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2015.09.14 2023/05/31

パラレルキャリアで育児と仕事を両立中。キャリアカウンセラー、大学の非常勤講師、客員研究員の3つの顔をもつワーママ

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パラレルキャリアで育児と仕事を両立中。キャリアカウンセラー、大学の非常勤講師、客員研究員の3つの顔をもつワーママ

出産・育児など自分のライフスタイルに合わせて働き方を縮小するだけでなく、キャリアプランに沿った形で新たなチャレンジができれば、とても理想的ですよね!

今回のラシク・インタビューは、IT業界の経営者を経て出産を経験し、ご自身のキャリアを育児と両立しやすいように少しずつ変更しながら、新たなチャレンジをしている「働き方コンサルタント」である株式会社ルシーダの代表取締役社長 椎葉怜子さん。

「女性の働く、を応援したい」というコンセプトの元、一見異なる分野に思える「カウンセリング」「大学の非常勤講師」「日本テレワーク協会の客員研究員」の3つに業務をこなすパラレルキャリアを実践されています。「今が仕事も育児も楽しいと言える状態で良かった!」と明るくおっしゃる椎葉さんのキャリアの築き方に迫りました。

長時間労働の経験から「女性の働く、を応援する」をライフワークに

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宮﨑現在、「カウンセリング」「大学の非常勤講師」そして「テレワーク推進」の3つの業務を行っていますよね。一貫しているのは「女性の働き方を考える」ということだと思うのですが、この考えに至った背景は?

椎葉さん(以下敬称略)私のキャリアは、大学4年の時にスタンフォード大学のサマープログラムに参加して、シリコンバレーの勢いを感じ、大学4年の秋からネットベンチャーを支援するNPOのフルタイムスタッフとして働き始めたことからスタートしています。その後、米国ウェブデザインの日本法人に入社し、26歳でその会社の社長になりました。3年間、女性向けのウェブデザイン制作やコンテンツ企画に携わったのですが、親会社の都合で会社をクローズすることになったのです。

その時、私は29歳でした。20代の半ばから、WEB業界特有の「短納期で深夜まで働く」という働き方を経験し、このままでは自分自身も子どもを産むことができないなと思ったんです。また女性の働き方としてもおかしいと思いました。日本はまだ、どの業種でも長時間労働が常態化されていて、子どもを育てながら仕事をしていくことが非常に困難なことに思われたのです。新しい会社では、この問題に解決に携わるような事業を行うことにしようと決め、起業したのが㈱ルシーダのはじまりです。

女性の働き方に携わる事業として、最初にはじめたのが、女性同士のネットワーキングの場を作るという目的で開催している「ごほうび朝食会」です。
「子どもを産んで働く」人や「仕事もプライベートも頑張りたい女性」はたくさんいるのですが、世の中で話題になっている人はバリキャリの人ばかり。社内でロールモデルを見つけられないという悩みをみんな持っていたんですよね。社外の人と繋がることで、その悩みを解消したいという思いではじめました。私自身はこの時期にキャリアカウンセラーの資格を取得しています。

同時期に、ライフプランなどを含めた長期の目標設定がしにくい女性たちに向けて、目標設定のコツを伝える〈ごほうびらぼ〉というサイトを立ち上げました。その他、目標設定セミナーを開催したり、リーダー職になったり、両立するための考え方を伝えるセミナーも行っていました。

産後は、カウンセラー・非常勤講師・客員研究員の3つの仕事をこなすパラレルキャリアを実践

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出産前からキャリアカウンセリングや女性の働き方などの支援をしていたんですね。それでは、出産前と後で働き方は変わりましたか?

椎葉出産前は企業で働く女性や管理職男性向けに「女性活躍推進」関連の研修や講演を日本各地で行っていたんです。2013年7月に出産したのですが、夫婦共に両親が遠方でサポートがないため、夜遅くなったり出張が多い以前のような働き方は難しいなと思いました。子どもを育てながら、自分のキャリアを生かしつつ、自宅を拠点にテレワークをしながら柔軟な働き方を推進していけるような仕事はないかと考えたのです。

ちょうど育児休業中に、大妻女子大学短期大学部で「女性と起業」の講師をしないかという打診があり、考えた末に2015年4月〜非常勤講師として授業を受け持っています。また、キャリアカウンセラーとしては2015年2月から、ボイスマルシェという電話相談カウンセリングで、「ママのための働き方相談室」を開設しています。最後の「テレワーク」に関しては、実は産前から研究を続けておりまして、育休明けの2014年8月に論文を書き上げ、学会発表を2014年11月に行いました。この論文がきっかけとなり、日本テレワーク協会の客員研究員の仕事を2014年10月ごろから開始しています。そんなきっかけで、「キャリアカウンセラー」「大学の非常勤講師」、そして「日本テレワーク協会の客員研究員」と3つの仕事を行うパラレルキャリアを歩むようになりました。

「ジャングルジム型キャリア」で働き方をもっと柔軟に!

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ご自身のキャリアを生かしつつ、新しい仕事にも挑戦していらっしゃるのですね!
キャリアカウンセラーとしての電話相談で、同じようにワーキングマザーで働き方を考えている人の悩みを受ける事が多いと思うのですが、どんな悩みが多いのですか?

椎葉私に相談をして下さる方は、ママになって復職されている人が大半です。大企業勤務の方でも「今の働き方でいいのか?子どもを預けてまでして働くのだから、もっとやりがいを感じられる仕事がしたい」と悩んでいる人がとても多いです。子どもが3歳になるタイミングや、2人目を妊娠している時、子どもが小学生になるタイミングで、働き方を見つめ直す方が多いですね。私に相談をされる時点で、転職ではなく「独立」や「プチ起業」に興味がある方が多いのですが、いざ仕事を辞めて個人事業主という形を取るのが怖いという方も少なくありません。1セッションが1時間なのですが、その中で不安の棚卸しをして、自分の本心や強みなどを見つけられるようにサポートしています。

ベストな道はその方によって違うとは思うのですが、人生の中でのバランス配分を考えるといいと思います。ライフステージに応じて「稼げる時と少し収入が減る時期」があってもいいですし、夫婦単位でポートフォリオを組むという考え方も大切ですね。自分が以前より稼げないことを「すみません」と自己犠牲的にとらえるのではなくて、ライフステージの中で夫婦の一方が収入が減る時期には、一方に頑張ってもらうというのも夫婦の形態としてはありだと思います。

従来は「はしご型キャリア」と言って、上に行くしかないキャリア展開だったのですが、今は「ジャングルジム型キャリア」という形もよく言われていますよね。たまには上じゃなくて横に行ってもいいし、別の世界を見てもいい。いろいろ経験しながら自分らしく上を目指していくのが「ジャングルジム型キャリア」です。働き方をもっと柔軟に考えると、もっと楽しく仕事ができると思います。

産後は柔軟に働き方を変えていらっしゃる椎葉さんですが、働きながら育児をしていてうれしかったことは?また椎葉さんにとって「働く」ということはどんなことかを教えて下さい。

椎葉現在、大学で女子大生に「女性の働き方」について教えていますが、仕事をしながら育児をすることがとても楽しいと心から伝えられる状態でよかったなと思います。

私にとって、「働く」とは、自分らしく生きるということです。お金はもちろん大切ですが、それ以上に、自分の適性や興味、ライフスタイルに合った仕事なのかを重視しています。これからも「女性の働く、を応援する」パラレルキャリアを通して、「仕事をしながら子どもを育てることは楽しいこと」という事実を多くの方に伝えていきたいと思っています。

椎葉さんの話でとても印象的だったのが「ジャングルジム的キャリア」と人生の中での仕事のバランス配分を考えること。女性の人生は平均寿命的に考えると長いのですよね。ママである今だからこそ、人生の中で今自分が大切にしたいことは何なのか、見つめ直してみることはとても重要なのではないでしょうか。

プロフィール

椎葉 怜子さん

働き方コンサルタント・株式会社ルシーダ代表取締役社長

女性の働き方とテレワークをテーマに、多様で柔軟な働き方の実現を目指して活動している。自身もテレワークによって仕事と子育てを両立させており、複数の仕事を同時並行で進めながらキャリアを高めるパラレルキャリアという新しい働き方を実践中。大妻女子大学短期大学部では非常勤講師として「女性と起業」を担当。キャリアカウンセラーとしては「ママのための働き方相談室」を開設中。日本テレワーク協会では客員研究員としてテレワークの普及に向けた研究活動を展開。その他、仕事の内容に合わせて株式会社ルシーダ代表取締役社長、情報システム学会理事という顔でも活動している。

文・インタビュー:宮﨑 晴美

ライター

ラシク 編集部


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