてアピールしていました。
痛みは治まっていても「ショッキングな出来事を報告して乗り越えたい」という気持ちは強かったようです。
子どもが噛まれたとき、一番大事なのはそんな気持ちを受け止め「うん、うん、そうなの。そうだったの」と耳を傾けてあげることかもしれません。
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- ライター 曽田 照子
- 書籍、広告、WEB、フリーペーパー、情報誌など、多彩な媒体に執筆。
著書
「ママが必ず知っておきたい!子どもに言ってはいけない55の言葉」メイツ出版
「『お母さんの愛情不足が原因』と言われたとき読む本」中経の文庫
「お母さんガミガミ言わないで!子どもが勉強のやる気を失う言葉66」学研パブリッシング等