小1の壁を機に、大手企業からベンチャーに転職!
育児と仕事で走りぬけた20代、そしてネクストステージへ

ラシク・インタビューvol.60

ママプラ編集長 熊本 薫さん

「働くママと子どもの毎日をもっと素敵に」をコンセプトに、今年6月にリリースされた「ママプラ」。ママ向けの記事サイトだけにとどまらず、その先にある「行きたい」「使いたい」を叶える機能を追加させ、ママ達のプラットフォーム化を目指しているそうです。そんなママプラの編集長・熊本薫さんは30歳にして7歳の女の子を育てるワーママ。かつては乳幼児のいるママ向けグルメサイト「こどものヒトサラ」を世に送り出した経歴もあり、ママインフルエンサーとしても影響力を持ちます。そんな彼女、小1の壁を機にこの春8年勤めた大手企業を退職し、そしてベンチャー企業に移籍してママプラの編集長として参画。この決断の背景には、どんな思いがあったのでしょうか。

入社1年目で結婚、妊娠!
営業社員初の産休・育休取得者となった8年前

熊本さまと娘さま

熊本さまと娘さま

LAXIC編集部:まず、最初にお勤めだった会社でのお話を聞かせてください。

ママプラ編集長熊本さん(以下・敬省略):新卒で入社し、グルメサイトの直販営業をしていました。そして妊娠が発覚。妊娠報告の時に「営業のままで内勤になりたいです」と上司に伝えたところすごく驚かれて。今から8年前、今ほどはワーママという言葉が認知されていなかった頃です。

編集部:でも営業主体の会社ですし、社内にロールモデルはあったのでしょうか?

熊本:契約社員の産休はあったようですが、営業社員が産休・育休を取得した事例はなかったと思います。でも意外に周りの上司や先輩の理解はあったので、希望通り営業のまま内勤に。「体を優先して頑張れ」と見守ってくれました。

編集部:恵まれてますね! でもほかの社員の方の目は気になりませんでしたか?

熊本:私は気づかなかったんですけど…… 同じフロアにいた他会社の人たちに、若い子があんなお腹大きくて働いてる! って言われてたみたいです(苦笑) 同期の女子社員からは「すごいね!私だったら絶対無理だよ」って。営業職で妊娠だなんて、そう思うでしょうね。

編集部:22、23歳の新入社員ですもんね。無事に出産後、育休も1年取得されてたそうですが、復帰後はどのように働きましたか?

熊本:「時短制度を使いたい。保育園の時間に合わせた形で働きたい。営業職のままでいたい。」と人事部に希望を素直に話しました。すると希望を全て通してくれ、業務内容もメンバーも変わらなかったのでスッと仕事に戻れました。娘の1歳の誕生日の日に復帰でしたね。

編集部:1歳のお誕生日に! そこに意志の強さを感じます。子育てしながら働く上では、どんなことを心がけていましたか?

熊本:会社を出る時間は何があろうと「17時は死守」と決めていました。それは今の今までブレたことはありません。一度自分から「枠」を外すと仕事が流れ込んでくるし、延長保育ができなかったので。

自分のフィルターを通してママ向けサイトを企画
一躍「ママ会」にはなくてはならない存在に

編集部:では「こどものヒトサラ」を企画したのはいつぐらいですか?

熊本:復帰してそのまま営業を2年続けたぐらいでしょうか。グルメサイトなのに「ママ会特集」がなかったので企画部の人たちと企画して、最初は1コンテンツとしてママ会特集を組みました。

編集部:最初は1コンテンツだったんですね。その特集の反応が良かったんですか?

熊本: PVが一気に跳ねたんです。それで本腰を入れようと上層部で話になり、企画部に異動になり、そこからママにとっていいサイトって?ってことを常に考えていました。

編集部:今ほどママ向けサイトがない頃ですよね?キュレーションサイトもなかったかも。

熊本:ママ会って言葉ですら認知されてなかった時代ですから。でも子連れで行けて、美味しくて安心安全なお店が知りたかった。あと自分が食に対する正しい知識がなかったし、離乳食幼児食のレシピにも困っていた。それらを全てサイトに落とし込みました。今考えたら自分の問題解決するコンテンツばかりです。

編集部:世の中にまだ無いものをリリースする時はどんなお気持ちでした?

熊本:多くの人を巻き込んで、会社にも多額の資金を投資してもらっているので…… リリースするときは、ただただ恐怖でした。でもリリースされてからは、PVやFBのシェアもすぐに跳ねて。お店の方にも反応がすぐに出はじめ、法人のタイアップが何本か決まって…… 今で言うママインフルエンサー的な存在一覧ページも作っていたので、企業はそこにも目をつけたんでしょうね。

きっかけはママ友3人からの衝撃の告白
初めてぶつかった「小1の壁」

娘さんの保育園の卒園式

娘さんの保育園の卒園式

編集部:そんな順風満帆のサイトを手放してまで、どうして退職を決めたのですか?

熊本:昨年の5月にママ友3人からたて続けに「小1の壁」の体験談を聞いて、ゾッとしました。「台風の日とか学校も学童すぐに休みだよ」「有給すぐになくなるよ」「入学したばかりの4・5・6月の子供のメンタル、本当にやばいから」って(笑)

編集部:そんなに?しかも3人から同時にってすごい偶然。

熊本:そうなんです。子供たちのメンタル面の話題が一番衝撃的で。授業の間座っているのが辛くて全身蕁麻疹になった子や、朝お腹が痛いって1時間家のトイレに閉じこもっちゃう子、学校まで一緒に送って行ってもすぐに帰ってきてしまう子…… 共通してるのはみんなワーママ。

編集部:そんなに顕著に? 情報としては知っているけれど、身近な子がそうなるとびっくりしますよね……

熊本:そう、「え? あの子が?」って思うぐらい。小さいときから知っている男の子たちだったので余計に衝撃的で。ママたちに反省点を聞いたら、話を聞いてるつもりでもちゃんと向き合えてなかったり……

編集部:日々の生活に追われているとそういう変化に気付けていなかったんでしょうね…… それまでって保育園様様って感じですから。頭が痛い……

熊本:そうなんです。私もなんとなく保育園の延長かと思いきや「小学校は全然違うよ、学童もそこまで見ないよ」そこで初めて頭を打たれました。

編集部:でも自分がそこまで育て上げたサイトに対する思いもあるでしょう?

熊本:もちろん誰にも渡したくない気持ちもありました。でも子供が小学校に入る前後は、しばらく側にいたい気持ちも出てきて。
そして、自分の中で違和感が出てきてしまった時期でもあるんです。今の乳幼児ママの気持ちがわからなくなってきて、自分のフィルターを通せなくなった。それに私自身の興味が教育とか、次のステップになってしまった。
いろいろなタイミングが重なって、もしこの「小1の壁」で働き方を変えるなら、今度は食だけでなくママたちの課題解決するサイトを立ち上げたいな、と思い始めたんです。

編集部:そう考えている時期にこちらの会社と出会いが?

熊本:一人でやろうって決めてからは、多くの人と会って話をしていましたから。その中の一人がこちらの社長で、実は大学の同級生。最初は受託でやろうと思っていたのですが「もっと大きなことやろうよ」って誘われて。

編集部:とは言っても前の会社って大企業じゃないですか! そこからベンチャー企業に転職するのに不安はありませんでした?

熊本:めちゃめちゃありましたよー! 大きな声で言えませんけど……(苦笑) でも入社前にしっかりと話をして、不安に思っていることを一つ一つ確認して消化していきました。産後復帰の際も同じだと思いますが、職場と自分とでコミュニケーションをとって、色々なことを擦りあわせておくことが大切だと思います。
弊社は、女性が働きやすくなるよう仕組みを整えている最中です。働くママとしての目線でどういった制度・環境があれば働きやすいか、制約があるなかでもパフォーマンスが出せるかを提案しています。先日もリモートワークができる制度が導入されました。これが一番の安心材料ですね。

編集部:では以前と働き方としては、大きく変わらないですか?

熊本:時間的には変わらないのですが、いざって時にリモートワークがある。これは大きいです。小学校の臨時のお休みや子どもが急病の時など、子どもをそばにおきながら家で仕事ができるのは本当にありがたいですね。

そして迎えた小1のプロブレム
実際に壁になったのか…そして今後は?

夏休みに娘さんと子連れ出勤した日の様子

編集部:実際に小学校入ってからの娘さんの様子はどうでした?

熊本:小1プロブレムは…… ありました。うちの娘、3月に鎖骨を折る怪我をしちゃって。運動が大好きなのに入学してからも思うように動けず、さらに新しい環境のストレスが重なり、情緒が安定しない時期がありました。お友達とうまくコミュニケーションがとれていないようでしたし、自宅に戻ると火が付いたようにギャン泣きをしていました。どんな風に声をかけても泣き止むことはなく、彼女の気が収まるまでひたすら待っていました。個人面談で先生に相談すると「必要であればスクールカウンセラーをご紹介しますよ」とも。夏休み前にやっと新しい環境に慣れたのか、落ち着きを取り戻し、結局カウンセラーにお世話になることはありませんでしたけれど。

編集部:やっぱりあったんですね…… それはどうやって解決できたのですか?

熊本:6月ぐらいから怪我が治って、思いっきり外で遊べるようになったことが大きかったです。ストレスがなくなって、時が解決してくれた、って感じですね。

編集部:でも事前にママ友からの助言もあり、心構えが出来ていたからこそ見守れたんでしょうね。次に小4の壁って話もありますけど、そこはどうお考えですか?

熊本:うちの学区で民営化されてる学童は6年生まで行けるので、学童の問題はないと思うのですが、小1からすでに中学受験の話題が出ています。早く準備した方がいいとは思うんですけど、そもそも中学受験って何のために? から考えようかと。

編集部:入ったばかりの小学校ですでに受験の話ですか…… 今は何をするにも情報が多すぎますよね。ただでさえ働いていて時間がない中、どの情報を取捨選択するかって大変です。

熊本:そういう意味でも今後ママプラが活用できればな、と!

編集部:なるほど! そういう使い方もできるわけですね。ママプラ自体の強みは具体的にどんなところですか?

熊本:ママプラはキュレーションサイトではありません。WEBにあふれている情報をまとめたものではなく、ママが自分で体験した内容を元に、有益な情報を発信していくということを大切にしています。キラキラした憧れの生活と、目の前にある現実の溝をママプラで埋めることができないか…… という思いがあります。お悩み解決まではいかないけど、その糸口が見つかればいいな、と。そもそも私がキラキラした生活とかけ離れている部分があるので(苦笑) 自分もサイトと一緒に成長して、本当に役に立つ! ということを体現したいと思います。

編集部:小1の壁も解消されたし、これからは仕事もプライベートもさらに躍進ですね!

熊本:そうですね。20代は周りが遊んでいる時に子育て一色でしたけど、逆に今周りのみんな出産ラッシュ。私の30代は自己実現したいです。あと今まで家族が私の背中を押してくれていたので、次は私が家族の背中を押せるようになりたいですね。そして、ひと段落したら二人目も考えたいです。

結婚、妊娠、出産、育児、保活…… 女性が働き続ける上でのいくつものターニングポイントを、20代のうちにものともぜずに突き進んできた熊本さん。新人時代から自分のまっすぐな高い志を貫いてきたからこそ、周囲のサポートや応援も得られたのでしょうね。そして多くの恩人にも支えられ、大企業での成功体験があったにもかかわらず、ふと小1の壁で立ち止まることに。その時も、何かを諦めるのではなく、自分の自己実現のためにもプラスに転換できたのは、彼女が持つ意志の強さ。いくつもの壁を自ら切り開いてきたからこそ、成し遂げられたのでしょう。そして何よりも可愛らしく明るくオープンマインド、そしてしっかりとした意志がある。多くのママから支持される理由がわかります。若くして育児もひと段落終え、これからネクストステージに向かう熊本さん。同じママを応援するサイトに携わる者として、今後のママプラ楽しみにしています!

熊本 薫さんプロフィール
1985年千葉県出身。学生時代より読者モデル・ブロガーとして様々な媒体で活動。株式会社USEN勤務時代、新入社員の営業職で初産休・育休取得者に。復帰後、子育てをしていく中で「安心して子どもと一緒に食事ができるお店を知りたい」とこどものヒトサラを立ち上げる。こうして社会におけるさまざまな子育ての課題に直面し、その課題解決をライフワークと感じ4月からは「ママプラ」の編集長として参画。一児の母。
HP:MAMAPLA(ママプラ)

ワーママを、楽しく。LAXIC

文・インタビュー:飯田 りえ

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