ワーママを活かすコツは、 “ジョブディスクリプション”と評価制度にあり 成果が見えない日本独自の組織形態から脱却を

ラシク・インタビューvol.6

株式会社イマジナ代表取締役 CCO(チーフカルチャーオフィサー) 奥山 由実子さん

残業ができないから、昇格できない。短時間で効率的に仕事を行っても評価されない。多くのワーママたちが抱えるジレンマは、日本企業特有の「みんなでやる」という組織の仕組みの中で、個人に課される業務「ジョブディスクリプション」を明確にしていないこと、そして評価制度の曖昧さにありました。

今回は、アメリカで人事コンサルタントとして起業し、日米両国の人事制度を10年以上にわたり見つめてきた株式会社イマジナ代表取締役の奥山由実子さんに、戦って権利を勝ち取ってきたアメリカのワーママたちの現状と遅れている古すぎる日本の人事評価・採用制度についてバッサリと、切って頂きました。日本のワーママ女性たち、奥山さんの言葉を聞いてもっと声をあげましょう!

アメリカのワーママたちも戦っている!

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宮崎アメリカで仕事と育児を両立しているワーキングマザーの本やエッセイを読むと、日本のワーキングマザーと悩みはそれほど変わらないという印象を受けるのですが、実際、多くの女性たちを見ていて実態はどうでしょうか。

奥山さん(以下敬称略)
私がアメリカに行ったのは1990年前半なのですが、行く前はアメリカの女性たちは自由で自立していて、結婚しても子どもを産んでも働きやすいに違いないというイメージを持っていました。実際アメリカで14〜15年働いて分かったことは、アメリカで働く女性たちも戦っていたというのが現状で、日本の女性たちと全く変わりませんでした。何が違うかと言うと、アメリカ人の女性たちは自分たち自ら働くことをやめずに、全員が戦っていたんです。また、アメリカ人の奥さんは怖いので(笑)、旦那さんは育児も半々の分担をするよう努力している人が多かったですね。

また人事的なデータから言うと、日本もアメリカもヨーロッパも平均年収は女性の方が低いです。でも大きく違うのが、女性の管理職の数はアメリカの場合はもう46.9%(2011年時点)で、2012年度時点で11.1%の日本(総務省統計局データ)と比較すると、女性の進出率は大きく違うんです。
フェイスブックのCOOのシェリル・サンドバーグさんの本に、妊娠・出産に関して交渉していろいろな権利を勝ち取っていったと書かれていましたけれども、大手企業のgoogleにあっても皆さん努力を怠っていないですよね。

シェリルさんの本が出て、アメリカの実態が日本と変わらない部分も多くあることが知られてきましたよね。一方で、保育料はアメリカの方が高いなど、日本の方が恵まれている部分も多いようですが。

奥山アメリカでは男性と変わらないということが基本なので、例えば子どもの具合が悪くなった時でも、自分の仕事の代わりをきちんとアサインしてから出なければいけない。日本のように「悪いなあ」とか、誰かが冷たい目で見るとか、そういうたぐいの辛さではないですよね。成し遂げなければクビになるという辛さ。それは、子どもが3人いようが5人いようが、独身だろうが一緒なのです。

日本女性は真面目。「すみません」よりも別のところにパワーを使うべき

先日、育休を経て復帰したばかりの人たちと話す機会がありまして、日本の働くママは「不安」と申し訳なさとでいう気持ちでいっぱいなんですよね。

奥山みんな真面目ですよね。自分で「申し訳ない」と責めていくところがありますよね。もう少し気楽になった方がいい。アメリカの女性たちも「すみません」と思っているとは思いますが、違うところにパワーを使っていると思います。常にパフォーマンスで見られていますから。いい職だったら、絶対に失いたくない!と思いますしね。私の知っている女性には、産後2日目で復帰した人もいます。子どもはどうしているかと言うと、旦那さんが休みを取っているんですよね。そういう意味では、アメリカの方が夫婦間の役割がフレキシブルでプライオリティがしっかりしていると思います。

日本は違った意味で優しいのです。アメリカのスタンダードでいくと、女性を甘く見ている、差別しているということになるのですが、日本に戻ってきて何年か経つと「ああ、日本の男性って優しいのだな」と思うところがありますね。

ワーキングマザーの中には、かえって気を使われすぎて嫌だという人もいらっしゃいます。

奥山日本女性の考え方は男性に比べ進んでいます。アメリカの例も見ているし、自分が働きながら不便を感じているから勉強しているんですよね。それに比べると、日本の男性はあまり変わっていない。若い男性は、女性が強いので、影響されて頑張っていますね(笑)。

アメリカではベビーシッターも当たり前ですよね。

奥山ベビーシッターは中・高校生が自分の妹弟みたいに、アルバイト感覚でやるのがアメリカではスタンダードです。夫婦で映画に行くとなると、近所の子どもに、ベビーシッターをお願いしたりします。そういう意味では、あらゆる年代をうまく使っていく社会の仕組みが整っていますね。

日本企業の良さはみんなでやること!しかし、ジョブディスクリプション(役割分担)ができないしワークシェアもしにくい

それでは、「ジョブディスクリプション」について教えて頂けますか。

奥山基本、ジョブディスクリプションは企業が作るものです。
日本と大きく違う企業マネージメントは、箱が先か、人が先か、なんですね。日本は人が先のマネージメントをしています。世界は広いけれども、新卒一括採用をしているのは日本くらいです。新卒を大量に採用し、1人にいろんな業務を頼み、利益があがったとしても誰の業績かが分からないことが多い。

それに対して、アメリカは組織があって、1人が辞めたら1人入れるという組織ありきの通年採用のシステムです。個々の業務は、きっちり決まっているので、そこの業務しか行いません。他の人の電話が鳴っていても触ったりしません。しっかりと自分の業務をして、業績があがると誰の功績なのかが良く分かるシステムです。

日本は役割がゆるくみんなでやるので、ジョブディスクリプションができないし、切り分けてワークシェアリングができないんですよね。例えば産前にやっていた仕事を、2つに切り分けることがアメリカではしやすいけど日本はしにくいという組織の仕組みの違いが根本にあります。

目標を達成できるなら、働き方は自由

実際アメリカでは、ジョブディスクリプションによって業務を切り分けるという例は普通にあるのですか?

奥山もしかしたら、同じ部署には例えば4時間で終わる仕事はないかもしれません。ただ違う部では4時間で終わるような仕事はある。そこから交渉がはじまったりしますね。もともと組織の中にジョブディスクリプションは全てあるので、明確に切り分けることができますね。

例えば、4時間という時間の中で月の売上高を達成できるならば、在宅でもどんな働き方をしてもいいよ、という例はたくさんあります。アメリカは広いですから、NYやカリフォルニアなど都会以外は、1週間に1日だけ出社して、あとはホームオフィスでという例も多いですよね。

在宅で仕事をしている割合が多いと、子育てを両立しやすいですよね。日本だと古い会社は特に、「仕事をしているか把握したい」という人も多いようですよね。

奥山それは仕事をちゃんと切り分けていないことと、目標ありきではないからです。日本の働き方が「家族的」で「仲良くやっていれば」という形だからですよね。日本企業はやらない人がすごく働きやすい会社ですよね。

働くママもやる気がある人ほど辞めたりします。

奥山大手でちゃんとしている会社はちゃんと仕事を切り分けているとは思うのですが、古い会社だとこの「ジョブディスクリプションによる働き方」はフィットしないですよね。よくカルチャーを見て入って欲しいです。

数値化できるゴールを細かく作ることで、評価が明確に!

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会社側が、短い時間しか働けなくても優秀な人を雇用したいと思い、ジョブディスクリプションをまず明確にしてみたいと思った時に何からはじめたらいいのでしょうか。

奥山まずは人事制度を変える必要があるのと、同時に管理職のマインドを変えないといけません。管理職のマインドが変わらないと、仕組みだけ入れても動かないんです。
週3・週4で働く人の評価をどうするか?と考えた時に、きちんとした評価制度を作ることが大切です。ジョブディスクリプションに合わせて数値化できるゴールを細かく作っていくのですね。アメリカでは20〜30年前から行っているのですが、日本ではまだ目標すら書けなかったり、出てきたスコアを開示していない企業が8割くらいです。具体的に何をやったら評価されるかが明確に書いてあるので、部下としてもやりやすいですよね。アメリカでは上司と部下とのパフォーマンスレビューが上司の仕事の中で一番重要です。それに比べて、日本は1月に目標設定したら12月にやっとレビューするような企業が多いですね。

実際ジョブディスクリプションや評価制度を導入した会社さんにはどんな声がありますか?

奥山いろいろなメリットが出てくるのですが、無駄なことをやっていると分かったとか、若い人がキャリアパスを描けるという声があります。また中途採用する際も条件が明確なのでズレがないですよね。そしてモチベーションがあがる人が多いです。ジョブディスクリプションや評価制度を取り入れた企業は皆さん、やってよかったとおっしゃいますね。

これからの日本社会について

奥山働く人口がどんどん少なくなって行くこれからの社会において、男性も女性も、どちらも働いて売り上げをあげていかないとまずい時代になりますよね。社会を変えていかなければいけない。あらゆる年代をうまく使って、お互い助け合う社会の仕組みを作って行かないと。高齢者がどんどん増えて行く現代において、しくみを作っていける会社を助けていきたいなと思っています。

目標設定と評価制度がきっちりしたら、日本のワーママの全ての悩みが改善されるとは言えないにしても、すごく軽減されると思うのです。ここまでの基準には達してないなど、ワーママ自身が評価に納得することは大切ですよね。ワーママでなくても、ケア責任がある会社員が増える可能性がある現代において、目標設定と評価制度はとても重要なキーとなりそうです。

奥山 由実子さんプロフィール
株式会社イマジナ 代表取締役CCO(チーフカルチャーオフィサー)
大手企業研修専門会社で企画、営業職に携わり、1993年に駐在員としてNYに赴任。
その後アメリカで起業し、在米の日系企業のコンサルティングを行う。2006年東京にイマジナを設立。
著書に『伸びる会社は月曜の朝がいちばん楽しい』『想いをブランディングする経営』(日経BP社)『<CCO>が会社を伸ばす』(ダイヤモンド社)など。
HP:

ワーママを、楽しく。LAXIC

文・インタビュー:宮﨑 晴美

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