「ほめない」「叱らない」がいいって本当?
編集長・宮﨑が実践中の“アドラー的子育て”とは?【前編】

ラシク・インタビューvol.104

株式会社子育て支援 代表取締役 熊野 英一さん

「嫌われる勇気」がベストセラーとなり、今年の頭にドラマ化されたことでも、記憶に新しいアドラーの心理学。

大ブームとなったアドラー心理学を用いた育児書も様々出版されており、今回インタビューをお願いした熊野英一さんもアドラー子育て・親育てシリーズ「育自の教科書」「家族の教科書」を執筆されています。

ほかのアドラー育児書と違うのが、子育てテクニックの様な指南書ではなく、親自身のあり方を見つめ直すことを主題にしていらっしゃること。全国の自治体やPTAなどの講演にも引っ張りだこの熊野さん。実は、編集長・宮崎も熊野さんとの出会いをきっかけに取り入れ始めると、子どもとの関係に良い変化が早速見られたのだとか。その熊野さんが提唱するアドラー子育て・親育てとは、一体どんなものなのでしょうか?2回にわたってお伝えします。

「勇気づけ」こそが子どもの自立心を育む

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宮﨑編集長(以下、敬称略。宮﨑):熊野さんのお話、小学生低学年の子を持つ親としてとても響きました。というのも、幼少期から少年期に成長している過程で、親の干渉と引き際がわからなくなったり、自分の思う子どもの姿でないとイラッとしてしまったり…… 親としても戸惑うことが多い時期でした。

熊野英一(以下、敬称略。熊野):そうですね。子どもは生まれてから10歳ぐらいまでに 自分の“ライフスタイル設定” をします。小学校低〜中学年までの間に親、友達、兄弟、友達関係からどんな影響受けてきたかでキャラクターが変わってくると言われています。この間、非常に大切な時期なのですよ。

編集部:そうなんですか……! うちにも小学生と幼稚園の子がいます。熊野さんの提唱する「アドラー的子育てって『ほめない』『叱らない』ことを提唱していると聞きました。「ほめて伸ばす!」みたいな流れが世の主流かと思っていましたが。

熊野:子どもが親に求めているのは「ほめ」や「叱り」ではなく、何かができようができまいが結果によって自分の価値は変わらないこと、親の愛は変わらないこと、ありのままの自分を親に受け入れてもらえるかどうかを確認したいのです。これらを「勇気づけ」と呼んでいますが、親である私たちが良かれと思ってしている「ほめ」「叱り」の行動は、それとは反対に無意識のうちに子どもの「勇気をくじいてしまっている」のです。

編集部:良かれと思ってほめていることが、子どもたちの勇気をくじく……? だったらどうすれば良いのでしょう?

熊野:すべきことは本当にシンプルなのですよ。この前の講演の後も保護者の方の感想でいただいたのですが、「講演の前は『そんな聖人君子のような母にはなれません』って思いましたが、講演を聞いてみるととてもシンプルなことでした。私は『そんなことも忘れてしまっていたのだ』ってことに、逆に気づかされました。」と。

宮﨑が1ヶ月間実践、すると「怒ることが少なくなった」

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宮﨑:小学生の長男に対してすごく悩んでいた時期に、熊野さんのお話を聞いて、私の接し方が変わるようになったんです。すると、ここ1ヶ月ぐらいで子どもとの関係が急激に変わってきて。

編集部:どんな風に接し方を変えたのでしょう?

宮﨑:それまでの私は、長男に対して怒ることが多かったんですね。「忘れ物ない?」とか「宿題全部やったの?」とかそういう細かいことを。でも、それって学校の先生と同じアプローチだなと思って、学校で怒られて家でも怒られていたらたまらないなと。

まずは子どもと同じ目線で考えるようにしました。「あ、そういう気持ちだったのね」って、言葉にし始めたら、急に親子関係が変わってきました。自分の中でも気づきがあって、今までは子どもの良いところを横に置いといて、怒っていたなと思います。今までは自分の理想とするイメージになるよう “諭す” 気持ちが強かったのです。

熊野:そう。親は愛しているからこそ、子どもの良いところはデフォルトになってしまっていて、気になる点ばかりをガミガミ言いがちですよね。「ここさえ良くなればもっと良くなるのに!」って。子どもにとっては「なんでこっちのことを見てくれないの?」と思ってしまいます。ダメなところばかり言われてしまうと、自信を失ってチャレンジする力を奪ってしまう。言えばいうほど、子どもの勇気を削いでいくのです。この勇気をくじく言動が、子どもの自立心を妨げてしまいます。

編集部:親の愛のはずが…… 悲しいですね。

熊野:宮﨑さんが実践されたように、するべきことは本当にシンプル。「ありのままのあなたが大好きよ」って伝えておけば、子どもは自分のできないところをわかっているので「自分はこんなにいいところもあるのだから、できていないことも直そう」って思える。それぐらい子どもを信じてあげたら、それから先はもう大丈夫。

宮﨑:今まで「宿題やりなさい!」「忘れ物しない!」って怒っていたのは「(親である私が)恥ずかしい思いをするから怒っていたのだな」と思ってやめました。それから怒ることが少なくなりました。

熊野:そう、親自身の言葉を分析してみると結果的に子どもの「甘え」を助長しているケースが多いことに気づきます。「早くおきなさい」「宿題やったの?」「忘れ物ない?」結局、全部やってあげている。朝早く起きる事=お母さんが起こしてくれる事、宿題=お母さんが言ってくれる事となってしまう。厳しいようで、逆に甘えさせている『子どもの課題に親が土足で介入している』のです。課題の分離って、子育てにおいてすごく大きなテーマなのです。

自立への第一歩、このタイミングってどう計ればいい?

宮﨑:子どもの自立ってどの親もが望んでいることなのに、逆に子どもの自立の足を引っ張ってしまっているのですね…… でも幼児期から学童期、どのタイミングで、課題の分離をすべきかわからないのです。

熊野:これは残念ながら一律で何歳〜とは言えません。その子の成長度合いや親子関係などで変わってくるので、それこそ日々のコミュニケーションで計ると良いと思います。一日1個、一週間1個でも構いません、今までやってあげていたことをとにかく自分でやってみる。やってみて困ったら助ける。こうして少しずつ徐々に増やしていけば良いと思います。

例えば、今まで毎朝起こしていたなら、来週からは自分で起きてみる。そのために自分で目覚ましをセットし、起きるための工夫をする。親は早く寝られるように晩ご飯を早くする、などのサポート役に回って、まずは自分で決めてやってみる。もし失敗したとしても許容して受け入れるのです。

編集部:なるほど。サポートに徹する…… 今までの流れでつい親である自分が何でもやってしまいがち。

熊野:まさに母性と父性の話で、赤ちゃん期の頃は常に守ってあげるところから子どもとの関係性がスタートしますよね。本当は母性を減らさないといけないのに、良かれと思って母性を出しっぱなしにして超えてしまう=過保護ですね。

宮﨑:多くの場合、気づかずに過保護になってしまっている……

熊野:そう、それが子どもの自立の足を引っ張ってしまっているのです。これは家族で話し合って、例えば晩ご飯の時などに「来週から1つお兄さん(お姉さん)になれそうなら何ができる?」って相談します。親としてあくまでもサポートする姿勢で。子どもって「もうこんなにできるんだよ!」ってところを親にたくさん見て欲しいので、自分で決めたことはがんばって取り組みますよ。

編集部:それがうまくいった時もほめない方が良いのですか?

熊野:「できたね!」「よかったね!」と達成や成長を喜ぶのは良いですよ。これらは「勇気づけ」の効果につながります。しかし、上から目線でジャッジするような「ほめ」は必要ありません。「あらー!やればできるじゃない!」とか「さすがお利口さんね〜!」「これができるなら、次はこんなこともできるんじゃない?」みたいなほめ方は必要ありません。

下心のある「ほめ」の行き着く先は…家庭内「忖度」

熊野:「ほめ」はじめると、「ほめてもらうために」「ご褒美をもらうために」良い子になる、という誤った方向に向いてしまいますよ。相手を操作するために「ほめ」言葉を使っていると、必ず後々弊害がでてきます。

編集部:その差が難しいです……

熊野:「自分に下心がないかな……」という親側のセルフチェックが必要ですね。あと、親の価値観でほめていると「ママはこれ好きかな?」「これ言ったらママに褒められるかな?」と子どもは考えはじめる。まさに“家庭内忖度”ですよ。

編集部:家庭内忖度!それは嫌ですね!

熊野:でも多いと思いますよ。親は「子どもを正しく育てないといけない」と言う責任感やプレッシャーがあるので、良い価値観・良い正義感を子どもに教えないといけないと信じている。ただ、その良い悪いという価値観は、親の色眼鏡でしかなくて、微妙な違いがある。服装にしても、きっちりしているのが好きな人とカジュアルが好きな人、この価値観に正解はないですよね。だけど目に見えない親の価値観があって、子どもに対して強固に示していると、そこにはお母さんっぽい価値観があることに気がつく。そこにハマった場合は「いい子ね!」そこにハマらなければ「どうして?」と怖い顔をして否定される。そりゃ子どもは忖度始めますよ。

編集部:確かに。思い当たる節があります……

熊野:親の良かれと思っての押し付けが、むしろ子どもが自由闊達に何かをクリエイトしたりする力を奪ってしまうのです。そのうち「親がほめるか・先生がほめるか」という価値観でしか物ごとを言わなくなりますよ。描いてくる絵も優等生みたいな絵で、本当に自由に子ども達が描きたい絵ではなくなってくる。だから、大人はすごく気をつけないといけない。子どもだけでなく旦那さんや会社関係も同じことが言えることです。

同調圧力、他者比較…世知辛い世を生きる上で親の役割とは

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宮﨑:公立小学生に通っていると一律感・同調圧力がすごくて、ここに親も引っ張られてしまいます。そこで私も迷ってしまったのだと思います。でも親は同じ立場じゃいけないのだろうな、と。

熊野:アドラー的というよりは僕個人の意見ですが、本人が幸せになることを最優先に考える。この子の自立軸、ハッピー軸で親として関わることに集中するしかないと思うのです。仮に学校の同調圧力が強いとしても「先生の言う通りに従っていなさい」というより「あなたはあなたらしくていい」そこを親としては応援してあげたい。その中で子ども自身が、所属するコミュニティと自分の思いをどう這わせるかを考えます。悩む時期があるかもしれないけど、困っていることに共感することはできる、それで十分だと思います、自身で考えられますから。

編集部:確かに。自分を押し殺さないと他人に評価されない、役に立たない、と思いがちです。

熊野:必ずしも自分らしさを出すことが迷惑をかけることにはなりません。その人らしくいることで、社会に貢献することだってたくさんある。自己満足=他者貢献、そういう捉え方ができれば、すごく楽になる。むしろその子らしい形で出せば、チームとしてよくなったりする。それこそダイバーシティです。

宮﨑:その自己満足に至るまで子どもをサポートするのが親の役目ってことですね。

熊野:そう。とは言っても現代社会は小さい時から他者比較とか、点数で評価されることが多い社会。小さいころから「自分らしさを出したらいけないのじゃないか」と誤った考えに傾きがちです。だからこそ、親が意識的に「一番身近な親が最大の応援者である」ということを子どもに伝えないといけない。「あなたがサッカー上手でも下手でも、100点取っても取れなくても、あなたらしくいるってことが一番大事なのよ」と。

宮﨑:思っているだけではダメですね。メッセージとして伝えないと。

熊野:そうですね。どうしても当たり前すぎる子どもへの愛って後回しにしがち。でもちょっとのことなのです。朝の起きたファーストコンタクトの時に「若干、朝起きるのが遅れ気味だったけど、スヤスヤとよく寝て、元気に起きて来たから今日もOK!」と言うような(笑) たった数秒のことで良いのです。帰ってきた時や晩ご飯の時に必ず「今日どうだった?」とインタビューに徹する。その時、良い・悪いをジャッジしないのがポイントです。

編集部:インタビューに徹する。それが難しいです……

熊野:意識が高い、学歴が高い、仕事をたくさんしている親ほど、すごく意識して切り替えないといけないと思います。いつも仕事モードですぐクルクルッと頭を回転させて、良し悪しを判断して、いつも評価して…。そのまま子どもにも同じように接していると、後々大変なことになるぞって。ただインタビューして、子どもの気持ちに共感する。

編集部:子どもの話に共感するって正直、難しいです。「今日こんなことがあってね」と話している内容に「どうしたの?」とは聞きつつも、内心「いつもの長い話ね」「こんなオチだったらこう言おう」とか、頭がすでに先回りしている。

熊野:それって全然共感していませんね。共感ていうのは、その子に「憑依」する。幽体離脱して子どもに乗り移って、その子の目で見て、耳で聴いて、心で感じること。そう疑似体験すれば、少しわかると思います。これが共感ですよね。こうした積み重ねで信頼関係が生まれて、もっと話してくれるようになりますよ。誰にでもできるシンプルなこと。

宮﨑:私もこれまで「親として教えなきゃ」という意識が強かったのですが、その感覚を外したらすごく楽になりました。私も常に良し悪しをジャッジしようとしていた気がします。こういったところに、ほかの働くママたちにもミスコミュニケーションあるだろうなぁと思います。(後編に続く

「ありのままのあなたが大好きよ!」赤ちゃんの頃(と寝顔を見ている時)は誰もがそう思っていたはずですが、どうしても成長するにつれて気になるところばかりを注意しがちに。しかし、この「直してあげたい」と、良かれと思って言っていた毎日の小言が、子どもたちの自立の足を引っ張っていたなんて…、とても反省しました。

「自分の生きる道を自分らしく開拓していってほしい」だけを願っているのですが、周りや世間の情報ばかりに目がいっているのでしょうね。あと常にジャッジしてしまう自分、共感できていない自分にも気づかされました。つい、目にするといつもの癖でペラペラと口から出てしまうので、宮崎が言っていたように、一度自分の言おうとしていることを飲み込んで、自分の言葉を考えてから発するようにしてみようと、まずはそこから実践してみたいです。

後編は、ワーママとしての特に気をつけることを伺ってきました。次回も必見です!

熊野 英一さんプロフィール
アドラー心理学に基づく「相互尊敬・相互信頼」のコミュニケーションを伝える〈親と上司の勇気づけ〉のプロフェッショナル。全国での多数の講演や「日経DUAL」「朝日おとうさん新聞」などでのコラム執筆を通して活発な情報発信も行う。約60の保育施設立ち上げ・運営、ベビーシッター事業に従事。2007年、株式会社子育て支援を創業、代表取締役に就任。2012年、日本初の本格的ペアレンティング・サロン「bon voyage 有栖川」をオープン。日本アドラー心理学会 正会員。
HP:株式会社 子育て支援

ワーママを、楽しく。LAXIC

文・インタビュー:インタビュー(宮﨑晴美)・文(飯田りえ)

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